斎藤希伯の詩の紹介
おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
毎朝更新している声の日記です。今日も最後までお付き合いください。
今日で2024年度も終わりです。
明日から新しい場所で新しいことがスタートする方も多いんじゃないでしょうか。
と言っても、今日月曜日なので、今日から新体制が始まるという方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。
朝ドラがそうですよね。今日から新しいアンパンが始まります。
おむすびは結局一回も見ませんでした。
その前の虎に翼があまりにも私にフィットしちゃって、その余韻をずっと楽しみたいと思っていて、
おむすびはなかなか入り込めなかったんです。
そのまま入り込めないまま、この半年が過ぎてしまいました。
録画はしていたんですが、結局最後まで一回も見ることはありませんでした。
そろそろ虎に翼に対する気持ちも落ち着いてきたので、朝ドラ復活したいなと思います。
さて今日は、斎藤希伯の一つのことという詩をご紹介します。
学校の卒業式なんかで耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、斎藤喜博は1911年生まれの教育者です。
群馬県の小学校で教団に立って、やがて校長先生も務めました。
昭和を代表する実践派の先生です。
特に子どもたちが自分で考え、仲間と共に学ぶ授業づくりに力を注ぎました。
戦後の教育界に大きな影響を与えた一人です。
詩や随筆なんかも多く残していて、今日ご紹介する一つのこと、この詩も斎藤先生が子どもたちや人生の区切りを迎えた人々に送った詩の一つです。
私の姉もずっと小学校に勤務していたんですが、卒業退任になるといつもこの詩を子どもたちにプレゼントしていました。
そして今年もこの詩の出番はやってきました。
今年は卒業学年の担任だったわけではないんですが、学校そのものがなくなる、いわゆる閉校するということで、その閉校式に寄せてこの詩を朗読しました。
朗読した後よりは暗唱に近いって言ってました。
長い教員人生の中で子どもたちに何度もこの詩をプレゼントしていますから、もう姉の中に息づいてるんですね。
改めてではありますが、この詩、ご紹介します。
詩の内容とテーマ
『一つのこと』 斎藤喜博 今終わる 一つのこと 今越える 一つの山 風わたる 草原 響き合う 心の歌 桑の海 光る雲 人は続き 道は続く 遠い道、遥かな道、
明日登る山も見定め、
今終わる一つのこと。
この詩は終わりと始まりの両方がとっても静かに、それでいてとっても力強く描かれています。
今終わる一つのこと、今越える一つの山。
ここは私たちが日々の生活の中で様々な一つのことっていうのを経験しているんですよね。
例えば勉強とか仕事とか、人間関係、あるいは小さな努力だったりとか、挑戦することもあるでしょう。
その一つ一つのこと、それが一つのことなんですね。
春という季節って、ちょうどその終わりと始まりが同時にやってくる時でもあるんですよね。
そして次、風渡る草原ですが、山を越えた先、そこには広々とした草原が広がっていて、
その草原って風に揺れている感じがあって、新しい生活とか、これから出会う人たち、
そして新しい出来事、まだ見ぬ出来事たちってありますよね。
そういう未来の広がりを象徴しているようにも思えます。
人は続き、道は続く。ですが、そう、終わってしまったように感じることも、
実は私たちの歩む道の中の一場面に過ぎないんですよね。ほんの一場面。
で、その先にも道は続いているっていうことなんです。
さらに、明日登る山も見定めですが、次にどんな山を登ろうか、
そういうことを自分の目で見つけていくっていうことなんですね。
迷っても、それから揺れても構わないですから、ゆっくりでも自分のペースで歩んでいけばいい、進んでいけばいいということなんですね。
この年度末、そして4月からの新年度、この春って、まさにその始まりにふさわしい季節でもあります。
斎藤喜博は、昭和30年代から40年代ごろにこの詩を作ったと考えられています。
当時は戦後の社会だったり、教育も大きく変わろうとしていた、そんな時代だったんです。
なんですが、この詩が伝える区切りっていうか、節目っていうか、あと前進するっていうメッセージ、その風景、そのイメージ、すごく前に広がっているよっていう感じ。
これは、令和に生きる私たちにも変わらずに響くものだなって思います。
この配信はアップルポッドキャスト、他各種プラットフォームでお届けしています。
それではまた明日。
