むんぱれTuesday その日の天使
皆さん、こんばんは。ナビゲーターのエレーヌです。
むんぱれTuesday 第一週 その日の天使
この番組では、私が気になる様々な分野で活躍しているゲストを迎えして、その方たちの声をお届けしています。
今回もですね、前回に引き続き、美術史家の平智子さんをゲストにお会いします。
平さん、今回もどうぞよろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
前回はですね、平さんの御著書である、女性画家たちと戦争についてお話しいただきました。
平さんのこの本はですね、一般に男性画家が描くものとして知られている戦争画
これがですね、実は太平洋戦争中に女性画家によって描かれた
女流芸術方向隊というグループの名のもとに活躍していた女性画家たちがいたと。
このことに焦点を当てて、彼女たちは共同作品として描いていた大作
これが大東亜戦後国婦女街道の図という、長いタイトルなんですけども
この大作について、何が描かれているかとか
そして、どうして女性画家が戦争に加担するような
こういう活動に関わりになったのかということを解き明かした内容
このことについてちょっとお話しいただきました。
すいません平さん、ちょっと書い詰まりなんですけども
この本を書くことになったきっかけとか、この本を通して伝えたかったことを
簡単にちょっとご紹介いただいてもよろしいですかね。
そうですね、この本を通して伝えたかったことは
単に忘れ去られてしまった女性アーティストを
そこに、新しい歴史の中に付け加えるというだけでは、実はなく
どうしてその女性画家たちが戦争と関わらざるを得なかったのかという
社会構造の方にも目を向けてもらいたかったからですね
そこが分からないと、彼女たちを単純に攻めるような構造になってしまいかねないですよね
現代の私たちの視点からすると、どうしてそんな
戦争に拡大するようなことをしてしまったんだろうという風に
攻めるよりかは、どうしてそうせざるを得なかったのか
そこ自体を問い直して伝えたかったっていうのがやっぱり根底にあります
そうですね、こちらの本をベースにNHKの方でやっていた
Eテレという中での特集番組があったんですけども
その中では確か、この女流方向体のリーダーであった
長谷川遥子さんという画家の方が
最後に戦争責任みたいなものを
ちょっと押し付けられる立場になってしまったみたいなことが出てきて
やっぱりそこではなくて、なんで彼女がそこまで
ここに積極的に関わるような立場を取ったのか
っていうことを我々が考えることってすごい大事ですよね
そうですね、確かあの番組の中で私
この作品は加害と被害の交差点っていうことを
私あの時に使ったと思うんですけれども
そこにちょっと集約されているというか
女性あるいは女性アーティストとして
当時の日本社会の中では非常に苦しい立場に置かれていたと思いますけれども
でもそれももっと視点を広げてみたら
日本というのは侵略する側だったわけですね
そこに確実に一枚噛んでいたというのは事実なので
被害者でもあれば加害者でもあるという
間違わり具合といいますか、その複雑さっていうのを
この絵の中に読み取って
読み取りたいというのが私のベースになるところですかね
いやでも本当に描いてくださってありがとうございますっていうのが
私の本当に正直な感想です
これはもう私読んだ時もキラさんの執念というか
こんな何もないところからどうしてこの人はここまで調べられたんだろうとか
前回のお話の中でもまさにこの方向転に関わってた人たちが
亡くなる前にお声を聞くことができた方も何名かいたってことで
活躍するっていうために
いろいろ必要な条件っていうのもやっぱりあるんじゃないかと
あとやっぱり社会構造上の問題とかってことも指摘されてましたけども
現在のお考えになっていることとかっていうのがあったら
教育していただければいいですかね
私実は残念ながら
美術大学で教える経験がほとんどない
そうだったんですね
今行っている大学は
いわゆる美術の歴史を学ぶ学生さんたちがいるところが
なるほど
なので根本問題として
私の話をなかなか
実際に作品を作っている方々には届けることができない
なるほど
それはちょっと残念な気がします
だけどあれですよね
この本が出たということで
より広く知られるきっかけにはなっているので
そうですねそこは
また別の
それがダメだったらこちらのアプローチみたいな感じで
少しでもどこか誰かの手に届くようにっていう風に
祈りながら招かれながら
毎回本はそういうつもりで書いています
そうですよね
結構女性の連帯であったりとか
フェミニストであるってことを表明して活動を行うことに対して
以前キラさんの講座を私受けたことがあって
その時にいろんなバックラッシュとかリスクがあるんだってことをおっしゃってましたけども
その辺って何か今回本を書くにあたって何か経験とか経験とかされました
今回はですねもうそういう
昔よりかはだいぶ良くなったなっていう風に思います
というのは私がやっぱり始めた頃っていうのは
なかなか自分の研究テーマを言えなかったんですね
言えない?
