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2023-04-10 45:27

第114回 ノーベル文学賞作家によるオートフィクション「嫉妬/事件」アニー・エルノー 著

【今回の紹介本】 ■『嫉妬/事件』アニー・エルノー著 菊地よしみ、堀茂樹訳 ハヤカワepi文庫

2022年ノーベル文学を受賞したアニー・エルノー。 彼女が描く、中絶手術が違法だった時代に妊娠することの葛藤を描く金獅子賞受賞映画の原作「事件」と、元恋人への盲執を描く「嫉妬」を併録。 フランスの傑作オートフィクションです。

是非お聴きください。

【番組内で紹介したトピック】 ■ 『嫉妬/事件』アニー・エルノー著 菊地よしみ、堀茂樹訳 ハヤカワepi文庫 https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000015270/


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硬派な文学作品を楽もう!をコンセプトに文学好きの二人がゆる~く文学作品を紹介するラジオ番組です。

案内役の二人は、 東京都内で読書会を主催する「小説が好き!の会」のダイチ

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読書会のようなテイストで、それぞれの視点で紹介していきます!

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#本 #小説 #読書 #読書会 #文学 #海外文学 #ブック


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文学ラジオ空飛び猫たち。 2022年ノーベル文学賞を受賞したフランスを代表するオートフィクションの名手
アニー・エルノーによる傑作、嫉妬と事件。 描かれるのは彼女の個人的な体験、感情、そして書くということに対する思い。
今回はこの2編を1冊に収録した本をご紹介します。 どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな2人が緩くトークするポッドキャストです。
お相手は、私小説が好きの会のダイチと羊を巡るカフェのミエの2人でお送りします。 文学のプロではない2人ですが、東京と京都をつないでお互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、アニー・エルノーの嫉妬事件になります。堀茂さん、菊池義美さん役で、早川エピ文庫から2022年に出版されています。
アニー・エルノーといえば2022年、昨年のノーベル文学賞受賞賞になって、すごくタイムリーな作家で、ラジオでも以前シンプルな情熱という作品を紹介したことがあるんですけども、2回目の紹介になります。
そうですね。タイムリーって言うならもっと早く紹介しろよって言うこともあるかもしれないけど、2022年の10月にノーベル文学賞が発表されて、そこで受賞されたと。
で、私が所属していると言っていいのか、いまだにここのに対するポジショニングがまだ定まってないんですが、ノーベル文学賞メモル会という東京小説読書会という読書会を主催している浦野さんがやっている会ですね。
こちらにちょっと足をだいぶ突っ込んでいるんですけども、その会では2021年の受賞予測というか、アニエルノーで、2022年に発したんですけど、本命ではないんですが取るだろうと思ってもちろんいたので、我々としては受賞の瞬間をみんなで見守っていたんですけど、アニエルノーという名前が出てテンションが上がるっていう。
おそらく数少ない日本人なんじゃないかなっていう。
そうそうそう。僕もオンライン中継されていたので見ていたんですけども、これが1年もし違っていて、アニエルノーがもう1年早かったらもうノーベル文学賞メモル会だいぶフィーバーしてたんじゃないだろうかって思ったんですけどね。
実質、周囲から見たら当てたいものもんなんだけどね、でもなんかちょっと多分浦野さんの中ではちょっと。
2年連続同じ予想はしづらいっていうのが。
そうそうそうそう。当時というか、その瞬間、NHKの取材が入っていて、キノクニアとか他にもいろんなとこ取材入ってたんだけど、アニエルノーの書籍、この時、場所とある女とシンプルな情熱と、3冊くらいあったんですよ。
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あ、事件か。事件と、今日の事件と場所とある女が3冊揃っていて、3冊揃ってるのは書店でもなかったんで、もう絶版なんで、なかったんで、奇跡的な絵が撮れるっていう。我々の会で。NHKの方喜ぶっていう。すごい流れがありましたね。
まさかそうですよ。アニエルノーそこまでね、何ていうか、注目して絶版本まで集めている人がいたなんてってね、それは思いますよね。
しかもなんか、その会場に持ってきているっていう。
しかもね、それを読んだ、もうすでに読んでる人がいるっていうので。
ちゃんとアニエルノーの感想を話せるっていうね。すごい瞬間でしたね、あの時はね。
で、今回の嫉妬事件なんですけど、これはもうあれ、映画化されたタイミングで文庫化されてたのかな?
