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コインロッカーで生まれたキクとハシ。兄弟として育った二人は、異なる強烈な欲求を抱えて社会に飛び出す。スリル満点で破壊的な物語は今も色褪せない。村上龍の代表作、コインロッカーベイビーズを紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするポッドキャストです。パーソナリティーは、私ダイチとミエの二人でお送りします。
文学のプロではない二人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、村上龍のコインロッカーベイビーズです。講談社文庫から出ている本になりまして、単行本は1980年に出版されたものなんですけども、今では文庫で買える本になっています。
はい、ありがとうございます。今回はですね、久しぶりにゲストと作品紹介をやっていきます。今回来ていただいているゲストはですね、もう我々の番組ではお馴染みですが、ねじまきラジオさんです。ねじまきさんよろしくお願いします。
お久しぶりです。よろしくお願いします。よろしくお願いします。お二人お元気されてますか?
いや、元気ですよ。いや、元気にしてます。ミエさんとねじまきさんは、もう今日とミエさんが離れてから。離れてから。で、去年の秋にワインのワーサンのイベントで会ってるんで、意外とそうなんですよね。私も。
大地さんとも3人とも会ってるんで、ねじまきさんそんなになんか久しぶりっていう感じは、実はしてないんですよね。ラジオで喋るのは1年ぶりですけど。
ああ、確かに。ワインをたくさん飲んだ日ですね。京都で。ミエさんはあれ以来京都には行ってないのかな?
そうです。行って戻ってないですね。そうなんだ、そうなんだ。ねじまきさんともリアルでは。そうですね。半年ぶりぐらいか。そうですね。
半年、そうですよね。ワインしてないですし。番組では言うとあれですね、ルグウィンの闇の左手を一緒に紹介して、ああでもルグウィン面白かったっすね。あれもちょうど冬でしたよね。確か2月。そう、1年ぶり以降2月ですね。そうですね。そうですね。
ちょうど1年ぶりっすね。強烈な作品でしたけど、なんか思うのがねじまきさんと一緒にコラボするとき紹介する本、なんか強烈な本が多いなっていうのが。
曲が傾向としてあるっていうのがなんかちょっとわかってきましたね。うん、今回もですね、強烈な一冊ですが、コインロッカーベイビーズ紹介していきたいと思うんですけど、これ実はねじまきさんからのリクエストというか。そうですね。この辺なぜコインロッカーベイビーズだったのか。
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あの候補としていくつかは挙げさせてもらったんですけども、そうですね久しぶりに日本文、僕の時って日本文学紹介しましたっけ。なかったはずですよね。ねじまきさんと初めてですよね。
あと村上隆って結構有名やのに多分文学ラジオでは取り上げてなかったなっていうのと、あと僕自身、そうですね、初めて読んだのが高校の時ぐらいやったんですけども、それ以来10年以上ぶりかな、の再読で、でこの本って結構LGBTQみたいなこう変わったキャラクターがいっぱい出てくるんですけども、
まあ僕自身その読んだ時はゲイっていうのを気づいてなかったので、ちょっと久しぶりに読もうかなって思ったのもありますね。
私もですね、高校生以来の再読で内容をほぼ覚えてなかったんですけど、あのやっぱ読んでみてめちゃめちゃ強烈で、こんな面白かったんだって思いましたね。
で、めちゃめちゃ廃墟のシーンあるじゃないですか、もう超前半ですけど、ガゼルの印象がめちゃめちゃ強くて、なぜか上巻の終わりぐらいまでもうこの廃墟とガゼル出てくるんじゃないかなって思ってたら5分の1ぐらいで終わるっていう感じだったんで、あれって思ったんですけど印象と結構違うなと思ったんですけど、
時間経つとこの作品の印象ってやっぱり自分の中で勝手に育っちゃうなっていうのをちょっと久しぶりに感じた一冊ですね。でちょっとこのままちょっと作品の話に入っちゃうと、まあ書かれたのは40年前の小説ですけど、今読んでも全然面白い、めちゃめちゃ面白いなと思いました。
うんね、で構成とか文章がもうすごいんで、なんか読んでるとどんどん引き込まれていく。結構グロいじゃないですか。
まあそうですね、なんか生々しさとかね、ありますし。
なのになんか読めてしまう部分もあって、いやちょっとこの作品結構すげえなって改めて思いました。
みんさんどうだった?
