コラム「雨の降る穴」の紹介
この時間は、立川翔氏が毎週気になる話題から ニュースモール落語を作っているコーナーなんですが、
今日はですね、私立川翔氏が西日本新聞の文化面に 月曜から金曜連載をしておりますコラムの中から、
6月23日に掲載されたS3というコラムを 田中美月アナウンサーの朗読でお聞きいただきたいと思います。
S3は名古屋に実在する卒だらけの人だ。 私が新内に昇進した頃、ここで独演会をやったら?と
名古屋のお客様に紹介していただいた。 元は寿司屋の若旦那で自社ビルの1階にカウンター席、
2階から上は個室や宴会場があって、そこで落語会を主催していた。
すでに何人もの落語家を東京から呼んで定期的に落語会を開催していたので、会場費はかからない上に固定客もいて、
これから名古屋で少子の会を開拓していくにはとてもありがたかった。
Sさんの計画と頓挫
ただ、そこへ行ったことのある先輩からは、あの人に任せて大丈夫か?と心配された。
確かに私より一つ年上なのに頼りない感じはあったが、気にしないようにして落語会の講演を続けていった。
ところが店を仕切っていた親父さんが亡くなり、職人さんもいなくなったので店を畳むという。
ここからSさんの若旦那っぷりと卒だらけの人柄を目の当たりにすることになる。
寿司屋のビルは取り壊し、新たなビルは寿司も食べられる介護施設にして、
落語会ができるよう舞台付きのホールも作るのだと設計師が書いた図面を見せてくれた。
完成までは近くのビルの会議室を借りて少子独演会を続けてくれるという。
宣伝のため地元CBCラジオの人気番組、
つぼいのりおの聞けば聞くほどのパーソナリティー、つぼいのりおさんを紹介するから出演すれば?とも言ってくれたので尋ねたら、
つぼいさんはキョトンとされている。
よくよく聞いてみたら、つぼいさんのことはリスナーとして一方的に知っているだけだった。
そしてビルはさらちになったが、介護施設の認可を取っておらず、計画倒れ。
ビルの会議室の落語会では会場時間になっても受付がなく、私がお客様に怒られながら誘導することに。
出林のCDを出すのもおぼつかない。
あまりのお粗末具合に客席にいらした私の知人であるプロの音響屋さんがあきれて、
次回から僕がやりますよと言ってくれる始末。
Sさんの人柄と繋がり
でもその卒だらけのおかげで今はつぼいさんをはじめ名古屋の人たちと全部つながっている。
葬儀の後の出来事
音響屋さんからイベンターさんを紹介してもらって、ちゃんとしたホールで独演会もやれている。
完璧ばかりが全てじゃないのだと思う。何か憎めないんだよな。
数年前、名古屋郊外で独演会をやった日。
公演が終わってからSさんが車でやってきた。
名古屋駅まで送りますと言ってくれ、おふくろの葬式帰りですけれどと続けた。
車内には遺骨と遺肺があった。
私は助手席でSさんの母上の遺肺を抱いて名古屋駅へ向かった。
そうなのよ。おふくろさんの葬儀の後に寄ってくれるのよ。
憎めないじゃん。
何かお手伝いがしたいと。
いい人なんですよね。
来なくていいよとは言ったのよ。
何かさせてって言うから、分かった。
じゃあ俺も遺骨を抱くのは何だか失礼だと思った。
遺肺だけは助手席で抱かせてもらって。
音響屋さんとかイベント屋さんとか、車見送りながら爆笑してるわけよ。
そうですよね。
俺は横で、ほらSさん、クラクション長く鳴らしてって言ったら、
いや、助手さんそれはーって。
ここはブーって。
お見送りのシーンですよ。
お見送りでしょって言ったのよ。
笑っちゃいけないんですけど。
笑っていいよ。
笑っていいのかな。
そんな面白い人なんだよ。
地元のめっちゃ優秀な高校出て、東京六大学出て、賢いんだよ。
賢いんだけど、何かちょっとずれてて面白いんだよね。
何かうつ目が甘いみたいな。
そう、だから何ていうのかな。
Sさんの行動と立川氏の対応
でもこれで思ったことは完璧が全てじゃないっていうか、
この人を先輩があいつで大丈夫かって言ったように、
この人ちょっと卒業があるから、やめとこうって言うんじゃなくて、
やってくれるから、じゃあやってもらおうと思いながら、
最初は僕敬語だったよ、一途上だけど。
もう途中からタメになって。
もっと言うと、受付も、
僕ただね、これから本番って言って、
着物着替える前にちょっと歯磨いたりしようかなと思って、
そこでお客さんの前を通ったのよ。
そしたら、
受付はまだか?って言って、俺怒鳴られて、
受付がないからさ、
わかりました、すいませんって言って、チケットは後で拝見しますから、
先にどうぞ入ってくださいって言って、
俺が誘導したんだよ。
後でチケット拝見しますからすいませんねなんて言って、
というところにSさんがやってきて、
畳持ってきたのよ。
畳?
