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2025-12-22 52:17

第212回 産まなくても、騒がしく愛おしい人生『一人娘』グアダルーペ・ネッテル著

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文学ラジオ第212回の紹介本

 

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『一人娘』

グアダルーペ・ネッテル著、宇野和美訳、現代書館

⁠https://gendaishokanshop.stores.jp/items/68f1b50ee7836e25abb58803

 

パーソナリティ二人で作品の魅力やあらすじ、印象に残った点など、読後の感想を話し合っています。ぜひお聴きください!

 

【今回の内容】

楽しみだったネッテルの長編/澤井昌平さんの装画がいい/海外文学読み慣れていない人にもおすすめ/『うけいれるには』に通じる障害を持つ子の話だけど視点は違う/著者プロフィール/作品概要/知られるべきマイノリティを扱った「カラモもうひとつの視点賞」受賞作/作中の女性たちに訪れる変化/主人公ラウラの子どもへの考え方や母性のあり方の変容/散りばめられた要素/不穏な場面も/本筋に重なる鳩の親子/作品の読みやすさの要因は/ネタバレ無しでストーリー紹介/序盤のラウラの尖った性格/物語の主軸となるアリナの出産と障害を持つ赤ん坊イネスの誕生/最も衝撃を受けたイネスが産んだ後のアリナの気持ちの変化/ベビーシッターのマルレネのキャラがいい/もう一つの軸となるラウラと隣人のシングルマザー、ドリスと息子のニコラスとの交流/作品への予想が裏切られるほど登場人物への感情移入が深まった/ラストがいい/終盤のラウラと母の印象的な会話/心の持ち用や心境の変化に励まされる人が多いのでは/次回予告

 

【参考情報】

文学ラジオ空飛び猫たちで紹介したグアダルーペ・ネッテル作品

第76回『赤い魚の夫婦』

Spotify:https://open.spotify.com/episode/3Dx8XNFBIft8MVRBmuGP8O?si=317fef8158634704

第105回『花びらとその他の不穏な物語』

Spotify:https://open.spotify.com/episode/3x0g0esPOrftzthFfdNi2O?si=3d439d096e094473

 

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版元サイトより

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ブッカー国際賞最終候補作

カラモもうひとつの視点賞受賞作

 

わたし(ラウラ)とアリナは親友で、20代のころはお互いに「子どもは産まない」と誓い合った仲だった。その意志をかたくなに貫くラウラとは裏腹に、アリナは結婚し、やがて子ども(イネス)を身ごもる。そんななか、ラウラの暮らすアパートのベランダでは鳩が巣を作り、やがてラウラはアパートの隣に暮らす母子家庭の男の子ニコラスとだんだん交流を深めていく。やがてイネスが生まれるが、イネスには生まれついて重度の障害があり明日を生きる保証もない状態だった。

イネスの誕生とニコラスとの交流、ベランダに巣を作った鳩……、ラウラの心は揺れ動き、本人がそれまで思いもしなかった自らの気持ちに気づかされていく。イネスの生命や母という宿命、女として生きることの葛藤……。そして、物語は思わぬ形で最後を迎えることになる。

 

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サマリー

グアダルーペ・ネッテルの長編小説『一人娘』では、友人アリナが子供を産まないと誓った後、結婚して障害を持つ子供を出産するまでの物語が描かれています。作品は、母性や女性のライフスタイルの変化を通じてリアルな人間関係を探求し、人生の予測不可能性について考えさせられます。ラウラという女性は、出産を望まない中での友人アリーナとの関係性や、メキシコにおける女性の自由の制限について描かれています。物語は、ラウラの内面的な変化とともに、女性団体や社会の危険性、そして鳩の巣という象徴的な要素を通じて、母性や自我の問題を掘り下げていきます。あらゆる葛藤が描かれる中で、アリーナは深刻な障害を持つ赤ん坊イネスを育て、ラウラは隣のシングルマザーとその息子ニコラスとの関係を通じて母性の覚醒を体験します。『一人娘』は、ドリス、ラウラ、ニコラスを中心に展開される複雑な人間関係と心の変化を描写し、ラウラが過去を振り返りながら家族や隣人との関係を深めていく様子を描き、最終的にはリアリティを持った形で物語が結ばれます。

