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2025-02-17 55:38

第185回 壮大な物語に誘うフィンランド文学の大傑作『エジプト人シヌへ 上巻』(ゲスト:翻訳者 セルボ貴子さん、みずいろブックス 岡本茉利奈さん))

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文学ラジオ第185回の紹介本

『エジプト人シヌヘ 上巻』ミカ・ヴァルタリ著、セルボ貴子訳、菊川匡監修(古代エジプト美術館ファウンダー)、みずいろブックス 2024

https://sites.google.com/mizuirobooks.com/home/%E6%9B%B8%E7%B1%8D?authuser=0#h.qewewd9jd7af


パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。今回は翻訳者のセルボ貴子さん、みずいろブックスの岡村茉利奈さんをゲストに迎えています。ぜひお聴きください!


【今回の内容】

ゲストは二人/GW明けに読書会予定/夢中で読んだ/読み直すたびに違った解釈ができる/2025年は原書の創刊80周年/フィンランド語からの初の完訳/物語のおもしろさが全部つまった作品/著者&作品紹介/ミカ・ヴァルタリはなぜ古代エジプトの話を書いたのか/フィンランドで愛される作品/シヌヘの波乱万丈な人生を描いた大河小説/登場人物のユニークな語り/古代エジプトの知識がなくても読んでいける/主要人物紹介/ネタバレなしで上巻のストーリー紹介/カプタの魅力/当時のワインやビール/次回予告

▼読書会のお知らせ

『エジプト人シヌヘ』のオンライン読書会をGW明けに予定しています。

日程が決まり次第、告知いたします。

▼『エジプト人シヌヘ』を知るための参考情報

みずいろブックスのSNS

note(『エジプト人シヌヘ』をより楽しむための記事を掲載)

https://note.com/mizuirobooks

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Instagram(#空飛び猫たち100冊マラソン に挑戦中!ありがとうございます!)

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ブログ「Moi フィンランドをもっと好きになる!」の記事より

世界の窓と時空の旅~ミカ・ワルタリ『エジプト人』の翻訳について

http://moicafe.com/article/elf2022

ミカ・ヴァルタリ 『エジプト人 シヌヘ』~ 物語を伝えること、物語が伝えること

http://moicafe.com/article/sinuhe/

▼ 『エジプト人シヌヘ』が第十一回日本翻訳大賞の二次選考対象の16作品に選ばれました!

3月下旬に最終選考対象作品の発表、4月下旬に大賞の発表が予定されています。

https://besttranslationaward.wordpress.com/2025/02/12/no11-nizi-lis/


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版元サイトより

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フィンランドを代表する作家ミカ・ヴァルタリが描く歴史長編小説。

1945年に発行されてからこれまでに41か国で翻訳され、世界的ベストセラーとなり、唯一ハリウッド映画化された。

今もフィンランドで愛され続ける本作が、初のフィンランド語からのノーカット版で出版。

舞台は今から約3400年前。古代エジプト文明の栄華を誇る新王国時代に生まれた主人公シヌヘの一代記。

シリア、バビロン、ヒッタイト、クレタ島などさまざまな国で医師としての知識を得ながら、思いもよらない運命に巻き込まれていく。

この物語は歴史に隠された真実なのかもしれない。まるでノンフィクションかと思うほど当時の時代が忠実に再現され、ファラオ・アクエンアテン、ホルエムへブ、神官アイなど史実に基づく人物も生き生きと描かれる。下巻にはあのツタンカーメンも登場。

エジプトや地中海の歴史はもちろん、壮大な冒険、ロマンス、権力闘争など、小説の醍醐味をここぞとばかりに味わえる渾身の一作。


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サマリー

このエピソードでは、古代エジプトを舞台にしたミカ・バルタリの小説『エジプト人シヌへ 上巻』が紹介され、翻訳者のセルボ貴子氏と出版社の岡村茉利奈氏がその魅力について語ります。作品の内容や背景、読書会の企画にも言及されます。フィンランド文学の大作『エジプト人シヌへ 上巻』は、主人公シヌへの冒険を通じて古代エジプトの歴史や人間の本質を探求する物語です。この作品は普遍的なテーマを含み、現代の読者にも深い共感を呼び起こします。 『エジプト人シヌへ 上巻』では、主人公シヌへの成長や人生の冒険が描かれます。彼は医者としての道を歩みながら、友情や恋愛、哲学的な疑問に直面し、様々な文化や人物との出会いを通じて人間性を深めていきます。フィンランド文学の名作では、シヌへの冒険や人間関係が描かれ、古代エジプトの文化や風習に触れながら彼の成長が描かれます。また、作品に登場するキャラクターたちの魅力や物語の展開についても語られます。

