文学に興味がなかった父に、おすすめの本を教えることになった娘は、 自身もそのリーディング・リストに沿って、人生を見つめ直し、変わろうとしていく。
13冊の本に彩られた文学ブックガイドのような、著者自身の体験を綴るオートフィクション、 レスリー・シモタカハラのリーディング・リストを紹介します。
どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人が緩くトークするポッドキャストです。
パーソナリティは私、ダイチとミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、レスリー・シモタカハラのリーディング・リストです。加藤陽子さん役で、北カラス山編集室から2024年に出版された本です。
今回紹介するリーディング・リストなんですけれども、どれくらい前だったかな?翻訳者の越前俊也さんがやっているyoutubeチャンネルで、オリンピアとストーナーか、オリンピアとストーナーを比較する企画に出させてもらったときに、同じくですね、出演されていた北カラス山編集室、この半元ですね、半元の樋口さんからですね、軽く紹介というか触れていただいて、それを聞いたときにめちゃめちゃ面白そうだなと思ったのを覚えています。
それでちょっとやろうかなって話に、ちょっと三枝さんとなっていったという経緯がありますね。
そうですよね。だからストーナーが大学教授の文学部の教授の話なんですけども、同じくリーディング・リストも大学の文学部教授の話で、結構この2つは重なるところもあるからっていうので聞いていて、本当これはちょっと読まないといけないなって思った作品でしたね。
実際に今回読んでみてめちゃめちゃ面白かったんですけど、まずこのタイトルのリーディング・リストという名前通りですね、10作品の作品が紹介されるというか、13章で構成されていて、それぞれ1章ごとにですね、ある1冊の文学作品がキーになったりというか、タイトルになっていて、紹介されていく本になっています。
これはもう文学好きには間違いなくハマる1冊なんじゃないかなと思っているので、本編の中でこの本の中でいろんな話があって、自分の人生を小説の登場人物に重ね合わせるのはどうなんだみたいな話とかも実はあったりするんですけど、でも結構多くの人がですね、小説が好きな人だったら自分の人生と読んでいる小説の登場人物を重ね合わせてしまうってことはやったことある人多いんじゃないかなと思うので、そういう経験がある人には絶対刺さる1冊だなと思っています。
おだしょー わかりますね。僕はこのオビーのキャッチコピーに自伝小説×文学ブックガイドと書かれていてですね、それって小説なのかブックガイドなのかどっちなのかって最初よくイメージがつかめなかったんですけども、やっぱり読んでみるとちゃんとした小説、自伝小説だったなと思いましたね。
本当にちゃんとストーリーがあって、その要所要所で13章の中で1つ本が紹介されていくっていうような、すごくブックガイドの要素もあるし、それ以上に小説としての要素がしっかりしていたっていうのがまず読んでいるとちょっと驚き、自分の中にあったんですけども。
で、この人生に重ねられるような、そんな本の紹介がされているんですけども、それがすごい上手くてですね、本当にその1章に1つ本が出てくるんですけども、読みたくなるようなこの辺の紹介の仕方っていうんですかね、この小説の中での本の出し方、それがすごい良くて、本当にブックガイドとしてもこれはすごいなとやっぱり思いましたし、
さらに家族の歴史ですね、著者のレスリー・シモタカハラさんが日系カナダ人なんですけども、そのルーツは日本にあってということで、このおばあちゃんとか、さらにその先の非おじいちゃんとか、遡っていってのこの家族の歴史も描かれていってというすごく大きな物語もあってですね、すごく充実感がありましたね、読んで。
そうなんですよね、なんかその充実感という意味では、すごい本当13冊の本がちゃんと出てくるので、かなり充実した内容だなと思ったのと、確かにこれ自伝小説とブックガイドってなんだってなると思うんですよね。
