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2021-01-25 41:48

第28回 痛みがあってこそ回復がある 「回復する人間」ハン・ガン著

spotify

【今回の紹介本】

■『回復する人間』ハン・ガン著 斎藤真理子訳

シーズン2、作品紹介初回!

今回第28回目でご紹介するのシーズン1初回で紹介したハン・ガンさんの作品、「回復する人間」です。

痛みがあってこそ回復がある。自分を取り戻し、あるいは新たな希望を見出し、ふたたび歩き出すひとたちを描いた

ハン・ガンさんの短編集を紹介しています!

ぜひお聴きください!

【番組内で紹介したトピック】

■『回復する人間』ハン・ガン著 斎藤真理子訳 白水社

https://www.hakusuisha.co.jp/book/b451457.html

【文学ラジオ空飛び猫たちとは】

硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ

文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、

読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

毎週月曜日朝7時に配信しています。

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック

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どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人が緩くトークするラジオ番組です。お相手は、私小説が好きの回のダイチと羊を巡るカフェのミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。お互いの紹介に関しては、2021年最初の配信、年末年始企画第1回で話しているので、そちらをお聞きください。
今回から2021年最初の作品紹介の回になります。ちょっと長くお待たせしてしまった感じがあるんですが、お久しぶりの作品紹介になっております。
2021年最初の作品はハンガンさんの回復する人間から始めたいと思っています。シーズン2一発目なんですけど、シーズン1一番最初に扱ったハンガンさんでリスタートしたいなと思ってこの作品を選びました。
ちょっと原点回帰してます。そうですよね。気持ちがフレッシュになったような気持ちになりました。そうですね。二人とも大好きなハンガンさんからスタートしていくという。
ちなみに私シーズン1のハンガンの芸者言の時間ちょっと聞き直したんですけど、なんかあれですね、やっぱり初回だからめちゃくちゃ気合い入ってて、なんかちゃんと撮れてる感じがすごいして、
なんかやっぱハンガンで上手くいったんだなと思って、ちょっと改めてシーズン2もハンガンで始めるといいかなと思いました。そうだったんだ。僕もちょっとイリシャ語の時間の配信また聞き返してみようかな。
良かったですよ。ちょっといろいろ慣れてきちゃってる部分が今あると思うんですけど、私たち。そういうの全くなくて、なんかちょっと新鮮で。
確かに一番準備していたというか、構成とか一番しっかり作ってたと思うんですよ。一番最初のイリシャ語の時間。そういう意味でも限定回帰しようかなってちょっと思いました。
手を抜くとこは手を抜くんですけど、皆さんもぜひイリシャ語の時間聞いていただけたらなと思います。
今日はですね、そのハンガンさんの回復する人間を扱います。署名いっちゃいましょうか。もう早速。
では今日紹介するのはハンガンさんの書いた回復する人間、斉藤麻里子さん役になります。白水社から出版されています。
ちょっとあらすじを私の方から。遺産文学賞、万物化国際賞受賞作家による主曲の短編集。痛みがあってこそ回復がある。
ちなみにこの遺産文学賞っていうのは韓国の芥川賞みたいなもんだなと思っていただければ大丈夫と思います。
あらすじなんですが、大切な人の死や自らの病、家族との不和など、痛みを抱え絶望の淵でうずくまる人間が一筋の光を見出し、再び静かに歩み出す姿を描く。
彩色主義者でアジア人発の万物化国際賞を受賞し、すべての白い者たちも同賞の最終候補になった。韓国の作家ハンガン。
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本書は彼女が32歳から42歳という油の乗った時期に発表された7編を収録した日本では初の短編集。