僕も20代前半の時に読んで、まあその時以来の再読になったんですけど、めっちゃ面白かったですね。
初めて読んだ時はまあ面白くてハマったんですけども、やっぱり今読んでもなんかすごくなんか新鮮に読めましたし、ちょっと思ったのが、改めて読んでみると、
あの舞台がちょっとSFチックななんかディストピア感のある東京で、主人公の菊と橋が一緒に生まれ育つけども、別々の道を歩んでいくっていうところで、
描かれた時代が近いアキラですね、漫画の。なんかアキラに結構重ねて読んでしまいましたね。
で、やっぱり40年前の小説ですけど、今も読んでいけるっていうので、なんかそのパワーがすごいなと思いましたね。
この小説の持っている、それはなんか今読んでも強烈なストーリーのこの展開であったり、ちょっとした描写のところであったりっていう、
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何かね、すごいパワー感じるところがいっぱいあったんで、なんかそういうなんかもう本当エネルギーが溢れているっていう。で、それはなかなか今もそういう小説ってないんじゃないかなと思いましたね。
たしかに。ここで描かれている日本って、なんかすごく架空ではあるけれども、この勢いというかこの感じって、もうあんまないよ、なんかなかなか出てこないよね。
1980年代って結構そういう時代でしたっけ。これたぶん1980年代がちょっと、僕自身生まれてないのでどれぐらいの社会時期だったかわかんないですけど、やっぱりあれなんですかね、いろいろ混乱してたというか。
で、なんかこの小説も確か実際のコインロッカーにニュージーが入れられてたみたいな事件を元にした作品やったと思うので、やっぱなんかその社会の混乱を反映した小説なんかなとか思ったりはしましたね。
でも、なんかそういう元ネタがあるとはいえ、結構この村上隆のこの伝えたいことっていうのが詰まってると思うんですけど、この構成と展開とストーリーはやっぱ圧巻でしたね。
これなんか本当高校の時なんか自分はサラッと読んでしまった気がするんですけど、よくこれサラッと読んでそのままなんかこんな印象が薄いままでいられたなってちょっと思うぐらいちょっと読み返してみてびっくりしました。
さてさてなんかちょっともう始まっちゃってるんで、あれ紹介入っていきましょうか。まずですね、著者紹介ちょっと私の方からしたいと思います。
とはいえ、村上隆の著者紹介って活動幅がいろいろあるので、小説家のとこに限ってちょっと話したいと思います。1952年長崎に生まれています。
1976年限りなく遠目に近いプルーで群蔵新人文学賞を受賞、そして芥川賞。
81年にコインロッカーベイビーズを発表して野間文芸新人賞を受賞しています。
このコインロッカーベイビーズでかなり村上隆の評価が確定したというかかなり上がった作品だと思いますね。
でまぁその後いろいろあの作品を発表を続けていて、テレビなんかでもね出てるのでご存知の方いらっしゃると思うんですけれども、小説家としてはやっぱこのコインロッカーベイビーズが代表作なのかなというところですね。
あとはあれかな村上隆といえば。カンブリア宮殿。テレビ。カンブリア宮殿。小説だと愛と幻想のファシズムとか芥川賞を取ったアンティビューズ作もありますけど、
あとはハントオデオとか。あーそうねハントオデオ。インザミソスープ。あーそれもね結構読んでる人いたな。私読んだことのあれですねあの希望の国のエクソダスと
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69とあれ昭和火曜大全集。それ知らないですね。昭和火曜大全集はですね映画もめっちゃ面白いんでよかったらぜひって感じですね。
僕はちなみに高校生の時初めて読んだのがテニスボーイ。あーそれ読んでないな。という感じでやっぱり多作ですね。じゃあそんな村上隆のコインロッカーベイビーズ
具体的に入っていきたいと思います。ではここから作品紹介入っていきたいと思います。まず私の方からですねちょっとホームページの引用をちょっとお伝えしますね。
1972年夏、菊と橋はコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の古党から消えた橋を追い、東京へやってきた菊はワリのガリバーと暮らす姉モニに出会う。菊は小笠原の深海に眠る
ダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を寄給する。毒薬のようですがすがしい衝撃の現代文学の傑作が真相版に。
あ、これ真相版の時のあらすじですね。ちなみに私が持っているのは多分旧相版ですね。だいぶ古いやつかなって感じです。
じゃあここから特徴の話をしていきたいと思います。おまかに3点になりまして、まず一つがですねコインロッカーベイビーズは兄弟同然で生まれ育った
主人公2人による物語になります。それが交互に語られていくというのがまず一つ特徴ですね。
この兄弟2人が菊と橋なんですけども、2人ともコインロッカーに捨てられていて、そこから生き残って育てられていて、兄弟の本当の兄弟のような絆ができていくんですけども、
ただすれ違いも起きていくと、特に菊は自分たちを閉じ込める社会を破壊しようと動いたりしますし、橋は橋で歌手になっていくんですけども、
というので性格も全然違う2人なんで、途中で別々の道を歩んでいって、でもまた交差をしていくというですね、そのような物語になっています。
菊と橋という2人の主人公の話なんですけど、この菊と橋が結構同じような境遇で育ちながら、性格が結構変わってきていて、あと考え方とか思想なんかもですね、おそらく似たようでちょっと違っていくっていうところ。
ここが2人が共に育ちながら途中で別れてしまった後、なかなかお互い兄弟として意識していながら、また一緒にはなれないっていう部分、一緒には行動できないっていう部分が繋がっているかなと思います。
どちらかっていうと菊は結構攻撃的というか、割とストレートな怒りを表出させていく人物なんですけど、橋は内面内面に潜っていく感じがあって、2人の対照性っていうのは読んでてめちゃめちゃ面白かったですね。この辺りねじわきさんどうでしょう?
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そうですね、やっぱりキャラクターがどれも、そこそこキャラクターの数多いんですけど、どれもキャラが立ってて、みんな何か求めてるけど報われないというかっていう感じで、よく描けてるなっていうのと、やっぱりその仕掛けがもう序盤から後半までも結構綿密に、なんか勢いで描いてるように見えて、割と計算されて描かれてるかなっていうのを採得して思いましたね。
確かに。
で、結構舞台設定も東京だったり薬島?薬島かな?薬島とか。
うん、薬島なのかな?どういうんだろうね。
確かにどういうんだろうね。
薬島と書いてね、なんかでも薬物で汚染されたから薬島なのかなってちょっと思ってたけど。
薬島なのかな?
あ、薬島と書けてるのかな?