われわれ今まで結構この自伝小説、オートフィクションと呼ばれるジャンルを結構紹介してきているんですけれども、なんか今まで読んだオートフィクションともちょっと違うような、なんというか、作りをしていて。
ちょっと近いなと思ったのは16の言葉かな、イラン系の方のエブラーヒミさんかな、16の言葉、以前紹介しましたけども、ちょっと確かにあれもオートフィクションだったと思うし、ある言葉たちに寄せて物語が進行したりイメージが作られていくので、それにもちょっと近いかなと思いましたが、
これはもう具体的な文学作品なので、もう多分読んだこともある作品が出てきて、それに合わせてちょっと主人公の人生が進んでいくというか話が進んでいくので、まあね確かにこのオートフィクションかける文学ガイド、ブックガイドっていうのはキャッチコピーは全く間違いではないんですけれども、イメージは確かにちょっと持ちづらいですよね最初ね、これなんだろうみたいな。
本当に読むと、なるほどこういうことだったのかすごく分かりましたね。
じゃあちょっと早速ですが、著者紹介してから作品紹介入っていきたいと思います。著者のレスリー下高原さんなんですけれども、この方は日経カナダ人4世になります。カナダで活躍した医師の方がいて、日経の方で、それが下高原光蔵さんって方がいらっしゃるんですけど、その方の子孫になりますね。
彼女自身は、今回の作品リーディングリストの主人公の名前と一緒なんですけれども、2000年ですね、マギル大学文学部を卒業、その後ブラウン大学の修士課程に進み、2006年現代アメリカ文学で博士号を取得と。
パスコシア州のセイ・フランシスコ・ザビエル大学で2008年まで教鞭を取る。2009年ディアスボラ・ダイアローグス・エマージングライターズの一人に選ばれ、短編小説がアンサロジー・TOK・ライティング・ザ・ニュートロント及びメイプル・ツリー・ライトラリー・サプリメントに収録されると。
本書は、著者初の単行本で、2012年にカナダ日本文学賞を受賞。3冊の長編が今書いているということみたいです。2024年にも発表しているそうなので、今一線にいらっしゃる方かなというところですね。という方が書いた、初の長編小説でございますね。
ちょっと具体的に入っていきたいと思います。
本書は13章から成り立っており、各章のタイトルがすべてリストの作品名、つまり英米課の文学作品の名前になっている。
例えば、ソロ、森の生活、ウォートム、快楽の家、ジョイス、ダブリナーズ、ウルフ、ダロウェイ夫人、ナポコフ、ロリータ、ハメット、マルタの鷹など。
この13作品は全て翻訳が出ていて、日本語で読むことができるとなっております。
ざっくり冒頭でも話した通りなんですが、13冊の小説が各章のタイトルになっていて、それに合わせてその読むべきリストという形で展開していって、
そのあいまにですね、あいまにというか、それを絡めながらレスリー下高原さんの家族のことが、祖先のことが描かれたり、
あと彼女が今直面している人生ですね。転職も恋愛も失敗ってあるんですけど、精神的にもひどく追い詰められとあったんですけど、
実際、結局かなりですね、状況としては思わしくなくて、かんばしくなくて、本当に今人生の起路に立たされているような時間の中にいる彼女という感じですね。
そのあたりのこともこの13冊の本も絡めながら描かれていくという形になっています。
あとちなみにこの本でちょっと面白いところが、単行本なんですけども解説が入っていて、書評家の倉本沙織さんが結構長めの解説を本の最後に寄せていて、
個人的にはこういった後書きとか解説とかは作品読み終わった後に読む方が楽しめるかもしれないし、
一方でちょっと作品読むのに行き詰まった時とか読むとちょっと助けになるような解説にもなっているかなと思うので、
こういうのが入っているのも文庫とかだとよくありますけど、単行本で入っているのは翻訳の小説でちょっと珍しくてちょっと面白いなと思いましたね。
確かにそうですね。これ読んだけどめちゃくちゃ分かりやすいというか。
そうですね。結構作品の背景みたいなこととかもこういうことかって分かっておりますし、
