1. 小島ちひりのプリズム劇場
  2. #065 紅茶を淹れて欲しかった人
2026-03-21 10:07

#065 紅茶を淹れて欲しかった人

届かぬ言葉はどこへ行くのでしょうか?

脚本・出演:小島ちひり
収録・編集:三木大樹(有限会社ブリーズ)

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◇小島ちひり
7歳より詩を書き始める。
大学・大学院で現代詩を中心に近現代文学を学ぶ。
2013年 戯曲を書き始める。
2016年 つきかげ座を旗揚げ。3公演全ての作・演出を手がける。
2023年 プリズム劇場を配信開始。
日常の中の感情の動きを繊細に表現することを得意とする。
現在は表現の幅を広げるべく社会に潜伏中。

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#ラジオドラマ #朗読 #物語 #シナリオ #脚本 #小説 #モノエフ朗読
#家族 #母娘 #会話
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サマリー

このラジオドラマは、母親の静と娘の彩香、そしてその友人サラの関係を描いています。彩香は思ったことをすぐに口にしてしまう性格で、母親は心配しています。一方、彩香の友人サラは母親思いで、彩香とは対照的です。ある日、彩香がバイトの話で盛り上がる中、母親が話を遮ったことで口論になり、母親は夕食を作るのをやめてしまいます。このエピソードは、家族間のコミュニケーションの難しさと、それぞれの感情のすれ違いを繊細に描いています。