エジプト人シヌへの冒険
舞台は、今から約3400年前、古代エジプトで医師となったシヌヘが辿る壮大な冒険を描いた大河ドラマ。
フィンランドを代表する作家ミカーバルタリが描く歴史長編小説 エジプト人シヌヘ 上巻を、ネタバレなしで、翻訳者のセルボ貴子さんと、みずいろブックスの岡村茉利奈さんと紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするポッドキャストです。
パーソナリティーは私大地と三枝の二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時にも熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、ミカ・バルタリのエジプト人死ぬ兵になります。
セルボ貴子さん役、菊川忠さん監修、みずいろブックスから2024年に出版された本になります。
はい、今回はですね、ゲストを迎えしてご紹介したいと思っています。
今回翻訳されたセルボ貴子さんと、みずいろブックスのですね、岡村茉利奈さんに来ていただいております。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
じゃあまず、今回のちょっと経緯を話した後、お二人自己紹介いただきたいなと思うんですけれども、今回ですね、このエジプト人死ぬ兵をちょっとご紹介していただけないかというようなお話があって、
で、結構これ1000ページ超える作品なので、ちょっとビビったんですけど、話を聞いてみたらめちゃめちゃ面白そうだったので、やりましょうとなって、今日を迎えているんですが、
えーと、また後で話すんですけど、これ読み出したら止まらないやつで、私ですね、4日か3日で読み終えましたね、っていう。
それだいぶ短いですね。
だいぶ多分飛ばしたと思います、エンジンかけたと思います。でもそれぐらい、下巻に入ってからすごい早かったですね、1日ぐらいで読んでるんで、上巻はそれなりにかかったなって感じだったんですけど、多分3日か2日ぐらいだったんですけど、
それぐらいスイッチ入ったら止まらなくなる本なんで、もうこれはですね、ちょっと今日4人で紹介していきたいなと思ってますので、よろしくお願いします。
翻訳と出版の裏話
早速ですが、セルボさん、赤村さん、自己紹介をいただいてもよろしいでしょうか。
セルボ・タカコです。フィンランド在住の翻訳とかですね、通訳をやっているのです。今回はお招きいただきましてありがとうございます。
簡単な自己紹介ということで、フィンランドには2001年に移住しましたので、もう24年経ってしまったんですけれども、こちらでフィンランド人の夫と、それから子供2人、息子2人とですね、暮らしています。
翻訳は過去5作品ですがね、こちらのエジプト人シヌヘを入れて、ムーミンの産みの親であるトーベ・ヤンソンの氷田ですとか、サステナブルなコーヒーの略称ですとか、あとはですね、ポピュラーサイエンスの規制生物の果てしなき進化といったものなどを経て、このフィンランドが誇る一番有名な小説と言ってもいいかもしれない、エジプト人シヌヘに水泳ブックスさんと行き着いています。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
岡村さんの自己紹介もいただいてから、ちょっとまた話をしていきたいなと思います。
水泳ブックスの岡村マリナと申します。
2021年の10月に水泳ブックスという一人出版社を立ち上げまして、これまで和画・ゆきしものというフィンランドのノーベル文学小作家の小説と、あと2作目で今回紹介させていただきますエジプト人シヌヘ。
3作目に奇跡のピアニストタテノイズミという、タテノイズミさんの表伝をこれまで出してきました。ちょっと話すのが苦手なので、ちょっと緊張している部分もありますが、今日はどうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いします。
このエジプト人シヌヘはセルボさんと岡村さんの二人三脚で翻訳まで至っていると聞いておりますので、それに関してもまた今回上下間あるんですけど、それぞれ前編後編という形で配信させていただきまして、その後に番外編を1本配信しようと思っていまして、そのあたりでいろいろお二人からまたお話聞いていきたいなと思っております。
まず今回エジプト人シヌヘという名前の本なんですけれども、フィンランドから、フィンランドの方が書かれた本なので、そのあたりも気になる方もいらっしゃると思うので、そのあたりの話もお用意していきたいなと思いますが、この本ですね、かなり私と三重さん読んで面白くて、本当に夢中になって読んでしまったので、正直今回のエピソードでですね、ご紹介できる分っていうのはまあまあ限られてくるかなと思ってます。
読書会の企画
ちょっとネタバレも避けながら話そうと思っているので、結構ですね、ちょっとぼやかす部分もあったりすると思います。
で、結構この小説は思いっきり話した方が面白いなと思う部分多いなと思ってますので、ちょっと先になりますが、配信がこれが2月の半ばぐらいを予定しているんですけれども、ゴールデンウィーク明けぐらいに読書会ができないかなと思っております。
オンラインで読書会ができないかなと思っております。
で、ぜひそれまでにですね、この本を読んでいただいて、すごい感動もしますし、いろんなことを考えると思うので、哲学的なことから物語のダイナミックさみたいなのもすごくあるので、そのあたりも含めて感じたことをですね、皆さんでお話できたらなとちょっと思ってますので、
ぜひですね、時期とか具体的な日はですね、まだちょっとこれから検討するんですけれども、ちょっと読書会を検討していこうかなと思っておりますので、楽しみに待っていただけたらなと思います。
ちなみに大地さんが3日ぐらいでこの本読まれたと言ってたんですけど、僕は3週間ぐらいかけて読んだんですけど、それでも頑張った方なんで、多分読もうと思ったら1ヶ月ぐらいのスパンを見られた方がいいんじゃないかなと思いますね。
ちまちま読んだりすると。
ほぼほぼ私あれですもんね、他の用事入れずに3日間作りましたからね。
もう3日間ぶっ通しで。
ありがとうございます。
でもそれぐらいできちゃう強さを持った本でしたね。本当流れがすごかったですね。
ちょっとその私も一気読みしちゃったみたいな話あるんですけど、本当これハマったら止まらないタイプの本なので、フィンランドの方が書いたエジプトの本っていうとなんか難解そうな感じがあるかもしれないですけど、
ものすごく読みやすかったので、ボリュームの割にはやっぱり思った以上にサクサク読めると思うので、とはいえ文章量は多いので、すごくすごい速度で読めるぞっていう印象を持たれるとちょっと語弊があるかもしれないんで、誤解があるかもしれないんで。
私最初この分量で来たから、これ結構読みにくいかもって思ったんですけど、そんなことはなかったです。なので本当にのればかなりスピード感を持って読めると思うので、この1000ページというボリュームにですね、あまりビビらず手を出していただきたいなと思っている本ですね。