一人娘の誕生
かつて子供は産まないと誓いあった友人が、30歳を過ぎて子供を望んだ。しかし、産まれてきたのは、いつ死ぬかわからない重度の障害を持つ子供だった。
友人の出産と育児、さらに隣人のシングルマザーとその息子との交流、女性たちに訪れる様々な変化を綴った、グアダルーペ・ネッテルの長編小説、一人娘を紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組はいろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人が緩くトークするポッドキャストです。パーソナリティは私、ダイチとミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快に、それぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、グアダルーペ・ネッテルの一人娘です。宇野一美さん役で、現代書館から2025年に出版された本になります。
ネッテルの長編ですね。日本では初の長編、本役になりますね。今まで我々の番組でも第76回で赤い魚の夫婦を紹介してからですね、第105回で花びらとその他の不穏な物語を紹介しています。
いずれも現代書館から出ていて、宇野一美さん役ですね。今回が長編という形になっています。
そうですね。今までは短編集2冊で、どっちもいかにもネッテルって感じの、ちょっとネットリしたような作品感で、すごい好きだったんですけど。
不穏な感じとかね。
そうなんですよ。そんなネッテルがいよいよ長編を出したっていうので、それの本役が読めるっていうので、今回すごい楽しみにしてましたね。
これは本当に最近出たばっかりで、ちょっとこの2025年の12月に収録してるんですけど、私が買った新宿キノクニア書店ではですね、大展開してましたね。
そうなんですね。
一画使ってましたね。
そんなの、長編に。
なんか大展開しました。大展開。まあでも一画、新刊コーナーの一画がもう一人娘でしたね。
で、あれも言ってあったと思う確か。赤い魚夫婦と花びらとその他の不穏な物語。だいぶ推してんなっていう感じはしましたよ。
でもなんかね、想定がすごい良いですよね。
良いよね。毎回そうなんですよね。
毎回ね、この表紙の絵がすごく。
いやー好きなんですよ。
そう。なんかね、本当家に飾っておきたい。すごい良い表紙になっていて。
沢井翔平さんだったかな?っていう人が毎回絵を描いてるんですけど。
そうですね。なんかすごくね、これちょっと揃えたくなるようなシリーズですよね。
そうですね。沢井さんなんですけど、私インスタグラムフォローしてて確か。
結構ね、絵が良い感じに並んでますよ。
なんか皆さんも、もしこの表紙の絵が好きだったらフォローしてみると。
たまに流れてきて、あ、沢井さんの絵だって。こう自分のタイムラインに流れてくるから。
いいですよね。
まあそんなわけで、今回の一人娘なんですけど。
まずやっぱりネッテルの作品はどれもそうなんですけど、
海外文学読み慣れてない人にすっごいオススメだなって毎回思いますね。
今回もやっぱり日本語書数読んでるような感覚で結構読む見えたところもあって。
もちろん結構ね、このメキシコの社会情勢とかも結構描かれていたので。
正直ちょっとわかんないっていうポイントがあった気はするんですけど。
でもそういうのがあんまり気にならずに、読み進めて読み終えることはできたので。
かなりネッテルの作品は、もしかしたら文学自体読み慣れてない人にもオススメかもなって思いますね。
そうですね。なんか登場人物結構ユーモアを持ってる人が、特にこの主人公の語り手はすごいユーモラスな人でもあるんで。
本当に面白く読めていけましたね。長編ですけどやっぱりネッテルらしいなって思いましたし。
今回ちょっと障害を持つ子供が生まれてくるっていう話でもあるので。
以前ラジオで紹介した受け入れる庭というですね。クララ・デュポンモノというフランスの作家の作品。
それも同じく障害を持つ子供の話でもあるので、すごくそれをちょっと思い出しましたし、でもやっぱり違った視点なんですよね。
受け入れる庭は結構子供視点のエピソードが多かったりしたんですけど、今回の一人娘は母親視点。
主人公たちの変化
あるいはその障害を持つ子供の母親の友人が主人公語り手であるので、ちょっと離れたところからの主人公視点というかですね。
そういったところをじっくり読んでいくっていうところにすごく、なんかちょっと今までとは違ったものを感じましたね。
そうっすよね。うーん、そうだな。今ちょっと障害のっていう話が出てきて、あれですけど、ちょっと最終的にはネタバレはなるべくしないような形でお話いろいろしていきたいなと思っているんですけど、今回。
障害のとことか、この女性の母性みたいなのが結構描かれるような気がするんですけど、全体的にリアルなんだよな、なんというか。
もちろんね、これフィクションだし、でもちょっと友人の実体験をもとに描いてる部分もあるみたいで、リアルさってのは結構反映されてるんだろうなって思うんですけど、それを踏まえてもね、なんかすごいね、いろんなものがリアルだなってちょっと思っていました。
これ最後の方にちょっと話したいなと思うんですけど、ちょっとネタバレも軽く踏み込んでしまう部分ではあるかなと思うんで、あれなんですけど、なんか独特のリアルさがありましたね。
と思ってますね。ちょっとこの辺は後でというところですね。
じゃあちょっと著者について紹介したいと思います。
著者のグアダ・ルーペ・ネッテルさんは、1973年メキシコシティ生まれの現代のメキシコを代表する女性作家です。
2006年に小説宿主で、ベインのアナグラマ社主催のエラルデ小説賞の最終候補。
翌2007年には、ヘイフェスティバルとボコタ氏が選ぶボコタサーティナインなのかな、39歳以下の期待のラテンアメリカ作家39人に選出される。
2013年に赤い魚の夫婦でリベラデル・ドゥエロ国際短編小説賞を、2014年に小説冬の後でエラルデ小説賞を受賞。
ちょっとこの辺の賞のすごさはわからないんですけど、国際短編小説賞と書いてある結果、かなり評価されているんではないかなと思います。
この長編なんですけど、2020年に刊行されています。この本で2023年、ブッカー国際賞最終候補に選出されていると。
いやもうこのね、ブッカー国際賞受賞するともう相当すごいんですけど、最終候補になっているだけでね、大体すごいっていう。
まあそうですよね。
あの我々の番組でも何作かこの最終候補の作品紹介してますけど、まあ外れたことはないと思うんで、やっぱすごい作品ですよね。
今はね、なんか22言語に翻訳されているみたいですね、この作品は。