あとは本の想定、この北から西まで出版、編集室から出ているこの翻訳小説が第2弾で、第1弾がオリンピアだったんですけども、
そうですね。
すごく綺麗な想定で持っているだけでちょっとこれは自慢になるような本にもなっているなと思いまして、
あと本の大きさがちょっと縦長で、通常の本よりも縦長で、中開くとちょっと文字の下に余白があって、
片手で結構読みやすい、そんな作りになっていて、まさに移動している時とかですね、
ちょっとなんかのんびり読書をする時とか、すごく読みやすい作りになっていて、
この本そのものっていうんですかね、その作り方もすごく面白くて、
前のオリンピアの時もこれはいいなと思ったんですが、今回のもやっぱり実際読んでみるとすごく見栄えもいいし、読みやすいしっていうので、
持っておいてすごくいい本だなって思いますね。
そうですね、確かに。これは本棚に収めると、オリンピアとリーディングリスト系、他の単行本から結構飛び出るっていうね。
そうなんですね、なのでちょっと僕の家の本棚にはその2冊入らなくて。
そうなんだ、結構ギリギリのあれなんだね。
ちょっと別のところに置いてます。
我々で言うと前紹介したションタンの本は大きすぎるからあれかもしれないけど、ションタンと同じような感じで別のところにとかって感じかな。
本当見栄えのいい1冊なんですけれども、これから作品について具体的にいろいろ話していきたいと思います。
まずお話ししなくてはならないポイントは、もうさっきから何度も出てる通り、これブックガイドのような話なので、その点についてお話ししたいと思います。
さっきちょろっと何作か出たと思うんですけど、アメリカ、イギリス、カナダの名作に寄せて話が展開していきます。
ちょっとここで一覧を読み上げちゃいますか。
第1章がヘイニーデイビットソロの森の生活。
第2章がイギリスウォートンの侵略の家。
第3章がジェームス・ジョイス・ダブリナーズ。
第4章がバージニアウルフのダロウェイ夫人。
第5章がウランチミール・ナボコフのロリータ。
第6章がダシール・ハメットのマルタの鷹。
第7章がウィリアム・フォークナーの死の床に横たわりて。
第8章がアーネスト・ヘミングウェイの日はまた昇る。
第9章がウィラ・キャザーの教授の家。
第10章マーガレット・アトウッド浮かび上がる。
第11章ラルフ・エリソン見えない人間。
第12章ジョイ子川失われた祖国。
第13章マイケル・オンダーチェの家族を駆け抜けて。
という13作品ですね。
いやこれなかなかの良いリストですね。
と思いながら。
この13章それぞれ本当作品が出てきます。
作品に対しての主人公の一人称視点の話なんですけど
その一人称の形でですね
この作品はこういう作品でみたいのがある程度語られるというか
主人公はこういう経緯でこういうところに行って
こういう思いを抱えてとか
あとはもうこういう場面からこの小説が始まるとか
こういう場面があってこういう感情を揺さぶられたとか
結構ですね具体的な話がささっと入るかつ
でもなんか全体像話の全体像がわかるみたいな
ご紹介のされ方をしていて
なかなかうまい紹介をされるなと思ってちょっと読みました。
でかなりそのあたりの紹介うまいんですけど
さっき言った通りちょっとこの読んでる主人公が
レスリーさんがそもそもこれ設定としては再読っていう時もある
再読するのがほとんどか
お父さんのために選んで
この本読んでねみたいな感じで持っていくので
もちろん自分は以前読んでいて
さらに例えばちょっとお父さんが最初あんまり読書しない人間
読書したことがなかった人間なんですけど
このあたりはすごい良かったところですね
本当に1冊これだけではないっていう本当にもっとたくさん
人生に重ねられるものがあるんだっていうですね
そういうのもちょっと教えてくれるような
そんな描かれ方してるなと思いましたし
そうですよね
次の特徴というか話したいポイントなんですけれども
これはファミリーヒストリーの話になってます
これはトウトウでも言いましたが日系カナダ人4世の著者のオートフィクションなので
彼女の本当の人生がですねこのあたり本当に描かれていくんですけれども