そうか。
流れはどうなんですかね。
ちょっとあれだね、ごめんなさい、詐欺ちゃって。
とか、アネモネのなんかちょっとまた変わった部屋の中の描写あったりとか、舞台の転換の仕方もすごい上手いし、
そこにキャラクターの何かね、違いをどんどん書き合わせていってみたいな感じがすごい上手いなっていう普通の感想しか出ないんですけど、
そうですね、それがやっぱり物語をすごいドライブさせてるなっていう印象に受けましたね。
そうなんですよ、周りの登場人物たちですね、やっぱり上手いこと絡んで小説をドライブさせていってるっていうのが本当感じたところで、
それも本当特徴二つ目だなと思っています。
で、ジェミックさんが言われていたみたいに、作中の東京とか東京以外の都市とかも出てくるんですけども、
リアルなようで架空のディストピアな世界になっていて、そんな東京であったり地方で生きている人たちは登場してくる人物っていうのが、
だいたいみんな傷ついて生まれ育って、悠々時的というわけじゃなくて、やっぱりその世界の中で何かしらちょっと傷を負って生まれ育って、
何かちょっとその歪んでいるところがあると。
姉モネだったら、すごい恵まれた環境でお金持ちのところで生まれたんですけど、でもやっぱり心はでも潤ってはいないという。
姉モネは現実の世界よりかはペットで飼っていたワニですね、ワニの王国の中の人物でいたいって思うような人で、
そんな姉モネ以外の人物もですね、何かそういうちょっと歪んだところをだいたいみんな持ってて、そのせいから結構ね癖強いキャラが多くて、それが本当絡み合うんでね、すごく面白いし、話もどんどんなんかドラマが生まれていっているっていうのがありますね。
本当あのお二人おっしゃる通り、かなり癖の強いキャラクターが多くて、名前が出てくるって言い方あるんだけど、姉モネとかもちろんキクトハシ、ミスターD、タツオとか、名前が与えられている人物もそうなんだけど、名前のないなんかこう突然現れた役島の住人とか、役島の住人だけじゃなくてタクシー運転手も狂ってたりする人がいるじゃないですか。
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姉モネ、女性独身でしたかね。
こんな東京あるのかっていうか、こんな日本はあるのかっていうぐらい、全体的に病んでるよね、産んじゃってるよね。
なんか若干ちょっとゾンビ映画とか見てるような。
あーわかる。
あー確かに。
なんか人やったら急に人じゃなくなるみたいな。
確かにゾンビ映画感ありますね。
そう、暴力性とか。
なのでちょっと話をメインの人たちに戻していくと、誰もがこの登場人物の中で満たされてない感じはすごくしましたね。
例えばこれお金持って成功してると思われているミスターDっていう音楽会社、レコード会社を経営しているミスターDっていうのがいるんだけれども、彼もなんか全く幸せそうに自分は見えなくて、
なんかこの小説の中で完全に満たされてるみたいな人って現れなかったなっていう。
なんかそれはすごく村上龍も意識して作っているとは思うんですけれども、すごいどこを見渡しても飢えているっていう感覚がすごく強い小説でしたね。
そうですね。なんかそれがすごい作品のパワフルさとかなっていると思いますし、ちょっと次の特徴、最後の特徴に入りたいと思うんですけども、この小説の持っているこの疾走感とか破壊衝動ですね。
まずストーリーとか文章もすごくテンポが良くて、どんどん読むと止まらなくなっていくんですけども、
ただその小説の描かれ方としては、暴力的で、グロテスクで、あらゆるものを破壊しながら、これもなんかもうどの登場人物も大体何かを破壊したり、暴力的になっていったり、
そんな中でもどんどんストーリーが疾走していくっていうですね。そんな感覚がありましたね。
これも疾走感はすごいあるよね、この文章ね。物語もそうなんだけど、結構ちょっと気を抜くと展開がすごくて、あれ?なんか俺どっか読み飛ばしたかと思うくらい展開がすごい時あって。
限りなく遠目に近いブルーもそんな感じでしたね。こうわざとやってるようなと思いますけど。
なるほど、そうなんだ。
こうすごいガンガン飛ばして、で、なんかふと我に帰る時があったりとか、冷めた、熱くてガンガン行く時と、すごい急に冷めたりする時のかき分けというのがすごいなと思って、そこは村上流っぽいなと思いました。
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これやっぱ明らかに狙ってリズム作ってるよね。
そうですね。すごい。
で、なんか事故が起きる時とか連鎖していくじゃないですか。
例えば終盤で脱走するところとか、警察が捕まえようとしたら、その時マスコミも入ってて、アナウンサーとかカメラマンとかが巻き込まれて、
で、そういうぐちゃぐちゃした中で、人と人がぶつかって、人が死んだり傷ついたりして、その影響でまた違う人がアクションしてっていう、
そういうどんどん連鎖していって脱走しようみたいな大きな流れになっていくっていうですね。
そういうところとか、これ描き方の一つかなと思うんですけども、特徴的だなって思いましたね。
そういうのが結構何回も連鎖することで、ちょっとしたことから大きな話になっていくっていうのがあったので。
確かに。
確かに。あれ結構緊張感走りましたよね。そもそもの計画うまくいかなかったしみたいなところから台風が来てみたいな、
トラブルに巻き込まれながら、二転三転していくっていうのは面白かったですね。
さて、じゃあちょっとそんなところでストーリーを紹介していきたいと思います。
その後ですね、ちょっといろいろ3人で議論していきたいと思っているので、
ある程度というか、ほぼざっくりと最後までストーリーの流れは今日は紹介してしまおうと思います。
コインロッカーベイビーズ、かなり有名な作品なので、読まれている方もいると思いますし、
また、読んでなくても名前知っていて、なんとなくこういう話なんだなっていうのは分かっている方がいらっしゃると思うので、
この辺りですね、ネタバレしても我々としては問題ないかなと思っているのでネタバレしていきます。
ただ、もちろんかなり濃厚な作品なので、しっかり味わいたいという人は読んでから聞いていただけたらなと思います。
じゃあ行きます。
まず、コインロッカーに捨てられた2人の乳児、キクとハシ。この2人が主人公ですね。
彼らは実際は東京、横浜かな?で捨てられていたんですけれども、
やがてですね、九州の離島の夫婦に引き取られて成長していくことになります。
