こんだけ話してるからだと思うんですけど、特に印象は変わらなかった?
僕もそんなに印象変わらなかったですね。特には。
さすがにあれですね。オンラインとはいえ、こんだけ密に。
そうですよね。こんだけやりとりしてれば。
まぁ、だいたいもう人となりは分かっちゃいますもんね。
我々の感想とか、皆さんに対する御礼、反省に関してはノートにあげさせていただいているので、
こちらをチェックしていただけるとありがたいです。
じゃあ、本編に入りたいと思います。
今回はですね、最後のライオニーという作品を紹介したいと思います。
前回がデカメロンプロジェクトという、これもコロナ禍に置かれたアンソロジーで、
世界中のだだったる作家さんが短編を書いてたんですけども、
今回の最後のライオニーっていうのは、韓国のSF作家の人たちのアンソロジーで、
前回と今回と同じようなテーマなんですけども、
韓国のSF作家というところで、しかもそこにはキムチョヨクさんという、
以前にもラジオで取り上げたことのある作家さんも参戦していて、
これは面白そうだなと。
そういうSF作家がどういうふうなパンデミックを描くのかなというところを今回取り上げました。
この流れで今回紹介する本なんですけども、
最後のライオニー、韓国パンデミックSF小説集になります。
本はキムチョヨク・ユナ・チョンソヨン・キムイファン・ペミョン・フン・イージョンさんが書いていて、
翻訳は斉藤麻里さん・清水白幸さん・古川綾がさせています。
河手書房新社から2021年12月に出版されています。
ありがとうございます。
じゃあ私の方からあらすじを。
人・機械・鯨・ドローン・虫・ウイルス。
現実を添付する韓国SFのめくるめく創造力による新しい時代の新しい未来。
星々に生きる者たちの6つの物語となっております。
ちょっと後で詳しくいろいろ話しますが、かなりバラエティの幅のある、
SFと言ってもその中でもバラエティの幅がある作品が集まっています。
そうですね。少し補足すると、韓国のSF作家でもキムチョヨクさんのような神影から巨匠の人たちまで、
韓国SFの最前線と歌われている短編中で、中々日本の今回が初めて翻訳された作家さんもいるということで、
非常にちょっと楽しみな内容になっています。
ちなみに韓国では2020年9月に出版されて、今後書きのところで書かれていたんですけども、
コロナになってから、世界的に新しい本のテーマがパンデミックだったら、
結末をどうかという質問が、世界的にSF作家に投げかけられたみたいで、
韓国でもそうした流れで、今回のような短編集が作られています。
じゃあ、この本について具体的にお話ししていきたいと思います。
まずですね、こちら6つの作品が入っているんですけれども、それが2つずつ、3つのテーマに分けられています。
もう1つの言い方をすると、3つのテーマに沿って2つの作品が入っているような感じですね。
テーマが、終わりと始まりというか、副題がついているんですけど、目視録。
第1章が目視録。第2章が完成章。副題が箱を開けた人々。
第3章がニューノーマル。全類の新たな希望となっております。
このテーマによってですね、話の方向性が結構変わってきて、そこが読んでいるとかなり面白い作品集でした。
テーマによって結構そのね、方向性が違っているので、その分個性が現れているような気がして、
このテーマを3つに分けたというのがすごい面白いなと、それが良かったなと思います。
あと他にですね、ポイントとしては、全体的な共通点になると思うんですけど、どこか悲しさがある作品が共通していると思います。
この点に関しては、デカメロンプロジェクトの時は29個の物語で、本当に幅広い作品で、悲しい物柄が決して悲しいだけではない作品もあったりしたんですけども、
今回その悲しさが全体的に漂っているなという点では、デカメロンプロジェクトとはちょっと違っているなと感じましたね。
SFというジャンルの性もあるのかもしれないですけど、デカメロンプロジェクトと比べると、やはりコロナを重く捉えているという感覚がありますね。
あと私がすごく感じたのは、ウイルスとして怖い部分というか、感染症ってやっぱり怖いなって思う作品が多くて、
これ読みながら、コロナって結構毒性が結局弱い死んでいらっしゃる方いらっしゃいますけど、そこまで強くないんで無症状で終わるっていう人も多いと思うんですけど、