僕も夢中で読みましたね。古代エジプトの話なんですけども、知識がなくてもほんとスラスラ読めてですね。やっぱり注釈も入ってますし、何かその単語が出てきたりしてもスーッと読んでいきましたね。
やっぱりすごいこのミカバルタリさんがストーリーテーラーだと思いまして、このシヌヘンのこの冒険が本当に波乱万丈で、一応お医者さんの職業なんですけど、外交官みたいなことをさせられたり、王様の側近になったりとかですね、医者としての側面もあるんですけど、それ以上にこのシヌヘンにいろんなものが、いろんなことをやらされて、いろんな人たちと出会ってっていうですね。
しかも姉妹にはすごい大金持ちになっていくっていう、この時代でびっくりしたんですけど、株の取引と、株じゃないか。そういう取引というか、投資ですね。
そうです。金。 そう、そういう投資して儲けるとかですね。なんかそういったことも描かれていて、なんかすごい、なんていうんですかね、言い方あれですけど、ちょっとあの昔の本を読んでる感じがしないところもあって、本当に誰が読んでも面白く読めるんじゃないかなと思って。
なんかそういう意味では、ちょっとモンテ・クリストハク好きでして、フランスのああいうのにちょっと近いところもあるんじゃないかなと思いましたね。この一人の人間の、このハラン・バンジョーの一代記というので。で、あとさっき大地さんが文章の量が多いっていうので、確かにそうで結構セリフも長くて、登場人物のセリフが長いし、でもそれがすごい面白くて。
なんか結構ね、なんかの定番のなんかセリフで、なんかお前の言うことはハエの羽音にしかすぎんみたいな言って、相手の言ったことをね、もうすごい口が悪い言い方で否定して、その後バーって言っていくっていう、まあそれが一つのお決まりみたいな感じで、なんか面白いやり取りっていうのがすごいたくさんあって、まあそのセリフ会話のこの書き合いとかもすごい面白かったですね。
この辺はもしかすると、実際のでも生活でそんな長い会話で書き合いするなんてなかなかないと思うので、映像化ではなかなか実現できないような、まあ小説にあるこういう面白さっていうのがすごいあると感じましたね。まあ一方で翻訳は本当大変だったんじゃないかなと思いました。
会話のところですね。ちょっと我々はちょっともう読んだ直後のこんな感想を抱いてるんですけれども、セリフさん赤村さんから、もしちょっと最初に推しポイントみたいなのがあったらいただければありがたいです。
赤村 はい、では翻訳を担当しました私の方から、できる限り短く押さえていきたいと思うんですけど、これちょっと止まらなくなりがちなので止めてくださいね。
やっぱりですね、この本は私がフィンランドに移住して2年目に上の子が生まれて全然寝ない子だったので、片手に抱えながらっていうのも後書には書いたんですけれど、その当時フィンランド語もまだ完璧ではなくて、
ただやっとフィンランド語の本を読み始めて、もう止まらずにずっとこの重たいドンキ文の原書でも900ページ近くあるものなんですけど、もう本当に止まらなくて、知識もほとんどなくて読んだものだったんですね。
赤村 なんで面白い、なんて面白い冒険ものなんだろうっていうふうに思って、後半に入っていくとまた違う面白さがどんどん出てきて、当時1回目はわからなかったんですけど、また2回目3回目、それから翻訳をやっている時に、こんなことをバルタリは書いてたんだとか、これってちょっとしたらこうも読めるかもしれないって言ったような別の解釈が出てきたりするので、
赤村 フィンランドでも独立100周年の時の国民投票でも1位になった小説でもあるんですね。これまでで一番心に残った作品は何かっていう投票でエジプト人シヌヘ原作が1位取ってるんですけれども、そういった点でも今年がちょうど作品が出てから80周年、第二次世界大戦が終わった年に3ヶ月ぐらいでミカバルタリがこれを一気に書き上げてるんですけど、
色褪せない作品なんだなっていうのはあると思います。そうした面白さを旧約、前回の日本語訳が飯島篤秀さんのものであったんですけれども、それもまた素晴らしいんですが、後で岡村さんもおっしゃってくださるかもしれないんですけど、だいぶ原作から重役に次ぐ重役を重ねてカットされた背景があるんですね。
それを全部余さず今回は全て略して、新たにこの作品をご存知ない日本の方々にどうしても紹介したいっていうですね、2人の二人三脚、2年余りに及ぶ旅をやることになったんですが、そうした意味でも、私が翻訳したからもちろん面白いと思ってる作品をやってるんですけど、
本当にさっき三枝さんや大地さんがおっしゃってくださったように、面白い作品でもあり、時代を経ても色褪せない普遍的なものが入っている冒険ものに加えて、なんて言うんでしょうね、フィクション、物語の面白さの要素が全部入った天狗森の作品だなというふうに思います。
恋愛あり、哲学あり、戦闘あり、あとは駆け引きあり、いろんなものが入ってますね、権力闘争もあり。
そうですね、今セルマさんおっしゃっていただいたところで言うと、強く補足したいのはこれ、私ほぼこの時代のエジプトって、なんかうっすらしか知らないんですけど、知識がほとんどないんですけど、でも読んでも全然面白かった。
それでその状態で読んでも、すごい理解できるというか、楽しめる作品でした。だからこれ、この辺の前提知識がなくても、もう本当にすごい読みやすい作品だなと、ちょっと改めて今の話を聞いて思いました。じゃあちょっと岡村さんにも、はい、いただいてもよろしいでしょうか。
作品との出会い
はい、私がこの作品に出会ったのは、フィンランドの文学で何か面白い作品ないかなって探していたときに、このエジプト人っていうものが、当時エジプト人ですね、っていうものがあるっていうのを知って、最初は英語で英語版をちょっと読んでみました。
で、その時、英語なので少しぼんやりした理解だったとは思うんですけど、ただこの物語の壮大さみたいなものはビシバシ伝わってきて、導入の部分もかっこよかったですし、終わり方もなんかすごい、私はすごい好きだったので、いつかこの作品紹介できたらいいなって思ったのが第一印象でした。
で、あとフィンランドでエジプトを舞台にした小説が、こんな壮大な小説があったんだっていう発見と驚きと、すごいワクワクしたのをすごく覚えています。
で、先ほどセルボー高子さんもおっしゃってくださったんですが、エンタメ要素あり、冒険要素あり、歴史要素あり、哲学的なこともあったり、最終的な人間の本質みたいなものに、ヴァルタリーが考えた人間の本質っていうものに迫ったり、
その普遍的なテーマっていうものが、この80年たった今でも、現代の人たちが読んでも共感できる部分だったり、伝えられるメッセージっていうものがすごく込められている作品だなと思ったので、ぜひ日本の読者の皆さんに届けたいなと思って、セルボーさんと出会ってからこの作品を紹介することになりました。
