どうもみなさんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。お相手は、私小説が好きの回のダイチと羊を巡るカフェのミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
番組概要欄に詳細情報を記載しているので、初めてお聞きになる方などそちらを見ていただけるとありがたいです。
本編に入る前にですね、告知が2点あります。
この度、文学ラジオ空飛び猫たちのしおりが出来上がりました。
こちらですね、なんていうか素敵にデザインしてもらって、文学なら世界を旅ができるというキャッチコピーのもとを作ってみたので、
こちらちょっとリスナーの方々にどう届けていくかっていうのはまだ全然決まってないんですけれども、
一部私が関わりがある場所とかで配布させていただこうと思っております。
ミエさんだったらカフェに置いていただけるという。
そうですね、カフェに置いてますので。
そんな感じで、受け取れる方っていうのがちょっと限られてくる状況ではあるんですけれども、
しおりを作ったので、欲しいっていう人はなんとかその辺りで手に入れていただければなと思っております。
もう一点、12月末、もう本当年末にですね、年末年始のお休み入ったぐらいで、
まだちょっとネーミング検討中なんですが、オンライン忘年会のようなものをちょっとやってみようと思ってます。
これはリスナーの方々にぜひ参加していただきたい企画でして、特に人数制限は設けないですし、
ちょっとどういう形になるかっていうのはまだ全然やるってことしか決めてないので、決めてないんですがやります。
内容としては1点決まっていることがあって、参加された方々のうち抽選で1名の方に、
我々が来年紹介する本をですね、選べる権利というのをちょっと、
1冊選べる権利というのをちょっと与えさせていただこうかなと思っておりますので、ちょっと楽しみにしていければと思います。
じゃあ今回なんですが、行く、行った、行ってしまったという本を取り上げたいと思ってます。
2021年度、日本翻訳家協会賞、翻訳特別賞というのを受賞したというのを、これ三重さんがあれですよね、書きつけて。
ニュースで知って、この日本翻訳家協会賞っていうのが、歴代のを見てると、すごい早々たる受賞履歴があってですね、
その中で今年受賞されたというので、これはすごいんじゃないかと思って気になって、今回取り上げてみたという形ですね。
で、まあ私読んで思いましたけど、これはちょっと日本翻訳大賞、来年取るんじゃねえかなって、ちょっと思ってます。
いや、内容めっちゃ良かったんで、と思っております。
で、なかなか今回ですね、私ちょっと目が震えてますね。
感動でいいですか?
なんか、なんだろうな、いや、今回結構やっぱすごい本だったんで、これはぜひ皆さんに読んでもらいたいと、強く思ってるせいで、
なんかうまく紹介できないかったら、やだなーって、ちょっと怖さがあって、私ちょっと震えてますね。
僕も今回読んでる間、本当にその小説の方にちょっと引力だと思うんですけど、もうなんかね、ちょっと心が引っ張られていっちゃって、
ちょっとね、現実の問題とか、ちょっと心荒らずな状態が少しね、あったので、でもそれぐらい本当に引きのある小説ですね、本当に。
間違いなく今年読んだトップ5に私入りますね、と思いました。
なので、ちょっと震えてるのがもしかしたらこれ、みんなに伝えたいってむしゃぶるいかもしれない。
いやでも怖さだな、これちゃんと伝えられるかどうか、本当不安なんですが、ちょっと頑張りましょう、今日。
いや、本当多くの人に読んでもらいたい。
そうですよね。
じゃあ、お願いします。
今回紹介するのが、行く行った行ってしまった、で、ジェニー・エルペンベックさんが書いた小説になります。
浅井翔子さん役で、白水社から2021年7月に出版されています。
私の方からあらさじを、大学を定年体感した古典文献学の教授リハルトは、
アレクサンダー広場でアフリカ難民がハンガーストライキ中とのニュースを知る。
彼らが英語で書いたプラカード、我々は目に見える存在になる。
についてリハルトは思いをめぐらす。
その後、オラリエン広場では、別の難民たちがすでに1年前からテントを張って生活していることを知る。
難民たちは、ベルリン州政府と合意を結んで広場から立ちのくが、
彼らの一部は、長らく空き家だった郊外の元高齢者施設に移ってくる。