現代韓国屈指の作家による魂を震わす7つの物語となっております。
短編集なので、ちょっといくつかピックアップしてこの後お話ししたいと思ってます。
具体的には2本と、回復する人間と人影という作品をご紹介しようと思ってます。
僕がこの回復する人間を読んだのが、ちょうど1年前の2020年の1月に読みまして、
最初は図書館で借りてきて、ギリシャ語の時間と回復する人間の2冊を順番に読んだんですけども、個人的にはすごい、どっちも好きだったんですけど、
回復する人間の方が読みやすくて、なんかスッと小説に入っていけたなというのが最初のあの時の印象で、
あとやっぱハンガーさんがすごい作家だなぁと、あの本当この短編集でも思ってですね、これをそれから話していくと思うんですけど、
本当になんかね、今回7個収録されている、7編収録されているんですけど、ほんとハズレがないというか、
うんうんうん、わかる。
一個一個が結構ね、なんか読みごたえが短編ですけどすごいずっしりとあるという感じで、おすすめの短編集になってます。
確かに私もギリシャ語の時間よりは、こっちの回復する人間の方が入りやすいかなっていうのはすごく感じましたね。
でもめちゃくちゃいい作品だから、あ、ちなみに私は今年の1冊目でした。
2021年1冊目、回復する人間から。
記念出撃、いいですね。
なかなかやっぱり良かったですね。
ではですね、ちょっと最初短編の話に入る前に全体的な印象の話を触れていきたいと思うんですけど、感想も含めて触れていきたいと思うんですけど、
どうしようかな、じゃあちょっと私の方から。
ハンガーさんの作品これだけじゃん、私読んでるのはギリシャ語の時間と彩色主義者と全ての白い者たちか。
今回が4冊目で、感じるのはどの作品もそうなんですけど、死に関する匂いというかなんか存在感みたいなのがめちゃくちゃ毎回濃いなって思ってて、ハンガーさんの作品って。
で、その分すごく生きることに関しての感触と言っていいのかなんて言うのかわからないですけど、
そういうものが生きることに対する意識っていうみたいなのが濃くなっていってるなっていう印象がどの作品もあって、その辺は本当ハンガーさんの作品の魅力だなって思います。
死に向かっていってるなとか思ってる一方で、急になんか生の匂いが強くなるというか、生きることへの渇望が湧いてくるっていうか。
なんかこれってすごく難しいな、難しいことなんじゃないかなと思って表現するのが。
でもハンガーさんは結構なんていうかサラッと入り込んでくるし、そしてなんて言っていいんですかね、なんかその切実さの度合い、生きることに対する切実さの度合いが、なんか引き方あれなんですけど、なんか違うんですよね、ほかの。
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うまくほんと言えないですけど、近くて。で、それがもう自分は毎回引きつけられてしまうポイントだなって思いますね。
この7つの作品、どれも同じような感じを感じたんですけど。
確かに。僕もその切実さの度合いっていうところだと、思ったのは結構リアリティを感じたなとかあって、韓国の小説なのになんかすごいね、リアルに痛みというか傷ついたその心境というか、それがね伝わってきて。
結構言っちゃえば結構特殊な状況に陥る話もあるじゃないですか。なのになんかリアリティありますよね。
そうですね。
自分たちの現実で起こるような感じのこともあるんですけど、なんかすごくリアルはありますよね。
で、ここあとあれですね、この回復する人間っていうタイトルが、まあこれ斎藤麻里子さんがこのタイトルにして、韓国のタイトルとはちょっと違うんですよね。
韓国のタイトルだと、なんか黄色い模様の永遠っていうのがこの作品集のタイトルで、まあその名前が入ってる、表題作の作品入ってるんですけど、
でも、回復する人間っていう短編も入ってて、あえてその回復する人間という、まあちょっと日本人にイメージしやすいかつ、今回の大きなテーマが回復っていうのが結構大きいところなので、
回復する人間っていうタイトルにしたらしいんですけど、確かに今回帯にもですね、痛みがあってこそ回復があるっていうことが書かれていて、
どの作品も何かしらの痛みというか辛さというか生きにくさとか、まあそういうものがあるけれども、まあその作品の中でなんていうか、なんか前向きっていうわけでもない感じはするんですよね。
まあ確かに回復っていう言葉がハマるのかな。主人公たちが少し回復していくというか、なんか自分を取り戻していくというか、なんかそんな感じの話ばかりでめちゃくちゃ夢中で読んじゃいましたね。
そうでしたね。結構それ感じましたね。やっぱりなんか人生に一回外れたけどまたその人生に戻ってきたような感覚とか感じれて。