実際、これがちょっといろいろ入ってきますけれども、ちょうど今これ2月の初めぐらいなんですけど、ちょうど日本法約大賞の2025ですかね、の読者推薦があったりしたんですけども、入ってるのもちょっと拝見させてもらってまして、推薦文に入ってらっしゃるのも拝見しまして。
ありがとうございます。そのうちの1票は私です。いかがなものかと思いつつ。
では三河バルタリさんのご紹介をしたいと思います。1908年に生まれて1979年にお亡くなりになっています。ヘルシンキ出身ですね。フィンランドを代表する作家の一人で18歳でデビューしています。長編歴史小説をはじめ短編劇局エッセイ、旅行記や童話等多くの作品を残していたと。
本書、エジプト人シヌヘは古代エジプトや諸外国を舞台とした冒険愛権力戦争が描かれた壮大な物語で世界的なベストセラーとなりハリウッド映画化につながった代表作となっております。そんな作品ですがちょっと具体的に入っていきたいと思います。
じゃあまず水色ブックスさんのホームページからこの紹介文読ませていただきたいと思います。フィンランドを代表作家ミカバルタリが描く歴史長編小説。1945年に発刊されてからこれまでに41カ国で翻訳され世界的ベストセラーとなり唯一ハリウッド映画化された。今もフィンランドで愛され続ける本作が初のフィンランド語からノーカット版で出版。
舞台は今から約3400年前古代エジプト文明の映画を誇る新王国時代に生まれた主人公シヌヘの一大器。シリア、バビロン、ヒッタイト、クレタ島など様々な国で意思としての知識を得ながら思いもよらない運命に巻き込まれていく。この物語は歴史に隠された真実なのかもしれない。
まるでノーフィクションかと思うほど当時の時代が忠実に再現されファラオ、アクエンアテム、ホルエムヘブ、シンカンアイなど史実に基づく人物も生き生きと描かれる。下巻にはアノツタンカーメンも登場。エジプトや地中海の歴史はもちろん壮大な冒険、ロマンス、権力闘争など小説の醍醐味をここぞとばかりに味わえる渾身の一作となっております。
というのがこの水色ボックスの岡村さんが書かれた紹介文だと思うんですけれども、フィンランドでエジプト人シヌヘっていうのが自国のストーリーではない、自国が舞台ではない小説がこんだけ人気だっていうのは不思議で、そのあたりの背景とかもしお聞かせいただけると大変ありがたいです。
三河バルタリーってフィンランド人なのになんで古代エジプトを舞台として書いてるのっていうところも時々お尋ねいただくことがいわゆる越境小説の一つになるのかなと思いますけれども、バルタリー自身が子供の頃から本の無視、本当に本好きだったらしいんですね。
家の近所の図書館の蔵書は多分全部読んだっていうぐらいに、中高生ぐらいの時に言い切ってるぐらいで、当時面白いんですけど貸し出しできる本に制限があったらしくて、フィクション一冊とノンフィクション一冊を一回に借りられるんですって。
ということで物語も大好きだったんだけど、ノンフィクションも借りなきゃいけないということで、毎回いろんな分野の本を借りているうちに、こうした古代文明だとかギリシャだとかも含めてなんですけれども、そういうものにも詳しくなっちゃったっていうのが一つと。
あとツタンカーメンの作中ではアモンと書いてるんですけれども、その界隈の方にはそのように呼ばれてるらしいんですが、ツタンカーメン通称でいきます。ツタンカーメンのお墓が見つかったのが1922年だったんですね。
なのでちょうど2,3年前にお墓が発見されて、お墓が発見されて100周年っていう盛り上がりもあったんですけれど、その当時ハワードカーターとかポンカーナボン卿とかが一緒に、パトロンだった方と一緒に発見したっていうのが世界のセンセーションになって、当時まだメディアもそんなに発達していないところだったんですけど、
そのプレスリリースとかが新聞とかにデカデカと出て、フィンランドのメディアでもそれが発表された当時バルタリー少年が10代の多感な頃で、それをおそらくですね、出てくる情報すべてをもう舐めるようにして読んだような時期だったと思うんですね。
そうしたすごく面白いっていう子供の頃の興味とかが長じてそのまま残っていて、いつか古代エジプト舞台とした小説を書きたいっていうのをずっと温めてたっていうのがあるみたいです。
戦争がなかったらおそらくこのエジプト人という小説は全く違うものになっていて、シヌヘンも登場しなかったみたいなんですよ。当時はコロエンヘブっていう子の舞踏はですね、後でファラオになった人、それからツタンカーメン、それから深感愛が出てくるような小説を書きたいと思ってたのが、第二次世界大戦を経験して自分も少し縦言をしたり、
それから国の情報機関、作家とかこういうジャーナリストの才能がある人も全部集められてですね、例えばフィンランド頑張ってるよっていうこのプロパガンダ的な報道などもしないといけないといったようないろんな裏舞台とかを見て、戦争っていうものって何なんだろうとか人間って何なんだろうとかどうしてこんな殺し上げできるんだろうっていうようなところを経たものが戦後にシヌヘンっていう主人公の形をとって溢れ出した小説がエジプト人シヌヘンと言ってもいいんじゃないかなと思います。
残念ながらこの80年経ってまだ戦争ってなくなっていないわけで、ご存知のようにこの2月の22ですかね、ロシアのウクライナ侵攻が始まってすでに3年経っちゃうわけですけれども、全く世の中変わっていなくて人間は相変わらず愚かなことをしていてっていうところが残念ながら普遍性を持ってしまってるっていうところはありますね。
確かになるほど、この本を読みながらこの人間が権力と、その権力闘争もアメリカ大統領選も彷彿したというものも感じながら読んでたんですけれども、宗教というか信仰が違うだけで結構対立するっていう。
なるほど、やっぱりこの当時のフィンランドの人とやっぱりそこから変わらず今も普遍的に受け入れられてるっていうのがやっぱりフィンランドの出版業界というか、本の世界の中では根強くいまだに人気があるっていうことですよね。
そうですね、今ベストセラーかというともちろんそれが違うんですけれども、往年の名作として意識されているという感じじゃないかなと思いまして、あと本屋さんによって言うことが違ってて面白いんですけど、私が住んでる町は本屋さん1軒しかなくて、
その書店に人口8万人のフィンランド流と真ん中ぐらいの中都市なんですけど、だんだんやっぱり書店が減っているというのはこちらもありまして、そこの本屋さんは前店の一つなんですね。そこで聞くとシヌヘって売れてるのって聞いてみたら時々出るかななんですけど、
隣町のユニスコ世界遺産の町ラウマっていうところがあるんですけど、そこにとっても素敵な独立系書店があって、40年経つ親子でやってらっしゃるお店で進列の仕方とかもすごく素敵なんですけど、そこで聞いてみると定期的に出るよっていう感じになってくれるので、客層とかでまた違ってくるんだなっていうのはすごく面白いなと思ったところです。
面白い。
あとは私も会員ではあるんですけど、ミカバルタリーソサエティというこの作家の名前を冠した作品が好きな教会というかクラブみたいなのがあるんですけど、そこでもミカバルタリーの誕生日の9月17日にですね、シヌヘの80周年のイベントをされるそうで、高子も来なよって言ってもらって、のごのごと出ていく予定でいます。