2人の精神状態はあまり良くなくて、精神科においてですね、音による催眠療法のようなものが施されて、
2人がすごいエネルギーを持っていたんですけれども、そのエネルギーは眠らされてしまったという状況になります。
2人はですね、この島で廃墟でよく遊んでいました。
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昔栄えた場所があったんですけど、工場みたいなとこかな?があったんですけど、そこで遊んでいました。
特に引き取り先の母親から、その廃墟では遊ぶなと禁じられていたんですが、2人は黙ってそこで遊んでいました。
そこにはですね、オートバイに乗った強い男と出会います。
映画館の廃墟で住んでるんですけど、2人はガゼルと勝手に呼んで、聞くはですね、ガゼルからダチュラという言葉を教えてもらいます。
このダチュラという言葉はかなりこの物語でキーワードになってきます。
ある日、デパートの屋上で橋は催眠術をするショーに参加してしまい、かつて自分が音により催眠をかけられたことを思い出します。
そして高校生になったある日、テレビで橋はですね、自分の母に違いないと感じた情報をキャッチして、東京に自分の母親を探しに行ってしまいます。
この時、菊に置き手紙を残して一人で行きます。
菊はですね、九州でお世話になっている母親代わりというか、義理の母親になったカズヨとですね、一緒に橋を探しに東京に行きます。
カズヨはですね、この時あることがきっかけで、ちょっとあっさり死んでしまいます。
菊はですね、橋を探す過程でアネモネというですね、モデルをやっている少女と出会います。
アネモネと菊はこの時ちょっと仲良くなってきますね。
最終的に菊はですね、一人東京の吐き溜めである薬島、薬島と書いて多分薬島と読むと思うんですけれども、薬島という場所で菊は橋と再会します。
ただ橋はですね、だいぶ変わっていて、女装して男性の相手をしていました。
もう自分が同性愛者だようなことを言い出しますね。
橋はですね、その客である音楽会社、レコード会社の社長であるMr.Dという男に歌詞として評価されて、今後デビューする予定というところでした。
一方ですね、菊はですね、橋と出会いながらですね、橋を探している間にもちょっといろいろあったんですけれども、
破壊衝動みたいのがやっぱり菊は持っていて、ダチュラという名付け、ガゼルから教えてもらったダチュラという名前ですね。
これが一体どういう意味なのかと調べだすと、毒物だということを知ります。
この毒物を探し出してみたいという計画をですね、アネモネと話し出します。
これをですね、東京でばらまいて、東京を壊してしまいたいという話になってきますね。
橋は歌詞としてデビューして見事に売れ始めます。
そして橋の母親と再会するテレビ番組の企画が裏で進行し始めますが、結果それはですね、橋の母親ではなく菊の母親が見つかっていて、菊と菊の母親の再会となってしまいました。
菊はこの時ですね、母親を殺してしまいました。そして刑務所に入ります。
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ここまでが上巻ぐらいかな。ちょっともう下巻はですね、めちゃめちゃ濃いんですけど、すごいざっくり言いますね。
橋はですね、自分のマネージャーにした20歳近く上の二羽という女性がいるんですけど、この女性と結婚します。
橋はですね、ちょっと年が離れた女性ではないとですね、性的な行為とか安心というのができないという状況になっていました。
これはおそらく母親への憧れとか思いとかそういうのが影響していると思われます。
橋はですね、売れに売れ全国ツアーに出ます。けれどもその過程でどんどん彼は壊れていく。
自分は必要とされているのか、されていないのではないか。そんなですね、思いがですね、橋の中にずっとつきまとっていきます。
やがて自分の身こもっていた二羽を刺してしまうほど精神がおかしくなってきます。
で、一方姉も姉はですね、刑務所にやられた菊を救うために刑務所に向かい、そして脱獄に協力します。
でもここでもめちゃめちゃこの刑務所のシーン、いろんなことがあるんですけれども。
ちょっと結論だけ言うとですね、計画通りですね、脱獄を探しに行き、そして見つけ東京に撒くと。
そして脱獄が撒かれた東京で橋はですね、新しい歌を歌うというところで話は終わっていきます。
これがもうほぼほぼ大枠ですね。
そうですね。なんか刑務所のところがたぶん残り何ページだろう。200、300ページぐらい。
後半のところはだいぶ端折って、しかも大枠はこんな感じですね。
ちなみにだいちさんが読んでいるのがあれか、旧版だから上下巻なんですよ。
僕は新装版、2009年に文庫の新装版出て、それはもう一冊で。
そうなんだ。
600ページ近く分厚い本になっているんで。
なるほど、たぶん新装版じゃない私が持っている文庫はですね、文字の大きさも結構小さくて。
そうなんだ。
たぶん2つで500ページ切ってるかな。
200、30、30ぐらいなはずなんで。
でもそうですね、ちょうど500ぐらいかもしれないですね。
新装版をちょっと見てみたいな。
大ボリュームな作品ですよね。
じゃあこの大ボリュームな作品をちょっといろいろ話していきたいんですけど、
まずはちょっと結末の印象をちょっと話していきましょうか、3人で。
ちょっとこれ、なんて言ったらいいんだろう。
最後、これは希望だったのか、それとも絶望だったのかみたいなところはちょっと分かれるかどうかってところですけど。
東京はもうだいぶ終わりそうですよね。
大変なことになっているけれども。
でもなんかその中で橋だけが本当の自分をようやく見つけられたんじゃないかみたいなちょっと描かれ方をしていて。
そこは状況は状況だけれどもちょっと感動するポイントではあったかなと思いますね。
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お二人はどう見ましたか。
僕としてはそうですね、やっぱりようやくラストでそのコインロッカーベイビーズの伏線が回収されたというか、
ちゃんともう外に出て呼吸ができて泣き声を上げれたのがもう最後なのかなっていうところなんですけど。
なので物語の主人公的なところで言うと、一応はもう達成はされた感はあるんですけど、
この世界がどうなるかはちょっともう分からないですね。
っていう感じです。
確かに。
僕もちょっと気になったのはキクが最後どうなっていくんだろうと、東京を壊滅状態にできたと思うんですね。
その先はキクとアネンモネは生きていくと思うんですけども、そこに幸福感とかあるんだろうかとかですね。