彩香の危険な言動と母親の心配
小島ちひりのプリズム劇場
この番組は、小島ちひり脚本によるラジオドラマです。
プリズムを通した光のように、さまざまな人がいることをテーマにお送りいたします。
そのおじさんにしつこく、「そのお金はいつから汚れるの?」って聞いたら、たじたじになっちゃって、
最終的にお客さんが警察に通報しているのを聞いて、「覚えてろよ!」って言って逃げちゃった。
あんたまさか、それを武勇伝みたいに思ってるんじゃないでしょうね。
私にそう指摘されて、娘の彩香は一瞬ドキッとした顔をした。
そんなんじゃないよ。最近、男の人が女の人を刺しちゃう事件が多いんだから、あんたも気をつけなさいよ。
大丈夫だよ。ちょっと言い返されたくらいで逃げちゃうような人だよ。
だから怖いんじゃない。後日包丁を持って現れるかもよ。
しかもその人、バイト先の店長のことが好きっぽいんでしょ。
小いじを邪魔されたって逆恨みされるかもよ。
うそー。
とにかく、危なそうな人には近づかない。反論しない。
あんたは昔から本当に空気が読めないんだから。
え?私空気読めないの?
読めないでしょ。そんなことないよ、友達多いし。
それはみんなが目をつぶってくれているからでしょ。
目をつぶってくれてるってどういうこと?
とにかく、思ったことをすぐ口に出さない。
特に男の人には気をつけること。いいわね。
彩香は子供の頃からそうだった。
思ったことは何でも口に出し、相手を駅役させた。
相手の感情には気づかず、むしろ自分は言ってやったんだと誇るところがあった。
学校ではそれが原因で何度もトラブルが起こり、先生から呼び出された。
何が悪いのかわからない娘の代わりに、私が何度も頭を下げた。
自分のことばかり考えてはいけない。
何度そう言っても、娘は理解できなかった。
姉の家での出来事と家族の比較
ごめんね。静かも予定とかあったでしょ。
ベッドで横になっている姉がしんどそうに腰をさすっている。
お姉ちゃん、ぎっくり腰なんて運がないね。
そうなのよ。旦那が出張のときに限って。
とりあえず洗濯とお風呂掃除はやっておいたから、これからご飯作るけど何がいい?
冷凍庫にうどんが入っているから適当にお願いできる?
わかった。姉の家にも久しぶりに来た。
相変わらず家中きれいに片付いている。
昔から姉は優等生で、勉強もできたし、バレー部で活躍していた。
大学を出た後はアパレルの広報に就職し、雑誌の編集長と結婚した。
それに引き換え私は、凡人の中の凡人だった。
特に目立った特技もなく、何となく短大を出て、何となく派遣社員としていろんな会社を転々とした。
夫は母の知り合いの紹介で、もの静かで穏やかなところが気に入り結婚した。
サラの帰宅と家族の夕食
最近どう?彩香ちゃんは今二年生だっけ?
姉はヨタヨタとリビングまで出てきて、何とかうどんを完食した。
そう、友達と揉めていないか心配だよ。
大丈夫だよ、彩香ちゃんいい子だし。
どこが?あの子のせいで私が何回謝りに行ったと思っているの?
彩香ちゃんは悪気はないんだから分かってくれる子はいるよ。
悪気がないから悪いんじゃない?
そう?悪気がないから許されるって言うなら、人を殺しても悪気がなければ許されるの?
またそういう極端なことを言う。
ただいま。
その時、サラちゃんが帰ってきた。
おばさん、ごめんね、ありがとう。
ううん、いいの。サラちゃん早かったね。
上司に母がぎっくり腰でって言ったら、半球取っていいって言ってもらえたから。
えー、サラ、ごめんね、貴重な勇気を使わせちゃって。
だって、おばさんの時間だって貴重でしょ?申し訳ないもん。
いいんだよ。私はサラちゃんみたいにフルタイムで働いてないし。
そうじゃなくてさ、誰だって自分の時間は自分のものでしょ?
そうだ、3人で食べようと思ってケーキ買ってきたの。
彩香のバイトの話と母親の苛立ち
私飲み物入れるよ。おばさんはコーヒー?紅茶?
ありがとう。じゃあ、紅茶をいただこうかな。
そういえば、あやかちゃん、カフェでバイトしてるんでしょ?
家でコーヒーとか入れてくれないの?
あやかがそんなことするわけないじゃない。
それにあくまでホールスタッフだからさ、コーヒー入れるのはオーナーさんだよ。
えー、あやちゃん、個人店のカフェでバイトしてるの?かっこいいね。
何言ってるの、サラちゃん。あやかはノリと勢いだけで生きてるんだから。
そういえば、あやかが大学生になり、バイトをするようになってから、
我が家の夕飯は9時過ぎが当たり前になってしまった。
一人で先に食べてもいいのだが、
なんとなくあやかか夫のどちらかが帰ってくるのを待ってしまっている。
お姉さん、どうだった?
夫はジャケットを脱ぎながらそう言った。
まだまだしんどそうだったかな?
ぎっくり腰はな、一週間くらいはかかるからな。
途中でサラちゃんが帰ってきて、私が来てるからってケーキまで買ってきてくれて。
仕事抜け出してきたのか?
上司に相談して、半給にしてもらったんだって。
お母さん思いのいい子だよね。
まあ、あの子は昔から大人びていたからな。
それでさ、サラちゃんが最近の仕事の話とかしてくれてさ、
ただいまー!
玄関からあやかの大きな声がした。
ただいまー!あ、お父さんおかえりなさい!
あやかはリビングに飛び込んできた。
今日さ、すっごく大変だったの。
お客さんがたくさん来てさ、途中でチーズケーキもなくなっちゃって。
それ目当てのお客さんが多いからさ、
いちいちごめんなさい、今日なくなっちゃいましたって言わなくちゃいけなくてさ、
それでさ、私が気を利かせてさ、
今日は暑いですし、コーヒーゼリーとかおすすめですよって言ったら
注文してくれる人が多くてさ、
あと子連れのお客さんがいたからさ、
ちょっと遊んであげたりとかしてさ、
あやかはどんどんどんどん話が止まらなくなってくる。
そうか、あやかのバイト先、チーズケーキがおいしいって有名だったもんな。
そう、でもチーズケーキ以外にもおいしいものいっぱいあるからさ。
ねえ、私はたまらなくなり、声を荒げてしまった。
あ、お母さん、ただいま。
それでさ、私はコーヒーゼリーも好きなんだけど、アップルパイも好きなんだよね。
私が話してたんだけど。
私がそう言うと、あやかはキョトンとした顔をした。
でも今、私が話してるから。
それでさ、コーヒーにも種類があるじゃん。
オーナーのブレンドってさ。
母親の怒りと決別
なんであんたはいつもそうやって自分のことしか考えられないの。
お母さん、なんで私の話を遮るの。
あやかは心の底から不思議そうな顔をしている。
静か、いいじゃないか。
家でくらいあやかに好きに話させてやれば。
だったら、二人でずっとそうやって話していればいいじゃない。
私はお皿に並んだ夕飯を次々とゴミ箱に入れた。
何やってるんだ静か。
私の夕飯は。
自分でなんとかしなさい。
もう二度と、この二人のためにご飯は作らないと誓った。
エンディング
いかがでしたでしょうか。
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それでは、あなたの一日が素敵なものでありますように。
小島千尋でした。
10:07

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