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2024-08-26 1:16:47

第166回 コペンハーゲン三部作を翻訳者と語る「結婚/毒」トーヴェ・ディトレウセン著(ゲスト:翻訳者 枇谷玲子さん)

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【今回の紹介】 『結婚/毒』トーヴェ・ディトレウセン著、枇谷玲子訳、みすず書房

https://www.msz.co.jp/book/detail/09616/⁠⁠⁠ . パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。ぜひお聴きください! . 【今回の内容】

翻訳者の枇谷玲子さんがゲスト/NYタイムズが選ぶ「21世紀のベスト100冊」に選出/すべて実話に思えたリアルなオートフィクション/コペンハーゲン三部作が一冊に/著者&作品紹介/「トーヴェは私だ」と思えるのは文学の価値/枇谷さんの出版時の気持ち/2019年から世界的なトーヴェフィーバー/21世紀始めに女性が詩人を目指すことについて/現代の女性たちがトーヴェに共感できるところ/最初の夫ヴィゴー・Fへのブラックユーモアな描き方/ストーリー紹介/ヴィゴー・Fのつかめない人物像/二番目の夫エッペの嫉妬/最後の感想/トーヴェの孫が出版した本が話題に/次回予告

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【今回のゲスト】

枇谷玲子さん

X(旧Twitter)アカウント:https://x.com/barndombooks .

【読書会のお知らせ】

2024年9月28日(土)20時~22時に『結婚/毒』を課題本にしたオンライン読書会を開催します。ゲストに訳者の枇谷玲子さんにご参加いただきます。詳細・申込はPeatixイベントページをご覧ください。

https://peatix.com/event/4090672

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ーーーーーーー 版元サイトより ーーーーーーー 生前も死後も、デンマークの庶民から「トーヴェは私だ」と共感をもって読まれ、愛されつづける詩人・小説家トーヴェ・ディトレウセン(1917-1976)。

コペンハーゲンの貧しい労働者地域、西橋(ヴェスタブロー)地区に、火夫で文学青年崩れの父親、美人できまぐれな母親、美男で内向的な兄の妹として生まれた。「母の女の子」として育てられるなか、真の安らぎを得られるのは、父親が大切にしている本の中にいるときだけだった。トーヴェは決意する、「私も詩人になる」(『子ども時代』)。

高校進学を諦め、メイドやタイピストの仕事を転々とする生活がはじまる。憧れの恋愛と求める愛の間で揺れ動く日々。そんなある日、子どもの頃からノートに書き溜めていた詩の導きで、文芸誌『野生の小麦』の編集者ヴィゴー・Fとの運命的なめぐり会いをはたす(『青春時代』)。

詩集出版の夢が叶い、作家としての道が開かれてゆく。だが、有名になるにつれ、私的な生活は混乱をましてゆく。四度の結婚、薬物依存――トーヴェは自滅へと向かってゆく(『結婚/毒』)。

自らの経験の全てを題材として、女性のアイデンティティをめぐる葛藤をオートフィクション/回想記として世に出したトーヴェ。自分に正直にあろうとする人間の生きるむずかしさを、文学と人生で表した。

ナチス・ドイツの影が迫り来る時代のコペンハーゲンを舞台に描かれる、記念碑的三部作を一巻にして贈る。 . 【お知らせ】 Amazon Audible限定配信のPodcast番組「ゆかいな知性 文学編」にダイチがパーソナリティとして出演いたします!トーク形式の番組で、ダイチのお相手となるのは彗星読書倶楽部の森さんという方です。初回放送は12/8(金)で、今後半年間、毎週金曜日に文学編が配信されるので、Amazon Audibleを聴ける方はぜひお見逃しなく! . 【文学ラジオ空飛び猫たちを初めて聞く人向けのnote記事】 声で届ける文学!Podcast番組「文学ラジオ空飛び猫たち」おすすめエピソード特集 ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://note.com/cafecatwings/n/nab636ad54a35⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ 【番組へのお便りはこちらから!】 ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://forms.gle/a569tyUhMDDaCXGF8 ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ 【メルマガ会員募集中! 】 毎週土曜日朝7時に配信! 無料版は本編エピソードには収めきれず、泣く泣くカットした部分を聞いて頂ける内容になっております! 有料版は我々2人に対しての応援・支援をしたい!という想いを持って頂ける人を対象に、月額500円のサブスクをご用意。ささやかな御礼として編集後記という配信後の感想などをお送りします。なお、こちらに有料登録して頂いた方々を我々はサポーターと呼ばせて頂いております。 どちらも theLetterというニュースレター配信サービスを使わせて頂いております。最初は無料購読登録から始まりますので、是非気になった方はまず無料登録を! ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ https://radiocatwings.theletter.jp/⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ※登録されると確認メールが迷惑フォルダに入ってしまう可能性がございます。すべてのメールをご確認ください。 ※もちろんサポーターとしてご支援頂かなくても、Podcastを聴いて頂けるだけでも本当に嬉しいです。 【文学ラジオ空飛び猫たちとは】 硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。 案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ 京都の祇園で本の話ができるカフェを運営する「羊をめぐるカフェ」のミエ 文学のプロではない二人ですが、 お互いに好きな作品を東京と京都を繋ぎ、 読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます! 毎週月曜日朝7時に配信しています。 【SNSでご投稿ください】 番組の感想・リクエスト・本を読むきっかけになったなど、 #空飛び猫たち をつけて、ぜひSNSに投稿してください! よろしくお願いします! ■twitter ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://twitter.com/radiocatwings⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ■Instagram ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://www.instagram.com/radiocatwings/?hl=ja⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ■Gmailでも受付中です bungakucafe.catwings@gmail.com ■ダイチ「小説家が好き!の会」 Twitter ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://twitter.com/welovestory ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ Instagram⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ https://www.instagram.com/booklogd/?hl=ja⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ ■ミエ「羊をめぐるカフェ」 Twitter⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ https://twitter.com/hitsuji_meguru ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ Instagram ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠https://www.instagram.com/hitsujiwomeguru.cafe/⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ #本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック


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デンマークの労働者階級に生まれ、女の子は詩人になれないと言われた時代に詩人を目指し、国民的作家となったトーヴェ・ディトレウセン。
彼女の自伝的小説コペンハーゲン三部作が収録された「結婚・毒」を翻訳者の枇谷玲子さんをゲストにお招きして紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人が緩くトークするポッドキャストです。
パーソナリティは私、ダイチとミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、東米リトレウセンの結婚・毒になります。枇谷玲子さん役で三津書房から2023年に出版された本になります。
今回ですね、実はゲストに翻訳された枇谷玲子さんをお迎えしての作品紹介となっております。枇谷さんよろしくお願いします。
よろしくお願いします。翻訳をした枇谷玲子と申します。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。なぜ今回翻訳された枇谷さんに来ていただいているかというと、去年の12月に梅屋敷ベックフェスタで、私とミエさんと枇谷さんにお会いしてまして、その時は枇谷さんがブースを出されていて、
ご自身で翻訳されたものとか販売されていたんですけども、その時に結婚・毒があって、私はその日ちょっと買えなかったんですが、後日購入もさせていただいていて、ぜひ紹介したいみたいな話になりまして。
そうですね。ヨーヨーシャさんという書店さんが、梅屋敷にある書店さんがありまして、店主さんやミナさんが結構勢力的に海外文学も紹介をされていて、海外文学のフェスみたいなのを何回かやったことがあるみたいで、その中で各国の英語圏だけじゃなくて、いろんな言語の翻訳者が呼ばれてというので、
私が北欧の翻訳者ということで、たまたま読んでいただいたのがきっかけでしたね。そこで結婚・毒を打って、たまたま打っていて、お二人に出会うことができたという感じですね。
そうですね。僕は枇谷さんから、この本が結構ボリュームがあるんですけども、書いたこの著者の東部さんも、デンマークの国民的作家さんだとお聞きしたんですけども、
ただ、結構読みやすいというですね、しかも面白いというのをですね、その場でちょっとお勧めしていただいたので、これだったらちょっと読めそうだなというのでですね、しかも面白そうだというところで、
これはいつかラジオでも読んで紹介したいなというのは、もうその時から思っていまして。
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はい。どうもありがとうございます。
それはちょっと一緒に、ちょっと紹介できるというのですごく今日は本当に嬉しく思っています。
私も嬉しいです。どうもありがとうございます。
この作品ですね、実はニューヨークタイムズが選ぶ21世紀のベスト100に入っている本で、英訳がちょっと最近された点もあるんですけれども、入っている本で、実際に結構厚いんですけど、読んでみると読みやすいので、印象で言うと、この厚さだと割と時間かかるかなと思ったんですけど、そこまで時間はかからなかったので、
読みやすい一冊になっていて、かつ、著者の東米・ディトルセンの人生が描かれている、すごく魅力的な一冊です。
ちょっとせっかくなので、これ配信が8月26日予定どおりできていればなると思うんですけども、約1ヶ月後の9月28日土曜日20時からですね、オンラインで読書会を開催しようかなと思っております。
20時から22時、2時間程度ですね。
そこには、ひなりさんにも来ていただく予定ですので、ぜひ今回の配信聞いて気になって読んだら、こちらも参加していただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。
収録段階では、まだイベントページのこと全く考えてないんで、ちょっとどうなっているかわからないですけど、多分この時にはもうすでにイベントページ作らせていただいていると思いますので、ぜひひなりさんから直接いろいろお話も聞ける機会だと思うので、参加していただければなと思います。
どうもありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします。
僕もまず、ちょっと読んだ時の率直な印象としては、本当に夢中で読めまして、
遠部さんの子供の時代から作家となってからの人生の一部始終がすごくリアルにこと細かに書かれていて、オートフィクションということで、現実と創作の部分が混ざり合っているような作品だと思うんですけども、
読んでいるときは本当にこれがすべて遠部さんの実話に思えてですね、本当に創作の部分ってあるんだろうか、これ全部実体験なんじゃないかと思えるぐらいすごくリアルに読めていきました。
ということで、ここだけ聞くとちょっとこれは自伝小説じゃないかと思えるかもしれないんですけども、もちろん自伝的なんですけど、それ以上に読んでいると引き付けられる、
小説としての大きな力、この面白さ、そういったものがある小説という印象を受けまして、本当にすごい大作だなと思いました。
そうですよね。本当にいわゆるオートフィクションのジャンルにもなってくると思うんですけど、すごいいろんなことがリアルで、いろいろ日記とかつけてたかもしれないんですけど、よくこんな細かいことまで覚えてるなっていうのをちょっと思ったりする。
子供の時とかもね、本当に細かいこととかいっぱいありますし。
で、なんとなく自分は、自分の幼い時の記憶とかにリンクするところがちょっとあって、なんか、子供時代が結構好きでしたね。3部作なんですけど。
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子供時代、青春時代、結婚読っていう、3つの東部さんのね、人生のフェーズを描いている作品なんですけど、子供時代結構好きでしたね。
ああ、そうですか。兄さんは3作の中でどれが一番心に残ってますか?子供時代、青春時代、結婚読で。
子供時代かなと思いますね。
でもなんか印象に残ってるっていうと、結婚読が結構多かったんで。
読み終えると、結婚読のインパクトがすごかった。結婚読の部のインパクトすごかったんですけど。
もう一度ちょっと読み直したり整理してみると、子供時代のすごく苦労した貧しい家庭環境の中で育っていって、やっぱりそこで死に目覚めていって、
人生も自分で選べないというか、周りの親とかから、あなたはこういうふうに生きなさいと言われながらも、でもそれでも死をなんとか書いていこうと思うですね。
そこに目覚めていくっていう、そういったところがすごく感動しまして。
もちろんその後の青春時代もすごく好きですし。
もともと3部、3作別々の作品というか、3部作なんだけれども、デンマークでは1冊1冊で出されていて、子供時代1冊、青春時代1冊、結婚読1冊で別々の本として出されていたので、
日本に紹介するときに3冊全部出せるって最初は思ってなかったんですよ。
どれを紹介しようかなっていったときに、やっぱり結婚読がやっぱり一番、なんていうのかな、デンマークでの知名度っていうのが一番高いインパクトもあるので、
結婚読だけ紹介する形になるのかなっていうのは最初は思ってたんですけど、
ごみすず処方さんにレジュメとかを出したときに3部作で、3部とも全部出して、学本、3冊を学本にするっていう形にしようってなってたんですけど、私としてはやっぱり結婚読がまずメインっていう気持ちがすごいあったんですけど、
訳し出してみると、しゅうささんはやっぱり子供時代を結構重視してくださったのもあって、丁寧にすごい見てくださったのもあって、あとは英語圏とか海外でも子供時代の評価はすごく結婚読だけじゃなくて高い。
あと訳してみると、子供時代あんまり多くのことが起きる、いろんな出来事が起きるのってやっぱり結婚読なので、そこまで読者の興味を掻き立てられるかっていうのがすごく不安だったんですけれども、結構訳してみるとやっぱり子供時代が自分の文体にすごく合ってたっていうのはあって、
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それまで自分が自動書を、ヤングアダルトとか自動書を多く訳していたのもあって、訳してみるとすごいうまくぴったりあって、もし子供時代はお二人とも良かったっておっしゃってくださって、そのまま読み続けてくださって結婚読まで最後まで読んでいただけたらすごい嬉しいなと思いました。
子供時代からの結婚読とのギャップっていうのが結構味わえるところでもあるので、これはちょっと本編でいろいろ話したいところなんですけど、でもすごい本当デンマークでも売れ続けていると聞いてますし、やっぱり英語圏でも今評価されてるっていうところですごい作品なんだなと思いました。
ありがとうございます。
ちょっと始まってきちゃってますが、我々の流れでいうとここで一回著者紹介。
著者のトーベ・ディトルセンのご紹介をしたいと思います。彼女はコヴェンハーゲン・ベスタブローチクの労働者階級の家に生まれました。
中学を卒業後、10代のまだ若い時に文芸誌野生の小麦に彼女の死、我が亡き声が掲載されます。そこを皮切りに死の世界に入っていくんですけれども、1939年初の詩集、少女の心が出版され、その後小説や詩を発表し続けて1976年に58歳という年齢で自死、自殺します。
今回紹介する子供時代、青春時代、結婚曲がコヴェンハーゲン三部作と呼ばれていて、代表作となっていて、デンマークでは多くの方が読み継がれている作品となっているというところです。
