1. 鶴岡慶子/花火・天気・ことば
  2. 【0233】この人になら話しても..

2023/01/22

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おはようございます。鶴岡慶子です。この配信では、司会者として、花火鑑賞師として、そして気象予報士として、日々感じたことなどをお話ししています。
昨日はご葬儀の司会をしたんですが、私が担当した方が、父の教員仲間だったということが分かったので、ちょっと父の話を今日はしようと思います。
私の父は特別支援学校の教員だったんですが、我が父ながら、これはすごいなぁと思ったエピソードがあります。どんなエピソードだったかって言いますと、ある中学校から担任と一緒に男の子が校長室に入ってきまして、
入ってきた途端に、ものすごくうちの父に話しかけてきたんですって。その様子を見て、担任がまずびっくりしたんですよね。
今日連れてきた理由というのが、この子は障害が重くて喋ることができないということで、相談に来たのがうちの父のところだったんですね。
それが校長室に入った途端に、いろんなことをお話しし始めたっていうことで、とにかく驚いたっていうことだったんです。
いや、我が父ながら、かっこいいエピソードだなぁと思って、私はこの話がすごく好きなんですけど、当時、使った魔法はどんな魔法なの?と聞いてみたんです。
そうしたら、何もしてないって言うんですよね。何もしていないんだけれど、目の前の子供を全部受け止めるという気持ちだけは持っている。
どんな場面でも持っている。そういうふうには話をしてくれました。
じゃあ私自身の話に置き換えてみて、私自身はどんな人に心を開いているんだろうと思ってみたら、
例えばラジオ番組にゲストがいらっしゃるときに、そのゲストはコマーシャルとか音楽が流れているときにスタジオに入っていただく、そんなタイミングがあるんですが、
その入ってくる、もう前からニコニコしていらっしゃるんですよね。
こちらから見ると、「今日はよろしくねー!」っていうオーラがたくさん出ている。そんな方とはやっぱりお話をしやすいなぁって思うんですね。
なんならスタジオに入る前から、ディレクタールームのガラス越しに、もう笑いかけてくれてるみたいな、そういう方とは、ああなんかいい時間作れそうだなってやっぱり思うんですよね。
父が言った、「全部受け止めようと思っている。」そこにはどんな言葉をかけたらいいかっていうことではなく、何も特別な魔法の言葉があるわけでもなく、
むしろコミュニケーションの肝は、言葉じゃないところ、ノンバーバルなところにこそあるんじゃないかなぁと思うんです。
父のそのエピソードを聞いてから、なんてかっこいいんだろう、そういう人に私はなりたいって思ったんですね。
父が受け入れるっていう時のノンバーバルな態度ってどんな感じだったかなというのを思い出してみたんです。
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子供の頃、例えばドリフなんかをテレビで見ていて面白かった時に、面白かったねって言うので、父の方に顔を向けることが私はあったんです。
顔を向けた時に、父もこっちを向いて、大きな目を見開いて、口角をグッと上げて、私の方を見てたんです。
そういえば、そうやって顔を見合わせた経験があるなぁというのも思い出したんです。
私が面白いって思ったことをちゃんと共有してくれてたなぁって思い出しました。
もしかしたら、その担任と一緒に来た中学生が出会った顔は、あのにこやかな顔だったかもしれないなぁとも思います。
それなら、この人になら話してもいいかなって思ってくれたんじゃないかなって思うんです。
ラジオもそうですし、司会の仕事、公演の仕事もそうなんですけど、ゲストの方とは一期一会なんですよね。
いかにいい時間を過ごしていただけるのかというのは、その第一印象から始まっているわけです。
アメリカのプリンストン大学の研究によりますと、相手の顔をパッと見た瞬間に信頼できそうだなぁとか、好感が持てるなぁとか判断するそうです。
時間にして0.1秒、パッと見た瞬間に私たちって感じあってるんですよね。
もう目と目があった瞬間からその印象が決まるとすれば、こんにちはって挨拶する前から決まっているわけですよね。
逆に言うと、そのにこやかになる瞬間が0.1秒でも遅れると、いい時間が作れないということでもあります。
仕事の準備が立て込んできて、本当に直前になると緊張してきて、顔はすっごく真面目っていうか、もしかしたら怒っているように見えるかもしれない。
そんな顔をしているかもしれないんですよね。でもそこには良い情報は入ってこないと思います。
ちょっと耳に入れておきますっていうことも含めて、この人なら話してもいいなって思ってもらえるような自分でいたい、そんなふうに思いました。
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