なんかね、いいですよね。なんかこれもう本当ちょっと夢中で読んでしまった感じがあって、本当読んでる時ですね、他の情報をマジで遮断したくなりましたね。
久しぶりに邪魔されたくないっていう感じで読んだ。まあたまにあるんですけど、そういうモードに入っちゃう時あるんですけど、久しぶりに年始から入れてちょっと嬉しかったっす。
で、なんかすごく面白かったのは、これラジオで紹介するの前提で読んでたんで、7つの作品どれを取り上げようかな、どれをみえさんにこれやりましょうって言おうかなとか思いながら読んでいて、
最初入りとか、前半の10ページとか15ページぐらい読んでた時に、これはいいかなみたいな、これじゃなくてもいいかなって思った作品が、なんかその作品の後半から急にグッと面白くなるのばっかりで、
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まあ最初から面白いのはあるんですけど、あれこれどれも紹介したいって思ってしまった作品で、なかなかすごい短編集だなと思ってます。
そうですね、なんか全部もう100点近いみたいな、結構そんな印象なんですかね。
すごいと思いました。そんな感じですかね、私は。みえさんどうでした?
そうですね、やっぱり結構近い感想になってるんですけど、前に紹介したギリシャ語の時間、同様にハンガンさんって世界でちょっとうまく生きていけないような人を描いていて、
それが結構客観的には学歴があったりとか、様子も悪くなかったり、なんか人生をうまく生きてきたように見えつつでも、どこかで傷ついていて、
まあそれが心の中を聞くと結構切実に傷ついていたっていうのが分かったりして、
そういう人たちが人生を振り返った時に、何か傷ついたところですよね。損なわれた何かを自覚した時に、また再び人生に戻っていけたんじゃないかなと。
なんかね、そんな感覚が味わえる小説ばっかりで、やっぱりすごいどれも読みごたえがあるなっていうのが本当に感想になっていて。
そうですよね。
あとやっぱりハンガーさんすごいなと思ったのが、今回のテーマが結構回復っていうところで、やっぱり傷ついたところと回復していくところっていう、なんかそこにちょっと境目があるかなと思うんですね。
ああ、なるほど。
で、それはなんか当事者にとっての境目であって、他人からすると何が回復した要因なのかってなかなか分かりづらいと思うんですけども、でもハンガーさんが結構その瞬間的なところですよね。
日常のふとしたところとか、人生の過去のちょっとふとしたところとかを描いているんですけど、そんなちょっとふとした瞬間的なところが境目となって、人が回復していくというか、人生をまた歩み出していくというか、そこを切り取っているのがすごい上手くて、そことか読んでいるとやっぱりすごい希望を感じれたなという、そういう小説だなと思いましたね。
そう、希望を感じる点でいうとすごい良いですよね。傷があるからなんかね、逆にこの希望の度合いが強くなるっていうかなんか。
7編全部が全部そうとは言えないんですけど、結構希望を感じれる小説が多いかなっていうのは傾向として。
じゃあちょっと具体的にいきましょうか。
いきましょうか。
えっと、回復する人間っていう短編をちょっとご紹介したいと思うんですけど、ちょっとあらすじを私の方からお伝えします。
あなたの左右のくるぶしの骨の下には穴が開いている。お急で負った火傷が最近感染を起こしたのだ。
そもそもの発端は姉の葬儀で足をくすぎたことだった。ずっと遭遇にあった姉は一週間前に死んだ。
あなたは自分に問いかける。どこで何を間違えたんだろう。
二人のうちどちらが冷たい人間だったのか。
というちょっとお話なんですけど、あらすじだけ言うと。
結構短い話で、30ページくらい。
12:00
これ、ちょっと不思議な、あまり見ないタイプの小説だと思うんですけど。
二人称の作品になってますね。主語があなたという。主語というか、あなたという語りかけで。
語りかけではないのか。あなたがあったからちょっとまたあれかもしれない。
二人称であなたという形で話が進行します。
さらに面白いのが、未来の時勢と現在の時勢かな。
なんか入り乱れますよね。
その辺りの作りはものすごく半岸さんらしいなと思って。
上手く作ってるなと思って。めちゃくちゃそれが魅力的な作品になってますね。
この未来の時勢って、なかなかイメージしづらいかもしれないですけど。
例えば、あなたが何々をまだ知らないまま、今こういうことをしているみたいな語り口になるんですよね。
そうですね。例えば、三重さんが今日のカフェでこういうお客さんと会うことを知らないが、今ラジオを収録しているみたいな。
不思議な感じで。