著作についてひたひさんにも色々お聞きしたいところがあるんですけれども、東部さんは1917年に生まれて1976年に亡くなっていて、戦争も経験されている時代ですし、この時代、現代と違って労働者階級の生まれというところもあって、いろんな自由じゃない部分とかもあったと思うので、そのあたりのことも少し教えていただけるとありがたいです。
今大地さんが説明してくださったとおり、東部ディトルズは1917年生まれて、時代を、ちょっと歴史があんまり得意じゃないんですけど、時代を整理すると第一次世界大戦が1914年から始まっていて、1918年までですね。
東部が1917年に生まれています。第一次世界大戦中に生まれた東部で、子供の時は失業者がたくさんデンマークでもっていたって、物不足に苦しんでいた時代でした。その1924年ですね、東部が7歳の時に戦艦機ですね、第一次世界大戦が18年に終わって、第二次世界大戦が始まる戦艦機の時に、1924年ですね。
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その時に東部の父親が失業してしまう。その時のことが、子供時代の中では父の失業というのがまた大きなテーマとして描かれています。そして1929年ですね、ウォールストリートの株価が大暴落するというのが、世界史上の少し重要な出来事があります。
その後、東部の人生を振り返ると、1931年ですね、ウォールストリートの株価が大暴落の2年後ですね、献身礼を受けます。献身礼を受けたところで、子供時代、一作目の子供時代は終わるんですね。
献身礼を東部に受けさせるために、お父さんお母さんがいかにお金の面でも準備の面でも、すごく無理をしてきたか、それだけ子供のことを毒親っぽく描かれている面もあるんだけれども、そんな親でも子供のことをすごく思っている面もあったんだなという両面が描かれていて、献身礼を貧しい中で受けさせてくれたということが、子供時代の最後には描かれています。
その後、子供時代の後、青春時代というので、東部が献身礼を受けた後、1932年にメイドとして働き出すところで、青春時代が始まります。
大地さんが説明してくださった通り、1937年に東部が、我が泣き声という詩で、野生の小麦でデビューします。
その2年後の1939年に第二次世界大戦が始まり、それと同じ同年の1939年に東部は、刺繍少女の心でデビューして、第二次世界大戦が始まった年に詩人として作家デビューしています。
そしてその翌年にデンマークはドイツに占領されるんですね。
デンマークはドイツとくっついていて、北にあるんですけれども、とても小さな国ですので、一晩にして占領されてしまうという状況ですね。
ここから具体的に作品紹介を入っていきたいと思います。まず藩本美鈴処方様のホームページから持ってきたあらすじをお伝えしたいんですが、読み終わった後、この美鈴処方さんのあらすじを読むと、めちゃめちゃまとまっていて、多分感動すると思います。
すごいですよね、これね。この作品ですね、ぜひ読んでいただいた後、裏描写にも同じ言葉を載っていますね。見ていただけたらなと思います。じゃあいきます。
生前も死後も、デンマークの庶民から、トーベは私だと共感を持って読まれ、愛され続ける詩人・小説家、トーベ・ディトルセン。1917年生まれ、1976年没。
コペンハーゲンの貧しい労働者地域、ベスタブローチ区に、寡婦で文学青年クゼルの父親、美人で気まぐれな母親、美男で内向的な兄の妹として生まれた。
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母の女の子として育てられる中、真の安らげを得られるのは、父が退出にしている本の中にいる時だけだった。トーベは決意する、私も詩人になる。子供時代の話ですね。
次が青春時代です。高校進学を諦め、メイドやタイピストの仕事を転々とする生活が始まる。憧れの恋愛と求める愛の間で揺れ動く日々。
そんなある日、子供の頃からノートに書き溜めていた詩の導きで、文芸師・野生の小麦の編集者・美豪Fとの運命的な巡り合いを果たす。
次が三部作最後の結婚読ですね。
詩集出版の夢が叶い、作家としての道が開かれていく。だが有名になりにつれ、詩的な生活は混乱を増していく。
四度の結婚、薬物依存、トーベは自滅へと向かっていく。
自らの経験のすべてを題材として、女性のアイデンティティを巡る葛藤をオートフィクション・乾燥期として世に出したトーベ。
自分に正直にあろうとする人間の生きる難しさを文学と人生で表した。
ナチスドイツの影が迫り来る時代のコペンハーゲンを舞台に描かれる記念碑的三部作を一貫にして贈る。
というのが刃元からのあらすじでございます。かなりしっかりしたあらすじで。
私もこれミス・ジョボウさんに私が紹介して持ち込みという形で出してもらったんですけれども、
もともと他にキノコの慰めっていう本をミス・ジョボウさんで翻訳させていただいて、
編集者さんのことを知っていたんですけれども、作品の内容について掴む。
作者がどういうことを伝えたいのかっていうのを掴むのがすごい上手な編集者さんだなと思って、
編集者さんにお願いしたんですけれども、この本を訳していて、私は自分は東部だって思ってたんですよ。
入り込みすぎちゃって、東部は私だって思ってたんですよ。恥ずかしいんですけど。
この帯のところの背の部分に東部は私だって書いてあるんですけれども、
大きくトンと書かれてますよね。
よくぞその言葉を寄り抜いて背の部分に使ってくれたなっていうのがすごい衝撃を受けて。
帯のことは平西さんからじゃなくて、編集者の方が考えていただいたんですね。
そうです。そのレジュメとかでこの東部のブームについてまとめていたんですけれども、
デンマークの人たちっていうのはもう50年以上経ったこの作品について、
特に新鋭の作家さんですね、オルガラウンさんとか若い作家さんが東部作品を読み直して、
またフォーカスを当てて彼女の詩とか短編とか面白い作品というのを寄り抜いて一冊の本を出したりしたんですね。
またそういう新しい作家さんたちが若い人たちがこの古い作家なのに、自分と同じだなっていう風に東部のことを思って、
むしろ私は東部なんだっていう風に自己を投影していたんですね。
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私もこの東部の作品を訳していって、自分と同じだった。
私も日本っていう離れた文化も全然違う国で、もう50年以上経ってるのに、自分は東部だって思えたっていうのは、
多分それが文学の価値というか、私も一緒だった。文化が違っても私もそう思ってたんだよ。
分かる。でもそれをこの人が言葉にしてくれたんだって思えるっていうのが、文学の面白さだと私は思うんですね。
編集者さんもこのまとめてあるのって、すごい気持ちが乗ってるなって私はすごい思って。
とっても素晴らしいまとめをしてくださって、そのオピンのところもすごい良かったし、
その本を出来上がった後ですね、メールとかでやり取りをしたりするときに、本が出来上がって、
この編集者さんはもう長く働いている方で、ベテランの方なので何冊も本を作ったことがある方なんですよね。
もちろん編集者さんって年に何冊も本を作るじゃないですか。
ミスズ処方さん、丁寧に作っていらっしゃる出版社さんだと思うんですけど、そういう編集者さんが、たぶん彼女の中にもトーベが乗り移ってたと思うんですよ。
それでこの本が出来上がった本を枕元に置いて、大事にしたいっていうふうにメールに書いてくださったんです。
ちょっと文法が違ったかもしれないんですけど、本当に少女みたいなことを書いてらっしゃって、
それってトーベの青春時代の中で、トーベが初めての詩集を出版した時の気持ちが描かれているんですけど、
まるで編集者さんもトーベになったみたいに、その本が出来上がったことを少女のように喜んでくれたことがすごい嬉しかったなって。
またそれがトーベの作家としての力だなっていうのをすごいその時感じました。
例えばその青春時代の256ページのところに、トーベが初めての詩集を出版した時の気持ちが描かれているんですね。
なんかそれが私の気持ちと編集者さんの気持ちとトーベの気持ちが一つになったような気がして、
この256ページの初めての詩集を出した時のやつってちょっと読んでみてもいいですか、ここで。
青春時代の最後ですね。
ある晩、家に戻ると机の上に大きな包み紙が置いてあった。私は震える手でそれを開けてみた。
私の本だ。私はそれを手に取り、これまで感じた。
彼女の感情とも似ていない大細かな幸福を感じた。
トーベ・ディトゥレス演作、少女の心。もう戻れやしない。やり直しもきかない。
私の運命がどこに向かおうと、居合をなくこの本はこの世に存在し続けるのだ。
私は本を一冊開け、通譯を読んだ。
印刷されたその詩は奇妙に遠く他人のものに思えた。
もう一冊開けてみた。全部の本に同じように印刷されているとは思えなくて、でも実際は同じだった。
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ひょっとしたら私の本は図書館に収蔵されるかもしれない。
詩を密かに愛するどこかの子供がいつかこの本を見つけ、私の詩を読み、周囲の人たちから理解されない保有の感情を抱くのかもしれない。
そして私はその奇妙な子供と決して知り合うことはないのだ。
その子は私が他の人たちと同じように働き食事し眠る生身の若い娘だとは考えないのかもしれない。
私は子供の頃本を読んでもそんなことを考えたこともなかったから。
本を書いた人の名前も覚えていることは滅多になかった。
私の本は図書館に入り、さらに本屋さんの賞文堂に並べられるかもしれない。
500部がすられ、そのうちの10冊をもらえたので、490人がそれを買い読んでくれることになる。
ひょっとしたらその人たちの家族もそれを読み、また他の人に貸すかもしれない。
黒牛が私に本を貸したみたいに。
美好Fに本を見せに行くのは明日まで待とう。
本屋は一人、この本と過ごしたい。