ね、すごいよね。というところで本当に、スペイン語圏の作家ではあるんで、もしかしたらいろいろその翻訳しやすい部分があるのかもしれないんですけど、
だいぶ世界的に読まれている作家の一人だと思いますね。じゃあここからちょっと先に紹介していきます。
版元ホームページをいつも通り読み上げさせていただきます。ブッカー国際賞最終候補作からももう一つの試点賞受賞作。
私ラウラとアリナは親友で20代の頃から20代の頃はお互いに子供は読まないと誓い合った中だった。
その意思を堅くなり貫くラウナとは裏腹に、アリナは結婚し、やがて子供、イネスを見籠る。
そんな中、ラウラの暮らすアパートのベランダでは、鳩が巣を作り、やがてラウラのアパートの隣に暮らす母子家庭の男の子ニコラスとだんだん交流を深めていく。
やがてイネスが生まれるが、イネスには生まれついての柔度の障害があり、明日を生きる保証もない状態だった。
イネスの誕生とニコラスとの交流、ベランダに巣を作った鳩、ラウラは心の揺れ動き、本人がそれまで思いもしなかった自らの気持ちに気づかされていく。
イネスの生命や母という宿命、女として生きることの葛藤、そして物語は思わぬ形で最後を迎えることになる。
というあらすじですね、私今回このあらすじ全く読まずに読み始めたんで、結構あんまり理解してなかったですね、この辺ね。
まあまあでもね、読んでいくと自然とね、こういう話なんだって、なんか気づけるような作りになってるかなって思いますし。
ちなみにこのブッカ国際賞とカラモもう一つの試点賞というのが、知られるべきマイノリティを扱った作品というですね、スペインの賞になるんですけども、
マイノリティを扱った作品というところで評価されている本賞ですね。
そうですよね、個人的には今回のこの出産のこととか、母性の問題とか話とか、なんか結構日本的だよね、なんとなく。
最近やっぱ日本の女性作家が強いから、現代の日本の女性作家が結構海外でも評価されていて、なんかその辺の作品ってこの辺の話も入ってそうな気がしなくもない。
その出産して、かんぼうっていうところもそうだし、あとちょっとこの後話を出てきますけど、主人公の隣人の女性とかもそうですね、やっぱりちょっとトラウマみたいなところで塞ぎ込んでしまっている女性の存在とか。
そうだよね。
結構いろんな立場の女性が出てくるんですけども、ちょっとここからもこの作品の特徴に触れていきたいなと思うんですけども、まさにですね、作中でそうしたいろんな立場の女性たちが出てきて、それぞれに変化が訪れていくというところですね。
ちょっと主に3人挙げようと思うんですけども、主人公のラウラというのは子供を持ちたくない女性で、30代なんですけども、昔から子供を嫌いで子供を産まないってずっと周りにも言ってきた人で、そのラウラの親友ですね、アリーナっていう人が元々同じ考えだったんですね。
子供なんていらないって言ってたんですけど、30代が半ばになってきて、ちょっと考え変わって結婚もして、子供をどうしても産みたいと言うんですね。そういう心境の変化を起きている女性で、3人目がドリスというですね、ラウラの隣人ですね。
アパートの隣の部屋に引っ越してきた人で、1人息子がいるんですけども、部屋にずっと閉じこもっている女性で、ちょっと過去の問題を抱えていてというので、そんな3人の女性が主な登場人物だとしたら、それぞれにターニングポイントが起きて、心境であったり、その後の人生まで大きく変化していくような物語となっているというですね。
そうですよね。ここでちょっと触れたいのは、このラウラ、アリーナ、ドリスっていう3人が割と女性ではメインなんですけど、ラウラの気持ちの変化というか、子供や、あと今回何度かちょっと今もう出てますけど、母性に関しての捉え方、考え方、感覚の変容みたいなのが結構描かれていて、
物語の結末
これ最初あらすじでも話したんですけど、ラウラっていうのは基本的にはもう子供を産まないって決めてるんですよね。実際ちょっとストーリーでも話すと思うんですけど、手術で卵管傑作化という形で不妊治療をしてしまうんですよね。だからもう子供が産めない体になってしまうんですね。
そのことに対して、自分もその決断に対しては後悔はしてないと思うんですけど、同じ考えを持っていた親友のアリーナが、結婚して子供を産みたいと。それこそ結構ね、なかなか子供ができないので、いわゆる妊活のようなことをかなりするんですよね。
そういう姿を見ていて、彼女はだいぶあの時の自分たちの、誓い合った仲だったアリーナが変わっていく姿を見て、複雑な感情を描くんですけど、ここが結構リアルだなって思うのが、割と時間を減ることで受け入れていくというか、これがこの小説のすごいいいとこだなと思うんですけど、ラウラ自体がそれに対して考え方がすごく変わっていくんですよね。
で、一方で子供は持ってないラウラなんですけれども、隣にシングルマザーが引っ越してくるんですね。で、かなりその壁越しにですね、問題を抱えているってことがすぐわかる母子家庭でして、このドリスと、母親のドリスと息子のニコラスとの交流が始まっていって、明らかにそこでラウラはですね、ニコラスに対して母性が芽生えるんですよ。
っていうこのラウラの中でも、いろんな変遷があるんですね。この物語を通して。それが結構ですね、これラウラの一人称で描かれてるんで、割とこの、なんていうのかな、これ小説はよくありがちなんですけど、主人公一人称でよくありがちだなと思うんですけど、結構その状態、状況の観察者というか、結構これね、激しく動くのは確かにアリナとドリスなんですよね。物語として激しく動くのは。
でもそれを観察というか、接しているラウラの中にも変容が現れるっていう、変化が現れるっていうところが、やっぱりこの物語のすごい面白いところだなと思っていて、多分いろんな気持ちをやっぱりこのラウラに重ねると思いますね。
で、今回ちょっと我々男性2人で話してるんで、あれなんですけど、なんかね、やっぱ女性だからこそわかる部分が結構多いんじゃないかなと思っていて、やっぱ出産っていうことに関しての結構いろんなですね、身体的なものから心理的なものまでこうのしかかってくる部分っていうところがですね、結構描かれている部分もあるので、多分女性が読むといろんなことを重ねる、男性以上に重ねるんじゃないかなってちょっと思いますね。
そうでしたね、出産、その後のね、育児も。
そうですね、育児はね、そうですね、やっぱこのメキシコって何か甲府町生というか、これ結構冒頭でもすごい描かれるんですけど、やっぱりこの子供を持つことによって女性の自由みたいなのが制限されるような言い方を結構されていたので、
日本でもだいぶ根強いですけど、そのあたりも多分ね、かなり感じる部分はあるんじゃないかなと思いますよね。