難民たちに関心を持ったリハルトは、施設を飛び込み訪ね、彼らの話を聞く。
リビアでの内戦勃発後、軍に捕らえられ、強制的にボートで地中海へと追いやられた男。
命からがらたどり着いたイタリアで、訳もわからず難民登録されたが、仕事も金もなくドイツへ流れてきた男。
リハルトは足刺激施設を訪ね、彼らと徐々に親しくなっていく。
ドイツ語の授業の教師役も引き受け、難民たちの交流は次第に日常生活の一部となっていくが、
東ドイツの記憶と現代の難民問題を重ね合わせ、それぞれの性を繊細に描き出す、
トーマスマン賞受賞作となっております。
じゃあ、ちょっと具体的に話していきたいと思います。
まず、ちょっとですね、最初に伝えておきたいところは、
これちょっとあらすじ、今聞いてもらって、難民文学、難民を取り扱った小説っていうところで、
社会的なテーマを扱っているんですけれども、
硬い内容ではあるんですが、それだけじゃなくて、結構ですね、人物がユーモアを持っていたりとか、
結構魅力的な登場人物が多くて、内容としてはちょっと重さはあるんですけれども、
物語の展開が結構うまく練られているので、かなり面白く読めるなと思いました。
もともと大学教授だったっていう成功者だと思われるその一面も持っているし、
一方で若い女性と不倫をしていたりとか、
ちょっとその人としてどうなんだろうという思うような、
なんかそういう一面も持っていて、
そういう意味ではこの人って良くも悪くも一般人なのかなと、
結構そういう状況とかにも流されやすい、
善人ではあると思うんですけども、
流されやすい人でもあるのかなと、
そういうふうに思いますし、
ただこのリハルトというのもすごくユーモアを持っている人物で、
そういったところでは小説の中で重たい部分を扱っているところもあるんですけど、
このリハルトがいるからそこをユーモアで受け止めてくれるというか、
それを進めてくれるという、そういうのがあったなと思っています。
そういったところではこの小説の本と人物像、もちろんリハルトだけではなくて、
難民の人たちやリハルトの友人たちという、
その一人一人にエピソードがあって、
そこもすごく読ませるところではあるんですけども、
そうした人たちとやっぱりリハルトとの交流ですね。
やっぱりこの小説の面白さ、
最初はリハルトという人物の視点で描かれていくんですけども、
だんだん難民の人たちって一体どういう人なんだろうというのが交流していく中で、
そこの人間関係ができていって、
それによって物語を進んでいくんですけども、
この小説のやっぱり一番読んでいて、
本当に読みどころはそこかなと思ってましたので。
じゃあちょっと話をちょっといきますか。
ストーリーラインのお話をしたいんですけど、
ちょっと今回難民文学っていうところなんで、
ちょっとそのあたりを補足していきたいなとまずは思います。
これはもともとこの大学を定年退職したばかりのリハルトが、
自分の生活圏に難民がいるっていうことを気づくところから始まる小説でございます。
リハルトは難民に対してそんな意識が高かったわけでも全くなく、
ニュースで聞いたことがあるぐらいって感じですね。
なので価格で言うと一般的な日本人の私たちと同じようなぐらいの関心度だったんじゃないかなと思います。
ただちょっとそれがたまたまこのニュースで近くにいるみたいなことを知ることになって、
彼の好奇心というか時間も体感したばかりであるっていうところを手伝ってですね、
難民を調べて彼らに近づいていくっていう形で話は進んでいきますね。
今回ドイツが舞台なんですけども、
ちょっとストーリーラインに行く前に難民の状況というのを補足で説明したいと思いまして、
これは役者跡書きでも書かれていることなんですけども、
そもそも原作が発表されたのが2015年なんですけども、
ちょうどその時期というのが中東とか北アフリカからですね、
戦争が原因なんですけど、ヨーロッパへの難民流入というのが急増していた、
そういう時期でした。
難民が2014年頃から増えていて、
2015年、16年がヨーロッパに来る難民の人たちというのはピークを迎えて、
ヨーロッパ全体で250万人以上被害死因設定があったと言われています。
じゃあ、なんでそういう難民の人たちはヨーロッパに来ることになったのかという経緯のところなんですけども、
ちょっと遡ると難民の人たちの多くというのは、出身はアフリカのいろんな国の人たちなんですけども、