その他の過去の40、ウクライナ語を入れると今年で42カ国語に翻訳されるということになるんですけど、この間の12月にですね、このシヌヘ80周年記念の冊子も全国誌からも出たりしていて、ミカバルタリーが時代を越えてなお愛され続ける理由だとか、実際はどんな人だったのかっていうのを表伝なども含めた深掘りをされたりですとか、
新たにミカバルタリーがですね、恋大きい人というか作品を書くたびに好きな女の人ができちゃうタイプの人だったみたいなんですけど、ちょっとイメージ下げないでいいんですが、まあまあ人間ということで、そういうところもあって、シヌヘは書いているときに憧れてた女性との初間のやり取りがですね、今年1月1日から公開されることになり、その上に作家協会のアーカイブをジャーナリストが見に行って、彼らのやり取りをじっくり読み込んで、
結構な発見があったみたいなことが記事になったりとかしてましたね。去年の1月1日か、だから去年12月にその冊子が出てます。
いやー、なかなか公開されたくないものを。
ねー、お手紙のやり取りに残ってしまうっていう恐ろしい。今だとデジタルアーカイブというか、そういう形に残りますけどね。
なるほど、研究対象になっちゃうわけですね。
なっちゃいますね。あの恥ずかしい一文がみたいな。
作品の特徴
じゃあちょっとここから三河バルタリーのお話も番外編でいくつかできたらなと思ってますが、ここからですね、具体的に作品の紹介入っていきたいなと思います。
作品の特徴ですね、3点言っていきたいと思いまして、まず一つがもう先ほどから言っているこの大河小説のところですね、このシヌヘの波乱万丈の人生一大記が描かれているという点で、
シヌヘの子供時代から晩年までが回想形式で綴られていて、エジプトに留まらず各国を旅して様々な世界を目にしていくと。
その中で恋愛もあり、戦争もあり、宗教改革もあり、陰謀もありというので、上下合わせて上下間合わせて15章で1000ページというですね、すごい大長編になっています。
そんなシヌヘの激動の人生がすごく濃く描かれているかなと思います。上巻はもうシヌヘの冒険が特徴的かなと思うんですけど、下巻になっていくとだんだんシヌヘの内政的な点も描かれるようになってきて、
この辺りの色分けというかですね、この上巻と下巻との違いというところもかなり特徴的かなと思います。
次がですね、この登場人物たちのユニークな語りですね。これも本当出てくる人物、みんながすごいよく喋る人たちで、喋りだしたら止まらないようなタイプの人ばっかりなんですけども、
それぞれユーモアがあって、口が悪い時もあったりするんですけども、すごく人物たちが生き生きと話していて、その語りですね、会話を読んでいるだけでも面白いというので、
すごいストーリーの面白さと、ストーリー以外の部分のセリフであったり、字の文の面白さというところ、そこにすごく作家のユーモアというか、そこがかなり入っているかなと思うんですけども。
なんで、この2つこの面白い点が本当あるなぁと思っています。最後がですね、古代エジプトという点ですね。そこの当時の宗教、最初はアメンシン、途中でアテンシンと信仰があったりして、当時の姿勢感ですね。
死んだ後をすごく大事にするというか、死んで終わりじゃなくて、その後がすごく重要視されているような姿勢感もあって、当時の風習であったり生活であったり、周辺の国との争いもあったりというので、この辺りは古代エジプトの知識がなくても読んでいけるというところですので、ただ古代エジプトのこともすごく知れるような、そういった話かなと思っています。
そうですね。ここで、今三枝さんが言ってくれてたところで、いろいろちょっとお話したいところもあるんですが、まず基本、私ね、やっぱり上巻の魅力を一番感じているのは、死ぬへんの成長というか、この幼い時から描かれるんですけど、ストーリーでも話すと思うんですけど、彼がどういう状況で親の下について育てられていって、意思を目指していったかみたいなところが。
あと、なぜ冒険に出なきゃいけなくなってしまったのかとか、そういうあたりが描かれるんですけど、個人的にはここの死ぬへんの成長というか、人間が成熟していくグラデーションみたいなのがすごく描かれていて、結構嫌な思いもすごくするし、自分ではコントロールできない感情みたいなのにも苛まれるし、でもそれを割となだらかに描いてくれている気がして。
最終的には下官とかでは内政というか、哲学的な問いとか、自分のことを考えたりとかもするんですけど、その合間にも彼はいろんな決断とか行動をとるんですけど、その時にいきなりすごい白深い人間になったとか、頭が良くなったっていうわけじゃなくて、ちゃんといろいろ積み重ねてきたものが生きていくなっていうのを見せているのが上官だなと思っていて、
そこがすごくナチュラルに入ってくる、すごく自然に入ってくる物語だったなってちょっと思っています。ここは割とこのボリュームを割かないとできないことだなと思ったので、これ結構味わうだけでもだいぶこの死ぬへんを読む価値があるかなとは思いました。
登場人物の紹介
大地さんも補足してくださった通り、私も本当に最初に読んだときはツタンカーメンがこの古代エジプトの5000年にわたるどのあたりかなって全く知らずに読んでいたので、それでも本当に面白く読めてしまって、読みながらミエラの作り方ってこうなんだとかですね、あと当時の初期学校、子どもたちが出世するためには貧乏でも勉強ができればその初期っていう職業を通じて、
その梯子を登っていくことができるっていうことだったりとか、いろんな部分がですね、その当時の風物などを通じて書かれていて、アスペンだったりパピルスだったり、それから古代エジプトの神様たちの名前がいろいろなところに散りばめられていて、その初期学校の先生がですね、
アメミットっていうワニの顔をして魂を食べちゃうみたいな話をするとかも出てきてですね、そういったところもいちいち面白かったですね、ディテールも。
ミカワルタリーがすごく、史実に忠実に細かいところまで書いているんですけど、でも決してその背景知識がないとわからないような書き方ではなくて、読んでいくと自然にそれも知ることができるような形で描かれていて、
さらにシヌヘっていう主人公、登場人物の人間的な部分というか、人間臭かったり、また弱さだったり、悩んだり、でもそれはシヌヘだけではなくて、周りの人間たちも同じように悩んだりっていうところを描いているところが、
いろんな読み方ができるし、自分一人が読むだけでも、いろんなその時の感情というか、その時のタイミングでいろんな読み方ができる作品だなと思っています。
これあれですよね。でも10代の時に読むのと、30代の時で読むのと全然感じ方違うでしょうね。
それおっしゃいますね。フィンランド人でも何回も読んだっていう人も、10代の時気づかなかった大人になってからのあれこれっていうのを、30代40代とかそれぞれの年代で感じるものがあるっていうふうに言われるので、できればもし1回読んでくださった方も、また間を置いて読み直していただく。何回読んでも美味しい小説だと私たちは信じています。