何かその満たされるものあるんだろうかとか、
またそうなったらなったで、何かキクにとっては抗う、抗わないといけないものっていうのがまた出てくるんじゃないかなとかですね。
このコインロッカーベイビーズのラストで、じゃあこれで一つの大きな何か出来事が終わったとかっていう感じはまだ受けなかったですね。
橋に関しては、確かにちょっと最後に本当の自分の本能というか気持ちみたいなところが自分の中で見えたっていうところがあったかなとは思ったんですけども、
何かそんなキクに対してもちょっと思うところありましたね。
そうですね。だから逆に言うとこのキクが今回こういう形で破壊衝動を満たしてはいるけれども、
でもそれってキクにとって何なんだろうってとこですよね。
そうですね。
確かにこれでキクが何か幸せになれたっていうのはちょっと見えなくて。
破壊衝動もこの先も何かまた別のものに対してもあるんじゃないかなとかですね。
そんなこともちょっと思ったりは。
ただキクはやっぱりこれで一個成し遂げたことになるとは思うんですけど、
キクがやりたかったのはたぶんゼロに戻したいみたいな感じだと思うんで、
リセットしたいみたいな感じのところもあったと思うんで、
そういう意味ではまたここからキクはどういう生き方をしていくのか、
たぶん自分がまた選び取れるような感覚はあるんじゃないかなと思いましたね。
やっぱりここにこの破壊をしないと自分はまた始められないんだみたいな。
コインロッカーベイビーズっていうさっきねじまきさんが言った通りで、
ここから生まれるんだみたいな感覚はちょっとあったんじゃないかな。
ハシもそうだと思うんですけどね。
ゼロにリセットしたっていう感じだなっていうところですね。
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でもとはいえここまでに至る話がすごいいろいろあったから、
やっぱりこの状況になっていくっていうのは、
一種の物語の展開としてはカタルシスムがある部分ではあるけれども、
怖いところでもありますよね。本当にこの壊れていくんだみたいなところ。
そうですね、確かに。僕はあれですね、後半のハシが精神的に狂っていくところは、
ちょっと辛いところは読んでてあってですね。
結末、ハシどうなるんだろうっていうのはすごく気にはなっていてですね。
この狂ったハシが何か正常に戻ることとかあるんだろうかとかって思っていたんですけど、
でも最後の最後にすごくそうやってハシが本当の自分の気持ちに、
自分を見つけられるとかですね。そういうふうになるんだっていうところは、
ハシが狂っていたから何か最後の最後にちょっと自分を取り戻せたところがあったのかなとですね。
そんなこともちょっと思ったり。
これでも映画的に、映像的に言うとすごい綺麗に終わりますよね。
もしこれが映画やったら、すごい余韻を持たせて、なおかつもうガッと終わる感じで。
僕はもうそれも含めて村上流っぽいなと思いました。
これそうですよね、新しい歌っていう表現がされてるんで、
多分それまで今までハシが歌手として歌ってきた歌とは全く違う歌が、
映像だったら表現されると思いますもんね。
確かに。で、あとちょっと最後に自分がちょっとハシについて思うのは、
やっぱりここでハシが多分誰から求められてるわけでもなく、
自分の歌を自分でようやく歌うことができたっていう。
これ多分ハシはこの物語中ずっと描かれてるんですけど、
基本的には求められてることをしちゃうタイプの。
っていうか、求められてることをしてる時もあれば、
この人たちはこういうことを求めてるんだと、
自分が勝手に思っちゃってやってることもあるし、
とにかく直接的にも書かれてますけど、
必要とされたいっていう気持ちがめちゃめちゃ強い人物。
じゃないと自分の存在意義がないっていうところ。
でもある時悟るんですよね。
人間はみんな不必要だって。
それってやっぱり究極だなと思っていて、
この小説明確に書かれますけど、
何か必要な人間っているのっていう。
逆に全員が全員必要だよっていうこともできちゃうし、
いや全員が全員不必要だっていうこともできちゃうかなって、
この小説を読んで改めてその言葉に出会った時に思ったんですけど、
究極、人間って別に何だろう。
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いらないと言えばいらないじゃないですか。
ちょっと語弊がないように言おうとすると難しいんですけど、
結局我々の歴史を見ても問題しか起こしてきてないし、
このふうに問題を起こしながら正常に向かっていってるのか、
いや分かんねえなって思うし、
この時代、1980年代って、
もしかしたら平和にすごく向かってって時代だったのかもしれないなとちょっと思いますし、
でも芸術、今世界は平和かって言われたらそうではないっていうところで、
視野まで持っていっちゃうと、
人間必要か不必要かみたいな話っていうのは結構クリティカルな話で、
ちょっと怖いなって思いましたね。
で、それを箸が受けていて、
不必要だっていうのを分かりながらも新しい歌を歌うっていうのが、
やっぱちょっと感動的なんだろうなっていうところはちょっと思いました。
確かに今の聞いていると、
なんかその、
生きるために他人に頼るなみたいなことはちょっと思いましたね。
なんか結構箸がやっぱり自分が必要とされているのかどうかをすごく、
この生きるか死ぬかのところで自分に問いかけてたりしたんですけども、
村上流的にはもしかすると、
そんななんか自分の生きるかどうかに、
なんか自分の生きるかどうかに、
その他人に頼るなと、
他人どうかじゃなくて、
なんか自分で生きろみたいなんですね。
なんか他人を利用するなみたいなんですね。
なんかね、そんなちょっと気持ちの現れとかっていうのもね、
ちょっと思ってしまいましたね。
このMr.Dにしても、
なんか出てくる人物が、
だから他人を利用して、
まあそれでのし上がっていくとかですね。
その社会で生き延びようとしているっていう人たちが、
比較的多いんじゃないかなって思ってるんですけども、
その中でなんか箸も、
なんかその自分は必要とされるんだろうかどうかとか、
なんかその社会の尺度で、
社会に生きてる人と自分っていうので、
思い悩んでいたと思うんですけども、
なんか自分が自分がっていうところが、
自分が自分がというか、
なんか他人動向っていうのをいちいち考えるなみたいな。
ごめんなさい。
なんかそれすぐ姉モネがキクに言ってましたね。