そうでしたね、今このメキシコという土地柄というところで、結構この作品の中でですね、そういったメキシコだからみたいなところとか、それだけではないんですけど、いろんなモチーフというのが散りばめられていてですね、それもですね、特徴的であって、他にも主人公のラウラが仏教を信仰していてというかですね、かなりそこにのめり込んでいる人でもあって、
チベットとか行ってはったりしたぐらいなんで、で、あとタロット占いとかやっててですね、結構いろんなところでそういう思想的なところとか、ラウラの、そんなのが現れていたり、とかあと女性団体の存在とかですかね。
そうですね。 他にもね、途中から突然ね、女性団体がちょっと目に留まるようになって、そこにちょっと入りに行ったりとかですね。あと、メキシコでっていうところで、やっぱりその女性が生きていくには危険な土地であるっていうところ、それが結構随所に繰り返されていたり。
で、あとは何といっても、このベランダの鳩の巣ですね。ラウラの家の、鳩の巣がベランダにできて、その鳩の存在も、ラウラが観察しているんですけど、結構気になってくるっていう。これ、ネッテルの作品って、こういうのは多いですよね。
作品の本筋とは別のところで、鳩の存在とかですね。なんかまた違う存在とかですね。そういうのが、結構今までの短編を読んできたら、なんか不穏なんですよね。そういった話は。
そうそうそう。僕がちょっと怖いなって思ったのは、ニコラスっていう隣の子供。ちょっと感触持ちなところがあって、ラウラと一緒にちょっと出かけた時に、道で鳩を死んでるのを見かけるんですね。そしたら、ニコラスが急にですね、その鳩を踏みつぶすんですね。足の裏でガンガン。で、ラウラがね、何やってんのって感じで入ってくるんですけど。
それとかね、そういうシーンがあるとね、それがまた繰り返されるのかとかですね。そういうちょっとかなり不穏なものをね、作品の中で。さっきね、なんかすごく面白くて読みやすいみたいな話してたんですけど、そういうですね、散りばめられたモチーフっていうのが、後でどうなってくるのかみたいなところもですね、かなり読ませる作品だなと思ってますね。
そうですね。人の子供が目の前で鳩を踏みつぶしたらだいぶドッとするよね。どうしていいかわからなくなるよな。あれは見ながら思ったな。で、あとこの、本当にこうね、練ってるのすごい上手いところというか、巧みなところなんですけど、こう動植物にこの物語と重ね合わせる力というか、表現力がすごいんですよね。
なんかね、これ赤い魚の夫婦の時もそうだったんですけど、このやっぱり鳩、今回の鳩めちゃめちゃ上手くですね、物語に組み込まれていて、これあれなんですよね、鳩が巣を作って卵を産んでるんですけど、一個ね、卵の形がおかしいっていうか、なんかちょっと違うぞっていう卵が、二つ卵があって。
で、その鳩の夫婦がそれを頑張って孵化させようとしてるんですけど、で、まあ出てきた、最初に生まれた方がですね、なんかね、模様とか違うんですよね、親と。あれ?ってなるんですけど、まあこれ一応後で、というか薄々もうすぐ読んでると気づくと思うんですけど、これはカッコウの子供で、鳩の巣に自分の卵を産み落として育てさせるという。
よく見るあれですね、宅卵っていうのかなっていうあれなんですけど、で、これが結構ね、このなんだろうな、母性の問題と結構絡み合っていて、すごい上手いなと思ってましたね。で、これちょっと物語の後半でイネスという障害を持った子供、ラウラの親友のアリサが、ごめんなさいアリサじゃない、アリナが産むんですけど、で、ベビーシッターがつくんですよ。
で、結構優秀なベビーシッターで、もうすごい献身的に世話をしてくれるんですけど、イネスを。ただもうだいぶちょっと行き過ぎてる感じもあって、もう母親よりも母親っぽくなっちゃうっていうか。
そうですよね。ベビーシッターという域を越えてしまってるんですよね。 行く感じになっていて。これがね、ハトのあれとちょっと重なったりするんだよね。自分の子供じゃない。
そう、いや結構狂気的なんですよね。この世話の仕方が。なんかその労働時間とかあると思うんですけど、そんなの無視して、なんか状況によっては本当もう24時間体制で誰よりも世話をするみたいなんですよ。
っていう状況になってきていて、それとこのハトのね、生まれた自分の子供じゃない鳥に熱心に餌を与え続ける親たちっていう姿が描かれてると、結構ここが重なると結構ゾッとするし、あと裏裏自体もこのニコラスに対して母性を抱き始めるので、そこもともちょっと重なってくるし、このハトが。
このなんかね、物語の中では逆に子供の方がちょっとこうグロテスクな、その格好のヒナですね、の方がなんかグロテスクなイメージをラウラは持ってるけど、でも誰、誰だっけ、誰かから、いやむしろその親、自分の子供じゃないヒナに餌を与え続ける親の方がグロテスクな感じがするような話がラウラにぶつけたりする、あの話したりする人も一幕もあったりとかして。
象徴としての鳩
この辺はね、ネッテルさんの他の作品もずっとそうなんですけど、なんか明確に重ね合わせないながら、もうこのなんか幅を持った重ね合わせ方をしてくるんで、結構読み手にこうなんかゾワゾワさせる部分がすごいあるんですよね。
かなりね、なんか想像させますよね、読んでる時に。
これはかなりやはり今回もかなりポイントだったなって思いますね、読んでる時に。
そうですよね。ちょっと最後に言っておきたいんですけども、そういう障害を持つ子供の話でもあるし、いろんな要素が絡み合う話でもあるので、もしかするとちょっと難しくて重い話かなと印象を持たれるかもしれないんですけども、読んでみると全然そんなことはないんですよね。
ちょっと重たいという点についてはですね、読む人によって受け止め方がかなり変わってくるところかなと思うんですけども、難しさみたいなところで言うとそこまで感じなくてですね、なんか複雑に情報、いろんな要素が絡み合って物語進行していくんですけども、すごく読みやすくて、
これってなんか一人称のラウラの語りがかなり平易というか、心地よく読んでいけるような語りをしているとか、あと文章がリズミカルとかですね、そういった文章の特徴的なところもあるかなと思うんですけども、読んでる時にまずこんな読みやすいんだって結構そこをびっくりした点でもあるんですよ。
そうですよね。なんかこの読みやすさがどこから来てるのかちょっとわかんないんですけども。
そうなんですよね。だから明確にこうだから読みやすいんだってなかなか説明しづらいんですけど。
なんかね、海外文学って言うと結構読みにくいイメージ持つ人もいると思うんですけど、これはだいぶ読みやすいですね。