そういう未来の時勢っていうのがところどころにたくさん入っているんですよ。
入ってますね。これちょっと読まない。使い方としては今言ったような感じなんですけど、
表せる効果としては多分読まないとイメージしづらいと思うんですけど。
結構この話自体、あらすじ読んで結構こういう話だって整理されたところが実はあるんですけど、
結構よくわかんない状況で、過去の話も入ってくるし、現在の話も入ってくるし、先の話も入ってくるしみたいな。
で、ちょっとごちゃごちゃごちゃっとしていくんですけど、それが個人的にはむちゃくちゃ良い効果を出たなっていう。
自分の中でごちゃごちゃになっていって、この話ですね、要はお姉さんとうまくいってなかった女性が主人公で、
そのお姉さんが死んでしまって、不和だったまま、あまり関係が良くない状態のままお姉さんが死んでしまって、
主人公は足が細菌感染によって手術をするのかしないのかみたいな、そういう話があって、
最後、手術しないで済むぐらいな形で回復が始まっていくんですよ。で、回復が始まった瞬間に痛みが生じてみたいな、感覚が戻ってきて痛みが生じてみたいな。
で、それのことは知らないんですよね、この話の時世でいうと。
そうですよね。まだ現在時点では知らない。
で、回復しないことを祈る場面で終わる。でも、読者はこの女性が回復することを知ってるっていう、
すごく不思議な感じの話ですよね。
今の説明だと時系列とか複雑になってるんですけど、実際読んでるとそんな変な違和感とかないんですよね。
さっき大地さん言われてたみたいに、いい感じで過去、現在、未来があって、そこに対して比較的すんなりと読んでいけるかなと。
15:06
読者体験としてもすごく面白かったし。
いや、扱ってることがすごくいいですよね。
これが単純にお姉さんの不安が最初に描かれてて、
あ、ここ現在時点で傷を診察されてるところが始まるんですけど、
じゃなくて、お姉さんとうまくいってない、お姉さんの葬式、傷を負います、診察されます。
で、火傷が治りましたっていう感じの流れで描かれると、なんかあんまり感じないかもしれないなと思って。
ちょっとした時勢で描かれるから、すごくその回復するっていうことに関して、
主人公の感覚、自分がお姉さんとの関係があって、
でも、だからこそ自分は回復していいのかみたいな感じのところ、
その思いみたいなのがすごく描かれてるなと思って、うまいなと思いました。
みえさんどうでした?
姉妹の話なんですけども、主人公が妹で、
で、そのお姉さんとのエピソードを小説では過去を振り返って書いてあるんですけども、
結構このお姉さんと妹が、なんか隔たりがあるっていうか、別の世界で生きてるような人たちですかね。
これちょっと言い方あれですけど、お姉さんがどっちかというとリア充みたいな。
あ、そうですね。
社会的にちょっと成功してる人と結婚したりとか、
で、社会でうまく生きていけていてとかですかね。
で、妹の方はちょっと影が薄いというかですね。
小説の中だと30歳過ぎていても全身黒のファッションで、
小学生の高学年ぐらいの子供に見えるような見た目であるとかですね。
そういうのが書かれていたり、あと足を怪我したときもそれをほったらかしにして、
で、あわや手術というところまで行っていたので、それを会社の人に怒られたりとか。
で、ちょっと時系列で言うと過去になるんですけど、
主人公の妹さんとお姉さんがちょっと学生時代に決定的な隔たりのエピソードとかもあったりして、
それによって妹さんの方が、お姉さんってすごい冷たい人間だって思ってしまうんですよね。
こんなに冷たい人間なんだと。
でも結構この小説のすごい肝になってくるところで、
お姉さんのことずっと冷たい人間だと思っていたこの妹さんが、
現在なんですけど、お姉さんのことをすごい強烈に思い出して、
そこで本当はお姉さんより自分の方が冷たい人間なんじゃないかと。
そことかすごく悲しかったんですけど、
短い短編の中で、お姉さんと妹の関係もあるんですけど、
この主人公の妹さんの自分とは何なのかみたいなところ、
そこも読んでるとなかなか胸が痛くなるようなところであるんですけど、
面白いところでもあります。
あなたと姉さん、2人のうちどちらが冷たい人間だったのかと、
自分に問いかけたことがあると。
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相手に対してこう思ってたけど、それが自分にも当てはまるんじゃないかとか、
相手の嫌だと思ったところが、自分にも当てはまるんじゃないかみたいな感覚なのかなと思うんですけど、
多分この話を言うと、どっちが関係を交付してしまったんだろうみたいなところでもあるかなと思うんで、