確かに。
こんだけボリュームあると、そもそも気づけないところ多いと思うんで。確かにそうですね。
作ってる過程でも、たぶん私たち20回以上は軽く読んでると思うんですけど、でも数えてないんで回数はわかんないですけど、それでも去年私12月にもう1回読んだんですけど、新しい発見だったり、こういう読み方もできるのかなっていうのがあったので、本当にあの繰り返し一生大事にできるような物語だなと思っています。
なるほど。じゃあちょっと話を、紹介を先に進めていきたいんですけれども、ちょっとここでこの上巻の主な登場人物についてですね、ちょっとお話ししたいと思います。
上巻で主に出てくる人物ですけど、まず主人公、死ぬ兵ですね。これはお医者さんになるんですけども、お医者さんだけではなくて、ゆくゆく外交官のような役割も担うようになっていくというので、お医者さんではあるんですけども、本当にいろいろな国と国との政治的なところにも入っていったりもする人物になっていきますし、
あと、エジプトに最初はいるんですけども、途中で旅に出て、周辺の国を旅して、またエジプトに戻ってくるという、そういった旅人的な一面もあって、貧乏になればすごい大富豪になる時もあるというような、すごい波乱万丈な主人公になっています。
すごく周りにも人がいて、その関係性とかいろいろあるんですけども、すごい孤独な人というのが特徴的に述べられていて、この孤独というのもですね、だんだん呼んでいくと分かってくるようになるという、そんな死ぬ兵ですね。
次にカプターという、これ死ぬ兵の奴隷なんですけども、だんだん奴隷という立場ではなくなってくるような人物ですごく面白い人で、口がパッシャで、呼んでいると本当にこのカプターと死ぬ兵の掻き合いですごい笑わされることがいっぱいありますし、結構いじられキャラであるんですけども、すごい頭が良くて、結構途中からこのカプターがいれば何とかなるというような、
もういざという時のカプター頼みというですね、なんかそんなもうだんだん大活躍しまくってくるような人物ですね、すごい愛すべきキャラかなと思ってます。
カプターはちょっと補足っていうか言いたいことがあるんですけど、なんか私最初すげえ嫌な奴だなと思ってました、カプター。でも本当どんどん話が進むにつれて、なんていうか愛せざるを得ないというか、もう本当にすごい良いキャラクターだったなって思いますね。
そうですね、なんかそんなに頭良かったのかって。あとでわかってくるようなキャラかなと思いますね。
抜け目がなさすぎるっていう。
そうですね。あとはですね、これは歴史上の人物でホルエムヘブとシンカンアイですね、実際歴史にも出てきて後にファラオにもなる2人なんですけども、もっとファラオになるずっと手前のところで作中では出てきていて、
特にホルエムヘブはシヌヘの友人として描かれています。最初兵士になるんですけども、1回の兵士になる時に出会って友人になって、だんだん軍の中で出世をしていくんですけども、国の中で。
シヌヘがいろんな国を旅するきっかけを与えたのもホルエムヘブになっています。上官より下官の方がすごい活躍していくキャラですね。
シンカンアイも同じくて、上官にも出てくるんですけど下官でやっぱり出番が多い人物になって。あとですね、シヌヘには上下官合わせて主に女性キャラというんですかね、シヌヘとの関係のあるが3名いまして、そのうちの1人が名前がなかなか珍しいんですけど、ネフェルネフェルネフェルというですね。
ネフェルというのは美しいという意味ですかね。すごい上流階級の魔性の美女ですごい美しい人なんですけど、シヌヘを惑わしてちょっと悪いことをするんですよね。それでシヌヘを追放、エジプトから追放するそのきっかけみたいになってしまったようなんですね。出会ってしまうと痛い目に遭うというようなそんな女性です。
もう一人がミニアというですね、これはクレタ島の巫女さんで、このミニアという人も美しい女性であるんですけども、シヌヘが世界を旅していくときに後にカプターとミニアと3人で一緒に旅をするような旅の仲間にもなるという人物ですね。
もっとたくさん登場人物いっぱいいるんですけど、ちょっとここでは主にこれだけ説明したいなと思います。ではここからですね、上巻のストーリーを紹介したいと思います。ネタバレはなしで話しますので、シヌヘを読んだことがない方、これから読もうかなという方でも聞いていただいても問題ないかなと思います。
シヌへの物語の始まり
まずシヌヘは晩年のシヌヘの階層から始まるんですけども、舞台は今から、今の現在の3400年前ですね。アメンヘテプ3世の時代というエズプトン新王国という時代の中で、この赤ん坊のシヌヘというのが足舟に乗って、船に乗ってナイル川を流れてきたのを拾われてというですね、ちょっと桃太郎を思わせるようなですね。
なんでシヌヘはそうやって、ちょっと捨てられた子供であったんですね。それをたまたま拾われて、お医者さんをしているお父さんと、お母様の血に父母になる人に育てられると。
シヌヘはその神官を志すようにお父さんから教育されて、最初はシヌヘもちょっと兵士に憧れたりとかっていうのもあったんですけども、お父さんから結構そういう押し付けられてというのと、あとは文字の読み書きですね。
興味を持って、だんだんそっちにものめり込んでいって、すごく勉強もできるというところで、神官の道を志していきます。で、この当社のお父さんがお医者さんをしているというのもあって、かつての道僧の王立摂解院医師というですね、これはこの頭蓋骨を切る、そういった治療というのが当時ありまして、
それの王立ということで、王に仕えている医師のプタホルという人ですね、この人を家に呼んで接待して、そのプタホルの推薦でシヌヘが生命の家に入学することになります。
この生命の家というのが神官養成所、神官になる人たちが通う学校みたいなもので、そこでは阿弁神への信仰が試されていくんですけれども、当時はその阿弁神という神様をみんな信仰していて、特に神官になる人たちなのでより強い信仰というのが求められていくと。
シヌヘがそこに通って、ある時、儀式に参加していた時に、絶世の美女の、先ほど紹介したネフェルネフェルネフェルディであって、一目惚れするという、そんな一幕もあったりします。この出会いが後に悲劇を生んでしまうんですけれども、その生命の家でシヌヘが医学を教わっていくんですけれども、当時その書物に書かれていること、
その書物に書かれていることというのは、やはり神聖なことであって、それが正しいという、そういった教えがあって、あんまり今から見ると科学的ではないところがあると思うんですね。書物に182という数字が書かれていたら、182回すればいいんだと。なんでそれが182回治療で試さないといけないのかとか、科学的根拠はなくて。
シヌヘがそういったところが気になる。頭がいい人なので、なぜなぜというのを指導者の人に聞いていくんですけど、それが失敗の原因で疎まれてしまって、いつまで経ってもシヌヘはその学校の中で下の位だったと。