これ本当に一発やばいウイルスが流行ったら、人間なんて瞬殺なんだろうなってちょっと思う。
この本を読んで改めて思いましたね。そういうウイルスもちょっと出てくる話あるんで、それでも人間は生き残ってきますけど。
あと作品を通して、現在2020年の韓国社会が描かれているというか、その韓国社会の延長にあたるような作品も多いかなというのも印象としてありました。
例えばある作品では、都市部での新婚ですかね、お給料が安いというところで、結構もう住むスペースがすごい限られていて、
そういう中でどう生きていくんだろうかという、そういう未来社会なんですけど、でもそれは今現在の韓国の社会でもおそらく同じようなことなのかなと思いますので、
結構今の社会の、韓国社会のリアルというところも作品によって描かれているんだろうなというのを思いました。
ちょっとそんな感じの特徴というかがある作品でございます。
具体的にちょっと話していきたいんですが、第1章目次録、終わりと始まりなんですけれども、
一番最初に語るのはキムチョープさん、私たちが光の速さで進めないならのキムチョープさんの最後の雷鬼という作品です。
これは人類が感染症で絶滅し、機械が支配する惑星の探査を命じられた私の話でございます。
遥か未来の世界の話ですね。だけども感染症を描いているというお話でございます。
これ、すごい良かったですよね。
いやもう本当、めっちゃエモくて、相変わらずすごい良い話でした。
いや本当、さすがキムチョープさんだなという、以前私たちが光の速さで進めないならを読んだ時と同じような感動を味わったというか、
エモいっていうのはそうだと思うし、あとはこの作品に通してパンデミックのテーマなんですけど、
でもどこか希望であったり、人間のたくましさというかね、そういうのを感じ取れてすごい良かったなと思っていて、
何が良いかというと、これも個人的なアレなんですけど、結構前半パートですね、
最初のページ、20ページぐらいが主人公の心理描写というところが描かれるんですけど、
すごく劣等感を持っている主人公で、自分が族している中で自分はかなり劣等感を持っていて、
だから結構危険なミッションを主人公が行うんですけど、そのミッションを受けるようになったという、
そういうところの心理描写を読んでいて、ぐさっとくるところがありましたし、結構ですね。
でも最後やっぱりいいですね、そういう主人公も生まれつき欠陥を持っているとではあったんですけど、
でもその欠陥というのは実は欠陥ではないんじゃないかと、そういう描き方がされていて、
YouTubeですごい感動をさせられました。
構成がめっちゃいいんで、ストーリーが本当にいいんで、だいぶ刺さりますね。
ちょっと予想させるような流れもあるけど、でもそれを補完するストーリーがすごく良くて、
これはちょっと読んで味わっていただきたいのであんまり話したくはないんですけど、
全体的な話としては、私がその劣等感を引き受けたミッションでピンチになっていき、
ちょっといろんな話と絡んでいくっていう、一人である惑星の探査を行くっていう、
すごいSF的な、未来SF的な話なんですよね。
コロナっていう話で言うと、この作品で私が思ったのは、
テクノロジーが発展しすぎた世界だからこそ、めちゃめちゃウイルスに弱いという状況が描かれていて、
これは今回我々が直面しているコロナっていうところとも重なる部分があるなと思いました。
発展しちゃっているから、一気に広がるし、
これもある必ずやらなきゃいけないっていうところに対して、
ウイルスが作用しちゃって、一気に広まった世界っていうのが描かれていて、
しかも、例えば昔だとウイルスって全く特定できなくて、
中世とかだったらウイルスとか全く特定できなくて、
人が呪いの呪いかなんかで死んでいくみたいな感じで捉えられたと思うんです。
今はウイルスって特定できない、でも対処できないっていう点もすごく似てて、
この世界で描かれているのが。そこはすごく面白いなと思いましたね。
ちなみに、この本の一番最後の解説で書かれていたのが、
キム・チョープさんが2021年、去年韓国で初めて長編を出したみたいで、
これもまたいずれ翻訳されると思うんで、楽しみですね、今。
そうですね、それすごい楽しみ。絶対読みたいですね。
次ですね、第1章のもう一つの作品が、
ジュナさんの「死んだ鯨から来た人々」という作品です。