ただ当時安定していたリビアですね、
これが2011年よりもっと手前だと思うんですけども、
2000年か90年代も含まれているかもしれないんですけど、
そういうリビアがまだアフリカの中で安定していて、
そこへいろんな国から人が来ると。
2011年にリビアで内戦が起きて、
リビアに住んでいた人たちというのが軍によって強制的にボートに乗せられて、
地中海に追いやられてしまいます。
要はその国から追い出されるということですね。
リビアが地中海に面している国なので、
ボートに乗せられて、地中海をさまようことになるんですけども、
その海の北の方に行くとイタリアとかギリシャがあるので、そこにたどり着くと。
そこでギリシャやイタリアに着いたら、難民申請をさせられる。
ただイタリアやギリシャもたくさんの人が来るんで、
受け入れることっていうのは不可能な話なので、
自分の国からも退去してもらうというので、
多くの難民の人がイタリアやギリシャに着いたら、
その後はヨーロッパ各国に流れていくという、そういうことがありました。
今回の舞台のドイツにも本当に多くの人が仕事もないし、
お金もないという状況でドイツまで来ていたという、そういう経緯があります。
さらにですね、ちょっとだけ法的な話になってしまうんですけども、
ラブリンツ規約というものがありまして、
これは作中でもたびたび出てくる言葉なんですけども、
EUで定められている難民の保護ルールというようなものですかね、これが。
これを簡単に説明すると、最初に難民の人が着いた国ですね。
最初に着いた国で、卑怯してもらう。
卑怯というのは守ってもらうということなんですけども、
守ってもらうというのは原則としていると。
なので、イタリアに着いた人はドイツに守ってもらうというわけにはいかないと。
イタリアに着いたらイタリアに守ってもらわないといけないというですね、
そういうルールがありまして、
ただ地理的にリビアから大量に難民が出てるんですけども、
地中海、リビア、レボートに乗せられた人っていうのは、
だいたいもうイタリアかギリシャに行くことになるので、
そこでイタリアやギリシャが大量の難民を、全員を守護する、守るっていうのは、
これは現実的には不可能なことなので、
最初にたどり着いた国で、
じゃあその守護をしてもらえるかっていうと、
決してそこがちょっと難しいということではあると。
なので、そういうルールがあったとしても、
本当にヨーロッパ中をいろんなところに難民の人たちが行ってしまうというところがありました。
しかし、ただそういうルールがあるので、
ドイツにいても、いずれドイツからイタリアに戻りなさいという、
そういう話になってくるので、それが作中の中でもやはりありました。
ずっとドイツにいるのはやっぱり難しい。
そうですね。ここが結構、この書籍を読んで初めて知った部分でもあるんで、
なかなか残酷な規約というかルールで、
たどり着いちゃった場所がイタリアっていうことが多いから、
イタリアで膨れ上がっちゃってるけど、
全員面倒見るのは無理なんで、
他に流れていくけど、結局そこでも、流れてた先でも、
いや、あんたイタリアから、イタリアに初めて着いたんだから、イタリアで守ってもらえよって言って、
追い出されるっていう非常に残酷なルールですね。
そうですね。ちょっと調べてると、このルールも小説の後の世界ですね。
2010、2017年からにちょっと改定されたりして、
今は小説の時とはちょっと状況は変わってると思うんですけども、
ただやっぱりどこの国が負担することになる話になると、
なかなかそれは意見が一致するのって難しくて、
やっぱり今でも難しい問題として残ってるみたいですね。
このあたりの話で言うと、ドイツはですね、結構積極的にこの2015年あたりは、
難民を受け入れようっていう政治的な動きがありあったみたいですね。
そうですね。メルケル首相が難民は全員受け入れるって言ってましたし、
そういうところがあるんで、ドイツに結構流れてきたというところもあってですね。
なんとなくその辺のニュースはぼんやり私は覚えてて、
その辺のドイツのメルケル首相の話とか、
あと地中海をぎゅうぎゅうなってるボートが漂ってるみたいな映像、
ニュースで見た映像って結構印象に強く残ってて、
なんかすごいことなってんなみたいなのはあったんですけど、
その当時ニュース見てても詳しく調べようとはしなかったんですけど、印象に残ってました。