それ考えるなみたいな。
あーそう。
姉モネがね、
そんなキクは見たくなかったっていうことだよね。
そうそう。
まあちょっとこの箸の話だけでも、
すごいできちゃうから、
あれなんだけど、
ちょっと次行きましょうか。
で、この小説で描かれている破壊についてちょっといろいろ、
多分読む人によってイメージが結構変わってきたりとかすると思うので、
ちょっと話したいと思うんですけど、
とにかくこれ破壊が起きるじゃないですか。
小さいところから大きいところまで、
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最終的には東京にダチュラがばらまかれるというところで、
時代的なものもあったのかもしれないけど、
破壊したいみたいなものにやっぱり共感しやすいのかな。
戦争まで行くとちょっとあれなんだけど、
多かれ少なかれ、
破壊衝動みたいのは多分誰もが抱えていて、
それをこう代弁してくれているのも、
こういうロッカーベイビーズだったのかなとはちょっと思ったり。
でもなぜ破壊したくなるんだろうね。
でもなんかこの、
破壊することって普遍的なことかなと思うんですね。
どんな時代でも、
社会が出来上がってしまったら、
そこの社会からはみ出される人って多かれ少なかれいると思っていて、
このコインロッカーベイビーズの2人はそうだなと思うんですね。
生まれた時点でもその社会から追い出されてしまっているっていう。
そういう人がやっぱりの視点で立つと、
その社会を破壊するというか、
そうなってしまうのかなとかちょっと思ったり。
そういうのってでも結構どの時代とかでもあるのかなって思ったりもしますし。
そうですよね。
なんか破壊だし、見方によっては革命かもしれないし。
そうだね。
解説部にもあったけどガゼルの言葉でね、
構築して壊すっていう。
繰り返すっていうね。
やっぱりなんか人間は作り上げたものを壊したがる。
生き物なんじゃないかっていうね。
ところはちょっと指摘されていたけれども。
しかもそれが出た、この本が出たのは80年で。
一応本で描かれているのが80年代後半とか、
90年代も入ってきていると思うんですけども、
そういう時代背景とかもあったんだろうなって思いますね。
でもなんか今現在も多分横須賀とか、
でもなんか今現在も多分抑圧されている人多いというか、
基本なんかみんなやっぱり抑圧されている気はするから、
なんか破壊衝動っていうのはもうみんな抱えている気がするんだよな。
そうだね。
むしろ強まってるんじゃないかっていう。
ちょっと80年代で空気わかんないからあれだけどね。
実際にあの安倍元首相の殺人、暗殺とかもあったりとか、
日本でもちょこちょこそういうのは実際に出てきてますし、
当時も多分そのバブルで生き生きやったけど、
その反面抑圧された人は抱えるものが多かったかなっていう、
大秘みたいなとこも、その差みたいなとこも出てるんじゃないかなって思いましたね。
そうですよね。今80年代っていうともう40年前のことって、
もう想像するしかない世界になっちゃってるんだなって、
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ちょっと衝撃なんだけれども、
この時のやっぱりこの小説が受け入れられたというか評価が高かった、
こんだけ言ってしまえばめちゃめちゃクレイジーな小説ではあると思うけれども、
もちろんこのクレイジーさっていうのはすごく計算されて積み上げられているものだと、
ちょっと村上隆さんの構成力にやっぱりすごいなと思うところはあるんですけれども、
これをやっぱり多くの人が受け入れて、
しかも実際に自分が好きなアーティストとかめちゃめちゃ影響を受けましたみたいな人とか多いわけですよ。
ってなると、やっぱこの破壊についてめちゃめちゃ共感があったんだろうなって思うんですよね。
別に破壊することじゃなくて、破壊したくなる気持ちをキクがどう思ってるかとか、
橋がどう思って、どういう感情を抱えているかっていうところがもちろん共感のトリガーだと思うんですけど。
そうですね。その感情の部分とか、あとキクとか橋が何か出してる、
本当すごいエネルギーが満ち溢れてるところとか、確かにそういうところに惹かれるっていうのはすごい分かりますね。
そうだよね、と思うので。
確かにこれをちょっと思春期の時とか読んだら、確かに自分もちょっと体制側じゃなくて、
ちょっと抗う方に行こうと、なんかそういう影響とか受けてしまいそうとか、
そのぐらい力のある作品だなって思いますね。
みんなそれぞれのタチュラをばらまくことになるかもしれないですね。
今ちょっと影響の話が行っちゃってるんで、最後ちょっとこの作品から受けた影響みたいなところをちょっと話していきたいんですけども、
自分はですね、正直初読の時あんまり印象に残ってるシーンっていうのは実はそこまでなくて、
結構こういう作品だったんだっていうのを改めて読んで、
そうなんだよね。だから、もっとちゃんと読んだのかって思うぐらい、後半印象が薄くて、前半の印象の方が強くて。
どうですか?影響受けました?受けてました?
僕も。
ねじまきさんも学生の時に読んだって。
そうですね、高校ぐらいの時に読んだんですけど、やっぱり僕は結構衝撃的で、
もともとそんなに大人しい側の人間やったので、血がたぎるような小説を読んで、かなり衝撃を受けたものをはっきり覚えてて、
タクシーの運転手のところとか、あとは個人的には陸上、橋の好きだったんで、陸上の血がみなぎる感じとか、筋肉が引きつる感じとか、すごい好きで、
全体的にこの主人公2人が表現しようとして、もがいていくところにすごい共感を得たなって覚えてますし、
42:00
大人しい自分なりにも結構、破壊衝動的なのを持っていいんやなっていうところを肯定されたようなところがありますね。
肯定か、なるほど。
ちゃんとみんなキャラクターも自分のキャラを出しまくってるっていう、抑圧抱えながらも出しまくってるところにすごい惹かれて、
自分もそう、もっとオープンでいいかなと思ったりはしましたね。
確かに結構各キャラの反省が語られますよね。1、2ページぐらいでそれぞれ。
そういうところとか確かに、本当にその人の人間性のところがすごいよく描かれてますし、確かに惹かれたりするのが分かりますし。
ネジモキさん、今回読み直してですね、ちょっと最初の方で、初読の時はゲインに気づいていない時に読んでいたっていう。
今回読み直して、これだったらちょっと感想の話になるかもしれないんですけど、どうでしたか?