これは、鯨の背中の上で3000年の文明を築いてきた人類の下に、
伝染病が到来するという話ですごい設定が面白いんですけども、
鯨というのがイメージすると、どっちかというと島なんですよね。
鯨というよりかは、島の上で文明を築いてきた人類というイメージのほうが近いかなと思います。
ただ、とはいえ、やっぱり鯨な部分もあったりするという、なんとも言えない面白い設定で。
そうですね、これすごく想像力を働かさなきゃいけない部分なんですけど、
生命体が集まっていて、島みたいなのを形成しているという、惑星みたいな。
海しかない惑星で、そころそころ生命体が寄り添っていって、
陸地を形成しているみたいな感じなんですよね。不思議な世界ですね。
そうですね、あとこの1つ面白いのが、すごいマクロな視点で描かれていて、
もちろん主人公は人類ではあるんですけど、
ただこのマクロな視点で物事ですね、このウイルスの問題とか、
パンデミックを見ていった時に、じゃあ見方がどう変わっていくかとかですね、
そういうところとかすごい面白かったですね。
これちょっとあんまりネタバレになったりするとあれなんで言えないんですけども。
そうですね、確かにこれちょっとネタバレになっちゃうからね。
この小説はですね、結構ラストのあたりの流れが好きで、
これもちょっとネタバレになるかあんまり話さないんですけど、
いい終わり方をするなと思って、でも希望があるわけじゃないんだけど、
いい終わり方をするなって思いました。
どんなラストかってのは皆さんぜひ読んでもらいたいなと、さっきと一緒なんですけど思います。
ちょっと私のこれを読んだ感想をちょっとすると、
これは人類が地球に住めなくなって、他の惑星に移住した話ではあるんですけど、
我々人類もやっぱりどっかのタイミングでもしかしたら地球というところを住めなくなって、
脱出して他の惑星を目指すという時が来るのかなとか、
いろんなSFで描かれてますけど、
でもその先はやっぱり絶望が多いんだろうなって、なんとなく思います。
でもなんかサンタのラストでもじゃないけど、
そういう時にもきっと希望を持って何かを信じていくものなのかなとか、
この小説を読みながらちょっと思いました。
この小説はちょっとあまりネタバレしちゃう。あんまり救いはないんですけど。
鯨病という、そういう伝染病が流行っていて、
人類でもそういう鯨病にかかった島というか鯨を見捨てるしかないし、
そこに境界線を作ってしまったりというね、
そうはなりたくないなというような一面も描かれてますからね。
この一章なんですけど、この二つの作品は、
特にキムチロフさんもデュナさんも何かオーダーがあって、
未来を描いたわけじゃないらしいんですけど、
二人ともこれ、小説が終わると石化ノートっていうのがあって、
作画はメモ書きしたような作品を描くにあたった経緯とか思いとかを書いてるんですけど、
二人とも共通したのが、ちょっと遠い未来を描かないと、
自分はこのパンデミックっていう素材をどう扱っていいかわからなかったと書いていて、
やっぱりその絶望を、これキムチロフさんの言葉なんですけど、
地球の向こうにある遠くへ行くことで、
パンデミックっていうのを描けることに成功してるという、
ちょっと今言葉変えましたけど、こと書いてます。
感染症について語れる言葉はないが、
絶望の中にあっても自分の場所を守り抜く勇敢な人たちを思いながら描いたと書いていて、
パンデミックの中にあってもこういう人たちがいるっていう、
そういう思いを多分、
リュウラさんもちょっと違う言葉で書いてるんですけど、
ここは第一史を共通してて、
特に未来を描いてくださいっていうオーダーを受けたわけじゃないのに、
二人ともやっぱり遥か遠くの未来を舞台にしたっていうところは、
共通しててすごく面白いなと思いましたね。
これ全部の作品の後ろに作家ノートっていうのがあって、
そこで作品を書いた背景っていうのを、
この著者が書いてるんで、
すごい面白い。
第2章に進んでいきたいと思います。
第2章は感染症副題が箱を開けた人々ですね。
最初の収録されている作品が、
ション・ソヨンさんのミジョンの遺体の箱になります。
これは会社勤めのミジョンが感染拡大化で手にした
時間を遡ることができる箱についての話なんですけども、
これも未来社会なんですけども、
ただ時間を遡って過去を描くというそんな話。