日本にまずルーツを持つ父と母ですね
日本にルーツを持つお父さんがいて
そのルーツっていうのはたどっていくとある時にですね
カナダに移住してきた日本人の祖先がいることになるんですけれども
ちょっと解説なんか読んだりすると
カナダに移住する人っていうのは結構多かったみたいですね
1900年の初めの方ですね
そうですね1900年の初めの方です
でなぜかというと日本よりもですね
カナダの方が賃金が高かったからですね
日本で働くよりも7倍ぐらいの収入が得られるということで
結構カナダの方に日本人が押し寄せてきたらしくて
結構人数が増えちゃってその規制が始まったりとかして
よくあるあれですね家族であれば入国できるというか
住むことができるみたいな形になるので
お嫁さんを日本から連れてくるみたいな流れになってきます
これアメリカとかでもあるんですけど
カナダでもやっぱりそういうことがあったということですね
それはもうちょっと一般的なカナダの事情なんですけれども
この主人公のレスリーさんなんですけれども
日系の父と母を持っていて
彼女自体はもう4歳なんで
もうカナダ人って感じなんですけれども
もう見た目は日本人という感じになってます
このレスリーさんの一家なんですけれども
なかなかちょっと複雑な家族でして
まず父の父つまりレスリーさんから見ると
父方のおじいちゃん祖父ですねがカズという名前の人物なんですけれども
カズと結婚したおばあちゃん
ちょっとこのおばあちゃんがですねちょっと入院していて
もうかなり状態が悪くて
いつ死ぬかわからないっていう状況に今あります
でそのおばあちゃんの結婚相手だったカズという男がいて
なんですがちょっとこのおばあちゃんと
カズっていうのがカズの一家の長男なんですけど
あまりなんていうか酒飲みで仕事も安定しなくて
結構ダメ人間みたいな扱いをされていたようです
逆に弟は下高原家の医者という家系を継いでるというか
医者になっていて優秀な弟みたいなという形になっています
でどうもこの祖母はカズの弟ハルキって名前なんですけど
そのハルキとですねハルキのことが好きだったような話とかが出てきて
結構そのあたりからこのカズとそのおばあちゃんを取り巻く
なんとも言えないなんかドロッとしたような感じがですね
垣間見え始めてきてそれもですね話が進むにつれて
父の口からだとかあとおばの口からだとか
ポロポロポロポロ出てきて全体像が最初に見えてくるというような作品になってますね
そうですよね
一応小説の中のメインというかですね表の物語が
この主人公のレスリー娘とお父さんのリーディングリストですね
この父と娘の人生に起きる変化の話が表の物語であれば
今のファミリーヒストリーこの家族のルーツを遡っていって
見えてこなかった真実みたいなものが見えてくるっていう
そこがちょっと裏の物語なのかなと
でその2つが表と裏の2つの物語があることで
結構この小説にやっぱり深みができてると思いますし
読書していてもただ面白いだけではなくて
かなりですね考えさせられることが出てくる小説になってるなと思いましたね
順番本当はこっちから先に話せばよかったかもしれないですけど
メインの部分ですねこの父と娘の関係っていうのが
結構大きなテーマになってるかなと思っていて
この父と娘の関係についてちょっと話していきたいと思います
これなぜリーディングリストを作ることになったかっていうと
父はですね自分の娘が大学教授になったというか
そういった立場の仕事について頑張っている姿というか
ちょっとそこまでトロントから離れたところで働いているので娘は
分からないんですが娘がその職に就いたことをすごく嬉しく誇りに思っています
娘はですねちょうどその時ですね逆に大学のこの教授という仕事が
全く自分には向いてないんではないかっていう悩みにぶつかっていて
それはちょっとあらすじにも出てきましたけれども
学生からバカにされていたりとかそれはどこだったかな
明確に書いてあったシーンがあるんですけど
クラスで白人以外であるのは私だけだっていう
教室では白人以外であるものは私だけだみたいな形で