私は面白いと思ったのは、
お姉さんは主人公のあなたという妹よりも社会的にも満たされていて、
上にあるような感じがあるんですけど、
妹さんに対して嫉妬してるんですよね。
そこに伏線が張ってたと思います。
これに関して妹であるあなたが答えを出す。
なんで嫉妬してるんだろうと。
お姉さんは求めてるものがあれだったんですよね。
どこよりも安全な場所。
リンゴの奥にある丈夫な場所を望んでいるだけだったみたいな文章が途中で出てくるんですけど、
多分妹みたいな場所を探してたのかな。
妹がいるような場所を探してたのかなとかちょっと思うようなところもあって。
この社会通念なんていうか、
多分妹って結構社会通念に対して無頓着なんでしょうね。
そういう生き方に結構憧れてたというか、
羨ましいと思ったんだろうなとちょっと出てきたりとかして。
この辺の姉と妹の関係ってちょっと面白いなって思ったりしましたね。
僕もお姉さんって表面的に見るとすごい恵まれているように思えるんですけど、
でも妹が語る過去のエピソードとか、
結構病気に苦しんでたりとか、妹に嫉妬してるとかっていうのを読んでいくと、
お姉さんも悩みのある一人の人間だったっていうのが伝わってくるし、
僕は結構この小説の最後のところとか読むと、
主人公の妹さんの中で全く別の世界の生き物と思っていたお姉さんが、
結構妹さんの中で、人生の中で影響としては大きくて、
お姉さんという存在が人生の中にいたんだと、ちゃんと存在していたんだっていうのが描かれているように思えて、
そのお姉さんの存在で妹さんも人生に戻っていけたんじゃないかなというのがあって。
では次に紹介するのは、「死と影」という作品になります。
まずあらすじを紹介しますと、
画家である私は2年前、自ら起こした事故で左手をダメにして、ついで右手まで使えなくなります。
何もできず感情も失った私に夫は苛立ちを隠せない。
ある日、学生時代の友人が久しぶりに電話をくれて、近所の写真館で私の写真を見たと告げます。
私の中で忘れ去られていた記憶がかすかに息づき始めるというあらすじに出ます。
画家である私というのが結婚している女性で、
21:00
その人が最初は左手を事故で怪我するんですけど、
それで使えなくなって、右手もダメになって、
そこでちょっと旦那さんとの関係も悪くなっていって、
そういうところから始まる小説になっています。
斉藤万里子さんが「人影」という名前で訳してはいるんですけど、
韓国の現代を直訳すると黄色い模様の永遠っていうことになって、
この永遠っていうのが陽音って発音するのかな?
両生類の一種、トカゲみたいなものの何かと読みが一緒らしくて、
そこをかけてるらしいんですね。
なんですけど、ちょっと日本語じゃうまく表現できなかったというか、
変換できなかったので、「人影」というタイトルになってるみたいですね。
今回の短編集の中で一番長いですかね、80ページぐらいあって、
ちょっと中編ぐらいの長さになるかなと思います。
これは、「人影」は僕は最初に読んだ時にすごい一番良かったなと。
小説で、この回復する人間の中で一番外せない作品かなと思いますね、
ラインナップの中では。
この回復する人間を総括する感じもありますよね。
まとめる感じがすごいあって、すごく最後にこの作品があってすごく良かったなって思いました。
手が使えなくなっちゃう女性の話で、
トカゲって途中で描写出てくるんですけど、再生するじゃないですか。
手が切れて。
ちょっとずつ。
その辺のこともちょっとかけて、その回復という意味にもかけてると思うんですけど、
個人的にはこの手が使えなくなるっていう設定がすごく、
もともとは事故で左手が使えなくなり、
その代わりに右手ばっかり使ってたら、右手がダメになっちゃったっていう。
両手を失う。
全く使えないわけじゃないんですけど、
でもほぼ仕事をしたりとかするのはもう無理ですよね。
そうですね。日常生活は結構危ういかなというレベルですよね。
マグカップを持てるか持てないかとか。
夫のサポートなしでは生きていけなくなってしまったっていうところで、
個人的にはそれって人としてもマイナス。
主人公はすごくそれを感じてると思うんですけど、
足でまといって言い方よりはもっと適切な言い方があると思うんですけど、
自分はもうマイナスな人間なんだっていう意識がすごく強くて。
自分もこの状況に陥ったら、もうなんか辛いだろう。
誰かの力を借りないと生きていけないって結構しんどいですよね。
その夫も最初はすごい理解のある人やったのが、
やっぱり主人公が入院して、そこからなんかだんだん不中になっていくんですよね。
あらすじにもあったんですけど、やだたちを隠さないってあるんですけど、