そうなんですね。もともと単行本は2004年に出版されていたんですけども、映画公開が12月に決まっていてですね。
で、それに合わせて文庫化もされるっていうのが決まっていて、で、その文庫が去年10月の下旬に出版されたんですが、文庫として出たんですけども、その直前に、そう、ノーベル文学賞が決まったんで、
これは出版社からしたら、もうめちゃめちゃラッキーというか、すごい重なりだったと思いますね。
いやー、まあでもね、一応なんか、どっかに緊急発売って書いてあったんだよな。
あ、これか、中に入ってるちっちゃい冊子か。
そうですね、一応あと、早川のEP文庫なんですけど、表紙がですね、ノーベル文学賞受賞というのが上に重なってて、それを外すとですね、本来の表紙がその下に見えるというですね、そんな仕掛けもあるという作りになってますね。
まあなので、ノーベル文学賞直後に日本では発売したので、もしかしたら手に取っている方多いのかもしれないなと思って。
まあシンプルな情熱もすぐに10判かかったから、そっちも多いかもしれないですけどね。一時期メルカリでやべえ値段してましたね。
ああ、そうでしたね。
今回やっぱり、もうノーベル文学賞のこと置いておいたとしてもですね、アニエルの2作目になるんですけど、私読むのが。
いや結構ね、なんか今回の嫉妬事件で、なんかシンプルな情熱を読んだ上で読んでるからかもしれないですけど、なんか凄みがさらにわかった気がしましたね。
そうですね。僕もシンプルな情熱読んでアニエルの好きになったんですけども、やっぱりその同じ感覚で今回の嫉妬事件も読めましたね。
なんかアニエルのらしい作品だなと思う。内容にちょっと安心感みたいなものはないんですけど、この作家の文章、文章ですね、文章への安心感っていうのがすごくありましたね。
うんうん、分かる分かる。不穏だよね、常に。
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そうそうそうそう、あんまりね、読んでていい気持ちにはね、ちょっとなりづらい作品なんですけど。
ちょっとここで著者についてちょっと簡単に触れたいと思います。
アニエルのさんなんですが、フランス北部ノルマンディ地方のリルボンに1940年に生まれました。
作家としては1974年にデビュー。有名なのが多分1983年に出版した第4作の場所。これは彼女の父を、お父さんのことを書いた作品で、この作品でですね、ルノード賞っていうのを取ってるみたいですね。
続く第5作、ある女は母をについて書いたもの。シンプルな情熱、我々も一度紹介しておりますが、ここで一転して事故の性愛体験を語って大反響を読んだと。
本書の今回紹介する嫉妬事件なんですけれども、事件の方が2000年、嫉妬の方を2002年に刊行しております。
その後も数々の賞を取ったり、ブッカー賞候補になっていたりもしていて、現在も執筆活動、結構良いお年ですが、精力的に続けているという方で、
去年も一本新作を刊行しているみたいですね。2022年、去年、ノーベル文学賞を受賞ということになっております。
フランスを代表するオートフィクションの作家と呼ばれていて、やっぱり発表している作品はご自身の経験してきたことであったり、家族のことを書いているというのが特徴的みたいですね。
そうですね。この辺りのことはちょっといろいろ話していきましょう。じゃあ具体的にいきますか。
今回の作品紹介に移っていきたいと思います。まずですね、あらすじとしては、中絶手術が違法だった時代に妊娠することの葛藤を描く
金字獅子賞受賞映画の原作、事件と、元恋人への盲筆を描く嫉妬を閉録とありまして、ちょっと補足するとですね、事件はあのことという名前の映画の原作になりまして、
日本で公開される時の名称があのことという映画になっているんですけども、それがですね、2021年のベネチア国際映画祭金字獅子賞を受賞しているというですね、国際的に評価された映画の原作であると。
で、ちょっと内容をもう少しそれぞれ説明するとですね、まず嫉妬の方なんですけども、別れた男が他の女と暮らすと知り、私はそのことしか考えられなくなる。
どこに住む、どんな女なのか、あらゆる手段を使って狂ったように特定しようとしたか。猛失に取り憑かれた事故を冷徹に描くというですね、
嫉妬に狂ってしまう女性の話ですね。それが嫉妬になります。で、もう一つ事件の方は、1963年中絶が違法だった時代のフランスで妊娠してしまったものの赤ん坊を下ろして学業を続けたい大学生の苦悩と葛藤。
闇で行われていた危険な値の実態を国名に描くという女子大生が思わぬ妊娠をしてしまって、ちょっと中絶をしようとするですね。
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そういった作品になります。
今回なんですけど、まずストーリーそんなにないんじゃないんで、ないわけないんだけど、結構短いので、そこはちょっと後でザクッと話して、どんなことをお互いに感じたかっていうのを話していきたいんですが、
その前にですね、このアニエルノさんの、おそらく嫉妬事件だけではないところはあるんですけれども、アニエルノさんが持つ作品の魅力というところをですね、ちょっと語っていきたいと思います。
まず一番最初にですね、話したいのはオートフィクションの部分ですね。オートフィクションの名手と知られているアニエルノさんなんですが、我々のラジオでもですね、なぜか今年結構オートフィクションものを紹介することが多くて、アンネマリーさんの雨に打たれてか、これスイスの作家の方と、あとグアテマラのエドワルドファルフォンさんのポーランドブック作家というのをちょっと連続で紹介してきた、近い、最近紹介したんですが、ここでもオートフィクションという話が出てきていて、