疎外観というか居心地の悪さみたいなのをすごく感じていたし
なかなかそこにこの授業ですねやってくる上にもう鬱病になるぐらいですね
悩みを抱えていたというのがちょっとありまして
でも父はですねそんな娘に自分のためのリーディングティストを作ってくれよ
っていうことを頼みますちょっと本を読んでみたいんだけどっていう形ですね
でお父さんこれまで一切いわゆる文学を読んだことがない人間で
飛行機の模型を作るのがめちゃめちゃ趣味で
しかも結構異様なのめり込み方をしていたりしていて
たびたびこの小説の中で展開されるんですけど
このお父さんたぶんハマったらもうなんていうかハマりきってしまうタイプのお父さんで
のめり込みがちなタイプの人間です
でリーディングティストを送れということで娘はですね
そんなものとか思いながら始めに一冊二冊という感じでちょっと渡していくと
父がですねなんかいや意外と文学やっぱダメかな
いやいけるかなみたいな揺れ動きながらですね
読書にのめり込んでいくっていう姿が描かれてきますね
ここで面白いのは結構父と娘はあまり分かり合いでなかったようなスタートがあって
父さんってこういう人だみたいなイメージと
あと娘に対してしっかり仕事をしてくれみたいな
大学の仕事を辞めてちょっと違うことをしようかなとか言い出した娘に対して
しっかりしっかりちゃんと働けっていうことを言い出したりするんですけど
そのあたりは結構まあなんていうか
一般的に見たらあんまりいい父娘関係ではなかったなみたいな感じなんですけれども
この娘がですねこの本はこういう本なんだよみたいな話をしたり
実際に父が読んで感想を娘に伝えてきたりする
そういう交流の中でちょっとまた父と娘の関係が変わっていって
同時にやっぱ父の中でも変化が訪れてマイルドになって
マイルドって言い方あるかななんていうのかな
良き理解者みたいな感じになっていくところがありますね
結構正直このあたりの父親の変化っていうのは
最終盤感動させられるところも結構あって
娘もですねやっぱり自分の人生が改めてこの13冊を読むことで変わっていく
いろんな決心をしていくっていう流れもなっていくので
非常にこのあたりはですねこの2人の関係が変わっていく様っていうのは読んでいて
本当このメインのテーマで胸に迫ってくるものがあるなと思います
この父と娘の会話がすごく僕は好きでしたね
読んだ本の感想とかを話しているのを読んでいると
本当読書界を読んでいるかのような感覚があってですね
例えばフォークナーの死の床に横たわり手について
お父さんと娘が話しているシーン179ページから180ページにかけてなんですけども
お父さんがこの舞台である死の床に横たわり手の舞台である
ヨクナパトファー群っていうすごく言いにくい名前の土地ですね
そこって実在するのかっていうのを娘に聞くんですけど
それに対して娘さんがそれは味方によるかなって言うんですけど
それは架空の地名だったんですね
フォークナーが実際自分が過ごしたのはミシシッピ州オクスフォードなんですけども
そこを舞台に架空の地名にしたと
それでお父さんがなんでフォークナーはミシシッピ州オクスフォード
小説の舞台にしなかったんだと娘に聞くんですけど
娘さんがそれに対して実在の場所でないことを明確にしておきたかったからと
架空の舞台を想像すれば祖先の人生を自由に思い描くことができるものと答えていて
それに対してお父さんがなるほどってなってですね
フォークナーは自分のルーツを作り直したかったんだなというですね
そんな一連の会話のやり取りがあって
こういう会話がすごい個人的には読んでいて好きなところで
お父さんがちょっとした疑問を持って
それに対して娘さんがちょっとヒントを与えていって
お父さんが自分なりの答えを導き出すと
またそれがちょっと読書会のやり取りにも
実際こんなのもあるかもなって思いながら読んでいけることもできますし
こういった会話が他にもいくつかあって
この作品の中でも特にこの父娘の会話っていうのは僕は好きなところでしたね
そうですね
これはね父がやっぱ自分のルーツのことをね
なんだろうコンプレックスじゃないけど
非常に意識してるからこういう話になってくるんだけどね
