2025/06/12
サマリー
このエピソードでは、「シャバ」という言葉の語源とその意味の変遷について考察しています。仏教の教えに基づき、苦しみの多い世界を指す「シャバ」が、自由を求める社会に逆転する様子が探求されています。
シャバの語源と意味
おはようございます。花火鑑賞士気象予報士の鶴岡慶子です。この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。毎朝更新している恋の日記です。今日も最後までお付き合いください。
昨日の朝ドラで、ヤギ上等兵殿は、なぜ幹部候補生の試験を受けられないのですか。これに対して、俺はこんなところで偉くなるより、一日も早くシャバに戻りたい。だからささやかに抵抗している。ただそれだけだ。こんな会話がありました。
この、一日も早くシャバに戻りたい、このシャバという言葉。シャバに出るとか、シャバに戻るなんていうセリフ、ドラマとか映画で聞いたことありますよね。何かに強く拘束された環境にいる人が、一般社会、いわゆる外の世界のことを指して使う言葉です。
実は恥ずかしながら、社会の場所の略語かなって勝手に思っていたんですが、調べてみると全然違ってました。もともとはどこから来たのかっていうと、語源は仏教語です。シャバ世界という言葉で、サンスクリット語のサハから来ています。
漢字で書くと、シャというのは ちょっと難しい漢字で、山髄に少ない、そして下に女と書きます。
サラソウジュという、兵器物語の冒頭。義温将者の鐘の声、諸行無常の響きあり、サラソウジュの花の色、というところで使われる このサラソウジュのサの文字です。
山髄に少ない、そして下に女と書く。これが、シャバのシャの文字です。
そして、バの方はどうかというと、おばあさんのバという字を書きます。
波という字ですが、その波の下にやはり女と書きます。合わせて、シャバです。
どちらも、漢字に女という文字が入っているのですが、女性を意味するわけではないみたいです。
もともとのサンスクリット語のサハという音を、中国語の漢字で表現するために、漢字の部首だったり、形をうまく組み合わせて作った音訳漢字です。
仏教の教えだったり、言葉がインドから中国、そして日本に伝わってくる中で、音を移すために作られた特別な漢字ということだそうで、
仏教では音訳漢字として、サラソウジのサ、シャバのシャ、この漢字はたくさん使われています。
言葉の逆転の面白さ
さて、このサンスクリット語のサハは、どういう意味かというと、忍耐の世界、苦しみの多い世界を意味するのです。
ここで興味深いのは、本来苦しみの多い世界を表す言葉が、何か拘束されているところから自由に戻りたい社会を意味するシャバって、つまり意味が逆転しているということですよね。
すごく面白いなって思うんですけど、これ何が起こっているかというと、実は比較対象が違うんです。
仏教的には極楽浄土と対比される、迷いや苦しみの多い現実社会、これがシャバ、サハということなんです。
一方で拘束されているところからシャバというと、まさに自由な楽園ということで、現世があって、極楽があって、その反対側に地獄があるとするならば、
ちょうどシャバを反対側から見ているということです。
極楽浄土から見ると、苦しみの多い世界がシャバであると。
一方で地獄から見ると、シャバはまさに自由な楽園ということになります。
こうやって、もともと、本来はという言い方になるのかな、苦しみの多い世界、現世という意味だったものが、もっと過酷な場所と比べることで、自由な楽園というニュアンスに逆転しているという、このあたりが言葉の面白さだなって思いました。
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それではまた明日。
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