オートフィクションって面白いのなぁと思ったのをすごく覚えてるんですけど、このアニエルノさんはまたちょっと違った次元にいる気がしますね。オートフィクションと言われている中でも。個人的にはポーランドのドクターのオートフィクションすごく好きで、風景や雨についたものをとにかく描いていく感じ、それによってなんか描かなくても感情がわかるような作りになっているので、そこはすごかったなと思っているんですが、
アニエルノさんは、アニエルノさんのオートフィクションは、なんだろうな、この感情の方にすごいフォーカスしている気がしていて、で、なんかそれに対して、まあよくいろんなところでセキララみたいな形で言われるんですけれども、シンプルな情熱の時はセキララだなっていう感覚がすごく強かったんですけど、このオートフィクションという観点から見ると、やっぱこれじゃないともうたどり着けないところにたどり着こうとしている感覚、
感情っていうのを忠実にもう率直に並べていく、述べていく、そういうことでしかたどり着けない場所にたどり着こうとしている感じがすごくして、これはやっぱりヤバい作家だったなっていうのを改めて私は感じましたね。
僕も今回嫉妬事件を読んで思ったのはですね、恋愛の後の面倒事がそれぞれ描かれていてですね、どっちもハッピーな話ではないんですね。やっぱり恋愛に失敗したとかですね、思わぬ妊娠をしてしまって、妊娠した後ね、もう相手の男性はもう知らんふりしていて、すごく面倒な状況に置かれた女性のところにフォーカスをしていて、
その中で僕すごいと思ったのは、ちゃんとその一人の人間として生きていこうとするですね、姿勢をやっぱり持っていてですね、そういうすごく面倒な出来事があったんですけど、そこからでも一人の人間としてこの先も生きて自分らしく生きていこうという、そこの一連の流れをですね、思考の流れのようなものがですね、描かれていて、それをやっぱり読むと本当にすごい作家だなと思って、もう見事だなと思って読んでましたね。
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で、あと今回はですね、特に事件がそうなんですけど、事件の方は1963年に妊娠中立してしまった当時のことを振り返る形、おそらく40年ぐらい経った後なのかな、2002年に書かれているので、40年近く経った段階でアニー・エルノさんが振り返って書いているんだろうなっていうところなんですけれども、
まずその1963年当時の感情とか思いとか行動、友人たちの会話、自分の身に起きたこと、そういったことを結構詳細に書いているんですけど、その合間合間に振り返る形で書いているけれども、その振り返っている時の感情もちょっと入ってくるんですね、途中途中で、思いというか、ここすごくうまい作りだなと思っていて、
で、やっぱり何だろう、オートフィクションっておそらく没入を生むものだと思うんですよ、基本的には。でも今回その引きで見る瞬間っていうのが事件の中では結構いくつか、いくつかというか合間合間に1963年のことを思い出している今の感情っていうのが描かれているんで、同じオートフィクション、没入に作用することなのにメタ認知できるっていう構造がですね、ちょっと自分は震えましたね。
これは面白いと思って、でも僕も同じようなことをですね、ちょっとやっぱり思って、事件も嫉妬も、これ嫉妬も同じように思ったんですけど、当事者の視点だと結構やっぱり絶望感があるというか、やっぱり冷静でいられない状況なんですけど、ただこの小説を読んでいると結構客観的に自分のことが見れていて、だからその辺が描かれているっていうのはなんか面白いなと、そんなに冷静、客観的に自分の感情とかですね、
だからその当時の心情、心の中とかですね、描き出せているっていうところはやっぱり面白い点だなと思いましたね。
そうですよね。そもそもこの、そんなに詳細に当時のことを描けることがすごいなと思うんですけど。
あとちょっと話が変わるかもしれないんですけど、このリアルな感情が描かれているっていう点で、事件はですね、なかなかちょっとハードな話なので、あれですけど、嫉妬の方はですね、結構共感できる人多いんじゃないかなと思ってますね。
やっぱり人も何かしらの嫉妬というのは持っていたり、大なり性なりにあるんじゃないかなと思うんで、なのでちょっとね、他の人がこの嫉妬という作品を読んだ時にどう思うかとか、そういうのはちょっと気になりましたね。
そうですね。結構ここは議論を呼び出すような内容ですよね。
あと個人的には嫉妬の方では、この感情の部分で言うと、もう何か内面の話しかほぼなくて、実際に行動に移るというか、まあなくはないんですけど、ほぼ自分の中でグルグルグルグルなんでしょう、思い込んで動いちゃってる、思い込みというか、まあ自分の中でいろんなものを作り上げてそれによって苦しめられてるっていう感じもすごくあって、
で、これ小説だから成り立ってるけど、映像だったら絶対成り立たないと思うんですけど、ただ女性が一人でこう悩んでいる姿っていうのは、永遠に描かれるだけだと思うので、ここは小説としては面白いなと思いましたね。
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確かにね。嫉妬はちょっと映像化とかはちょっと難しいかもってね。
そうですよね。
思いましたね。
なんかこういうあるよなって思う。なんか自分の中で苦しみ始めて、で、これ最終的に自分の中で完結して終わるでしょ。
そうそう。それは本当すごいなと思ったんですけどね。
うんうんうん。すごいよね、ここはね。
そういう意味ではちょっと意外性もある小説かなとは思いますね。これはね、嫉妬も嫉妬も、シンプルな情熱の時もそうだったんですけども、