主人公これできないって話をすると、なんだ本当にできないのかよみたいな。
24:01
難しくて調子が良い悪い日があってての、できる日とできない日があるんですよね。
それがなかなか残酷だなと思うんですけど、その夫ともうまくいかなくなっていく感じが。
結構この小説の前半ではそういう、人生のどん底を描いているような、
世の中でこんなに不幸な状況に陥ってしまうのだっていうような、
前半ではそんなこと。
個人的に手を使えなくなる状況って、あんまりイメージしたことも今までなかったんですけど、
今回初めてこの状況を結構真剣に、深刻に読みながら、
自分だったらこれどうなっちゃうんだろうとか考えたんですけど、
これ生きていけないなって思いましたね。
だって本をめくれないんですもんね。
そうですね。
自分で。
電子だとしてもスクロールできないわけでしょ。
つらいよな。
映像を見るぐらいしかできなくなるのかな。
お風呂とか入って、その後体拭くとか、そんなのもできないだろうし。
まあね、何もできないですし。
食事もね、自分一人じゃできないわけですよね。
そうですもんね。
ギリシャ語の時間じゃないですけど、視力を失うっていうことは結構自分、
実はめちゃくちゃ目が悪いんですよ。
しかも極端なあれで、
左目だけコンタクト入れてるんですね。
ちょっと不思議な目の悪さなんですけど、
右目が乱視で、左目はめちゃくちゃ視力が悪くて、
結構度数高いコンタクト入れてるんですけど、
だから結構視力を失うって普段から意識してる方だなと思うんですけど、
メガネかコンタクトないと生きていけないんで、
目が見えなくなったらすごい嫌だなとか思うんですけど、
でも今回手って結構やばいなっていうか、
自分で何もできなくなる究極だなと思いましたね、手は。
移動はできるか。
まあちょっと脱出しました。
これ、みえさん今前半でどん底って話でしたけど、
後半なんかこう回復してくっていうか、
なんていうか、自分これすごく面白いなっていうか、
すごくハンガーさんらしいなと思ったのは、
一見これ自暴自棄で無気力な感じのことが描かれてるけど、
主人公の中で静かにこの状況に抵抗を始めてるっていうか、
そういうのがすごく自分の中には見受けられて、
なんか、画家を目指したんで、絵を仕事としようとしてたんで、
アトリエがあるじゃないですか、そのアトリエを手放さないような、
あとはもうそれ、賃貸だから火薬しようみたいなってあるんですけど、
でも新しいアトリエを探そうとしたりとかしてる姿とか、
すごく自分を保とうとしてるっていう感じもすごく見受けられてはいたんですけど、
27:04
この状況でなんか潰れないっていう感じがすごくあって、
なんかハンガーさんらしいこの話の進め方だなとはちょっと思いましたね。
あとその後半になって、これ完全にネタバレになっちゃうんですけど、
なんか一回だけ一緒に山陰を登った男性のことを思い出すじゃないですか、
写真館でその人が撮った写真がなぜか飾られてるんですけど、
それで思い出すんですけど、その人に対して主人公が結構好意を寄せていて、
好きだったと、その人の消息をちょっとたどろうとするところで話が進んでいくんで、
個人的には自分、たぶんその人との出会いで、再会で、
なんか自分を取り戻していくのかなって思って読んでたら、
その人は結局死んでいたってことがわかるじゃないですか。
何年前だっけ、もう結構前ですよね、もう学生時代だから。
10年前ですね、一緒に山を登ったのは。
だからその10年間の間にもうその人が死んでいて、
もう一回しか会ったことない人だけど、死んでいてみたいな。
結局、自分がこれですごく感じたことは、
主人公一人、一人だけじゃないのかもしれないですけど結局は、
なんかいろんなことから影響を受けて立ち上がっていくんですけど、
でもなんか自分が立ち直る力を、
いろんなところから見つけて吸収して、
最後立ち上がっていくっていう姿が描かれてるなと思っていて、
なんかすごくハンガンさんらしいなってすごく思いました。
そんなにハンガンさんのこと知るわけじゃないですけど、
すごくハンガンさんの作品っぽいなって本当に感じてて、
そこに感動する自分がいて、
本当に良い作品だなって思いましたね。
思ったところは、やっぱり10年前の出来事を思い出すじゃないですか。
偶然のきっかけで、本当に初恋の相手みたいなものかなと思うんですけど、
もしかすると、男性の方ですよね、出会った主人公の女性に、
10年前に初めて会った時に後悔しますねと、もっと早くここに来ればよかったと。
結構主人公の女性が、家の近所という言葉って山登りを日課にしていたんですけど、
その男性はそこの山に初めて来た人で、