下級生にも追い抜かされるような立場になって、正面の家を出ていくことになると、シヌヘが。そこからですね、ちょっと友達とも再会したりして、かつてのちょっと堕落した日々を送るようになってしまうんですけども、あるときですね、プタホルですね。
この頭蓋切開の医師のプタホルと再会して、ちょっと付き人をやってほしいというので、ちょっと一緒にその手術とか立ち会うようになっていくんですけども、そしたらまたあるときですね、ちょっとファラオの手術をしに行くと言われます。
ファラオの手術に立ち会うんですけども、それがどういうことかというと、この手術を当時なんで頭蓋骨に切ったりすれば、もうそこから生存する可能性ってかなり低くてですね、それをやることはつまりもう死を覚悟するような意味合いもあって、このプタホルがファラオの頭蓋切開の手術をして、シヌヘがそれの助手を務めるんですけども、
その後ファラオが亡くなって、ちょっと国が変わろうとしていきます。で、この時当時の王子様、後名めヘテプヨンセ、その後さらに名前が変わってアクエンアテンというファラオになるんですけども、その王子と出会ったり、あとホルエヘムヘブとかシンカンアイとかともこの当時出会ったりしています。
で、ファラオが亡くなるんですけども、その手術をした人間というのは、やっぱり殺されてしまうというのが当時の流れであったみたいで、というのは名目上で、ちょっとここにはいられないですよというので、プタホルとシヌヘはちょっと死んだ人という扱いで、そこからはですね、ある意味ちょっと自由の身になります。
で、シヌヘは町外れに開業することにして、お医者さんとして生活をしていくんですけども、この時に奴隷のカプタと迎え入れるようになって、だんだんとその医者としての仕事も軌道に乗っていくんですけども、ここでまたですね、シヌヘが先ほどの魔性の美女をネフェルネフェルネフェルに再会すると、彼女は夢中になって、
会うと会う度にお見つぎ物を要求されて、次第に自分の財産がなくなってしまうし、両親の家も差し出すようなですね、自分だけじゃなくて両親のものまで差し出してしまうですね。
シヌへの冒険の始まり
ちょっとそこまでしてしまって、シヌヘは一文無しになった上にさらに両親もですね、その後すぐ亡くなってしまうんで、両親まで失ってしまうとですね、すごいちょっと刺激が起きてしまいます。
シヌヘはですね、それでやっとネフェルネフェルネフェルから全て失った後、離れて落ちぶれてですね、死者の家というですね、死体処理現場でちょっと働いて両親の遺体をそこで供養して、当時の風習で死んだ後の遺体のミーラーにする処置というんですかね。
そういうのがすごく大切にされていて、当時お金もなかったのでシヌヘは一文無しになっていたんで、その死者の家で働いて、ある期間働いて両親の遺体を供養することができて、その後カプタとともにですね、もうちょっとエジプトを離れてシュミルナというですね、土地に向かいます。
シュミルナという土地に行くとですね、カプタの知恵の助けもあったりして、医師をしながらも投資とかもして富を築いていったり、あとですね、お医者さんとしての評判が高まるとアムルの王様アジルというですね人がいて、その人とも長い付き合いになる友人になったりですね。
また戦争で遠征中のホルエムヘブと再会して、そのホルエムヘブからお金渡すから、ミタンニ王国とかバビロンとか海の島々とかですね、訪ねて医師としての評判を高めて上流階級の人間の懐に入ったりして、そうやってちょっと情報とかですね、見たり仕入れたりして自分に教えてほしいというですね。
というので、シネヘはもう旅に出てこいというふうに言われます。というのでここからシネヘの冒険が始まるというですね、これでもまだ上巻のちょっと半分ぐらいですかね。
これが200ページぐらいじゃない? 200ページぐらいか。
4章5章ぐらいですかね。
そうですよね。230ぐらいですかね。
ちょっと長い話してしまったんですけど、まだまだ上巻は続いていきます。そこでからシネヘがバビロンに行ったら偽王の日というですね、そんなすごい面白い1日を過ごしたり、あとミニアという女性も加わってカプタと3人で旅をしてクレザ島に行ったりするというですね、そんないろんな冒険が待っているという、そんな上巻ですね。
結構ね、今みなさんは結構この上巻の前半部分を集めにとは言いながら結構駆け足だったんですけど、お話ししていただきましたけれども、本当にいろんなことが詰まっているので、この本当バビロンの偽王の日もめちゃめちゃ面白かったですし、ミニアとの出会いね、そしてミニアと一緒にこう旅をする道中、またミニアの故郷のクレザ島に行った時の話とかもなかなか私は印象に残っておりますが、
結構この上巻の前半はもうチヌヘはナスがママになり、育ったテイベオからいられなくなるっていうね、なかなかしんどい運命を背負って旅に出るという。
そうですよね。 ビジョンに翻弄された影子の生き恥の後にテイベオを去るという。
なかなかしんどい。 でも本当ここでホルエムヘブとかと運命的な出会いをしているので、ここも面白いですよね。
面白いですね。
上下官投資なんですけど、やっぱりこの登場人物がかなり魅力的というか癖が多い人が多くて、ずっとチヌヘをね、これチヌヘが本当に奴隷として雇うというか買うんですけど、
カプタっていうこれ、片目がもう既にない状態の時に出会って雇うんですけど、彼がそんなに能力を期待して雇ったわけじゃないのに、めちゃくちゃ能力を発揮しだすっていうカプタがですね、結構最初は堂々とご主人様の懐からくすねておりましてみたいなこととか言い出して、
隠さずにこいつお金使ってること言うんだみたいな、明らかんとした感じに対してちょっとムッとするところもあったんですけど、それがどんどん癖になっていって、最終的にはそのくすれた金もね、ずっとこれ自分が言ってるだけだな、ご主人様のためにやってるって言ってるだけだなと思ったら、本当にチヌヘのためにやっていたっていうのがどんどんわかっていくっていう、
なかなかちょっと感動するというか、本当にいいやつだなっていう風になっていく、カプタが個人的にはめちゃめちゃ好きでしたね 僕はチヌヘはすごい純粋な子供だったなと思っていて、生命の家に入ったり、ネフェルネフェルネフェルとの恋愛とかでも、でもやっぱりそこでうまくいかなくて、エジプトを出ないといけなくなって、
そのあたりから、そこでカプタとシミルナニーって出会うんですけども、カプタと出会った頃から純粋さっていうのがだんだん、純粋ではあるけども成熟した人間にもなっていったんじゃないかなってちょっと思いましたね。
もしかするとカプタとのやりとりというか、カプタの影響もあって、チヌヘは成長もしていったのかもとかですね。ちょっとそんなのを読んでて感じましたね。
確かに、あれだけ属性の欲にまみれたというか、それを隠しもしないカプタという元奴隷で、後詳細を発揮するんですけれども、あの人と一緒にいて、純粋でいられないかもしれないですよね。そこであの鎮動中をずっと二人で切り抜けていて、本当に美味しいキャラですよね。
そうですね。バビロン王での二世王の日のカプタ話は結構、カプタ自身ね、だいぶギリギリのところで逃げてきて、あれだったんですけど、このハラハラもするし。