途中まで読んでた時の話とね、この最後の終わる時のこの、なんかその哲学感というのかな、人生感というか。
ああ、うんうんうんうん。
だからね、どの作品も最後がすごい見事だなと本当思うんですよね。
うんうんうん。まとめ方というか、境地ですね。
そうそうそう。行き着く境地がね、すごいなと本当思いますね。
やっぱ自分の身、自分の感情っていうのを出発点にして、まあそのどんどん深まっていってそこにたどり着いたっていうのを描きたいんでしょうね、アニエルノさんは。
そういう意味ではやっぱすごい、なんだろう、ちょっと後で話そうかなと思った。この後ちょっと文体について触れたいと思ってたんですけど、
そこで話そうかなと思っていたけれども、ちょっとこの流れがあるんで言っちゃうと、たぶんこのオートフィクションとかこの感情の描き方っていうのは、なんだろうな、基本的にはそんな考えなくていいっていうか、読み手は。
読んでいけばなんかこう取り込まれていっちゃうような感じがあるから、なんていうかな、それだけ構えて読み始めれば、結構アニエルノさんは読みやすいし楽しめる作家だなとちょっと思いましたね。
確かにね。オートフィクションって結構その作家の人生を追体験するような、そういう良さが全般あるのかなと思うんですけども。
なんかアニエルノさんの場合は、なんか最初はちょっとね、あの理解しづらいところも、やっぱこの嫉妬とかシンプルな情熱とかもね、なんでそんなに不倫するんだろうとか、なんでそんなに嫉妬してしまうんだろうとかってね、ちょっと思ったりはしたものの、やっぱりそうですよね。
読み進めていくとね、やっぱりその一人の人としてのその考え方というのかな、生き方というか。
そこが自分にも意外と共感できたりとかね、なんかすごくこの人はかっこいいなって思うところだったりとか。
じゃあちょっとこの流れですね、文体の話に行きたいなと思います。で、あのさっきちょっと伝えた通りなんですけど、ノーベル文学賞って聞くとちょっと小難しい印象を持たれるかもしれないですけども、基本的には結構読みやすいタイプの作家ですね。
端的な文章が多くて、状況は感情っていうのをダイレクトに伝えていくことが上手い作家ですね。しかもおそらくこの嫉妬事件はかなり短いので、ノーベル文学賞受賞作家の作品って聞くと、結構ドカッと分厚い方々もいらっしゃる中では、だいぶ手に取りやすい人なんじゃないかなと思います。
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そうですね。僕もですね、文章の良さがこのアニー・エルノさんの一番の良さなんじゃないかなとちょっと個人的には思っていまして、哲学賞を読んでいるようなですね、そういう感じれることもあって、理論を整然とした文章が書かれていて、やっぱりそこを読む心地良さというかですね、すごく考えさせられるような、気づきを与えてくれるようなですね、そういう文章が書かれているので、
それに触れることができるというのが、やっぱりこの作家の小説を読む一つの醍醐味なのかなとは思ってますね。
例えばですね、嫉妬という作品だと、ちょっと苦しみとか幸せみたいなですね、について考えているところの描写があって、ちょっとそこを少し読むとですね、
たぶん最大の苦しみは最大の幸せも同じだが、他者に起因する苦しみを恐れてできるだけ他者を避けようとする人々がいるのも無理はないと私は思う。
他者を避ける方法は様々だ。で、そこからですね、愛するとかですね、音楽とか政治参加とかですね、いろいろな他者を避ける方法が羅列されていくんですけども、
そこの最後の終わりの方ですね、締め方というか、そういう羅列があってからの、けれども私の苦しみが私自身の目にも馬鹿げたもの、もっと言えば他の様々の身体的社会的な苦しみに
引き比べてスキャンダラスなものと見えていたにせよ。言い換えれば贅沢の類であるように見えていたにせよ。
私は自分の人生の平穏で実りの多かったいくつかの時期に戻るより、この苦しみを生きる方がいいと思っていたというですね。
何かその苦しみを避けるよりも苦しみを生きる方がいいと思っていたっていう文章とかもね、すごくいいなと。最初のね、始まり、幸せ、苦しみも幸せも他者に起因するっていうところからですね、
最後のね、ちょっと終わり方まで読むとですね、ちょっとハッとさせるところがあって。で、ちょっと読み上げないんですけど、ここから更にですね、それだけじゃなくて、それだけではないっていう文章があって、もうちょっとね続いていくんですけども。
これは完全に哲学ですよね。
そうですね。しかもなんかね、ちゃんと理屈があって書いてあるっていうですね。
たどり着いている感じがしますよね。
読むとね、意外とそこがね、なるほどと思えてくるようなところがあって。中にはね、それってどういうことなんだろうって思うようなね、説明もあったりするんですけど、結構ね、全体的に読むとすごくね、すごく考えさせられる文章が多いなとは思いますね。
じゃあ、結構今、わりと魅力のところを具体的に入ってはいるんですけれども、ちょっと簡単にストーリーを今回、嫉妬と事件、それぞれちょっと分けて話して、印象に残ったところを話していきたいと思ってるんですが、で、まず嫉妬の方からと思ってるんですけれども、あんまりなんかあらすじなんですけど、さっきみえさんが言ってくれたものがほぼ全てではあるんですが、ちょっと私の方で簡単にちょっと繰り返しになるかもしれないけれども、お伝えしたいと思います。
で、これ、嫉妬の方はですね、自分から別れを告げた年下の男性がいて、その人が変わりにですね、多分自分と同い年ぐらいの女性と付き合いだしたと知るところから始まって、この主人公の彼女はですね、そのことに囚われてしまい、どんどんどんどん嫉妬に狂っていくという流れになっていきます。