私にどれほどの奇跡が起きたのか、誰も真に分かりはしないのだから。
初めての刺繍が出来上がって、その本と一緒に今夜は過ごしたいというふうに東部は思ったんですね。
その気持ちを編集者さんも同じように何冊も出している編集者さんが感じて、東部が乗り移ったんだと思って。
すごいびっくりして、ピュアな気持ちになったんだなと思って。
あとは本というものの価値っていうか、
昔は一つの本を印刷されて、500冊も同じ文章が印刷されているというのは東部は信じられなかったという気持ちがあって、
本というもののありがたさとか価値っていうのが、特に青春時代を読むと感じられて、みずみずしい気持ちに私も訳していってなりました。
分かります。私ここを付箋してますね。
ここはだいぶ感動しましたね。
本を出された人とかはかなり気持ちが乗るところかもしれないなと思いましたし。
今の時代、なかなかなくなりつつある気持ちかなと思います。
そうですよね。この周囲の人たちから理解されない、こういうの感情を抱くのかもしれないってところにすごい気持ちが動かされて、
自分もやっぱり幼い頃読んだ本とか、それこそ書いた人が自分と同じ生身の人間だっていうのをイメージすることさえもできなかったし、こういう感情を抱いたことを覚えてますね。
もうちょっとひかりさんにお聞きしたいところは、今これは本当に昔に書かれた本。デンマークでは昔に書かれた本ですけれども、現在結構この東米フィーバーというかまた英語圏で結構ブームになっているというのが役者あとがけにも書かれていましたけれども、このあたりお伺いしてもいいですか。
東米ジツルセンの作品が世界で今東米フィーバーと呼ばれるブームになっていると、今ご紹介いただいたんですけれども、確かにおっしゃる通り、この今回の3部作っていうのは今からもう50年以上前に出された作品で、1作目の子供時代と青春時代は1967年に出されていて、
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そして3作目の結婚読は1971年に出版されています。
なのに、時を経た2019年にコペハーゲントリロジー3部作というタイトルで、世界最大の出版社の一つとされるペンギン社から英語版が出版されて、そこから東米人気っていうのが世界にどんどん波及していきました。
それで翻訳をされて、ニューヨークタイムスのその年の今年の10冊に選ばれたり。
あとはニューヨークタイムスだけでなくて、イギリスのガーディアン誌やテレグラフ誌といった新聞誌でも、すごく絶賛されました。
私もこの英語圏にこの作品を紹介した翻訳者さんとお会いしたことがあって、
デンマークでコペハーゲンで2年に1回くらいですね、翻訳者を招いて、デンマークの文化庁というところが世界の翻訳者、デンマーク語から各国語に訳している世界の翻訳者を招いてですね、翻訳者セミナーっていうのを行っているんですけれども、
その場所で翻訳者の方とお会いしたんですね。
その時にまだペンギン社から翻訳が出ていない、たぶん1年くらい前の段階だったんですけれども、東米鉄路線の作品がなんとペンギン社から出るんだよっていうのを、パーティーのところでアメリカの翻訳者さんがお話をされていて、
その時に私も東米鉄路線の作品はもちろん大学で、大阪外国語大学というところで私はデンマーク語、ドデンマーク文学を勉強したんですけれども、その中で教養というか文学史の中の一つとして東米鉄路線の作品ですね、小説とか短編とか詩は読んでいて、
お知識としては知っていたし、読んだこともあって印象に残っていたんですけれども、その英語圏でペンギン社から出るっていうのと、その翻訳者さんのテンションの高さというか、その方自身も詩を書いている方なんですけれども、東米っていうのはすごい素晴らしい作家なんだっていうのをすごく熱を持ってパーティーでお話をされていて、
その周りにいたロシアだったと思うんですけど、ロシア人の教授、文学の教授の方もいらして、翻訳者として参加していた。その方も東米について親しみを持って話をしてるんですよ。東米ってどんな人だったっけ?みたいな感じで私が質問をして、読んだのが結構前だったので、
そうした時に、アメリカ人の翻訳者さんとロシア人の翻訳者さんが東米の人生を思い出しながら、微笑みながら、東米っていうのは本当に困った人っていうか、あらゆることで失敗をした作家だったんだよね。激動の人生を送った人だったんだよね。
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まあ、離婚も失敗と言っていいのかわからないけど、離婚も経験して、薬物中毒にも仕入り。あらゆる人生の挫折、失敗っていうのを味わったあの方なんだよっていうのを、すごい親しみを持って話しているのを見て、すごく魅力的な作家なんだろうなって、その時に思った。ぜひもう一度読んで取り組んでみたいなっていうふうに思ったのが、そのパーティーでのお話がきっかけでした。
なるほど。翻訳が魅力的に語ってくれた人のテンションがかなり熱量があったっていうことですよね。
それで、やっぱり誰かが、ネットワークみたいなのが結構翻訳者の中であるので、あとそのデンマークの文化庁さんもそういう情報を、翻訳セミナーを開いたり、あとはネットとかで情報を発信したりしているので、英語圏でこれだけペンギン社から出てすごくブームになってるよっていうのは、他の周りの翻訳者、いろんな国の翻訳者さんも多分知ったと思うんですね。
その後にイタリアとかいろんな国でどんどんどんどん翻訳がされていきました。
その日本は比較的その中で遅い方だったんですけど、幸い紹介することができたんですね。
東北フィーバーが日本にまで広がったんですね。フィーバーとまでまだなってないと思いますが、紹介はできたという感じですね。
英語圏ですごい評価されてるっていうのが、時代がそうですね、結構経ってから評価されてるっていうのですごい気になってましたし、やっぱりちょっと前に発表されたニューヨークタイムズの21世紀のベスト100にも入ってるっていうぐらいね。
リスト見ましたけど、あれは入ってないんだなとちょっと思ったりした本もあったりしたんで、その中に確実にランクインしてるっていうのはやっぱすごい本だなと改めて思いました。
東北、この時代的なもので言うと、労働者階級の出身っていうところかつ、女性がしかも10代ですもんね、最初ね、詩を書き始めたのが。
女の子が支持になるっていうところ、支持を目指すというところって結構その当時のからするとなかなか一般的ではなかったかなと思うんですけども、この辺りのこともちょっとお伺いしてもよろしいでしょうか。
ドム時代の中で、東北が詩のノートにこっそりと詩を書き溜めていたんですよね。それをお兄さんの兄のエドビンから見つかってしまって、その書かれていた詩がすごく大人っぽい内容だったので、女心を謳ってるようになったりしたので、
お前は嘘ばっかり書いてるなみたいな、当時から何が現実で何が虚構なのかわからないような現実と空想が入り乱れたような作品を詩でも書いていたんですよね。その時はまだ少女、子供だったのでこんな大人っぽい詩を書いて、エドビンに笑われちゃうっていう場面も出てくるんですけれども。
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あとは周りの男性では父親が身近な存在でいましたけれども、父親からは東北が詩人になりたいっていうのを聞いた父親が、女の子が詩人になれるわけがないだろうって大それた夢を見るんじゃないっていうふうに言われるんですね。それが東北の作品の中でかなりよく知られている代表的な場面なんですね。
当時はデンマークではもうすでに女性作家は出てはいた。カレンブリックセンとかイサクディネセンの名前で日本でも知られていて、アフリカの日々やバベットの晩餐会などで有名なカレンブリックセンは彼女よりも上の世代でしたし、女性作家がいなかったわけではないんですけれども、カレンブリックセンの場合は貴族の家計の手でお金持ちだったんですよね。
でも東北テトルセンっていうのは労働者階級出身で、まだその労働者階級で女性でっていう作家で大きな成功を収めて作家っていうのはその当時はいなかったのではないかなと思います。
なので、労働者階級の女性の視点から描かれた作品っていうのが出てきたっていうのは大衆にすごく熱烈に受け入れられていて、ようやくそういう立場の人が描いた作品っていうのが出てきたなっていうので、熱烈にデンマークでも支持をされました。
あと当時は東北テトルセンは主婦というか家事をしながら、育児をしながら物を描いていたっていうので、そういう姿っていうのをインタビューとか記者さんにインタビューされたときに積極的に写真に撮ってもらったんですね。
自分が家事をしている姿、お鍋でお鍋をかき混ぜているところとか、洗濯をしているところ、子供たちの世話、子供と一緒に過ごしている、子供に手挙げているとか、そういう主婦としての自分っていうのをすごくメディアの前で露出したんですね。
だから子育てしながら家事をしながら物を描く女性っていうのを読者に印象付けました。
当時は、かといって東部は結婚読に書かれているように、31歳年上のビゴ・エフミリアという編集者さんと結婚するんですね。
それっていうのは、東部自身最初就職したときにメイドとして働いていたりして、女性っていうのがすぐに作家になれるっていうか、自分の力だけで作家になれる社会の中でのし上がっていけると思ってなかったみたいなんですね。
なので、編集者さんという男性で、ある程度影響力のある男性と結婚したことで、自分がデビュー、もちろん本を出せたっていうのが、編集者さんの力があったっていうのは思うんですね。
彼女は、女性っていうのがなかなか社会の中で認められないっていうのは、もとから自分の労働者階級として育ってきた環境の中でも当たり前のように、そういう事実として知っていたんですね。