確かにね、結構この小説全体的にクレイジーなんで、一般的なゲインに収まるかどうかは置いといて、
やっぱ性の衝動とそれをぺったりと描いてるのがやっぱすごいなと思いますし、
この当時80年代ってもうちょっとやっぱり、ゲイっていうものが隠されている、もうそもそも喋るのもそんな話題に上がらないぐらいの時代だったと思うんですけども、
そんな中でも結構はっきりなんか、不老者と接触したりとか、ノミヤの男に急に触られたりとか、
そういうちょっと描きづらそうなところをはっきり描いてるのがすごいなと思いますし、
あとそうですね、ミスターD、プロデューサーか、の人、もうちょっと最近よく言われてますけど、ジャニーズ、ジャニーの問題があったと思うんですけど、
たぶん村上龍ってそういうところも、業界的なところもたぶんすごいしっかり取材してて、音楽業界の裏側みたいなのも、そういう面も実際に見て描いてるんじゃないかなっていうふうと思いました。
それは、
あー確かに。
思いますね。
パーティーのシーンとかすごかった。
ありましたね。
なんかね。
そうですね。
確かに。
他にもなんかあれですね、当時から、誰だかな、ちょっと今パッと思い出せないですけど、愛人同士やけど、それぞれ別の人と付き合ってるみたいな描写はなかったでしたっけ。
カズヨじゃなくて、誰だったかな、真相版の71ページ。
アネモネの両親ですかね。
アネモネの両親か、アネモネの両親がちゃんとした、一応は結婚してるのかなっていう。
45:05
そういう関係やけども、それぞれは別の人と性的関係を結んでるみたいな、今でいう。
愛人がいて。
そうですね。ポリヤモリみたいなのも当時から描いてて、さすがやな。
しかも両親とプラスその愛人も仲良くて、そこにアネモネ交えて5人で食事したりとか、そういうちょっとだいぶ。
強烈だよな、そこ。
アネモネがそれに耐えれなくなっても出ていくっていう。
話ちょっと飛ぶんですけど、村上龍って結構芸的な描写、この小説以外にもバンバン出てくるんですよね。
海外の経験とか旅行するのがすごい好きな作家さんやったと思うので、やっぱりそういう実体験みたいなのをすごいフィクションで落とし込むのが上手いなと思いましたね。
っていうのは久しぶりに読んで思いました。
村上龍が見てきた、本当になんか芸能の世界とか、なんかちょっとその闇社会的なところとか、そういうところはだいぶ含まれてると思う。
確かにね。ちょっと細かいところですけど、さっきのMr.Dの話で、Mr.Dが男性の歌詞を発掘することに関してはもう天才的なんですけども、
なんかそれの見極め方とかですね、今回やたらいいなって思ったりしてですね。
それはMr.Dが子供の頃から生まれ育ったあれで、油肉を好んで食べていて。
男性歌手を発掘するときの準備期間ですね。
なんかもう1週間前から油肉だけも食べて、で、なんか魅力的な若い男を見つけたら声かけて。
で、なんかその人が音楽が好きって言ったら、また再会の約束をすると。
で、音楽が好きって言わなかったら、もう一晩だけ寝て捨てるみたいな。
で、その再会する日も、もうとにかく油肉ばっかり食べて。
で、その時はなんか女性とセックスして、その後、その若い男の声を聞いて。
女性とセックスした後って、そのMr.Dはだいぶ不快感があるんですけども、
そういう状態でも、その男の声を聞いて、何かちょっと叱るものがあったら、この歌詞は絶対売れるって言うんですね。
この百発百銃の見抜き方っていうのが描かれていて。
そういうところとかなんか妙にちょっと好きでしたね。
なんか独特すぎるけど、いやでも実際そういうものかもとかちょっと思ったりしてですね。
これも完全にMr.Dの欠落を描いてるよね。
でも、その欠落が故に成功できるっていう、やっぱりすごい皮肉めいた部分だなってちょっと受け取ったけど。
48:05
これ、やっぱあれだなと思った。その今の三枝さんの話を聞いて思ったけど、エネルギーの出どころの話だなとかちょっと思ったな。
みんなどうやってこうエネルギーを作り出してるのかっていうか。
Mr.Dだと今の形だし、姉モネは姉モネの欠落があって、そこから生まれるエネルギーがあって、
ニバにはニバの欠落があって、そこから生まれるエネルギーがあってってちょっとそう思ってくとやっぱりこれはエネルギーの話だなと思って。
だから結構多くの人がこう読んだ時に刺さってしまうんだろうなってちょっと思いましたね。
やっぱり影響を受けたところを考えると、なんかそこをすごい思いましたね。
やっぱりこのなんか持ってる小説のエネルギーとかパワーとか、
やっぱりそれがなかなか他でこんなにそれを感じる作品って、小説にしても映画にしても、
なかなかないですね。
思い浮かばなくてですね。
僕本当これ重ねたのはアキラとかそういうのはちょっと重ねたんですけど、他なかなかなくてですね。
やっぱそれだけすごい大きな、ちょっとグロテスクでやばいかもしれないけども、ただ大きなすごいパワーを持ってるっていう。
それがちょっと自分にも乗り移るというか、そこに自分の気持ちを乗せられるっていうところが、
その先かもしれないですね。もしかすると影響を受けるっていうところ。
単純に暴力的になるとかそういうのじゃなくて、自分のちょっと今の閉鎖感を感じるところを跳ねのけたいとかですね。
そういう気持ちが強くなっていくかなっていうところがありましたね。
たぶん一番初めにそういうのが出てきたのがあれですよね。
橋かどっちか忘れてたけど、箱庭を作るようなところって始めたかな。
橋ですね。
橋か。そこもすごい印象的というか、2人の違いが出てきたのがその辺かなっていうところで。
これなんかすごい、未知との勝負って映画見たことあります?スピルバーグの。
ないですね。
多分ないかな。
あれでもお父さんが模型をすごい家の中で狂気的に作る感じなんですけど、それをちょっと思い浮かべたりとか。
映画好きやからそういうとこ影響されてるんかなと思ったりしましたね。
結構やっぱりあれですね、コインロッカーベイビーズ話してみるとめちゃめちゃ盛り上がりますね。