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で、どうにかその男性と付き合っている女性を突き止めたいという思いを抱えて、まあ、もやもやしたり、ちょっと動いてみたりということを繰り返していく話ですね。
これあれなんですよね、別れたという表現が正しいのかわからないけど、距離を置いた男性がいて、その男性とは切れてないんですよね。たまにこう会って、デートなりセックスなりしているような感じで、で、その男性からちょろちょろ、今付き合っている女性のことが出たりするから、なんとかその情報を引き出そうとするみたいな感じになってきますね。
で、印象に残ったところをちょっとお話したいんですけども、まずですね、前回紹介したシンプルな情熱とはちょっと状況が違っている点があって、シンプルな情熱はですね、まあ、自分から距離を置いているわけじゃなくて、自分からは距離を置きたくないのに、男性から置かれているっていう状況だったんですが、
今回は、自分から距離を置いた男性に対して嫉妬に狂っていくっていうところがちょっと違うなっていうところですね。自ら捨てたものに苦しめられているっていう、なかなか人間らしいと言えば人間らしいけれども、今回やっぱその面白いのは、相手の女性に対してフォーカスしていくところ。この相手の女性がどんな人なのか知りたいというのに意識がどんどん向かっていくのが特徴的だなと思いました。
で、これあれなんですよね。女性を突き止めて、なんか自分の中で確保した像というのを作りたいような願望があるっぽいんですけれども、これはどうなんだろうな、個人的な感覚なのかなと思いつつ、ちょっとどう受け止めていいか、こういろいろ考えていたところ、収録までに落ち着かず今話しちゃってる感じはするんだけれども、まあ一つ言えるのは間違いなくリアリティがあるところですね。この感情にすごくリアリティがあります。だから引き込まれてしまう部分はすごい強いなと思いますね。
ね、ここ結構面白かったですね。
うん、まあメインであるからね。
なんかそのね、男性が付き合って、別の女性と付き合ったその人が47歳の教師かな。
うんうん、らしいと。
そう、教師らしいと。というので、どこかの大学に所属していると思われるんですけど、その大学の専攻かな、そこを突き止めて、たぶんこの人じゃないかと。で、職場に電話かけて、出てきた人が、女性が電話に出て、そうしたらね、もう主人公の中ではこの人が新しい恋人だって。
うんうん。
もう決め込んで、それ本当かどうかはね、わかんないんですけども。とかですね、あとこの主人公の女性もすごいインテリの人で、学会のシンポジウムでパネラーとして出ていたときかな、そこの中に聴衆でシンポジウムを聞きに来た人の中にある40代の女性が目に留まって、
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あ、もうこの人が絶対ね、そうだと、その、突き止めようとしている女性に違いないと、というふうにね、なんかピンと来たりとかですね。まあそれが正しいかどうかはさておいて、女性の心情からすると、なんかそうする具体的なこの人だっていうのがわかることでね、
そうだいぶね、なんか気持ちが和楽になっていくというかね、なんかそんなのがあったりして、まあ結構面白かったですね。
そうですよね。私気になったのは、まあ31ページか、で、あのその辺の感覚をですね、これインターネットを使ってですね、大学のサイトにアクセスして教員リストを見つけたときに出てくる表現なんですけど、蒸気を意思した幸福感って言う。
そうです。
そういう表現をされていて、幸福感なんだっていう、なんか幸福なのか?みたいな、なんかすごい疑問がババッと出たんですけど、でもまあおそらくでも一種の幸福感があるんだろうなっていうのは、なんとなくわかるけれども、すごい面白いなと思いましたね、この辺りで。
これ多分時代的には90年代半ばとかですかね。
うん、インターネットに教員リストが載っている状況がありますからね。
そうです。90年代後半とかかな?そう。で、多分今だったらもうSNSですね、これが。
もうSNSでアカウント探しに行っちゃうやつですよ。
ほんとそうですよね。
こいつか?こいつか?みたいな。
そうですね。だからもし今の時代だったら、なんかより具体的な妄想をしているかもしれないですね。もうこの人だって特定したら、じゃあその人がどういうライフスタイルなのかとかですね。なんかそこまでもSNSからなんか突き止めることをしちゃいそうですもんね。
うんうんうんうん。すげえ勝手にツイートとか見出すんだろうな。
そうそうそう。で、まあ電話をかけるところじゃなくてね、ちょっとSNSでなんかコメントを入れたりとかね。
あ、そうですね。なんかね、リプライしてみたりとかね。
そう考えるとね、なかなか怖いね。
怖いですね。
作品でもあるんですよね。
この、なんでしょうね、この感情によってこういう行動してしまうみたいなところは結構描かれていて、
あ、まあ行動してしまうじゃないか、こう思ってしまうみたいな、思い込みとかすごい描かれていて、なんかそのあたりは多分結構共感呼ぶ部分だなとは思いましたね。
自分からすると、いやそれ絶対そんなことしないよっていうことと、あ、ちょっとそれしちゃうかもみたいなのがたぶん閉じ込められている気がしますね。
そうですね。
このあたりで言うと、なんか自分が気になるのは、あの男の方に行かなくて意識が。女の方に行くんだっていう。
その女性がやっぱり年上で、だから自分と近しい人だったからっていう。男性にとって年上で、自分から見て近しい人だったからっていうことだと思うんですけど、
そんな気になるっていうのはちょっと思ったんですけど、これ同じシチュエーションだったらどう?