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なので、男性の編集者さん、年上の編集者さんと結婚して、本を出して、人気作家になっていくんですけれども、すぐに1903年程度で離婚してしまうんですね。
その後も、大学生の美少年と結婚したりとか、医師と結婚したりとか、結婚と離婚を繰り返すんですけれども、
そういったところからも、当時女性っていうのが体制するのがなかなか難しかったって、必ず社会の中心の男性の手助けがある程度必要だったっていうのは読み取れるかなと思います。
当時は、70年代は特に女性解放運動っていうのが、デンマークではすごく盛んでした、そういう時代背景があったんですね。
今50年以上経った今でも、その東米は私だっていうふうに、若い作家さんが思うくらい、東米まで愛され続けているんですけれども、
第二次東米ブームっていうのが起こったっていうことですね。
それが、例えば2016年では、東米の人生をテーマにした舞台っていうのが、東米、東米、東米っていうのが王立劇場で崩壊されたり、
あとは壊れる東米という短編アニメも作成されて、注目を集めました。
なるほど。第二次東米ブームみたいなところっていうのは、これはどうしてというか、そういう映像が撮られだし、ずっと多分東米のことを好きな。
映画も大きいですし、あとは。
なるほど。多分東米を好きな方々がいて、やっぱりその人たちが何かこう作品を作ったりとか、東米に関する発信をして盛り上がっていったみたいな感じなんですかね。
オルガラウンっていう、新鋭の女性作家がいまして、その方が東米ディトルセンの詩や短編の面白いところを切り取って集めて、東米の作品集みたいなのを作ったんですね。
それも大きな東米ブームが起きる、リバイバルが起きる大きなきっかけとなりました。
そこの火種というか、着火した人がいるわけですね。
あと他にも、現代女性作家の中でトゥープラムペックというすごく人気のある作家さんがいるんですけれども、その方が結婚読の真相版がまた近年出されたんですけれども、そこで人気のある今の作家さんが前書きというか説明を書いたんですね。
そのことも今の人たちが、東米っていう作家がいたんだ。もう一回読んでみようかって思ったきっかけでした。
トゥープラムペックはその前書きの中で、自分は10代の時に東米の詩集を読んだんだと。
その東米っていうのはすごく孤独な人で、それでも人を愛そうとした方で、その時に東米はまるで鏡に映した自分のようだなというふうに10代の時に感じていて、すごく衝撃を受けて、そこから文学の世界に自分自身のめり込んでいって、作家になったんだっていうのを前書きの中で書いて、今の人たちに東米を読んでみようと思わせるきっかけになりました。
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なるほど。この現代の作家のレコメンドがあって、またあってというところもあるんですね。
そうですね。川上芽子さんとか西唐子さんとか、たくさん人気の作家さんいますけど、そういう日本で位置づけの作家さんがすごく心を込めて、やっぱりレコメンドすると、若い人たちも読んでみようというふうに思うんですよね。
なるほど。確かにそうですよね。影響力大きいですよね。
そうですね。あとはテーマっていうのも、デンマークっていうのは女性の権利が確立されている国というふうに知られているとは思うんですけど、北欧ってとくに。それでもやっぱり完全に女性と男女が平等ではないって現地の人たちは思ってるんですよね。
海外向けにこの北欧ってこうだよっていうのをアピールするときは、すごく理想の国みたいな感じで紹介されることが多いんですけれども、実際に現地に住んでいる人たちは、いろんな問題点とかもっと良くしたいっていう気持ちってもちろん生活していると出てると思うんですね。
今、デンマークで暮らしている女性も、やっぱり女性としての生きづらさっていうのはすごく感じていると、いまだに感じているようですね。
例えば子育てについても、トーベは子供を育てながら作家生活を送っていて、子供が遊んでって泣いてる中でタイプライターで打ちながら作品を作っていたっていう場面が出てくるんですけれども、
子育てをしながら働くことの苦しさとかいうのも、この作品の中のテーマになっているんですけれども、今のデンマークの女性たちも同じように、子育ての責任っていうのは、いまだにやっぱり女性がどうしても主に背負いがちだっていうのは感じていて、
子供を保育園で預けながら長い時間、日本よりも労働時間は短いですけれども、働きながら子育てすることの苦しさっていうのはすごく感じていて、そういうところで自分自己を投影できたっていう効果不効果っていうのはあったと思います。
トーベさんの特に結婚取り婚のところは、繰り返すところは、すごく大胆だなと思って読んでいたんですけども、でも実際当時の女性の置かれている立場とかですね、あと主人としてやっていきたいっていう、そのためにはどういう生活を送らないといけないかとかっていうのを考えていくと、肌から見ると大胆だなと思ってはいたんですけども。
破天荒ですよね。
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やはり女性で作家になりたいという方とかそういう方から見ると、でもトーベさんのその気持ちってすごくわかるっていうですね、そういったところがあるんだろうなっていうのはすごく話を聞いていて思いましたね。
トーベは例えば子供に手作りのおやつとかケーキを焼いて作ってあげるみたいな、すごく家庭的なママっていうのではなかったみたいなんですよね。
どっちかと言えば、女性らしく振る舞うっていうか、手仕事をしたりとか料理をしたりっていうのはあんまりすごい好きなわけではなくて、でも時代の中で社会の中で結婚して子供を育てるっていうのが女性としての生きる道なんだっていうのをすり込まれていて、そういう人生を送りながらも、
自分の中では実は子供の世話を、子供のことを愛しつつも子供の世話をすることよりも、物を書いていたい、タイプライターに向かうっていうのに熱中していく自分っていうのも、そういう作家になりたい、作家として体制したいっていう気持ちも両方持っていて、
そのことに関して自分はいいママになりきれないとか、親になりきれないっていう罪悪感っていうのを覚えていたっていうのが作品の中に現れていて、そういう部分がやっぱり現代のデンマークの人たちも女性たちも共感できたんじゃないかなと思います。
本当そのあたりはいろいろ考えてしまうというか、読んでても書くことに対しての執念というか、気持ちの強さみたいのは感じるシーンってのがいくつかあって、例えば、B5Fとの結婚生活の中で朝5時に起きて、彼が起きるまでの間に小説を書いていたエピソードがあったと思うんですけど。
結婚読の最初ですね。261ページのとこです。
すごい、すぐ出てくるのがやはりすごいなって思うんですけど。そこを読んでて、やっぱりこれって本当に何か創作に対しての思いがないとできないことだなと思って読んでいて。
そんなことをしないふうに果樹を始めるわけですもんね。夫が起き出してくると。そのあたりもやっぱりすごい胸を打たれた部分でもありますし。
嬉しい。実はここを主役を作った。作品を出版したいって言って、美鈴書房さんに持っていくときにレジュメっていうのを作るんですけど、あらすじをまとめて一部の主役を作るんですね。
そのときにここぞというところを主役を作るんですけど、サンプルトランスレーションを作るんですけど、そのときに選んだのが実はこの章だったんですね。
なるほど。
そう、勝負の章っていうか、翻訳者としてここは絶対訳したいって思う章だったんですね。ここを見てくださいっていう思う章でした。
なるほど。じゃあ元々ここの翻訳はひたにさんの熱も乗っていた箇所なんですね。
そうなんですね。ちょっと読んでもいいですか。すぐ読んで。
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私好きです、ここ。
じゃあ行きますね。261ページの結婚読の始め、出だしの部分。261ページの部分をちょっと今大地さんが紹介してくださったところちょっと読ませてください。
リビングは何もかもが緑だった。壁も絨毯もカーテンも。私は絵の中の人物みたいに常にそこにいた。
毎朝5時ぐらいに起き、寒さで思わず足の指を縮こまれながら執筆に取り隠ろうとベッドの隅に腰掛ける。
5月ももう半ばだったから暖房をつけていなかった。
B5Fが長らく独身で他人と同じベッドで眠るのに慣れなかったので、私は一人リビングで寝た。
彼の気持ちもよくわかったし、私にとっても都合がよかった。
おかげで早朝の時間を思う存分一人で過ごせるのだから、私は初めての小説を書いていた。
でもB5Fには内緒だ。
知られてしまったら文芸師、野生の小麦の若い作家たちにするみたいに直しを入れたり、下り顔でアドバイスしてきたりするのに決まっている。
そんなことされようものなら、頭の中を一日中駆け巡っていた文章の流れが止まってしまう。
私はいつもクリーム色のザラシに手書きをする。
国立博物館で展示されていそうな彼の古臭いタイプライターを使うと、うるさくて彼を起こしてしまうから。
中庭に面した寝室で眠る彼を起こすのは8時になってからだというところですね。
その後、眠っていたB5Fが起き出して、そのB5Fに朝食を用意する場面。
B5Fを出勤するところを送り出す場面が描かれています。
めちゃめちゃ印象に残ってまして。
もともとこのB5Fにいろいろ紹介してもらって詩を出してという流れがあったはずだと思うんですけども、
このB5Fにさえも内緒で書きたいみたいな。
理由なんかはちゃんと述べられてはいるんですけれども。
やっぱり編集者さんなので、若い作家さんとか詩人を支援する立場でアドバイスをするような立場の方で、