もしかするとその2人ってもっと別の人生があり得たのかなと。
本当にちょっとした何か、2回目の出会いがあったらとか、
そんなことをすごく感じさせるような、そういう過去のエピソードがあってですね。
そこのドラマチックなところですよね、その10年前と、
30:04
あと2年前というのも一つのキーワードになってくるんですけど、
10年前、2年前という、そういう時間の重なりというのかな。
そうですね、この男性とのね。
それでその主人公の女性が人生のどん底をやったところに、
自分の過ごしていた時間、そこには自分一人じゃなくて他の人の人生もやっぱりあって、
そういう重なりとかを得ての今があるっていうので、
なんかすごい光を見たような気がしてですね、結構最後の方に。
なんかね、結構その初めて読んだ時はその後半の部分で泣いてしまったんですけども、
なんかそれだけすごい、最初の前半から後半にかけて、
ちょっと回復していくというか、光が差し込んでいく感じがすごい僕は好きですね。
あとこの小説に出てくるのが、93歳で亡くなった芸術家の人の話というかをちょっと差し込まれていて、
なんかそういうのもね、ちょっとパンチが効いてていいですよね。
そうですね。この93歳がなんか表現した黄色っていう色があって。
そうですね。なんか太陽、昼の太陽の黄色とかを光の塊みたいなとは言ってますね。
そうですね。その私というか、主人公が表現する黄色はまたちょっと違った黄色でみたいな。
ここもいいですよね、このね。
というような小説で、以前にハンガンさんのインタビューで、
この人影についてコンモレビに出会う話と言いますか、
結構黄色というのを言及していて、色の。
なんかその自然の中で光の黄色っていうのもあれば、
なんか人間にもそういう光のような黄色のようなものってあるんじゃないかというのを描いていて、
インタビューを聞いていたときは、それってどういうことなんだろうと思ってたんですけども、
改めて読んでみると、確かに人生の中で本当に光が差し込んでいる瞬間というか、
ちょっと垣間見えたような気もしますし、
なんかすごいその光とか色とか、なんかそういうのが溢れている小説だなと思っていて、
本当にそういうのが最初前半読んでいるときと最後後半読み終えたときの、
この感情のギャップと言いますか、
なんかそういうのがすごい味わえるんじゃないかなという、
そういう小説だなと思っています。
そうですね、本当にそれはすごい、それは本当この小説じゃないと味わえないかもしれないですね。
で、ちょっと他の作品もちょっと触れたいんですけど、
33:03
他5作品入っていまして、どちら順番にいきますか。
そうですね、「明るくなる前に」という小説は、主人公が小説家の女性なんですけども、
元々職場の先輩だった、結構憧れに近い女性ですかね。
その先輩が結構なんて言うんですかね、読んでいるとすごくいい人なんですけども、
放浪の旅に出ると、そこで背景が明かされていくんですけども、
これもすごい深い小説だなと思います。
30ページぐらいなんですけども、本当はねじっくりと取り上げて話したいぐらい、
先輩の女性という人の人生がすごく深く描かれていて、
おすすめな。
ちょっと途中で、先輩からするイメージが変わったりするところもあって急に。
あんまり旅行とかする人じゃなかったのにみたいな感じで、
急に旅行に目覚めてみたいな。
主人公とその先輩の女性って、最初は出版社同じところで働いてあって、
その話とかあるんですけど、やっぱり読んでいくと、
本当に人生の中で重要なところっていうのが、
そういったところでは全然違うところにあるんじゃないかなという気がして、
これもやっぱり前半と後半とのギャップかもしれないですけど、
それがすごい強烈にあるなと思います。
ヨーロッパか。
これはかなり好きだったんですけど、
恋人じゃないけど好きだった女性に対する話みたいな感じで、
友達で居続けるけどみたいな感じで結構好きでした。
その好きな女の子に対しての感情とか。
結構ジェンダーの問題とかにも触れてくる作品で、
僕も結構好きですね、ヨーロッパは。
これも最後の方のね、
もしもあなたが望み通りに生まれてきてたら何をしてと思うと、
その好きな女の子に問いかけられて、
思い通りに生きてきたら何をしてるって。
その答えられなかったこの主人公っていうのをすごく自分は好きですね。
ていうぐらいにしときましょうか。
次がフンザ。
タイトルからして何だろうってなるかもしれないですけど、
結構トリッキーな小説ですよね。
フンザって知名なんですよね。
ずっとその主人公が行ってみたいって思ってるけど、
紛争地帯でしたっけ?
ちょっとなかなか行けない場所なんですよね。