なんか年下の好きな女性が、なんか自分と同い年ぐらいの男性と付き合ってるって知ったら、その男どんな男か突き止めたいって思うかな。
そうですよね。どうなんだろう。これちょっと思うのは今回のケースでは、この若い男性をめっちゃ好きとも言えないんじゃないかなとは思ってですね。
27:05
なんか一概に。だからどこ、やっぱりその1回別れてるんですけど、なんかもう完全に突き放したいっていう思いと、その好きな気持ちと、なんか両方が入り混じっているのかもしれないなと。
男性が絶対的ではないとはいえ好きでもあって、その男性が自分とはまた違う女性を相手にした時に、まさか結構40代の年上の女性と付き合いだしたっていう。
なんかそこの、なんかいろんなところを入り混じってるんじゃないかなと。
まあそういう意味では、もしかしたら同じ状況になった自分もそうなるかもしれないですね。
なんかその相手への気持ちも残りつつ、でも別れたいと思う気持ちもありつつ、でも気にはなるっていう。
そういうことを描くのには確かにオートフィクションは向いてるのかもしれないな。なんかもう一言で言えないですもんね。
そうですよね。なんかね、この嫉妬もなんでこんな状況になったのかっていうところまではよくわからなかったんですけども、たぶんね、そこは説明なかったと思うんですね。
こういう状況になってからスタートっていう感じの小説で、ただいろいろ読んで思ったのはですね、ちょっともう時間かかるんで読み上げたりはしないんですけども、
やっぱりこの嫉妬との向き合い方っていうところがすごく書かれていて、特に終盤になってくると。
やっぱり作家さんなんで、その書くという行為ですね。やっぱりそれがどんどん救いになっていったり、書くことで、言葉ですね。言葉を使うことで自分の中のモヤモヤがですね、ちょっと解消されていったりしてですね。
なんかこの嫉妬との向き合い方がすごく面白いなと。もしかすると嫉妬によっては参考になるかもしれないなと思ったりしたのと、あと嫉妬がね、やっぱり本気で苦しいと思うんですけども、
同時にこういう感覚を持てるっていうのは、もしかすると人生の一つの遊びでもあるんじゃないかなというですね。なんかそんな気もしてきましたね、小説を読みますと。
確かに。そうですね、やっぱり書くっていうことで消化させてますもんね。すごいよな。じゃあですね、ちょっと続いて事件についてちょっとお話ししたいんですけれども、
これ書かれたのが、順番的には嫉妬の方が早くて、違う、事件の方が早くて嫉妬の方が後だったぽいけれども、この本の中では嫉妬と事件っていう順番で紹介されてますね。これって何かあれなのかな、意図があるのかね。なんかね、ちょっと気になった今。
ああ、そうですね。でも順番が。日本語オリジナルなのかな。どうなんですかね。ただ嫉妬事件の順番に読む方が、なんか読みやすい気がしましたけどね。
確かに。読みやすさを取ったのかな。ですかね。なんか自然と入っていけるのはこの順番でしたね。これ多分あれだもんね。本国では別々出してるから。日本のあれだよね。文庫のためのあれだと思います。まあちょっとそんなこともありつつ、事件紹介したいと思います。
で、これもさっき三重さんが最初言ってくれたあらすじのことがほぼ全てなんですけれども、重なるかもしれませんが話していきたいと思います。
30:05
ある日妊娠したことが発覚した私は何とか忠誠する道を探す。1963年フランスにおいて忠誠が違法だった時代を振り返る形で描かれる物語。
基本的には妊娠から忠誠までの当時の感情をそのまま描こうとしている作品で、違法なため忠誠する手段が基本的にはなくて、主人公は何とか忠誠をしようとするというところが始まります。
やがてあるつてがあって、パルニで忠誠の手術を受けることになるという流れになっていきます。これが以上の大筋なんですけれども、
まあ妊娠してからの体の変化、あと妊娠したことをした周囲の変化というか、見られ方で最終的に自ら忠誠の道を探して動き、
動き、リューザンまで追っていくシーンなど、端的なんですけれども強烈に描かれる作品ですね。
冒頭オートフィクションのところで話しましたけれども、1963年の妊娠から忠誠までの流れを回想という形で描き綴っているんですが、
それをですね数十年後、おそらく40年後ぐらいに俯瞰した形、その当時を振り返る形で描かれると、振り返っている時の感情みたいなのも時折挟まる形で進行していくという、
ちょっと他にもあると思うんですけど、結構なかなか珍しいタイプの写真なのではないかなと思います。
で、ちょっと具体的にいろいろ話していきたいというか印象に残ったところを話したいんですが、まずこれはですね、
アニエルノさんの体験をもとにした作品ということで、おそらくこういうことが本当にあったんだろう。あの1963年、フランスで妊娠忠誠が認められない中忠誠をしたアニエルノさんがいたんだろうなと思われます。
やっぱ時代的にようやく描けたっていうところもあるのかなっていうこともちょっと感じますね。
忠誠ということが合法化した後の世界でようやく描けたんじゃないかなというところもある小説ですね。
で、これ基本的にですね、1963年当時の思いというか部分っていうのは振り返って描いてるはずなんですけれども、めちゃめちゃ鮮明に描かれてるんですよね。
感情の流れとか、ちょっと自分がやっぱり今追い込まれているけれども、どこか現実逃避したいのか、スキーに行くシーンとかあったりするんですけど、そういうのとかなんて言ったらいいのかな、思い出して描いたにしては細かいところを描いてるみたいな部分が結構あって、
それはちょっとやっぱ、もしかしたらフィクションの部分もあるのかもしれないけれども、アニー・エルノンさんの自分が今まで描いてきたこと、先を作り出してきたっていうことが個人的にはこの事件では結実してる感じがすごくあって、すごいと思いました。