まあでもすごい笑える。
笑えるところでもあるし。
エピソードですかね。
物語の深み
すごくなんかエンタメショックがここは強かったなと思いながら。
そうですね。カプタがお金儲けも大好きなので、ご主人様からできるときに程よくくすねつつ、そのためたお金を後々増やしていくんですけれども、お金も好きなだけじゃなく女好きでも一応もあるので、できるときに女好きを発揮しようとするけれども、なかなかうまくいかないというその部分がディ王というかその二世王の部分でもあって、
その旧約があるというふうにさっき申し上げたんですけど、そのカットされている部分が多分分量的に200ページちょっとぐらいかなと思います。皆さんと前簡単に計算したことあるんですけど、エピソード丸々落ちてたり、1章のこのページが落ちてたり、10行ある文章が7行になってたり、本当にあちこちでカットされてて、このですね、バビロンの偽王の日のカプタが審判をするくだりがあるんですよね。
大工さんが悪いとか、こんなことをするのはお前が悪いせいだ夢中天みたいなところとかがあるんですけど、これは旧約には全く載ってない落とされたエピソードだったりします。こんな面白いの落とすなと思ったらちょっとショックだったんですけど。
でもあなたたちとかすごいカプタの頭の良さが出てるところだなって思いましたね。
ズルがすごいというか頭が良いというか、言い方次第ですけれども。
確かに。
この小説のそのユーモアの部分を大部分がカプタが担っているような気がしていて、下巻でも発揮されるんです。一番発揮されるんですけど。
カプタって人生経験はシヌヘよりもやっぱり上なので、先ほどおっしゃっていたシヌヘがカプタに影響されて成熟していくっていうところは確かにあるんだなっていうのは、今聞いててちょっと新しい発見だったので、すごい嬉しかったです。
あと僕読んでて気になったのが、すごくワインが出てくるじゃないですか。作中で。当時ってそんなにみんなワインを飲んでいたのかなっていうのが、すごいことあるごとにみんなもワインを飲んでいて。
ビールとワイン両方出てくるんですけど、やっぱり平民とかはビールが多くて、ワインはある程度の身分がある人たちが飲む、または手に入る飲み物であったと思うので。
ワリナさんとご相談して、麦酒と葡萄酒って書くかどうかってお尋ねの仕事あると思うんですけど、結果的にはビールとワインに落ち着いています。古臭くなりすぎるかなとかいろいろあったり。
この辺も翻訳で本当に何十回何百回といろんな言葉一つ一つ一つご相談して、さっきのカプタのクスネルも相談しましたよね。
というものの一つだったので、これも思い出深いんですけど、ワインも本当によく出てきますね。これで昔から酔っ払って飲んだくれて物事を忘れたりっていうのにも使われたものだったんだなとかあります。
そうですよね。朝ビール飲むのが結構衝撃的でしたね。朝寝起きでビールこの人と思ったみたいな。
それは一つ、おそらくヨーロッパの中世でもそうだったんですけど、綺麗な水が手に入らない。生水飲んじゃうとお腹壊すので発酵させてバクティーを殺してある、そんなにアルコール度高くないビールの方が安全というか。
なるほど。
あと、パンとかですかね、パンとビールが荷運びを、荷役人とかをしている人たちの報酬だったりとかもあるかもしれないですね。
なるほど。ちょっとそうですよね。言われてみればその通りですよね、確かに。
すごいワインは高級ワインとか山間部で作ったワインとか、いろんなワインが出てきてちょっと気にはなった。多分大衆が飲むワインと貴族が飲むワインも違うんだろうなとか思いながら。
違うんでしょうね。
思いながら。
昔の兵士の英雄のお話を聞くときに、周辺の養父のお父さんがワインを買ってこさせて話を持って引き出すみたいなのがありましたけど。
そうですね。
酸っぱいのでいいぞっていうのを使いっぱしりの男の子に、その方が安くてたくさん飲めるからって。
あー。
飲米さんはとにかく飲めればいいっていうのがよく出てましたね、そこで。
確かに。
インテブの下りに。
そうですそうです。
ありましたね。
はい。
当時からもやっぱワインっていうのはすごいあったんだなっていうのも感じますね。
じゃあちょっと上巻はこの辺りにして下巻に続けていきたいと思いますので、来週下巻の話をしますが。
じゃあ最後ちょっと次回ごく前にですね、岡村さんの方からちょっと告知していただければなと思いますのでよろしくお願いします。
岡村 水色ブックスの方でSNSをいくつかやっているので、よかったらフォローお願いします。
岡村 XQ Twitterと、あとインスタ、こちらでは密かに空飛び猫たち100冊マラソンを。
ありがとうございます。
すごい企画ですよね。
岡村 少しずつ投稿してます。ちょっとまだ10冊ぐらい投稿できないんですが。
すごいです。
岡村 はい。ちょっと何読んでるのかなっていうのが気になる方いらっしゃいましたらぜひインスタを。
あとこれまでの歩みはブルースカイで少しずつマイペースに投稿してます。
あともしエジプト人シヌヘ、背景知識はなくても読めるんですが、ちょっと時代背景とか軽く知りたいなっていう方がいらっしゃいましたらノートを始めたので見てみてください。
あともう一つ、もいさんというフィンランド情報のサイトをまとめている方たちがいらっしゃいまして、そちらのほうでエジプト人シヌヘ制作中にヨーロッパ文芸フェスに高子さん登壇した際のブログですとか、あとはシヌヘの感想も書いてくださっていますので、よかったらブログのほうご覧いただければ幸いです。よろしくお願いします。
おだしょー ありがとうございます。概要欄の方にURLと記載しますので、ぜひ皆様チェックしていただけるとありがたいです。じゃあ時間を隠して終わりたいと思います。次回はですね、もちろんエジプト人シヌヘ下巻をお話ししていきたいと思います。引き続きお二人に、セルボーさん岡村さんにご出演していただきます。
おだしょー 番組の最後になりますが、メルマ会員募集しております。こちら無料版、有料版でございます。無料版は海外文学ニュースと毎回長すぎてカットした部分をお届けしています。こちら無料なのでよろしければぜひご登録ください。有料版はサポーター特典という形になってまして、我々の日記のような編集工具を毎週毎週お届けしております。どちらも毎週土曜日に配信しております。詳しいことは番組概要欄に記載しておりますのでそちらご確認ください。
番組の感想やリクエスト、またこの番組を聞いて紹介された本を読みました。読み返しがございましたら、ハッシュタグそよとび猫たちをつけて教えていただけると大変うれしいです。Xやインスタの投稿などでお待ちしております。ホテルフォームも番組情報欄に載せておりますのでそちらからいただけると大変うれしいです。この番組、気にいただけましたら積極的に拡散共有していただけると助かります。ではまた来週。
ありがとうございました。ありがとうございました。ありがとうございました。
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