その主人公の女性は子供がいて、
夫がいるんですけど、
夫が全然収入もなく家事も手伝わないっていう、
哲学の大学講師をやってるけど、
なかなか正規の職にありつけずみたいな感じで、
36:02
状況としては悲惨なんですけど。
フンザって千年前に滅んだ国なんですけど、
パキスタンの東北にある山の奥地に遺跡があるという、
幻の遺跡というか、
女性がフンザを想像するんですけど、
そこがすごく好きで、
フンザっていうのは本当はこうなんじゃないかとか、
千年前ああだったんじゃないかとか、
それが読んでると結構。
この青い石、僕結構好きで、
これもどんな話かって、
説明すると、
そんなに面白さとかはないかなと、
そういうものではないかなと思うんですけども、
やっぱり読んでいく中で、
後半かな、
川の中で青い石を見つける、
青い石を見つける描写があるんですね。
そこがなんとも言えない、
すごい良くてですね。
夢の中で川の中で青い石を拾うんですけども、
そこをぜひ読んでほしいなと思いますね。
結構印象に残ることは結構ありますね。
あと左手なんですけど、
左手が一番非現実的な話ですね。
そうですね。一番異色ですよね。
個人的にはかなり好きですね、こういうタイプの。
自分の左手が急に言うこと聞かなくなって、
勝手に動くようになっちゃう。
それが自分の本能なのか、
なんなのかっていうところがあって。
勝手に動く左手のせいで、
主人公の人生はめちゃくちゃになっちゃったりするし、
昔から好きだった女性と再会できるし、
みたいなところもあって、
なかなか面白い作品だったなと思います。
結構暗い話もありますけどね、最終的には。
そうですね。ちょっと闇が深い話ではあるんですが、
面白いっちゃ面白いですよね。
そんな他のご作品が入ってますね。
確かにちょっとね、機会があればね、
ちゃんと全部話したいんですけどね。
まあそうですね。
いつも通り感想とどんな人に読んでもらいたいか、
話して終わりたいと思います。
この作品なんですけど、
傷つきながらでも生きてる人たちに、
読んでもらいたいなと思う作品たちです。
なんか本当、
回復するっていうのがテーマにはなってるんですけど、
もちろん落ちた状態から、
自分を取り戻す話が多いので、
そういう経験を、
落ちてる人とかは、
なかなか本を読む余裕がない時もあると思うんですけど、
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そういう時に読むと結構ハマるんじゃないかなと思います。
なんか上手く言えないですけど、
死ぬことって、もしかしたら誰しも1回くらい考えておったと思うんですよ。
死っていうことに関して。
もしかしたら死んでしまいたいなって思ったことが、
わずかでも思ったことある人って少なくないんじゃないかなと思っていて、
自分もたまに、
生きることに対して向き合える本なんじゃないかなと思うので、
何か落ちてる時があれば、
読んでもらいたいなって思います。
あと、この本の本当にすごいなって思うところは、
ハンガンさんの押しつけがましくない、
この生きることに対する切実さみたいなのがあって、
こういうタイプってなかなか出会えない人が多いんですよ。
だから、
生きることに対して、
こういうタイプってなかなか出会えないんじゃないかなって思うんですね。
なので、ぜひそれを感じてほしいなと思っています。
私はこれを年始に読めて本当に良かったなと思っています。
みなさんどうですか?
いいですね。
ハンガンさんの小説って、
人間の新たな一面を見せてくれたりとか、
人生の中の隠れていた過去を見せてくれたりとか、
そういうのを描いていることが多いんですけど、
すごくリアリティを感じさせてくれていて、
大地さんと感想は近いんですけど、
傷を共有してくれたり、
回復の兆しを分かち合ってくれるような、
そういう作家さんかなと思っていて、
すごく現実に向き合える小説かなと思っています。
ギリシャ語の時間より、
やっぱり回復する人間の方が読みやすいかなと思うので、
ちょっとハンガンさんに興味を持たれているので、
いらっしゃれば、
回復する人間はすごく読みやすいので、
お勧めできます。
回復する人間から入った方が多分いいかなって思いますね。
そうですね。
私はギリシャ語から入りましたけど、ハンガンは。
僕もそうですけど。
じゃあそんなところですかね。
ハンガンの回復する人間を今回ご紹介いたしました。
次回はレイモンド・チャンドラーのプレイバックをご紹介いたします。
お楽しみにしていただければなと思います。
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