やっぱり個人的にこの難民っていうのは、その時自分もニュース見ただけで何にも何ていうか考えを深めることができなかったんですけど、
日本ではイメージしにくいものだなと思いましたね。読んでても思いましたし。
で、なんで今回この本を読んでる時にそこに結構力を使ったっていうか、
なんかかなりイメージしにくいなと思ってるんで、それを自分の中に落としていこうっていうんで、
結構そのあたりは意識して読んでしまったというか、読まざるを得なかったので、
なんかいつもとは違う力が入って読んでたなっていうのはすごく感じた。
それも読書体験としてはすごい良かったんですけど、
じゃあそういう難民というところを踏まえた上で、ざっくりストーリーの話をさせていただきたいと思います。
あらさじもあった通りなんですけど、このリハルトという男が主人公で、
大学を古典文献学を教えていたんですが、定年で退職してところから始まります。
結構良いお年の主人公っていう感じですね。
死ぬまでも読書中止の生活になると思って過ごしていたんですけれども、
この大学を辞めた後すぐの8月に、ベルリンで起きた難民たちのハンガーストライキというニュースを彼は目にします。
実はこのストライキが起きていた広場は、リハルトはこの時すぐ近くを通っていて、
自分がそこにいたっていうのは間違いなく覚えているのに、このストライキ自体に気づかなかった。
テレビで見た時に気づかなかったと思います。
なんで気づかなかったのかなということを考え出すところから、この物語が結構始まっています。
テレビには我々は目に見える存在になるとプラカードをかけている難民が映っていて、
そのことを全く自分はなぜ気づかなかったんだろうと、見ることができなかったんだろうと彼は疑問に思います。
そこからリハルトは難民に関心を持つようになり、難民について調べていきます。
近くに難民が滞在している施設があって、そこに足を運ぶようになっていきます。
そこが元老人ホームの場所で難民の受け入れの施設になっていて、リハルトはそこに通うようになって、
施設の人たちと面会をするようになっていくと、インタビューを始めたりするんですね。
リハルトは彼らとの交流を通じて、難民一人一人の人生、様々な事情を知っていきます。
その流れでリハルトはですね、彼ら難民にドイツ語を知るようになっていき、何人かの難民たちとは友情のようなものが芽生えていきます。
お互い友人だという認識をしたしますね。
彼らをちょっとずつ支援していくようになっていきます。
しかし難民に対する保護には限界があり、彼らにはドイツから退去命令というのが下されてしまいます。
リハルトは友人たちと協力して、自分の家とか知り合いの家、友人がやっているお店とかオフィスなんかで一人でも多く難民の受け入れというのを働きかけていきます。
リハルトの誕生日にはドイツ人の友人だけではなくて、難民の友人たちも集まり、ラストリハルトはちょっとあることを語って終わります。
というのがちょっと割と大きいストーリーラインなんですけど、ざっくりといろんな難民の状況が個々と変化していって、徐々にドイツ、受け入れるぜって言ったドイツが、
なかなか難民を対処しきれないというか状況になっていって、難民たちの状況はどんどん悪化していきますね。
それに絡めてリハルトのことが語られたり、彼の過去の人生のことがちょっと挟み込まれたりとかして話は進んでいき、
最終的にはちょっとネタバレになっちゃうからなんですけど、状況が悪化していくという中で終わっていくというのがこの小説でございます。
そうですね、本当ストーリーラインでなかなか説明しづらい、内容が本当にたくさん彫り込まれていて、
例えばリハルト自身も本当にドイツが、東西統一ですね、その瞬間というのにも立ち会っていて、
今まで自分のすぐ近くに国境線、境界があったものがなくなった経験とか、そういうのもしていて、国とは何かっていうのをすごく考えていたりして、
そういうリハルトの思考的なところをですね、ここも小説の中ではすごくたくさん書かれているところで、
僕も小説読んでいて、印象に残るところが、いくつもあるんですけど、2つだけ言いますと、
そういうドイツで生まれ育って、ドイツの本当にいろんな激動というのをリハルトも経験していて、
という中で、今ドイツにはたくさんの難民の人がいると、でも難民の人たちに対して結構ネガティブに見ている人もいるし、