もっと細かいところとか話せる人いっぱいあると思うんで、
達王の話とか、菊の収容所生活とか橋のバンドマン生活とか、いくらでも話せそうですよね。
すごいよね、こんな詰め込んできてる。まあこんだけ詰め込んできてるから面白いんだけど。
じゃあちょっと今日は3人でコインロッカーベイビーズ話してきましたが、最後感想とか言って終わりたいと思います。
51:22
いやちょっと改めて読めて良かったな、私は。
たぶんねじまきさんがこれやりましょうって言わなかったら、今回読まなかったと思うんで、
めちゃくちゃコインロッカーベイビーズ読み返せて良かったなと思ってます。
いろいろ本編で話した通りなんですけど、私実はザ・ピローズってバンドが大好きで、
その山中沢夫さんっていうのがボーカルなんですけど、
彼がザ・ピローズの前にやってたバンドの名前がコインロッカーベイビーズっていう。
そうしかなかったですね。
バンドで、もちろんめちゃめちゃ影響を受けたって言っていて、
ザ・ピローズのもう全然2000年入ってからの曲かな、もうちょっと前、2005年くらいかな。
マイフットっていうアルバムがあるんですけど、その最後の曲がガゼルシティっていう曲で、
もう明らかにこのガゼルなんですよ。
この背景を歌ってて、めっちゃかっこよくて、すごい好きで。
ガゼルっていうのが私の中でも二重の意味で結構好きな響きなんですけど。
あとアネモネって曲も作ったりしてて、これ絶対コインロッカーベイビーズのアネモネだよなとか思いながら、
めちゃくちゃ影響を受けたんで、やっぱり多くの人に影響を与えた作品だったんだなと改めて思いました。
すげえ余談になっちゃったけど。
僕もやっぱりすごい読めてよかったですね。
水巻さんが選んでくれなかったら、多分読むことなかったかなと思うので、
やっぱり読んでみると、昔はそこまで気づけなかったと思うんですけど、
こんなに面白かったとはっていうのがありますし、
ただちょっと森上龍の他の作品、やっぱり読みたくなったんですけど、
ハマるとも量がまたすごいので、若干ね、このハマる怖さっていうのをちょっと感じてはいるんですけども、
でもこういうちょっとパワフルな作品でなんか読んでいくと、
なんか普段とはまた違った小説、他の海外の小説とか読んだ時も見方ができるかもしれないっていうので、
すごく読めてよかったなっていうところですね。
そうですね、僕も久しぶりに読めてです。
やっぱね、このタイミングで読めてすごくよかったなと思いますし、
全体的にあんまり今まで触れてなかったですけど、
村上龍の文章としてやっぱり語感の書き方がすごい上手いなと思ってて、
特に匂いとか嗅覚の部分っていうのを、多分初めから最後まで結構な量出てきてるんですよ。
漂ってきた匂いとか、血の匂いとか、そういうとこもすごい上手いなと思いましたし、
54:03
僕個人的にはその音楽が結構好きなんで、途中でレフィットボーイが出てきたりとか、
あとは結構ジャズとか、このジャズの好きなアーティストの名前が暗号になってて、
飲み屋の人に認めてもらえたりとか、なんかそういうとこもすごいよかったなと思いますし、
そうですね、村上春樹とかもそうなんですけど、
アメリカのカルチャーをすごい取り入れるのが上手くて、
アネモネの部屋の中とかお店とかもそうですし、
特に他に言うと限りなく遠見に近いブルーもそうなんですけど、
不快な描写をさせたら、右に出るものはいないなっていうぐらいの作家さんなので、
細かいとこ言うと、タクシーの運転手がゾンビ状態になって、
ラーメンの麺が顔に貼り付いたのを撮ったとか、
そういう細かいとこもすごいなと改めて思いました。
ちょっとさっきも言ったんですけど、初めて読んだ時は、
ストーリーと衝動性に任せて勢いで読んだんですけど、
今、冷静に読み返すと結構構成とかも細かくて、
初めの音の治療のところが最後までかかってきたりとか、
歌手になるっていうのも大きなテーマだったりとか、
他にも細かい、ダチュラも結構序盤に出てきますし、
そういうところはすごい構成されて作った作品なんやなって思いました。
あとね、やっぱり取材とかも、船の描写とか、
船酔いしている気持ち悪さの描写とかも、
すごい実体験で、ちゃんと取材して、
ちゃんと小説に落とし込んでるんやなっていう、
そういうところも、なんか凄み感じたなっていう、
はい、そんな感じになります。
確かに。
いやもう、ちょっと、石垣さんの話を聞くと、
いろいろまた話したくなっちゃうんで、
ちょっと確かに、
何か、
なんか、
今言いたいことがあったんですけど、
すごい、
なんか、
すごい、
ずっと、
ずっと、
すごく、
すごく、
すごい、
大変なことがあったんですよね。
なんか、
大変なことがあったんで、
ちょっとしばゆーさんの話を聞くといろいろまた話したくなっちゃうんで
ちょっと確かに細かいところもいろいろ話したいなと思うんで
これやっぱちょっと読書界向きの本なんですかね
やっぱねこんな時代が経ってるけれども時間が経ってるけれども
なんか今読書家やっても全然この2024年のね時代に合わせて読んでも
破壊衝動とか抑圧とかっていうのは多分加速してる部分もあると思うんでね
57:03
いろんな人と話す多分自分の破壊衝動をみんな見つけてしまうかもしれないけれど
読書家とかやってみてもいいのかなちょっと思いましたね
さてじゃあちょっと今日はちょっといろいろまだ話したいですが
こんなところにして次回お越しを終わりたいと思います
次回もですねねじむきさんに引き続きゲストとして登場していただきながら
次回は番外編ということでいろんな話をちょっとお届けしたいなと思っております
楽しみに番組の最後になりますがメルマー会員募集しております
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番組の感想やリクエストまたこのラジオを聞いて紹介された本を読みました
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