そうなんですよね。結構日本語、日本人の感覚っぽいなっていう結構表現がいくつかあった気がしていて、例えばどこだか忘れちゃったんだけど、ちょっとこれ日本っぽいなって思ったのが、ラウラはね、お酒を飲む時に手尺って言葉が出てくるんですよね。
手尺でお酒を飲んだみたいな感じ。手尺ってなんかすごい日本的な表現だなってその時思った記憶があって、そういう感じで多分ね、ずいっしょに結構日本人の感覚に近しいような翻訳が散りばめられてるんじゃないかなってちょっと思ったりもしましたね。
だからその翻訳の日本人に向けてフィットさせる部分も多分あると思いますし、そもそもこれ多分ね、ネッテルさんの文体が読みやすいんだと思うんですよね。リズムとか情報の出し方、感情の出し方とか。
おだしょー そうですね。確かにこの情報の出し方で言うと、結構もう数ページぐらいで場面が切り替わっていくんですよね。短いとほとんど2ページぐらいなんですけど、どんどん次から次へまた新しい場面が見れるっていうので、そういう意味ではなんかね、すごい全然もうだらけていなくてどんどんパッパッパって進んでいくような、そんな作りにもなってるのかなと思いますね。
そうですね。なんか結構気になるとこで終わったシーンが、なんかその2、3個先の章みたいなとこで描かれるみたいな、区切りで描かれるみたいなのがあるんで、なんか読ませる力がすごいですね、そこのね。
おだしょー そうですね。これももしかすると長編小説っていうところで工夫してるかもしれないですね。あえてこういう短くパッパッパって繋いでいくような作りで。
なのでだいぶ正直これは安心して読めると思います、その辺では。途中でなんか挫折することあんまないんじゃないかなってちょっと思いますね。
おだしょー そうですね。それは思いますね。結構勢いになったもんね。あっという間にもう数十ページぐらい読めてしまう本かなと思いますね。
じゃあここからですね、ストーリー紹介していきたいと思います。ネタバレはしないので、読んでない人も安心して聞いてもらえたらなと思います。
まず始まりですよね。主人公は子供を産むことを望まない女性のラウラで、大学で文学を研究していて、今30代も入ってるんですけども、結構ですね日々論文執筆に追われているようなそんな生活を送ってるんですけども、
20代の頃にフランスで知り合った親友のアリーナという人がいて、2人ともフランスに当時いて仲良くなって、先にアリーナがメキシコに戻ってたのかな。
ラウラもメキシコに戻ってきて、また会うようになって、アリーナは芸術関係のコーディネートの仕事をしていて、同じくですねこのアリーナも子供を作らないっていうですね、
20代の頃誓い合った本当同志みたいなですね関係だったんですけども、メキシコに戻ってアリーナはもう結婚していて、もう30代になってからですね、やっぱり子供を作りたいというふうに打ち明けるようになって、
ちょっとアリーナが心境の変化があったんですよね。ちょっと妊活をしていて、36歳の年に妊娠ができたのかなと。それに対してですね、最初はですね、ラウラもアリーナもちょっとあちら側、育児ママの側の人間になるんだってね。
最初は心の中で独自いていたんですけども、だんだんですね、やっぱりアリーナの存在っていうのが本当に自分にとってすごく重要だということに気づいてきて、最終的にはラウラはアリーナを祝うようになって。
友達たちとですね、アリーナのいるような、みんないるようなパーティーの場で、アリーナのね、妊娠を祝福して、周りからラウラどうしたのと、子供を嫌ってたんじゃないのっていうね、驚かれるんですけども、そんなですね、アリーナを最初はちょっとね、妊娠するっていうことに対して、もう友達じゃなくなるんじゃないかって思ったけど、やっぱり認めるっていう。
最初の導入としてはそこのあたりですかね。
メキシコにおける女性の自由
そうですね。結構このあたりのラウラってなんかすごく固いそうなんだろうな。ラウラのイメージとしては結構固いイメージで描かれるんですよね。
なんかね、性格が結構尖ってるように。
そうだよね。
思いましたね。
かつなんか憂鬱効かなそうな空気とかって結構感じましたね。
そうですよね。それは思います。結構子供を産んだ女性、母親になる人に対して、母親同士で集まって公園に行ったり、バカみたいな映画を見に行ったりするんだろうみたいなですね。結構かなり軽蔑した言い方をしてるんですよね。
自分の価値観が結構ね、その辺は強くて、あんまり他を受け入れないイメージでやってましたよね。
そうですよね。
だからこれもね、ちょっとだけネタバレにはならないと思うんですけど冒頭なんで、結構このアリーナとの関係がだいぶ悪化するんじゃないかっていう空気を出したんですけど、結局そんなことなくこの2人は友情を結び続けるというか、友情が維持されていくっていう状態になっていくんですよね。
結構やっぱこのラウラの心の中の変化を辿っていくっていうのもね、ほんと読んでて面白いところですよね。
そうだよね。
あとやっぱ最初の方で結構面白いなと思った母親の存在ですね。ラウラの母親がいて、なんていうんですかね、ラウラの母親もちょっと普通の人ではないような、ちょっと変わった性格の人ではあるんですけど、
でもやっぱり母親なんていうのはちょっと娘のことを心配して、いつ子供を作るのみたいな話を切り出すんですよね。将来どう考えてるんだと。
それに対してラウラがですね、自分はもうそういう不妊治療して、もう子供を産まないようにしたってね、もうスパッと言ってね、もうなんか母親を跳ねのけようとするみたいなんですね。
そんな場面とかも結構印象的でしたね、最初の方では。
ここからちょっと話が進んで、アリーナが妊娠をして、本当に念願の妊娠だったんですね。結構長い道のりでやっと妊娠ができて、定期的に診察受けていくんですけど、最初はですね、順調だったんですけど、ちょっとある段階でですね、赤ん坊の脳が成長していない、発達していないということが分かってですね。
そういう障害がかなり大きな障害があるということで、医師はですね、この赤ん坊はちょっと生きれないっていうふうに断言するんですね。
それはもしかすると生きたまま生まれてこないかもしれないし、生まれたとしても本当数時間とか数日でしか生きれないんじゃないかという、それくらいかなり重い状態っていうふうに医師に言われて、アリーナはショックを受けてですね。
それからまたちょっとアリーナの中でいろいろな変化が起きるんですけど、わずかしか生きれないかもしれないんですけども、自分の赤ん坊というのを受け入れたい、受け止めたいというので、その出産に向けての準備もするし、一方で別れる準備ですね。
赤ん坊がもうすぐ亡くなるというふうにも言われていたんで、ちょっとその別れのための準備っていうのもすると、そういうカウンセリングを受けたり、ちょっと妄想式の準備とかですね。そんなも考えるようになっていきます。
