どうも皆さんこんにちは、文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。
お相手は、私小説が好きの会のダイチと出場めぐるカフェのミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
お互いの紹介に関しては、2021年最初の回で話しているので、そちらをお聞きください。また、このラジオへのご質問やリクエスト、メッセージを随時いくつかしています。番組概要欄にホームのリンクを貼っていますので、そちらからお寄せください。
ご質問などある程度いただけましたら、お返事をする回をしたいと思いますので、気軽にお寄せいただけると嬉しいです。
本編入る前に告知をさせてください。ストナーの読書会を9月18日の土曜日20時から開催いたします。こちら、以前、リスナー様からの投票で選ばれた作品になりまして、オンラインで開催します。
この後、ビーテックスというサイトから申し込みできるようになるはずなので、ぜひそちらからご参加申し込みよろしくお願いします。
概要欄にリンクを貼っておりますので、ご確認いただければと思います。
本編入る前にもう一点お知らせというか、お伝えしたいことがありまして、今回から私たちマイクを買いました。高いマイクを買っちゃいましたね。
そうですね。高いと言っても1万円しないくらいですからね。
Amazonのセールのときに2人と同じだったので。
ついにこういうマイクまで、今自分のデスクにマイクが設置されている姿を見ると、なんか俺何やってるんだろうなっていう。
お互いの画面を見ながら話してるんですけど、どっちも収録現場みたいな。
完全になんかポッドキャストやってますみたいな人になってきちゃいましたね。
多分音質がかなり良くなってるはず。テストして確認をしてるんですけど、音質がかなり良くなってるはずなので、
ぜひこのあたりも今回聞いた方、音質めっちゃ良くなったって言っていただけると嬉しいです。
これで私たち収入を得てるわけじゃないので、完全にただの趣味で自腹でやっておりますので。
感覚的にはバンドで新しい楽器買ったぜぐらいの感じなんですけど。
音質良くなったよって感じたら、どっかで発言していただけると嬉しいです。
じゃあちょっと長くなっちゃいましたけど、今日の紹介もいきたいと思います。
今日はですね、ケンリュウさんの短編集、モノのアハレをご紹介いたします。
こちら、もともと、ちょっと後で話しますけど、神の動物園という1冊の短編集があったんですけど、文庫化の時に2冊に分かれたので、
神の動物園と抱き合わせて紹介するべきって思われる方もいるかもしれないんですけど、
今回ちょっとですね、6月にアークという映画が日本で公開されまして、
それの原作、同じタイトルアークなんですけど、がこのモノのアハレに収録されており、
ケンリュウさんの作品はかなり名作ぞろいなので、2冊抱き合わせて紹介するのはちょっともったいないので、
ちょっとなんか砲みたいのがあるんですけど、そこにちょっと穴が開いちゃって、それを塞がなきゃいけないんだけど、
それ塞ぐには時間がかけられていて、ひろとでしか最短でそこまでいけないみたいな状況になっていて、
それを彼はもう、結末はちょっとあらないけど、見事成し遂げるんですけど、
それがやっぱりこのいろんな流れの中で、偶発的な流れも含めて流れの中で、乗り込んだひろとが解決するっていうのが結構いいですよね。
その間にこう、お父さんがね、いいですよね。ひろとの父が。
そうですよね。やっぱりこの小説、やっぱりひろとのお父さんがすごいいいですよね。
なんかすごい法制な人で、なおかつ冷静で、終末の世界になって結構世の中がパニックになっているときも、
このお父さんはなんか人間としてこうあるべきだというのを常にひろとに教えていて、
それがその宇宙の極限状態に放り込まれたときにも、やっぱりそのお父さん、その影響というか、存在がすごいひろとにとって背中を押してくれるみたいな。
本当ね、なんか小説読んでて、僕まず思ったのは、お父さんのぶれない姿勢というか、お父さんの美学というか、
まずそれにすごく触発されて、その後お父さんに影響を受けたひろとがある決断をしていったりするんですけども、
そのひろとにさらに触発をされたりしている。本当、このお父さんをめっちゃすごい読んでて、頼もしいし、影響を受けてしまうような人でしたね。
おしえがいいっすよね、ほんとね。日本人であることを忘れるなっていう。
ちょっとあんま重要じゃないってことで言うと、こういうなんかいいセリフ。ちょっとこれね、ネタバレになっちゃうからね。