あとちょっと最後にこれちょっと自分の感覚すぎるから
ちょっと共感を得られるかどうかわからないんですけど
今回この本を読んで非常に日本の小説っぽいなみたいな感じを感じたんですよ
それは別に下高原さんがレスリー下高原さんが日本にルーツを持ってるとかって
全く関係なくて文章の展開の仕方とかがなんか日本っぽいなって思っていて
なんていうのかななんか感傷的な感じがするんだよね
感傷的なリズムがあるっていうか何と言っていいのかなんだけど
話の入り方とかセリフの後の字の分の入り方とか
セリフの入れ方とかもそうなんだけど
なんとなく日本の純文学で見るようなリズムを感じたんだよな
これ何と言っていいのかわからないんだけど
感傷的な感じに響くように書かれてる感じがするっていうか
なんて言ったらいいんだろうな
日本の方だともうちょっとライトな感じだったりすると思うんだけど
切り口が似てる気がするんだよな
ありがとうございます
ちょっと途中だいぶ物語にいろんなことが描かれているんですけども
レスリーさんの恋愛事情とかですね
そうですねそんなところもあったりするんですけども
ちょっと今回はそこは省略をさせてもらっています
これ時間軸で言うとあれかな夏休みから
始まりですもん
大学に戻ってみたいな
あれどうですかもうちょっと長いあれじゃないですか
そうなんか2年間っていうのがどっか出てきたんだよね
この13冊を2年間2年間あれば13冊読めるかって感じだったんだけど
そうですね
お父さん定年退職してるからかどうかわからないけど
読むの早いなって思った
確かにそうです
お父さんしっかり読んでますからね
でもこのレスリーさんが地元を歩いていると
結構昔の同級生と偶然出会ったりするとか
確かに2回ぐらいあったのかな
それを考えると時間で言うと2年ぐらいは
そうだよね2年ぐらいなんかどっかで書いてたような気がしますね
ラストなんですけどちょっと三井さんの説明の中でも
子供のような子供の時のような読書を楽しめるようになるっていうのがあったりして
レスリーはやっぱり大学で授業をしなきゃいけないから
ずっとそのポイントとかを考えながら本を読んだりとか
その辺を深掘るような読書の仕方をしてきたけれども
子供の時のようにね主人公たちに自分を重ねていったりとか
そういう純粋な読書の楽しみみたいなのを取り戻していくって姿も描かれていて
ちょっと感動したりします
あとラストもうちょっといろんななんていうのかなお父さんとの関係も含めて
すごいいい話になっていくなと思っていて
そうですね特にレスリーさんの人生が前に動き出すような
そうだよね
そんな展開は描き方があってそういうのはすごく読んでいてよかったですね
そうだよね結構これレスリー視点の話でするんですけど
結構レスリーがですねなんて言ったのかな
さっきちょっと自分は自己肯定感が低いみたいなような話をしたんですけども
ちょっと状況も相まってかすごく悲観的なモードになっていると思います
でもその中で結構男性と連絡を取り合ったりとかしていることが多くて
それも特定の男性とじゃなくて結構いろんな人とですね
関係を持ったりとかしているシーンが描かれるんですけれども
この辺りもですね結構この作品
13作品ですねと絡めてちょっと話も進んだりとかするんで
この辺りも上手い使い方をしているなと思うんですけれども
このレスリーもですねなんか言い方あれだけど
おそらく今これ自暴自棄になっているタイミングで
なかなかこういろんな男性もですね安定しないんですよなかなか
恋人とか恋もって言っていいのか
この辺りもなんか結構自暴自棄だなって思っていて
それもオートフィクションで結構さらっとさらけ出しているから
そこもなかなか身肌によっちゃパンチが効いているところかなっていうところがあったりしますよね
全然あんまり好きじゃなかったけど
なんかスーパーで再会した男性と
グラントだっけ
とかね結構なんかその辺りは流されやすいタイプの主人公ですよね
そうですねでなんか読んでるとこのレスリーが出会う男性
なんかちょっと変わった人が多いと思うんですよね
そうですね
ちょっと個性的というか