それでいよいよ迎えた出産の日ですね。これが結構予定より早く訪れるんですよね。手を切開してかなり大変なアリだったんですけど、赤ん坊が生まれて。イメスと名付けられた赤ん坊なんですけども、ちゃんと生きて生まれてきたんですね。
アリーナはですね、この赤ん坊を抱っこしたいと思ってたんですけども、それができて。あとは予想に反してすぐに死ぬことがなかったという、数時間とか1日2日とかでもう死ぬんじゃないかと。もうやっぱり脳が成長してないからっていうので聞かされていたんですけども、障害はあるんですけども、そういった。
ただ生きてはいると。むしろしっかり生きているということで、何日か入院したら退院するようになったんですね。ここから夫婦ですね。アリーナと夫と赤ん坊イネスの3人の生活が始まっていくと。
アリーナは本当とはいえですね、いつ死ぬかわからないこのイネスの看病というか、お世話をするのにすごい神経を減らしていきます。やっぱりもう本当、寝ずの晩をしたりとか、そんなことが必要となってくるので。
この頃からですね、夫であるアウレリオとの関係もギクシャクしていきますし、あとネット通販にハマってお高くの借金もしてしまうと。ちょっとね、旦那には隠れて借金をしてしまって。
お医者さんとかね、いろんな人に頼ろうとするんですけども、そんな中ですね、このアリーナと旦那さんがたどり着いたのが、もう本当この人が一番優秀だって言われるお医者さんと、あとベビーシッターのマルレネですね。
なんかそのすごい優秀なお医者さんという人は、結構赤ん坊に強引に運動をさせて。まあ強引と言っていいかあれですけど、最初はね、じゃあそれ無茶じゃないのって見えるんですけど、なんかだんだん成果が出てきてですね、赤ん坊の運動というか体作りというか筋肉を作っていくっていう。
そこにかなり進歩が見られるようになって、あとベビーシッターのマルレネですね。やっぱりこの障害を持つ赤ん坊っていうのが、すごい世話するのが大変で、本当にいろんな条件が必要とされてるんですけども、その条件をクリアできるベビーシッターなんていないだろうと思ってたら、実は一人もうマルレネっていう人が完璧にハマってですね。
で、完璧な世話をしていって、イネスがですね、ちょっとみるみる健やかになっていくっていうですね、そんな展開が訪れていくと。
そうですね。結構この物語の主軸の一つというか、主軸でもあるアリスの出産と育児ですね。これは結構メインな流れなんですけど、このイネスっていう子供がですね、無事に生まれてきたはいいが、重度の障害があって、なかなか発達がうまくいかないと。
結構ね、もともとこのだいぶその医者からは、イネスがね、出産後生きてる可能性ってほぼないっていう形で突きつけられていたので、もう予想外なものもあるし、でも結局その無事に出産できて、生きてくれて、生き続けてくれてっていう状況なんですけど、
退院するときに担当してくれた医師の方に、1日1日を生きてくださいみたいな、もういつ死ぬかわからないっていうことを言われているぐらいですね、このイネスの人生というかこの生命はですね、結構危ういんですよね。だからこのアリナはですね、夫もそうなんですけど、この2人はですね、ようやくできた子供がもうすぐ死ぬかもしれないっていうことで絶望にあったけれども、
出産してみたら生きてくれていて、それは非常に嬉しい喜ばしい感動的なことではあるんだけれども、この後ケアをし続けなきゃいけないっていう状況に追い込まれていき、そこで結構ね、もう気持ちがかなりこの2人は複雑なものを抱えざるを得なくなっていくっていう状況が描かれていくんですよね
ラウラの母性の目覚め
そうですね、いや僕ね、そこが多分この小説を読んでて、なんか一番なんでしょうね、もうちょっと驚いたところでもあって、107ページなんですけども、お医者さんからですね、イネスも生きていけるかもしれないっていうので、間もなくこの子と家に帰れることになりますよと、迎える準備はできていますかってアリナが聞かれるんですけども、
それまでの流れを読むとですね、恋愛の子供が生まれて、イネスに対してすごいもう狂ってるほどのこの愛情を向けてきたんですね、生まれるまでは。で、そんなイネスと、じゃあこれから家に帰って生活していくことになりますよって、問われたときにアリナが、その問われたその瞬間ですね、いやこれぽっちも喜びを感じなかったって、
アリナは記憶しているって書かれていてですね、驚愕と拒絶感だったっていう、そっちに気持ちが変わっていくんだっていうですね、そこの驚きがそれが一番衝撃だった気がしますね。
いやこれはやっぱり、そこをなんかね、リアルに描いている感じはするよね。すごくまっすぐ描いている気がするんで、それは結構いろんな人の気持ちをすごく動かすと思うんだよな、読んでて。
まあ多分、実際にこれたぶんネッテルさんもこういう話を聞いて、ちょっと描きたいっていうのが、役者後描き解説に書いてあったと思うんですけど、これはやっぱちょっとメインのとこですよね。
そうですね。結構ね、そもそもイネスが生まれるまでのこの出産の過程っていうんですかね、そことかもやっぱりアリナが、やっぱりイネス生むときにやっぱり全身麻酔で寝ないようにしてほしいって言ってて、
やっぱりその起きている状態でイネスを迎えたいと、まあそれがやっぱり何かいつ死ぬかわからないし、生まれてすぐ死ぬかもしれないと言われてたから、生きているイネスを見たいからっていうので、絶対に自分を寝ないようにしてほしいってね、周りの人みんなに言うんですよね。
その辺の臨場感のあるすごい切羽詰まっていく、頼み方とかですね、そこもすごい読ませるところで、そういったのを得てのね、心境の変化っていうのが。あとあれですか、ベビーシッターのマルレネが、それは面白いんですよね。マルレネが入ってきて。
これもね、まあちょっといろいろ、ちょっとあの冒頭も話したっけ、まあかなりね、自分の娘のように育てていくっていうところもあるんで。
これでも30代で子供がいない、女性なんですよね。
子供が産めないんですよね、っていうちょっと体の方なので、まあそこの渇望があるんでしょうね。
すごい貴重面で、本当にすごい理想的なベビーシッターの働きぶりを、ベビーシッターを超えたような働きぶりで、イネスの親友って言われてるんですよね。
ああ、そうですよね。
そう、でこれも面白いのが、最初そんなもんマルレネがすごい本当頼りがいがあって、でもすごくね細かく報告してくれるんですね。
今日はイネスがこれを知ったとかね、こういう反応があったとか、ご飯食べたとかっていうのもアリーナもすごい喜んで聞いてたんですけど、
だんだんですね、なんかちょっとイネスのそういう報告がちょっと嫌になってきて、で最終的にはね、もうイネスも一緒に家で住むようになった時とかもちょっとあって、