難民の人たちが生活もすごく大変そうにしていると、そういうのに対してリハルトが、ドイツで難民が生き延びることができて、初めてヒトラーは戦争に負けたことになるっていう、
そういうことを、なんていうんですかね、心の中では思っていたりして、そういう言葉があったりとかですね。
あと、この難民の人たちがどういう経緯でドイツに来たのかというところとかをリハルトは調べていくんですけど、
結局、アフリカの地図っていうのはヨーロッパの人が書いたと、アフリカの人たちが決めたんじゃなくて、ヨーロッパの人たちが戦争が終わって、
どこどこの国はここまでっていう国境線を勝手に引いていると、というのでアフリカ人には関係ないと。
アフリカ人には関係ない国境線の問題によって、アフリカ人が今被害を受けて難民となっているという、そういう状況に対してのことがですね、
結構こういうのを読んでいて、心に刺さってきましたね。
境界線っていうものは何なんだっていうのが、結構この小説の中では繰り返し問われるんですけど、
ここで、今、銘さんが読み上げてもらったところで言うと、やっぱりアフリカの国の国境って直線が多いじゃないですか。
もう明らかに誰かが引いたよね、みたいな線が多くて、私もこれ見てて、これを読んでて思った。
誰かが勝手に引いた何かに、なぜ従わないといけないのかっていうか、それがなんでこんな強制力を持つんだろうみたいなっていうのは、なんかすごく読んでても感じましたし、
それについて考えることができる本だなと思いました。
この小説なんですけど、ちょっと今いろいろ話した通り、このリハルトの人生を描いて、通して見せてくれる小説なんですけど、
難民というものを描いてはいるんですが、同時にですね、ドイツ・ベルリンという、場所というか国を描いた小説でもあって、
結構社会的政治的な内容を含んだ小説で、ドイツが持つ政治的なうまくいかなさと、社会的に構造的に持ってしまって、貧富の差とか格差とか、
そこで起きる断裂のようなものかなっていうのも描いていて、具体的に言うと難民に対して、近くにいるのは結構、
ベルリンの中でも貧困層が割と難民と一緒に暮らすというか、接することが多くて、
富裕層はその辺と難民とあんまり接触しないのかな、ことが多いと思うんですけど、
だから富裕層は難民受け入れればいいじゃん、みたいな話とかするけど、貧困層はそれが困るみたいな、労働の機会が奪われるみたいなところと絡んでくるんですけど、
なかなかいろんなことを考えさせられるんですよ。
このドイツというものを、正しい視点という言い方が難しいんですけど、うまく描いてるなと思いました。
これがドイツでベストセラーになってるっていうのはわかるし、自分がこういうものの日本版をすごい読みたいなと思って、
難民とかいない、あんまり日本にはいないと思うんですけど、今の日本の政治の問題とか社会が持つ問題のようなものを、
こういう感じで掘り下げてるショースがあったらすげー読みたいなって思っていながら、ちょっとこれ読んでましたね。
でもわかります、本当に。
こういう映画とかもね、ちょっとやってたら見に行きたいですね。
うん、すごいなんか勝負してる本だなって感じましたもんね。
あと小説の中でリハルトが何人もの難民からインタビューするんですよね。
そこでなんでドイツでここまでたどり着いてきたのかっていう、その経緯を聞いていくんですけど、
結構その一人一人の話にすごくドラマがあって、本当に強烈な話ばっかりで、
なんか読んでてね、本当そこもすごく心が動かされたところではあるんですけども、
ちょっとせっかくなんで、具体例として一人、リビアから最初イタリアに渡ってきたアワードという人物の話を少ししたいなと思います。
このアワードという人なんですけども、もちろん難民としてリハルトの前ではなかなか苦しい生活をしてるんですけども、
もともとリビアにいた時の暮らしは結構良くて、お父さんが石油会社の運転手をしていたというのがあって、
自身も自動車整備工になって働いていて、おそらく現地では良い暮らしをしていたと。
お父さんにもすごく大事にされて、そういう人生を歩んできたというところなんですけども、
本当にある日突然ですね、戦争が突然勃発してというか、それで被害を受けてお父さんが亡くなって、
自身も軍に連行されてしまって、ボートに乗せられてしまうというのが本当に突然パッと起きると。
そこで本当にボートの中でも本当にすごく大変で、生きるか死ぬかというところをですね、本当に人がぎゅうぎゅう詰めで何百人も乗っていて、