でもそのB5Fに今小説を書いているっていうのがバレてしまったら、
また他の若手作家にするみたいに下り顔でアドバイスされるに決まっていると。
そうするとB5Fがいない仕事に行っている間に、一人で考えていた、
温めていたアイディアっていうのが思考が全部一気に飛んでしまうと。
そんなことをされたくないからB5Fには内緒にしていたっていうのが書いてあって、
創作への情熱と自分自身の作家としての才能っていうのも知っていたんだなというか、
自信を持っていたんだなというのがこの部分から読み取れますよね。
確かに。B5Fに依存していないって質問で。
そうですね。B5Fのことを編集者として尊敬していた部分っていうのはおそらくあったと思うんですね。
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B5Fが昼間会社勤めをしながら、それでお金を稼いで、
それでその手弁当で彼は若い作家さんや詩人がデビューできるように、
野生の小麦っていう文芸誌を運営してたんですね。
彼が自分でお金を出して手弁当でやっていたので、利益をそんなに出ていなかったと思うんですね。
そういうB5Fが詩とか文学っていうものをいかに愛していたかっていうのが、
当部はすごく知っていたと思うんですね。
その編集作業をしている様子っていうのも一緒に暮らしながら見ていて、
健康をすごく大事に扱っている様子、宝物みたいに扱っているっていうのを当部は見ていて、
そういう編集者としてのB5Fの尊敬のねっていうのもありつつも、
今読み上げたところの後でB5Fの様子をちょっと太っていて、
年配で二重顎でみたいなそういうB5Fの様子をちょっとおかしく描いているとか皮肉っぽく描いている部分もあったりして、
夫としてのB5Fについてはちょっと皮肉っぽくブラックユーモアを交えながら描いているのが結婚読ですね。
なるほど、確かに。
B5Fについてはちょっと話みたいなっていうところだったんですけど、
結構この人物像が何というか、この三部作読んだ中だと一番つかめなかったのは私実はB5Fなんですね。
そうなんですね。
というのはその青春時代のB5Fと結婚読、結婚して離婚してその後また会うことはないけれども、
話の中に出てくるB5Fっていう人物が結構このいろんな面を持っていて、
ちょっとここは気になってるので、
ちょっと後で、そうですねここは少し後で話したいなと思います。
ストーリーの後に、確かにちょっと今話し当たるかもしれないんでちょっと後に入れたいと思います。
改めてちょっとストーリーをですね、三部作流れに沿ってちょっとお伝えしたいと思います。
まず子供時代ですね。これがやがて国民的な作家になる東部の幼少期が描かれます。
5歳あたりから献身令まで描かれるのが子供時代になっています。
なので14、15歳ぐらいまでの時代が描かれますね。
一家が描かれますね。社会主義者の父、どこか厚かましい母、自分勝手な兄と暮らしている東部という形になっています。
7歳の時でしたかね。お父さんが失業してしまって結構家庭に暗い影を落としている。結構ギスギスしている感じになってきますね。
そんないわゆる労働階級という意味でありながら、詩を書く喜びに目覚め、詩人を目指すようになっていきます。
ただ、詩人になる道として出版関係の人と出会うことが叶ったんですが、
この詩を自分が書いた詩をですね、その人に見せた時に子供の詩だねと評価されてしまって、その場では何もなかったと。
ただ、2、3年後来なさいと言われて、希望を生み出しながら彼女は過ごしていきます。
そして、わずか13歳で働きに出て、その中で出版関係の人の不幸を新聞で見て絶望するというところが描かれていたりします。
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その後、青春時代、2部目ですが、ここでは働きながら、紆余曲折を経て自身の詩集を出版するまでが描かれていきます。
14歳から働き始めた遠部ですが、職を点々としますね。家政婦だったり、印刷所の事務、職なんかを点々としていきます。
その中で描かれるのは、女性という立場の悪さ、かなり労働的に立場が悪い状態で仕事をさせられていました。
印刷所で出会った同じ同僚の男の子とデートもしていくんですが、この辺りは恋の辺りも描かれていきます。
最終的に、野生の小麦という文芸詩を出版している美郷Fミラーという人物と知り合うことになり、そこに彼女の初めての詩が掲載されます。
これにより評価も得ていきます。この美郷の計らいで、彼女の初の詩集が刊行するというところになります。
そこでちょっと青春時代という話は終わっていきますね。
最後、結婚読。これがかなり内容的にはハードなんですけれども、7日となって美郷Fと結婚した遠部なんですが、結婚生活がなかなか安定しないというか、うまくいきません。
その結果、いろいろ話している通り、3度の離婚と4度の結婚を経験し、そして3回目の結婚ですね。
ここでは薬物中毒も経験してしまい、かなり苦しい体験というのが描かれていきます。
まず1人目の結婚相手、美郷なんですけれども、これが結構30歳以上年上で、そもそもずっと独身を貫いていた美郷と遠部は結婚するんですけれども、
この美郷との結婚生活というのは、かなり思い描いていたものとは違っていたというところですね。
美郷に隠れて少数執筆するという遠部。さっきちょっとお話になったところですね。
そんな折、誘われたパーティーで、エッペという結構美男な大学生と出会い、恋に落ちます。
エッペと関係を持つようになり、美郷と離婚して、エッペとの間に子供を授かります。
でも、ちょっと子供を妊娠したせいでというか、出産したせいでとか、そのあたりでエッペとの生活も思うようにいかなくなっていきます。
そんな中、またちょっと新しい男性なんですけど、カールという医師と出会い、また結婚します。
この時にカールは遠部に痛み止めとして、ペチジンという薬を投与したりするんですけども、それが遠部を薬物依存へと導いていきます。
結果的に、そんな生活から救ってくれた男性が、ヴィクターという男性で、ヴィクターと結婚して、薬物依存から少しずつ回復していくというところが描かれていき、
そして、そんな中でもどんな場面でも、トーベは薬物依存の時、ちょっと頭がはっきりしなかったりとかいうところがあるんですけれども、しあしょうすを描き続けていくという姿が描かれていく三部作となっています。
すごい大枠で、結構駆け足なんですが、かなり細かい話が先ほどから出ているようにあって、トーベという人物を読み手はかなり身近に、それこそ自分自身に重なるぐらい感じるような作品になっています。
なかなかのボリュームの話で、あれですよね、登場人物がすごい多いんですよね。
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この今のストーリーの紹介では触れていないんですけど、トーベは本当にたくさんの男性と出会いました。
ピート・ハイン、ピート・ハインです。
あ、そうですよね。今飛ばしちゃいましたけど、えっぺとの前にね。
編集者のビゴ・F・ミラーと結婚しているときに、ビゴ・F・ミラーはトーベが30歳年下だったのもあって、
若い芸術家、他の詩人とかと作家と交流があった方がいいんじゃないかっていうふうに、親心的な編集者として思ったんですね。
若き芸術家たちのクラブっていうのを、ビゴ・F・ミラーがよかれと思って結成してくれたんですけれども、
そこに出入りし始めて、そこで出会った詩人のピート・ハインと。
ピートはひどい人物ですよね。その後、結局トーベを捨てられてしまって。
ピート・ハインはすごい才能にあふれている詩人だったんですね。
潔気盛んというか、若者で自分の才能っていうのをよくわかっていて、
そういうピートは、年長の編集者の奥さんであるトーベと不倫をしながら、ビゴのことをすごい批判するんですね。
他の若い詩人や作家たちは、ビゴにすごい感謝してたんですね。
自分たちにチャンスをくれた編集者だから、だからビゴの周りに色んな作家たちが集まってきていたし、
会合に顔を出しながらも、ピートはすごいトーベにビゴの悪口を言って、
あいつは自分に才能がないのに、その才能のある自分たちにパラサイトしてるんだ、とか言ったりして。
そう言われた時に、トーベはピートと不倫しながらも、ビゴ、そういうこと言うのやめてって。
もう気分が悪くなるからやめてちょうだいっていう場面とかも出てきます。
自分が書く人からすると、もしかしたら編集者って自分が書く才能がないくせにっていうふうに見る人ももしかしたらいるかもしれないけれども、
同時にそういう他の人の才能を、こういう部分がすごく光ってるっていうのを見出して、
こういう文章が素晴らしい、こういうところが素晴らしいっていうのを世に送り出す、手助けをする人っていうのもやっぱりどうしても必要だと思うんですね。
そのことをトーベっていうのは、ビゴのことを散々辛辣に書きつつも、彼に対する編集者っていう職業に対するリスペクトっていうのもすごい持っていたんじゃないかなと思います。
そうですね、わかります。ちょっとさっきビゴの人物像のところを話したくて、ちょっと止めたとこあったと思うんですけど、
私はやっぱりビゴが一番掴みきれなくて、自分の出している文芸誌とか詩とかを大切そうにノートに切り張りするシーン、
トーベの視点から描かれると思うんですけど、結構感動するシーンだなと思っていて、
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そういう文系というか文学とか詩とかそういうものにすごく愛情を持って、もちろんこだわりとかもって接してるんだなっていうのはすごく感じる人物なんですけれども、
ただやっぱり結婚する前、結婚した後、離婚してしまった後みたいなところのビゴっていうのが結構なかなか同一人物に見えないっていうか、