でアウレリオですね、旦那の。旦那のアウレリオとイネスがですね、すごい食事中仲良く喋ってて、その様子をですね、なんか疑わしいことないかってね、
もうアリーナがね、もうじーっとね、もうにらみつけたりとかですね。そんなちょっと面白い場面があったりしたんで。
そんな次ですね、ラウラの話になるんですけども、これも本当冒頭から出ている話なんですけども、
ラウラの身近なところでもう一つ大きな出来事があってですね、家の隣、アパートの隣の部屋に引っ越してきたシングルマザーと息子のことが結構気になっていたんですね。
母さんはドリスで、息子はニコラスの2人暮らしなんですけども、頻繁にですね、どなり声とかですね、ニコラス、子供の方が感触持ちで叫んだりとかなんか物を壊すような叩いてるとか投げたりする音が聞こえてきて、
で、ラウラがですね、ある時ニコラスが学校以外ではですね、その外に出してもらえないっていうのがですね、ちょっと問題視していて、それでラウラがある時ですね、そんなニコラスをちょっと学校以外でも外に出して、ちょっと外に連れて行きたいと思うようになって、
だんだんですね、ちょっと気持ちが同情というかですね、そんな風になってきて、で、ちょっと親子に介入するようになっていってですね、で、このお母さんであるドリスと息子のニコラスとラウラっていうですね、この3人の交流っていうのも描かれるようになっていくと。
これがですね、さっきのアリーナがイネスを出産して育児をしていくっていう話と並行してですね、語られるもう一つのこのラウラの身の回りの大きな出来事ですね。
そうですね、これはラウラにとっても、なんかそのニコラスに対してね、母性というか、なんとかしたいっていう気持ちが芽生えてくるわけですけども、ここも周囲からするとラウラが子供好きなのっていうところにもなってくるし、結構大きな変化なんですよね。
ドラマの展開と人間関係
で、このドリスの夫ですね、これ自己死してしまったんですけど、まあその自己死した夫も結構DVをずっとやってみていて、その影響がね、やっぱりニコラスにも残っていて、ニコラスが感触を起こすと、で、ドリスとしてはすごいニコラスのことは愛しているし、一緒にいたいと思っている一方で、かつて暴力を振った夫が重なるわけですよね、ニコラスにね。
その中でも、なかなかこの愛憎がぐちゃぐちゃし始めて、鬱になってしまうという状態でこうなっていくんで、このドリスの家がね、ひたすらもう大変な状態なんですよね、あのまずドリスが家事も機能できてないので、まず家は汚いし、ニコラスの面倒も見れなくなってくるし、途中からもう完全にラウラがニコラスの面倒を見るようになってきて、学校のこととかもね。
そうですね、ドリスがね、家に引きこもってしまうんですよね。
そうですね、たぶん働けなくなってきているからお金もなくなってきている感じがするよね、確かね。こういろんな不のスパイラルに陥ってしまっているドリスがいるので、このニコラスのことを、その中にいるニコラスとラウラの関係が深まっていくっていうところ、ドリスとも関係が深まっていくんですけど、これがこの話の、アリーナの話もありながらもう一つの大きな軸ですね。
そうですね、特に序盤のラウラの性格を読んでいると、結構積極的にその後、このドリス、ニコラスに関わっていくっていう姿を見せるのは、ちょっとですね、意外にも思えたところでもあったし、子供が嫌いなラウラがニコラスっていう子供と接するようになってね、
なんかね、そこのあたりとかもね、なんかあれですよね、最初に知ってた情報とその後、見るこの情報の違いみたいなところ、その辺はやっぱ面白いところだなと思いましたし。で、ここから先ですね、ちょっと具体的に言うとネタバレになっていくので、ざっくりまとめるとですね、ラウラと隣人のドリス、ニコラスとの交流っていうのは、どんどん深まっていくんですけども、やがてですね、ターニングポイントが訪れると。
一方でアリナ夫妻ですね、とイネス、あとはベビーシッターとかもいるんですけど、との間にもですね、この大きなターニングポイントっていうのはあって、で、同じようなラウラのメランダのハトの巣とかですね、あとラウラとお母さんですね、このラウラのお母さんもちょくちょく登場してくるんですけど、その関係性とかですね、その辺にもですね、ちょっと変化が見られるんですね。
この作中に出てきたいろんな人物とか出来事とかものとか、そういうのに変化が出ていくっていう、その後の展開ですね。
そうですね。ちょっとここはね、なんか言い過ぎちゃうとちょっとあれなんですけど、ちょっと帯にもですね、私の予想は最高の形で裏切られましたみたいな帯があるんで、結構どんでん返しという言い方しちゃうとなんかチープなんですけど、まあいろんな、たぶんね、こうなっていくだろうなみたいなのを結構予想を裏切っていく展開がいくつか。
しかもなんていうのか、小さな展開から大きな展開まで含まれていて、結構その辺りはね、読んでると、なんかこう自分が思い描いてたこの物語の結末とは違うところに行きそうだなみたいな感じが味わえるんで、ここはすごく読んでいて楽しいところではあったので、面白いところではあったので。
予想が裏切られたっていうのは、僕、帯をね、ちゃんと読んだの今初めてだったんですけど、いつもは勝ってすぐ帯外してたんで。
そうだね、なるほどね。 そうだそう。確かに上手く表してますよね。いや本当、逆にそう、自分もそうだったんですよ。これ終盤になるにつれて、もしかして予想裏切られるんだって思ってきたらですね、逆にこの登場人物への感情移入が深まってきてですね。
なるほど。 いやすごい、なんで終わりすごい、個人的には良かったんですよね。 いやいい、終わりはすごい、ラストすごい。
そう。で、この終盤、特にお母さんとの会話ですごい印象的だったので、結構このラウラはお母さんのことをあんまりよく思ってないところもあって、
というのも、一時期お母さんが男、いろんな男の人に手を出して、彼氏をどんどん変えていってみたいなですね、そんなことをしていたこともあって、どうせお母さんこんな人でしょみたいに見ていたんですけど、そんなお母さんとですね、あれですよね、女性団体にね、お母さんがね、ある時入ってるのを偶然気づいて。
そうしたらお母さんがですね、と会話していくんですけど、そうしたらね、結構いい話があって、お母さんが言うんですよね、子を持ち抜けるのは社会なのよね。で、大概女性は自分の人生を生きられなくなる。そういう冒険になり出す前に、母になりたいかどうか納得しておくべきなのよ。