ね、ネタバレね。
うん。全部話さないですけど、かなり短い作品なんで、ぜひ読んでいただきたい。感動しますよね。
そうですね。本当にもうなんか最高の短編だと思います。
わずか30ページぐらいだよね。
そう、30ページぐらい。なんかラジオのために復讐しようと思って、最近電車の中で読み返して、内容知ってるからさらっと復讐しようと思ってただけなんですけど、電車の中で本当に泣きそうになったんですよ。すごい力持ってますね。
味わってもらいたいね。ちょっとこの程度でしときましょうか。もう導入っていう感じで。
ぜひ。で、ちょっと次にお話ししたいのが、映画にもなったアークをちょっと私の方からストーリーをお話ししていただきたいんですけど、こちらですね、不死がテーマになってます。不老不死になることができた人間世界の話ですね。
ざっくりちょっとストーリーをお話ししますと、主人公は16歳のリーナという女の子が主人公です。
浅はかな付き合いから彼女は妊娠をしてしまいました。子供を卸さず産むんですけど、結局うまく育てることができず、チャーリーと名付けはするんですけど、親に預けるようにして家出をしてしまいます。
で、さまよってた彼女はボディーワークスという会社と出会います。職員募集中の看板を見て、そこの会社に入ります。その会社はですね、プラスティネーションという技術を使い、遺体を永久保存する。
仮想とかまあ、墓に入れるんではなくて、もう置物みたいな感じにして、永久保存する技術を持っている会社でした。で、彼女はそこで、死体を生き生きとポージングさせることをやっていきます。
そこのトップだったエマというチーフアーティスティックディレクターの後を継ぎ、彼女がトップになります。
で、ボディーワークスなんですけども、実はこの会社は人間を老いから解放する方法を研究していました。そのボディーワークスを父から引き継いだジョンという新しい経営者がいるんですけれども、
その彼が不老不死の研究を進めていました。ジョンはですね、リーナに恋を寄せていて結婚を申し込みます。
リーナはジョンと一緒なんですけど、世界で初めて不老不死の状態になった、不老状態か、になった人間となりました。
ジョンとリーナは年老いことなくその技術を世界に広めながら暮らしていたんですけれども、ある日ジョンが言います。悪い知らせがあると。
彼はある遺伝子異常があることが分かり、不老状態にしてくれる技術がうまく作動しないことが分かりました。
ジョンは若いまま保てたんですけど、急にですね、老いていき癌になり死んでしまいました。結果一人になってしまったリーナなんですけれども、
70を超えた時にジョンの霊と仕立てして子供を作ることを決心します。 妊娠中の時に現れたのが彼女が16歳の時に産んだチャーリーが彼女の前に再び現れます。
見た目の年齢は30歳のリーナと、もう50を超えているチャーリーは何というか再会してですね、不思議な親子関係がまた始まります。
で、やがてチャーリーは浪水して死んでしまい、リーナはそのことも受け止めていろんなことを考えていき、結果的にですね、彼女はですね、
初めて不老になった人間なんですけれども、不老であり続ける所長を辞めて自分の終わりを受け入れようとします。
この時にアーク、円を描くっていう話が結構出てきて、表題の意味にもなっていくんですけど、やはり始まりがあって終わりがあるという、
円を描くということを彼女は受け入れていきます。というのがざっくりした話ですね。これはもうすいません、ネタバレありで全部話しちゃいました。
テーマとしてはですね、不老不死を手にした人間という話、映画は本当2時間ぐらいのものになっていて、でも実際2時間ぐらいにできる内容が詰まってて、
よくこれ長編小説にできるような作品なのに、よく50ページぐらいで恐れてきたなと思います。
結果ですね、これやっぱり読んでいると、人間は終えることがなくなったらどういう選択をするんだろうかとか、そもそも人間という生物にどういう変革が訪れるんだろう、どんな生物になってしまうんだろうかとか、
そんなことを考えさせてくれる話で、最後ですね、このリーナが不老ではないことを選ぶっていう、普通の状態に戻り、そして死んでいく、老いていくっていう選択をするところがですね、結構刺さるというか考えさせるものがある小説ですね。
最後のリーナの決断、これ映画を見た人は、小説では理由が説明されているんで、映画だと本当に最後の決断の説明って見たかったなと思うんですけど、
ぜひ小説を最後の方とかに読んでもらえたらなと思います。最後の決断はすごい心に残りましたね。