もちろんね、ビゴとトーベの関係っていうのが常に変わり続けているので、
ビゴにとってトーベってなんだったんだろうなっていうのはすごくわからなくて、すごくそこは結構読み解ききれなかったというか、気になったまま終わってしまったかなっていうところはちょっとあるんですよね。
トーベ地点のビゴっていうのはすごくいろいろ、言い方あれですけど振り回しちゃってるし、かなりひどいことをしてると思うし、逆にでもなんかそこもちょっとわからなくて、トーベからすると夫ということを置いておいたとしても、
自分の刺繍を世に出してくれた人、一番最初に出してくれた人でもあるわけで、ここの関係が上手くいかない感じっていうのは不思議だなと思っていて、離婚してもエッペとは上手くちょっとやってる感じはするじゃないですか。
娘がいるからっていうのもあるかもしれないですけど、その辺のギャップもちょっといろいろ気になって、ビゴ側からするともうとんでもないことをされて、実際にトーベの作品を理由をつけては批判するような方々ってビゴ側の人間っぽい感じで出てくるじゃないですか。
そういうのも含めると、それは当たり前かなって言い方ですけど、ある流れだろうなと思うんですけども、ちょっとこのトーベとビゴの関係っていうのは結構どういう結びつきでどういう離れ方があってみたいなのがあんま読めなくて、ちょっとなかなかここが私は読んでいてもやっとしたとこではあるかなって実は思ってました。
確かにトーベのサイドを買っていたっていうのはよくわかるじゃないですか。結構離婚した後もトーベと一緒に出そうと思ってた本を続けて出版に手を貸してあげたじゃないですか、ビゴは。
そういう部分も持っていて、男性として女性であるトーベをどういうふうに愛したのかっていうのは確かに描かれていなくて、もしかしたらそれがトーベ自身もわかってなかったのかなって私は思った。
その部分が2人の間で、もしかしたら編集者と作家、新人作家としての敬愛の感情というのがお互いにあったけれども、それが夫婦としての愛情だったのかっていうのが彼女自身もどう思ってたのかなっていうのがクエスチョンマークがつきますよね。
ちょっとここは、もしかしたらこのビゴ側のストーリーっていうのがいろいろあるのかなと思いながら読んでましたね。
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編集者と新人作家さんとの関係って、恋愛に似た部分ってコンプライアンス的に引っかかるかもしれないですけど、もしかしたらあるのか。私も作家じゃないですけど、あるのかなって。
自分自身は作家になり、東部屋になりたかったんですよね、詩人に。それを見出してくれる人にようやく会えたって、ビゴと出会えたんだって、やっとこの人に会えた、この人に私は出会いたかったんだって東部屋は思ったわけですよね。
それって、編集者に会えて嬉しい、世に出れるって思った気持ちと、恋愛の高揚感でどこか、もしかしたら似てる部分があったのかなって私は思って。
でも離婚した後にちょっとビゴは東部屋のことを忘れきれてないっていうか、東部屋の仲間の若い作家さん、女性作家さんが東部屋と離婚した後にビゴの家に行って世話をしてあげてたじゃないですか。
若い作家さんとしては、下心というか自分も作家としてもっと活躍するためにビゴの世話をしてた部分もおそらくあったと思うんですね。
その時にそれでも東部屋のことをまだ忘れきれてないっていうか、めめしい未練があるような様子とかも描かれていましたよね。
ただビゴは東部屋に直接いじわるをしたりとか、東部屋の足を引っ張ることを彼自身がしてたような感じはしないんですけど、
周りの批評家さんとか書評家さんとかがいっぱいいて、大作家さんとかもいて、そういう人たちが東部屋が作品を発表した時にすごく東部屋の作品を批判してきたんですね。
書評の中で東部屋の作品を批判しているようでありながらも、感謝の心が感じられない作品に関して書いたりして、
この東部屋自身を揶揄しているような、編集者と結婚して世に出してもらっておいて捨ててっていうような私生活と混同しているような書評を書かれたりして、
そういう部分も東部屋が作家としてその後、美郷と離婚した後に対戦したいと苦闘してたと思うんですけれども、
そういう美郷の周りの人たちを敵に回してしまったことがまた、東部屋が破滅への道と向かうひとつのきっかけにもなっていたのかなっていうのが、結婚読のところで読み取れましたね。
男性目線の見方だなと思って、私も女性なので、あんまり美郷がどう思ってたんだろうって、あんまり思ってなかったら、東部目線で見てたので、すごい新鮮だなと思いながら伺ってました。
美郷はどう思ってたんだろうって思うんですね。
結婚読に関しては最後まで美郷っていう人物は何かしらちらつきながらいたので、気にはなりましたね。
なるほど、なるほど。
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僕は東部屋が結婚してるのに急に美郷の元からいなくなって、不倫相手と一緒に生活してしまってっていうところの感覚はですね、なかなかちょっとひどいことするなとは思いましたし、
美郷からすると急に消えて、久しぶりに連絡が来たと思ったら、もう離婚したいって言われたみたいなんですね。そんな感じだと思いますし。
美郷への同情票が2票投じられたみたいな。
やっぱりそれまでの東部屋のストーリーで、やっとこの詩を出せて詩人、作家になれて、やっと結婚をして落ち着いたと思ったらもうあっさり東部屋なんか違う生活をしようとしているっていうですね。
っていうちょっと美郷への同情もあったんですけども、そこもやっぱりいろんな東部屋にでも気持ちを重ねることもできますし、読み方がいろいろできるところだなって思いましたね。
なんか美郷のことは東米視点から描かれているものの、なんかもっといろいろあったんじゃないかなって思っていて、例えばなかなかいい歳になるまで結婚をしてないわけじゃないですか。
そうですね、生きる暮らしが長かったんですよね。
しかもいい方ですけどそれなりの立場の方なので、別に結婚しない理由がないわけで、ってことは美郷の何かに問題があって結婚できなかったのかなとか。
どうしても最初現れた時に私かんぐってしまいましたし、30歳年上の独身男性、今まで結婚したことない。
文芸に身を捧げているのかとかいろいろ考えはしましたけれども、でもちょっと何かあるんじゃないかなとかちょっと思ったりはして。
そのあたりももしかしたらいろんなところからちょっと感じ取れる部分もあったのかなとか思いながらちょっと読んでましたね。
トーベが結婚した2番目の夫、エッペは経済学、経済学でしたっけね、を学んでたりして、
そういうお金のこと経済のこと銀行とかそっちの方が堅い職業として安定してて、もしかしたら今以上に捉えられていた時代だったのかなってちょっと私は受け止めてたんですけど。
エッペは本当は文学が好きだったんですよね、2人目の夫は。
だから2番目の夫のエッペと結婚した時はトーベはもう人気作家だったんですよね。
インタビューとかも受けたりして、写真を撮られたりとかいろいろ新聞記事に取り上げられたりとかもしてる人気作家で、むしろトーベが学生だったエッペを養っているような状況だったんですよね。
そういうトーベに対してエッペはちょっとコンプレックスというか嫉妬しているような部分とかも結構描写されていたりして、
またエッペはトーベのことを応援しているようでありながらも批判してみせる部分もあって、この作品について、
例えば君はなんでディケンズみたいに描けないんだっていう場面が出てくる。
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面白かったですね。
君は現実をただアレのままに描いているだけ、それは文学じゃないみたいなことを、
彼は文学の素人というかプロの作家ではないのに批判してみせるというところは嫉妬と混じった感情みたいな。
だけど自分は経済を勉強しているという状況だったんですよね。
登場人物が法定式ばっかり解いていて、エッペの友達とかみんなこれはエッペのことが書かれているんだってわかってしまうっていう。
すごい怒ってるんですよね。
友達とかみんなその出てくる登場人物がエッペを重ねて書いているっていうのがわかって、
お前のことだろって言って笑われちゃうと。
で、エッペは怒って俺のこと書いただろって怒っちゃう場面とかも書かれてましたよね。
今日ちょっと行ったり来たりしながらいろんな話をしてきて、本当に何というか語るべきポイントの多い作品だなと思っていて、
最後、独語の印象のあたりを少し3人で話して、最後どんな人に読んでもらいたいかなみたいな話もできたらなと思っています。
じゃあちょっと私の方から。
今回改めて話してみて、すごく自分の中に小さな小さなフックがたくさん埋め込まれて、
東部という人生に自分を投影しながら読んでいたんだなと改めて思いました。
彼女が経験したってことは、あまり詳しくはストーリーでも話してないですけど、
薬物中毒のところとか私結構すごかったなって思っていて、そこから回復できて、回復しきれてないのかもしれないですけれども、
ただその後にこういう作品を残せるぐらいに力を取り戻していて、こういう作品を世に残してくれて、
現代である自分にまで届いていて、ひたにさんが訳していただいたおかげですけれども、届いていて、読めて、そして共感できているってやっぱり本当にすごいなって思いました。
子供時代、青春時代、結婚毒、それぞれ終わりぐらいに無性に感動するような、胸に迫ってくるようなものがあって、
やっぱりこれってもちろん彼女は途中で自分の死を選んでしまわれましたけれども、この人生ってやっぱり連続で、そして変遷があるんだなっていうことを、
日本語だと420ページぐらいだと思うんですけど、でもすごい読みやすい文章で、文体で展開で伝えてくれている本なので、本当に読めてよかったなと思っています。