たとえば私の場合、あなたを産んだ時、大学を中退した。だから今失ったことを学び直しているのっていうふうに言っていて。で、そこでラウラが気づくんですよね。過去を振り返っているのは私ではなく母なのだと。で、その女性団体入ってるっていうのもお母さんが学び直せる場所をね、見つけたっていうことで。だからお母さんがそこにいるんだってね、気づいて。
そうですよね。お母さんはちょっとね、なかなかここ出番少ないんだけどね、結構その出てくる時のね、印象の強さが結構ありまして。そうですよね。
最初はね、まあ癖があるお母さんかなって思ってたんですけど、ややすごいね、いい会話がね、ちょっと終盤にあって。で、やっぱラウラもですね、かなりこの自分を何て言うんですかね、内省してやっぱりできる人かなと思っていて。なんでね、このラウラの心境の変化、そこもやっぱり特に後半になるにつれて、やっぱり読んでるとね、すごいもうちょっと感情移入していくところはありましたね。
いろいろちょっと話はしてきてるんですけど、なんだろうな、なんかね、このラストは、今いろいろあったんですけど、なんかすごくリアリティがあるなと思っていて、なんかね、すごいハッピーエンドでもなければ、バッドエンドでもない感じなんだよな。
なんかすごいそこにリアリティがあって、それぞれ人生の途上のポイントなんですけど、これからもこの人たちの人生続いていくし、生活は続いていくし、
変化も続いていくんだろうな、みたいなところで終わるんですよね。なんかすごくそこがなんかすごくリアルで、でもなんかすごくいい着地をしていて、このネッテルさんの小説読んでると不穏な空気が流れるときは結構あるんですけど、
でも、なんかね、結局ね、たぶん抱えてるものは解決しない気がするんですけど、でもその心の持ちようとか、ちょっとした関係の変化とかで、ちょっと肯定的に人生を受け止めているような感じに終わっていて、
それはなんかすごく読んでて、たぶん励まされる人も結構多いんじゃないかなって、私は思いましたね、この最後。なんで、すごいいい小説だなって思ったんですよね。
物語のリアリティ
なんかちょっとこの辺はね、こうなってこうなってこうなってって言うとちょっとだいぶ削いちゃう部分もあると思うので、読む楽しみを、あんまり多くは語らないんですけど、ただ私はそういう印象を持ったので、ぜひですね、読みたい人は、今回の話聞いて読みたくなった人はですね、読んで結構外れないと思うんですよね。
そうですね。一個だけ思うのは、スカッとするとかそういうものではないんですよ。 それはない、それはない、もちろんそれもない。
展開的に全てが丸く収まってみたいな、そういうわけではないんですよ。 そう、そういうエンタメっぽい終わり方を求めてる人には全く変わらないかもしれないですね。
そうですよね。 そうですね。だからね、その心のなんか登場人物たちの揺れ動きの先に、そう、待っていたその人の状態というかですね、そういったところに何かね、もうちょっといいものを感じるみたいな。
そうだね、ビーングとしてすごく良くなっていくイメージはありますね。この3人ね、あの、ラウラ、アリーナ、ドリスか、ビーングとしてすごく良い状態に変わっていく感じはありますね、イメージはありますね。
まあもちろんそれぞれ問題抱えてるんですけどね、っていうところで。じゃあちょっと今日はこんなとこにしておきましょうか。 そうですね。
なんやかんやこのひとり娘、あれだね、紹介しやすいなって思って話しましたね、なんていうか。ネッテルの本って今までもそうなんだけど紹介しやすいんだよな。
そうですよね。内容はね、結構複雑で、なんかいろんなものがね、解き合ってる、あやふやな内容が多いんですけど。なんか、そうですね、話すと意外と。
紹介しやすさあるよね。不思議ですね。 そうですよね。
これからもね、また出たら、多分必ず読むと思うので、またこのラジオで紹介したいなと思うので。
そうです。僕、なんかね、ネッテル、今までよりよりなんか好きになりましたね。 分かる分かる分かる。やっぱり短編と長編を味わうって重要ですね。
そうですね。やっぱ長編でそう、ネッテルのこういう作風もあるんだっていう。だからそこを知れて、いや今回すごい良かったですね。
ちょっと最新作出てるみたいなんで。 そうですね。やっぱりちょっと野田和美さん。
野田和美さんにまた翻訳をしていただいて、と思っておりますが。ちょっとどうなのかわからないですけどね。また現代書館さんから出るのかとかね、そういう辺はちょっとわからないですが、ちょっと楽しみにしていますね。
じゃあ今日はちょっとそのとこで終わりにしたいと思います。次回はですね、番外編になります。ちょっと年末最後の配信なのかな?になると思うんですけど。
そうですね。お楽しみにしてください。ここでですね、ちょっとお願いを1個入れさせていただきたいと思います。Japan Podcast Awardというのが投票期間に入っておりまして、これがですね、2026年の1月4日まで投票期間ですので、ぜひですね、ちょっと概要欄に載せておきますので、我々の番組、ぜひですね、ここまで聞いてくれた方はですね、前回はお話ししてるんですけど、ぜひ投票をいただけるかなと思います。
3番組まで選びまして、必ずこの番組に入れていただけたらなと思いますので、ぜひ。本当このJapan Podcast Awardですね、ポッドキャストでおそらく日本のポッドキャストのショーの中では一番大きいショーなので、少しでもですね、食い込みたいと思ってますので、ぜひお願いいたします。
では、いつも通り最後のお知らせなんですが、メロマ会員募集してます。こちら無料版、有料版でございます。無料版はですね、海外文学ニュースなど、あと我々のこれから紹介したい本のリストなどですね、お届けしているので、気になった方はぜひ無料ですね、登録してください。有料版はサポーター特典という形になっております。
月額500円で我々をサポートできますので、ぜひこの番組気に入ってくれたりとかですね、応援したいという気持ちがありましたら、ぜひ1ヶ月でも2ヶ月でも登録してみてください。よろしくお願いします。一度登録すればですね、過去の我々の書いているものは全部読めますので、よろしくお願いいたします。
番組の感想やリクエスト、またこの番組を聞いて紹介された本を読みました。読み返しましたがございましたら、ハッシュタグそのとび猫たちをつけて教えていただけると大変嬉しいです。Xやインスタの投稿などでお待ちしております。お便りフォームもですね、番組情報欄に載せております。こちらからいただければですね、お便り紹介会でご回答したいと思います。この番組気に入っていただけましたら、積極的に拡散共有していただけると助かります。ではまた来週。
ありがとうございました。
52:17

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