あんたが俺を置いていったのは偉大な芸術作品を仕上げる必要があったからだと、それが仕上がればあんたは俺を探しにやってきてくれるというですね、
なんか自分のその人生脚本を、なんかそのお母さんと接点が作れない状況なんですけど、でもお母さんには偉大な芸術作品を仕上げるっていうそういう仕事があるから、
だからそれが仕上がるまでは待とうというか、そういう物語を子供ながらに作ったっていう、こういうのができるっていうのがすごい、
チャーリーの子供時代の話。
この物語、結構このチャーリーのポジションがすごく重要で、結構割とこの作品の中では深く彫られる登場人物ではあるんですけど、
結構端的にこの状況というか、彼が背負ったものとかを伝えるのが短い中で上手くて、すごいですよね。
なんか不老不死の話を書こうと思った時に、なんかこういう設定でこう深みを出すことができるって結構すごいなって。
そうですよね、本当に。
思いましたね。
本当、チャーリーっていう設定作れたって本当にすごいと思います。
普通だったらね、配偶者とのジョンとの関係とかの方が、その辺あたりを使って上手く物語を組み立てるような感じもするけど、
チャーリーすごい良いんですね。
そうですね。
で、これ映画になってるって話をしたんですけども、もしかしたらですね、配信されるのがもう8月の2週目とかだと思うんで、
ちょっともう終わってるかもしれないんですけど、是非興味持った方は配信とかされると思うんです、そのうち。
是非見ていただけたらなと思います。
映像自体もすごい綺麗ですし、主役のですね、吉倉京子さん、結構演技上手かったですし、配偶者役が岡田政樹さんとか、
あとエマ役の寺島忍さんがめっちゃすごくて、さっき言ったチャーリーですね、小林薫さんがやってるんですけど、この辺りとか本当に結構すごい俳優陣が集まって、
で、演出とか映像の撮り方とかも結構綺麗なんで、浜辺で太陽を見るシーンとかいいっすよね、最後。
これちょっとネタバレになっちゃうかな、あれだけど。
まあでもすごく綺麗なシーンが多かったりするんで、是非見て、ちょっと小説と合わせて読んでいただけるとすごい良い作品だなと思ったので、是非お楽しみいただけたらなと思います。
小説だとボディーワークスフラスティネーションっていうですね、それで人の体を使って芸術作品を作るっていうのをやってるんですけども、
やっぱりこれは映画だと映像で見れるんで、すごい見どころの一つかなと思いますよね。
明らかにあの映画あそこに力入れてると思いますね。
そうですね。面白いのが、エマとか主人公のリナが、なんて言うんですかね、自分の体を本当に最大限動かして芸術作品っていうのを仕上げていくんですけども、
それ小説だとちょっとね、その映画なかなかイメージしづらいと思うんですけど、本当にね、映画でそういうふうに作品作ってたんだっていうのがわかるので、
また個人的にはフラスティネーション、芸術性を感じるのは、やっぱり人の体のポージングとかでそれがアート作品ってなってるんですけど、そこに芸術性感じるのは人次第な気はしますけどね。
一方で、なかなか切ない部分っていうのもあったりはするんですけども、読みやすくていろいろ考えさせられて本当にいいですね。
リアンとヨウコの娘が作中、何度か再会するんですけど、これやっぱ設定面白いのが、人間の男が一旦ヨウコに触れてしまったら、
どんだけ離れていても、そのヨウコには相手の男の声が聞こえてしまうという設定があって、これがすごい上手いこと使われているなと思います。
呪いなのか魔法なのかちょっとわかんないですけどね。
そういう状況になってしまうと。
まあね、リアンの声がヨウコの娘に聞こえるわけですもんね。
でもそうやって声が聞こえてるってことは、魔法の力というか、それはまだパーセントは失われていなかったんだなっていうのもわかりますし。
取り戻したって感じじゃないですか、ここは最後。機械になってその力を戻したっていう意味合いかなって私はちょっと思いました。
なるほどね。なんかもうちょくちょく再会できてるんで。
あーなるほど、そっか。
場所がわかってるわけだな。
他にもちょっと5編あるんですけど、気になってる作品があるのでその話だけちょっとサクリとさせてもらうと。
なんかどこか全く別な場所でトナカイの大群がっていう作品があるんですけど。
これもちょっと内容もそんな詳しくはなさないですけど。
シンギュラリティを扱った作品で、人間がやっぱある一点を超えて、まあ人間がもう人間じゃなくなってる世界ですね。
電子とか意識とかも含めて、それには電力が必要なんで、電気の消費エネルギーっていうのが大変なことになるので、