ちょっとベタバメすぎるかもしれないけど、この辺りは。でも、オートフィクションの名手って言われてるのが本当に今回読んでわかったんで、やっぱすごいここはちょっと絶賛したい部分ではありますね。
そうですね。この事件に関してはかなり社会性のある作品で、これ本当に体験したことなのかなって思って、でも調べるとやっぱりそういうふうに書かれていてですね、アニー・エルノンさんの実体験元に書かれた作品であるって、
33:02
なんかすごいですよね。これ書いてあることがやっぱなかなか身の毛のよだつような話があったりするんですけども、このやっぱり60年代中絶をするとそれってもう罰せられるし、
なんかね、お医者さんも公にそれすると罰せられてしまうんで、なかなか行き場のない、そこのないところのちょっと絶望感があったりするんですけども、その様とかね、やっぱり強烈でしたし、
えーとですね、ちょっとこの事件を読んでいて、やっぱりその妊娠をしてしまったであったりですね、でも中絶なかなかちょっとするのが非常に難しいというところで、なんかそこの絶望した気分に触れているんですけども、
結構でも、なんかここでもその、そういうところにもでも書き方にその錯覚性があったりしてですね、例えば、主人公の女子大生が妊娠したというのが発覚してですね、でその1週間後かな、ケデンリー大統領がダラスで暗殺をされてしまったと、でもそれはもはや私の興味を引く出来事ではなかったであって、
で、そこから続く数ヶ月ぼんやりしたヒカリに浸されている、しょっちゅう街を歩いていた自分の姿が思い浮かぶ、その時期の事を考える度に歌唱の横断、善悪の悲願、さらには夜の果ての旅といった文学的表現が頭に浮かんでくる。
それはいつも当時私が感じていたもの、言葉では言い表し難い、ある種の美を備えた何者かに対応しているように思えたというですね、そうですよね、なんかこの行き場のない状況で、ちょっと文学的なところにですね、ちょっと逃げるというかですね、そこに寄り所を求めるというようなですね、描写もあったりして、こういうところはなんかちょっと個人的にちょっとわかるなと、そういう気持ちわかるなと思ったところでしたね。
完全に私もここ、あれですね、同じとこ付箋貼ってますね。そうなんですよね、結構この辺のなんだろう、追い込まれた時の感情の描き方すごいリアルで、やっぱその時になんか気にならなくなっちゃうものもそうだし、頼ってしまうものとか、それもすごい上手く描いてますね。
今の説明を続けて、さらにその先には妊娠という言葉はですね、自分の手帳に書いたりするんですけど、そこには妊娠と書かずに、それとか例のものとかって書いて、妊娠という言葉は一度も手帳には書かなかったとかね、そういうのがあって、とはいえね、やっぱり話が進んでいくとこの忠説をするには、やっぱりその時間がね、いついつまでにっていうのがあったりするんで、
すごくこのね、その妊娠に気づいて、ちょっと現実逃避したくなる気持ちと、でも時間までに現実の問題として対処しないといけないっていうね、なんかそこのところとか結構ね、この事件はね、なんかやっぱりその時間の部との戦いもあったんで、緊張感ね結構ありましたし、
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そうですね。あとやっぱり特にこの実際に忠説をしていくっていうね、一部始終が語られているページもあるんですけども、そういうのはね、読むの結構辛かったんですね。これは結構人によってね、ちょっと本当に読むのがきつい人もいるかなと思うので、
僕もね、正直全部コマゴマとじっくり読めたかっていうとですね、ちょっとね、ところどころもうサッと読み飛ばしたりとかしたところあったと思うので、なかなかね、そういう意味でちょっとね、かなりパンチの効いている作品ではあるなと思いますね。
うんうんうん。まあそこもそうだし、この忠説するシーンってのも結構生々しく描かれるので、ここも結構おって思うとこなんだけれども、でもやっぱりちょっとだいぶ細かく俺描いている方だと思っていたけど、159ページにですね、あの63年のことを思い出している今のことが書かれるんですけど、なんか当時感じていたに違いないことを今再び感じるのはもはや不可能である。
でもやっぱりこれだけ書き継がれても、当時の感じていたことっていうのを再び感じることは無理だと思っているんだっていうのがなんか結構衝撃で、でもその後わかるんですよね、あの1週間沈み込んでいた状態に一瞬でも近づけるのはって言って、どうやったらそのことを少し想像することが可能になるのかみたいなことがちょっと書かれているんですけど、この辺りの描写というか感覚もすごくわかる。
何というか、こんだけ書き継がれているけど、緊張感ある文章を書けているけど、やっぱりなんかたどり着かないと思っているものの、自分がもう感じることができないと思っているものがあるんだなっていうのをちょっと感じて、なんかすごく感慨深くなってしまったここは急に。
そうですね。本当にすごい体験をしていたと思うんですけど、そうですね。やっぱり年月が過ぎるとそれを完全に思い出すことができないということですし。
どんなこともそうだけどね。どんだけ細かく書いても多分、もう過ぎ去ってしまったものなんだろうなとは。
この事件で、やっぱりこの作品も僕はやっぱり終盤になってきてからの文章がですね、すごくちょっと心に残ったところがあってですね。
まず193ページにですね、生まれて初めて自分が女性たちの連鎖で、そこにカッコ書きみたいな線が入っていて、そこから次々と世代が発生してくる連鎖の中に捉えられているのを感じていたっていうですね。
主人公が忠実をしてしまうんですけども、そこででも、ただ忠実しただけとかというわけではないのかなと。
結構ですね、そこの過程で本当にちょっと説明するのが難しいんですけども。