なんでですか
言えないっていうのはですね
例えば私は戦争中の女性アーティストの研究をしていますっていう風に言うと
周りの人がさーって引いていくのが分かるんです
それは女性男性関わらずってことですか
そうですね
引いちゃうのは何でだろう
それはですね
これは美術師業界の性格だと思いますけれども
美しいものを見たい
研究するという場合が多いというか
そういうのが好きな人たちがいる
ぶっちゃけいるところなんですけれども
その中で
ジムの人を覗き
あまり見て気持ちが良くなるものではないと思って
端的に美しくない
2つ目の引きポイント
女性アーティストの研究だけならいいんです
だけどそこにジェンダーが乗っかるとダメなんですよね
その当時のその人たちの引いてたポイントは何だったんですか
なんでジェンダーなのっていうところなんですか
そうですねやっぱり反抗的に
社会構造の問題を問う視点なので
その枠組みの中で
やってる人にとってはあまり心地よくない
でも
木田さんはそういう周りの人に惹かれても
この研究を続けてきたわけですね
それはなんでなんですかね
それは一部の分かってくれる方々が
それは大事な研究だから絶対にやった方がいいっていう風に
吐けましてくれたからです
そうですよね
でもそういった人たちも今こうやって本が出されて
これだけやっぱり反響もあって
テレビでも取り上げられてってことで
ある意味
どうなんですか木田さん的には
そういう人たちに対して何かこう私がやったことの研究価値っていうのが
今これだけ認められたんだよっていう風な言える立場にあるんじゃないですかね
どうですかね
まあこれもぶっちゃけですけれども
自分の立場を考えた時になかなか複雑な心境になりますね
もし私が女性
戦争中の女性アーティストの研究をしていなかったら
自分がどういう立場にいただろうかっていうことはしょっちゅう考えます
そうなんですか
どういう立場にいたと思います
そうですねでもそれはすごく複雑で
この研究はなければ多分本当に普通に働いていたと思います
働いてたっていうのはどういうところですか
社会に出て会社で働いて
そうなんですか
実際に実は一時期普通に会社で働いていた
企業で働いていたことがあったんですね
だけれども研究生活があまりにもしんどくて
一回離れたんですけれども離れたらやっぱり戻りたくなって
しまって3年後にまた大学に戻ってもう一回始めたんですね
そうだったんですね苦しかったってのはどういうところが苦しいんですか
苦しかったそうですね
実はこの会社に勤めた後もその時最後に面倒を見てくれた指導教員が
私が戻るということを信じて
普通に働いているにも関わらず次は学会発表だ
次は論文登校だっていうふうに少しも休ませてくれなかった
なるほど
でもそれは親心なんですね
私はもう研究生活が本当に嫌で辞めるつもりで出たんですけれども
彼女は女性の指導教員だったんですけども
もう一回戻ってくるのよねっていうふうに最後の卒業の日に念をされて
はいって返事はしたんですけれどももう心の中は戻らないとかって思って
そのつもりでたんですけれども
実はその会社になってからも二足論はラジオを博されてやってたんで
物理的に時間的にあまりにもこれは苦しい
だったら戻るっていうのと
直接の経緯としてはその指導教員が急にお亡くなりになってしまったんですね
なのでそこで私も自分の中で決心ができたというか
やっぱりこれは戻ってちゃんと最後までやらなければならないだろう
ということで
それでこの研究が続けられたっていうことなんですね
なんか本当はすごいですよ
執念だと思います皆さんの
そうですね執念はこの本の中でも多分発揮されていて
この絵の中には新聞に掲載された写真をそのまま使ったところがあるんですけれども
その新聞の元ネタを探すのが非常に苦労がありましてですね
狩猟新聞をだいたい2年ぐらい全部見て
あの当時なのでマイクロフィルムを国会図書館に見に行って
ずっとそのマイクロフィルムを手で転がしながら
1日
すごいやっぱり執念だ
でもそこからいろいろ見えてくるわけですよね
写真もいくつか見つけられましたし
その終戦廃戦までの最後の2年をその当時の人と同じように
新聞を読むことで経験できたと思います
その時の空気感みたいなものっていうのがすごい伝わってきたわけですか
伝わってきましたね
これはあれですかね女性研究の人たちが研究家の人たちが集まって出してあげた団体
女性だけではなく
いろいろな方が立場を見たそれぞれです
わかりました
この数年結構美術界の中でジェンダーを取り上げる展示団体とか
作家さんとかもいろいろ話題を集めているかなと思ってまして
2022年のベネッチャビエンナーレでは参加アーティストの9割が女性やジェンダーノンコンフォーミングと