まあいろんなことが抑えられたりとかしてる世界。エネルギーの使い方が制限されてる世界。
もうそうしないと地球では生きていけないので、エネルギーが使いすぎなので人類が。
っていうことも描かれてて、で全然違う話になっちゃうんですけど、新書で斉藤幸平さんの人神星の資本論って本を読んだんですけど、
まあこれちょっといろいろあるんですけど、その中で人神星っていう時代なんですよ。
実質学的に見ると、今地球の表面を覆っているのは人工物ばっかりになってきていて、新しい地質に入っていると。
それを人神星って言うんですけど、あの人が新しく生まれるって書いて人神星って読むんですけど、
なんか読み方も一個あるみたいですけどね。この斉藤幸平さんは人神星と読んでます。
で、その中で描かれてるのが、あの今人間がエネルギーを使いすぎなので、このまま行くともう地球のエネルギーが枯渇するというか、
人類が終わると、気候変動とか今すごく起きてるのはそのせいだとか、いろいろあって。
で、なんかこの、えっとこのどこか別、全く別の場所でトナカイ大群がを読んだ時に、
この、まあちょっとほぼ同時期に読んだのかな?もあって、ちょっと思い出しちゃったんですけど、やっぱりあのなんかSF読んでると、
3体とかもそうだったんですけど、なんか技術とか人類のなんていうんですかね、発展が今ある問題を全部解決してくれるってちょっと思いがちだなと思ってて、
でも現実は全くそうじゃなくて、あの人間がその自然を100%コントロールできるわけもないし、災害は起きてるし、これからも多分増えていくだろうと。
で、いずれ人間というものが終わってしまうんじゃないかなみたいなことも書かれてて、でその1個の形だなと思ったのが、
このどこか全く別の場所でトナカイの大群がっていう小説だったんで、まあちょっとそういう視点で見てみるとすごい面白い話だなと思いました。
ちょっと変わったSFでしたもんね。
この本にリンクして読むと本当に面白そうですよね。
これちょっとみえさんにはどっかで読んでもらいたいです。
ひとしんせん本郎。
電子書籍では買っていて、スマホの中には入ってるんですけど。
ちょっとベストセラーになってるもんね。
ちょっといろんな見方があるんで、この内容100%を鵜呑みにするのはあれかと思うんですけど、
でもちょっと今気候変動が起きていることとかちょっといろいろ考え巡らせることが多いんで、おすすめですね。1000円で買えるし。
そうですね。他の作品ではナミという作品もよくてですね、今回アークが不老不死をテーマにしていたのと同じく、
ナミも不老不死をテーマにしていて、次に収録されていても連続で読めるんですけど、
アークが地球が舞台の話だったら、ナミは宇宙が舞台の宇宙スケールの話でかなりぶっ飛んでるんで、両方とも読むと本当にさらに面白くなる。
それぞれの作品だと思いますので、このナミも良かったですね。
ナミいいですよね。私もすごい。スケールのデカさがもうなんかすごくて。
これも反転なんだって思うとすごいですよね。
本当すごいですよね。ナミはアークセットで読んでもらいたいですね。
読んでもらうと考えると思う。こうまでしていきたいかとかちょっと私は思っちゃいましたけどね。
ナミの時は。
そうですね。
ナミの中ではそれが古い時代の考え方みたいな扱い方をされて。
やっぱり何かに超越すると考え方が変わるんですよね。
じゃあ最後、いつも通りどんな人に読んでもらいたいかと感想を言って終わりにしたいと思います。
じゃあ私の方から。話したけどですね。
ケンリュウさんのこのSF作品集はですね。本当バラエティーが豊かで本当に飽きないなって思います。
これでも今日話して改めて感じたんですけど。本当にどの作品も短いんですけど。
長編小説にできるような深さがあって本当これなるほどなと思ったんですけど。
ケンリュウさん多分これ短編にするためにすごい練ってるというか仕掛けをいろいろ用意してるなってちょっと思いました。
短編でもこの深みを出すためにいろんな構成を考えてるんだろうなとちょっと改めて思いました。
なんでめちゃめちゃすごい人だなと思いましたね。
なんていうか優しくて涙が溢れてくるような作品もあれば残酷でいろんなことを深く考えさせられるような話もあってすごくいいです。
SFだけど本当人間っていうものを真正面から描いてるような気がして。
共感することもあればなんというか目を背けたくなるようなこともあるんじゃないかなと思います。
本当にお勧めな作品集でございます。
僕は本当にSF小説としてもすごいと思うんですけど。