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やっぱりいろいろな女性たちを見てきてですね。女性や子供を見てきて。
それまではね、本当に一人の若い女子大生という自分があったと思うんですけども、ただそのやっぱりこの女性たちの連鎖っていうのを感じていたっていうですね。
そこの文章すごく印象的でしたし、あとすごくこれも印象的だったのが、これ198ページなんですけども。
1月20日から1月21日、それが忠実をした日になるんですけども、そこに夜の秘密を聖なるもののように抱いてと書かれていてですね。
なんかすごい大変だったんですけど、そこには誇らしさも感じていたと。
で、それ恐らくですね、孤独な後悔者とか、麻薬中毒者とか、泥棒とかですね。
感じるのと同じ種類の自尊心とか、他の人間が決して行おうとしなかった地点まで行ったという、そういった類の誇りですね。
で、多分アニエルノさんがこの話を書いたのはその種の誇りがあったと。
そう、他の人が決してなかなかそこまではいけなかったであろうというですね、そこの地点まで行けたっていう話からの最後がですね、
やはりこの時代背景で忠実というのが、その法律でも混ぜられますし、もちろんその法律を抜きにしても、その行為に対してそれぞれ思うところはあると思うんですけども、
最後アニエルノさんがこの罪悪感を消し去ったということを書いていて。
で、これもですね、ちょっとかいつまんで言うと、そのアニエルノさんに起きたことですね。
これを一般的に理解できるように書くことによって、それが他の人たちの頭とか人生の中に溶け込んでいくというですね。
で、その他の人にとっても何というか、私の存在にするというですね。
これも説明がちょっと必要な部分があるんですけど、まあその共有するという感覚ですかね。
なんかそれも書くという行為によってそれができるんですけども。
なんかそこによってですね、このすごく大変だったらできようと、それを回想していって、
これもね、文学として消化させたのかなというですね、そのような描き方がされていて、
そこもすごく読んでいて印象的だったところですね。
そうですね。これはなんか204ページかのあたりはすごいよね。
私の人生の真の目的はおそらくこういうことでしかないからだって言い切っちゃうとこもすごいし。
なんかこれ多分ここ、まあこの事件って実際にこれ100ページぐらいの、100ページちょっとか120ページぐらいかな。
もうちょっとあるのかぐらいの話だと思うんですけど、
多分100ページ近く読んできてここにたどり着くとかなり来るものがある。
なんだろう多分すごく多くの人の気持ちをこう掴んだんじゃないかなとは思いますね。
なんか話としてはこの忠誠をしていくところまでのプロセスがやっぱりすごい緊張感があって読めていくんですが、
やっぱりこの最後終わっていくところですね、回想していくところになると思うんですけど、
そこがあるのがやっぱりこのアニエルノーさんなのかなとは思います。
42:12
じゃあ最後どんな人に読んでもらいたいか感想交えてお話しして終わりたいと思います。
今回もいろいろ話させていただきましたが、
読んでみてですね、間違いなく思っているのはやっぱりオートフィクションはすごい手法だなと思ったことですね。
追体験できるというものと、あとですねやっぱりこの方法でしか到達できないものがあるんだなっていうのを改めて感じました。
なのである女や場所も、ちょっと作風変わったみたいなのも書かれてるんで、ちょっとわかんないんですけども、
あのアニエルノーさんのある女場所も読みたいなと思いました。
で、あの聞いていただいている方、リスナーの方に関してちょっとお伝えしたいのは、
やはりオートフィクションはですね、とにかく飛び込んでみれば何か感じるものがあるスタイルだと思っているので、
しかもこの嫉妬事件はですね、そこまで長い話ではないので、興味あったらぜひ手に取っていただければなと思います。
もうやっぱりアニエルノーさんの文章を味わえるっていうのが、この作家さんの小説を読む上で一番良かったなと思えたところで、
シンプルな情熱の時と読んだのと同じような感想なんですけども、
今回の嫉妬と事件は特に痛々しさがあるような内容で、
とはいえですね、最後まで読んでいくとネガティブな感情がですね、
払拭されていくような思考の流れがあってですね、
暗いところに光が見えるような、そういう感覚も味わえて、
この辺りの作品が書けるっていうのはやっぱりすごい作家さんだなと思いました。
決してですね、想像豊かな物語を楽しめる小説ではないんですけども、
人として生きていく上で何か凄く肯定してくれるようなですね、
何か凄く人生を考えさせてくれるようなですね、
作品なので、やはり小説好きな人にはですね、
広くお勧めしたいなと思っています。
アニエルのって肯定だよね、肯定の文学だよね、きっとね。
そうです、やっぱり人として自立しているっていうところが前提にありますね。
いいですね、次回予告して終わりたいと思います。
次回はですね、番外編となって3回目のお便り紹介会になります。
色々来ているので、今来ているものは読み上げさせていただきますのでよろしくお願いします。
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今回多分テーマトークちょっと外に出さないかなと思ったので、
多分カット音源になると思います。
こちらで配布したいと思っています。
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また次何ヶ月か後になるんですけれども、
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