人生を割と丸っとまではいかないんですけども、でも割と細かいところまで描いている作品なので、これ読むとちょっと自分の人生を振り返ったりすることができると思うので、
ちょっとそういうタイミングに差し掛かった人は、ぜひ手に取っていただけたらなと思います。
そうですね、やっぱり最後の結婚読の第3部の話が結構強烈でインパクトがあって、この時東部は人気作家にすでになっているんですけど、作品の中ではあまりそこに対して何かチヤホヤされたとかですね、
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人気作家らしい理想的な生活を送っているとかっていう、そういう話はあんまりなくてですね、どっちかというと人気作家になっているはずなのに結構苦しんでいる様子、薬物依存にもなってきますし、そういうのが書かれていて、
あとやっぱり東部は理解者を求めていたんじゃないかなと思って、常に子どもになっても大人になっても、そんな気はして読んでいました。あの結婚、離婚を繰り返すんですけども、恋愛感情もあると思うんですけども、
それ以上にその時その時、自分を理解してくれる人との出会いというか、そこに引かれているようにも感じました。今回の収録ではこの東部の家族についてあんまり話はしてなかったんですけども、結構お父さんお母さんも面白いキャラクターで、このお父さんお母さんだけでも30分ぐらいしゃべれそうな気がするんですけども、結構毒親で、
特にお母さんのキャラがもうめっちゃ強くてですね、最初に読んでいて東部は18歳で家出るって言ってて、18歳ぐらいで家族とは縁切るのかなと思いきやですね、なんだかんだあって大人になるにつれて特にお母さんと仲良くなっていくようなところがあってですね、仲良くなるというか、ちゃんと大人になってからもお母さんと話をちゃんとするというか意見を交換し合うとかですね、そういうところがあって、
なんかそのあたりとかも単純な見たてではないんだなと、なかなか複雑なところがあるんだろうなって思いましたし、すごく面白いところだなと思いました。
あの家族もそうだし、その東部が育った労働者階級の地域もそうだし、あと文壇で結構実名で本当にデンマークのいろんな作家さんとか、デンマークじゃないですね、イーブリンウォーも作中に登場したりして、実在の文学者たちが結構たくさん登場してきてですね、東部の話ではあるんですけど、その周辺にも面白い話がたくさんあって、
そのためすごいボリュームはあるんですけども、でもすごく読みごとがあって、面白い作品なので、これは何かもうそうですね、一人の人生を読むっていうところもそうだし、何かそのデンマークの歴史というと大袈裟ですけども、その街のなんていうんですかね、そのちょっとした空気感であったり、そんなのも感じれますし、その分断の空気感も感じれますし、そういったところも楽しめるので、結構幅広い人にお勧めかなと思っています。
じゃあちょっとこの我々二人の最後のコメントを受けて、ひたりさんから、もしどんな人に読んでもらいたいかとか、もしコメントバックとかあれば。
今日はありがとうございました。
1:09:01
こちらこそありがとうございます。
ありがとうございます。
この本を訳してから1年ぐらい経っていて、私も何かいろんな媒体でこの作品について書いて、紹介文とかも書いていて、やり切ったというかっていうのがあったんですね。
1年経って改めて今回のような機会をいただいて、大地さんと三枝さんのお話を聞いて、なんか全然やり切ってなかった。
いろんな視点があって、いろんな読み方があって、特に美穂の何を考えていたんだろうとか、あんまり自分もここまで考えてなくて、いろんなことを感じたり考えたりできる作品なんだなっていうのを改めて知ることができて、本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
さまざまなご指摘があって、わーと思うことがすごくいっぱいあったんですけれども、その中で大地さんだったかな、エッペとの関係性っていうのは比較的良好だったんじゃないかっていうのは読み取りだっておっしゃってたじゃないですか。
それはまさにその通りで、実は去年ですね、デンマークに行って、トーベ・ディトゥルセンの街を、ゆかりの地を散策するツアーだとか、あとはブックフェアで、トーベ・ディトゥルセンさんのお孫さんが出した作品で、トーベ・ディトゥルセンは私のおばあちゃんだったっていうノンフィクション作品が昨年ですね、デンマークで発表されてすごく話題になったんですね。
それでブックフェアで、そのお孫さんがその作品についてお話をされている様子と、それを朗読している様子を聞く機会があったんですけれども、本当その方もトーベの地を引いているのか、本当に指摘センスにあふれていて、本当に素晴らしい朗読だったんですね。
その方はトーベのお孫さんで、リーセ・ムンク・ツーギセンさんという方なんですけれども、リーセさんのお母さんがトーベの2番目の夫のエッペさんだったんですよね。
タイチさんが比較的良好な関係だったんじゃないかといったエッペさん。学生で結婚したエッペだったんですね。
そのリーセさんはトーベの2番目の夫で、大学時代にトーベと結婚したエッペとの間に生まれた変齢の娘です。だから孫なんですね。
だからトーベ・ディトルセンは私のおばあちゃんだったっていう作品を書いていて、孫の視点から見てトーベはどんなおばあちゃんだったのかっていうのを書いているんですね。
それでエッペ、2番目の夫のエッペとトーベっていうのは、離婚した後もすごく良好な関係にあったらしいんですね。
トーベは亡くなる直前までエッペと交流を続けていたっていうこともすごく書かれているんですね。
タイチさんが結婚生活に関して、それぞれの夫とトーベとの関係性について丹念に今回お話ししてくださったんですけど、そこも気づいたんだと思いながら聞いていました。
1:12:10
トーベ・ディトルセンは私のおばあちゃんだったの中で、最後の夫のヴィクター・アンドレアセンでいたじゃないですか。
その方に関しては、タイチさんがおっしゃっていた通り、最後の方は薬物通急中毒で、意識が何て言うんだろうな。
ぼんやりしているというか、どぐらまぐらみたいな感じになって、現実と妄想が交錯していくじゃないですか。
だから、ヴィクターとの結婚生活がどんなものだったのかっていうのが、最後までわからない、妄想と交錯したまま書かれていたっていうのがあるんですけど、
それっていうのは文学的な手法でありつつも、実はトーベにとっては書きたくない、書けないことが実はあったんだなっていうのが、
トーベ・デトルセンは私のおばあちゃんだったっていうのがわかって、実は連れ子だったヘンレ、娘のヘンレはヴィクター・アンドレアセンと結婚した後、連れ子のヘンレは、
実は14歳から18歳の間に性的な虐待を父親から、養父だったヴィクター・アンドレアセンから受けていたんですね。
そういうこともあって、トーベは薬物中毒どんどん落ちていったし、最後本当に苦しんでいったっていうのは、そういう背景もあったんだっていうのは、結婚読を読んだ時にはわからなかった。
最後は謎玉なんだったんだろう、ヴィクター・アンドレアセンとの結婚生活はって思ったのは。
そもそもその人が何者かっていうのもあんまり。
そうですね。
なんかすごい気になってしまった。何者なんだこいつはと思って。
良い人なのか悪い人なのか、トーベを支えてくれた美談で終わらない何か驚ろしいものがあるような予感はしてたんですよ。
この作品を読んで、またそのお孫さんの話を現地で聞いた時に、そういう背景があってトーベって苦しんでたんだっていうのが初めてわかって。
そして現地の人たちもその衝撃の事実、今まで明かされてなかった。
やっぱりトーベとしては自分の娘が性的虐待を受けてたなんてことは書きたくないし書けないじゃないですか。
それぐらい最後まで無くなってったから、それが明かされてたことがデンマークではすごい衝撃を持って受け止められてたんですね。
大地さんと三枝さんの読みを拝見して、すごい深く読んでくださって、それよくわかったなっていうのがすごいあって、すごく楽しかったですし、私自身も発見があって。
また読書会があるということで、たぶん全然これから新しい発見があるんだろうなと思ってすごくワクワクしています。ありがとうございました。
ありがとうございます。
最後ね、ちょっとビクターの話を言えば衝撃的な。
ちょっとびっくり、本当に衝撃ですよね。
1:15:02
その前のカールも結構謎の多い人物だし。
カールね、そうですよね。
そうですよね、結婚編歴はなかなかというところで。
またちょっと始まっちゃうからなんですけど、本当いろんなことがまだまだ話せる作品で、私と三枝さんもね、今日実は話したかったことたぶん3分の1ぐらい残ったまま来ちゃってると思うんで。
ぜひですね、ちょっと9月28日の土曜日、読書会に皆さん参加していろいろ話したいと思うので。
今、今日聞いてくださった方はわかったと思うんですけれども、本当に話すことが多くて、そして自分が感じる部分も絶対多い作品なので、ぜひ読んでいただけたらと思います。
じゃあちょっと次回に予告入りたいと思います。
次回はですね、またこのままちょっと日谷美子さんをお招きして、漫画編をお届けしたいと思ってます。
今回は作品というところから離れて、ちょっと大きくですね、方向文学の翻訳家になられた経緯なんかをお聞きしていきたいと思っています。
お楽しみに。
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ではまた来週。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
01:16:47

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