いわゆる従来の性別概念に合致しない人たちを取り上げる作品というのが占めたんですけども
倉田さんが今注目している美術界の動向とか作家とかいらっしゃったら教えてもらってもいいですか
そうですねここ数年女性だけのグループといいます
今言うとグループとは言わず今コレクティブという言い方をしますけれども
女性のコレクティブがすごく増えてきたなっていうのが
ここ数年の私が強く感じることです
なんかちょっと例とか教えてもらってもいいですかどういったコレクティブがいるのかとか
そうですねタイムラインプロジェクト
これはどういった
ここはですね私も1回読んでいただいたんですけれども
その時はですね
歴史の中で忘れられてしまった女性アーティストたちをもう一度
タイムラインとか歴史の中にもう一回読められますよというような活動をしていらっしゃる
2人組で実際に作品を作っていらっしゃる
女性のアーティストのグループです
じゃあなんかあまり注目されてなかったら女性作家とかをまたこう
見つけて紹介したりするってそういうことですかね
そうですねそういうこともホームページで展開しつつ
今あの面白いなと思っているのはあのポッドキャストかな
あの2人の会話をラジオにして
不定期にあって多分定期的にやってると思いますけれども
その時々のテーマがあってゲストを読んだりして
タイムラインプロジェクトで検索すれば出てきますかね
わかりましたありがとうございます
他に何か注目しているプロジェクトとかこれっていうとかありますか
他はどうかな
たくさんありすぎて
開けるとまた何か
キラさん自身のなんかそういったソーシャルメディアとか
あのなんかウェブサイトとかって何でしたっけ
私自身のウェブサイトはないんですけど今ウェブサイトで
連載を持たせていただいていて
アートニュースジャパンの中で
見落とされた芸術家たちの美術師という
インタビュー形式の連載をしています
そうなんですね
アートニュースジャパンでキラさんの名前を検索すれば出てきますかね
わかりました
これでいろいろな女性作家とかまたそこで紹介されている
そうですねこれは結構あの
タイムスパンクが長くて
一番最初のスタートは平安時代から始まっていますので
近代だけではなくてもっと昔はどうだったんだろう
そこのあたりも知りたいという方には
おすすめのページになっています
本の中では大洋戦争でしたけども
時代特徴もっと遡って
じゃあどういうことだったんだろうというのを
この記事を読めば分かるということですね
今後の展望といいますか
予定されていることなんかあったら
ちょっと教えてもらってもいいですかね
そうですね
こう1回も本にしてしまうと
ここから先やっぱりどうしたらいいんだろうというのは
ちょっとやっぱり考えるところではあるんですけれども
新規で何かを研究を始めるのと同じくらい
普及活動といいますか
アカデミックの中で論文を書くだけではなくて
そこだとどうしても外になかなか広がっていきませんよね
そうですね
どうしても難しくなってしまうので
それをできる限りたくさんの人に広めるために
少し一般向けに書き直したりして
なるべくたくさんの人に目にしてもらうという活動を
これは何かすごく予定してるわけじゃないですけれども
イメージとしてあります
それすごい楽しみです
なんか生きてるうちに実現したいことって何かありますか
女流美術家方向体が描いたこの
大東亜線交付所街道の図の2枚組
今別々の場所に保管されてるんですけれども
この2枚が並んだ姿をですね死ぬまでに見たいと思います
大ですよね
1個が靖国神社の優秀館でもう1個が福岡でした
福岡県の函養宮という神社に入ってるんですけれども
非公開の状態になってます
それはちょっとでも桐生さんだと実現できそうですけどね
どうでしょうか
考えましょう一緒に
最後何か告知したいことがあればお願いします
今ですね
過去にですね新聞で短期連載をしていた
コラムがありまして女性アーティストとあともう一つは広告を
ジェンダーの視点から分析するという連載だったんですけど
その2つを1本にした本を準備中です
私の単位までなかなか進んでないんですけれども
ちょっと皆さんの前ですね年内に必ず出すという
宣言をさせていただきたいと思います
ありがとうございます
じゃあ年内に出るということで私もとても楽しみに待っております
今回番組の中で紹介したアートニュースジャパンの記事ですとか
それからNHKの番組なんかに関してもですね
webサイトの方で紹介してますので
ぜひご覧になっていただければというふうに思います
桐生さん2回にわたってお話しいただきましてありがとうございました
ありがとうございました
とても楽しかったですこれから応援してます
ありがとうございます