何やってんのって言ったら、
そこ会議室で、別な会議室借りるとお金がかかるから、
会議室の後ろに廊下みたいなところがあって、
そこが僕の楽屋になってたのよ。
で、少子さんに畳持ってきましたって言って、
いらねーよ畳なんかそんなの。
びっくりしてもらうように。
それより受付作ってくれよって言って、
そんな感じで。
だからあれですよね、
すごい気持ちはあるんだけど、
悪い人じゃないし、
裏目に出ちゃうっていう。
そう、だから、
だから畳だけいらねーよとか言いながら、
椅子並べるときも、
そうじゃねーだろって言いながら、
なんか、
お姉ちゃんが来ててね、
お姉ちゃん、お姉ちゃん、お姉ちゃんって言ってるから、
飲み屋のお姉ちゃんかなと思って、
そのお姉ちゃんの前で、
何もったもたしてんだよ、
ちゃんとやれよとか言って、
会場作りしてたらさ、
そのお姉ちゃんはさ、
飲み屋のお姉ちゃんって本当のお姉ちゃんだったのよ。
本当のお姉ちゃん?
本当のお姉ちゃんは、
うちの弟がもう。
本当のお姉ちゃんは、
何この芸人のくせに、
うちの弟が偉そうにしてんのみたいな。
お姉ちゃんのお姉ちゃんって、
紹介しろよと、うちの姉ですとか、お姉ちゃん、お姉ちゃんって言ってるから、飲み屋のお姉ちゃんかどうじゃねえかよ、とにかくいろんなこと、でもおかげで、まだ来週7日は僕またCBCラジオ、つぼみの上の聞けば聞くほど出させていただきますし、
でもSさんがいなかったら、こうなってなかったってことですね。
今月の26日かな、名古屋で一人豚鷹屋をちゃんとしたホールでやらせていただきますんで、Sさんのすべてはおかげでございます。
今後の予定と告知
ここでお知らせでございますね。僕の独演会、今度北九州でやります。北九州ひまわり寄せというので、7月25日土曜日、名古屋の前の日でございますが、
お昼の13時開場、13時30分開演ということで、場所がJコム北九州芸術劇場の小劇場です。全席自由で3000円、当日が3500円となっております。
現在プレーガイド、北九州芸術劇場、藝術屋小倉店、チケットピア、ローソンチケットでチケットは販売中でございますので、北九州でやるのほんと5年ぶりぐらいなんですよ。
久しぶりですね。
北九州エリアの方、ぜひ来ていただきたいと思います。お問い合わせは、北九州市民文化センターということで、電話番号が090-8811-3548までということになっておりますので、7月25日北九州でお待ちしております。
番組の締め
はい。今日は西日本新聞に連載中の雨の降る穴、橋橋さんのエッセイですね。
こちらのSさんを私、朗読させていただきました。
ラジコのタイムフリー、またはポートキャストでいつでも聞けますので、どうぞ。