番組紹介
音声業界の海外市場が見えてくる番組、PODCAST AMBASSADOR。
この番組では、受賞オーディオジャーナリストであるあらいりなが、音声を通じて、音声業界の気になるニュースや注目の動きをお伝えします。
音声配信者やポッドキャスターが知っておきたい情報、音声配信が気になっている企業に役立つ視点を、業界目線とリスナー目線でお届けしていきます。
さて、今週月曜日の放送で番組レビューをしていったんですが、
この業界目線でのレビュー、今週もう一本振り返ってみたいと思います。
どんな目線かというと、プロの番組はエピソードの長さや更新頻度、どうしているのかという視点です。
これまでにお迎えしたゲストの配信者の方々なんかも意外と気にされていらっしゃったテクニカルな部分です。
今回はSpotify限定配信の番組がどんな配信方法を実験しているのか、ポッドキャスターアンバサダー的視点である番組をレビューしていきます。
本編は今年8月に配信したエピソードの再放送となります。
では、業界目線での番組レビュー、お楽しみください。
さて、今回は業界目線の番組レビューです。
まずは番組を紹介していきたいと思います。
タイトルはRed Frontier。SFフィクションの番組です。
制作元は2019年にSpotifyに買収されたギムレッドメディア。
本作は今年7月にリリースされたSpotify限定の最新作です。
物語の始まりは火星。
火星植民地下を目的としたチームの一員として宇宙に渡った女性司令官。
ただ、謎の伝染病でチーム全員を失ってしまいます。
孤独にミッションを完了すること3年。
別のチームが到着し、一人生き残った彼女を発見するもそこには不可解な謎が。
伝染病はなぜ広まったのか。どうして彼女だけ生き延びたのか。
謎が深まるSFスリラーです。
と、ここまでがよくある番組レビューなんですが、
ここからは早速、ポッドキャストアンバサダー的コンテンツ制作という視点で、
ポッドキャストアンバサダー的コンテンツ制作視点での番組レビュー
業界目線でこの番組の面白いポイントに切り込んでいきたいと思います。
今回の大きなポイントは3つ。
まず1つ目はエピソードの長さです。
海外、特にアメリカのポッドキャスト番組の長さというのは、
日本でよくある配信と比べると結構長いんですね。
例えばストーリーテリングタイプの番組だと大体1時間弱。
ポッドキャスト界で一番稼いでいると言われている
ジョー・ローガン氏のインタビュー番組は2時間超えも多いんです。
で、今回紹介している番組はポッドキャストの作り方のタイプで言うと
フィクション・ストーリーテリングタイプ。
一概には言えないんですが、私が今まで聞いてきたフィクション系も
大体1エピソード、20分から30分前後が数年前までの普通という感覚でした。
で、今回の作品はどうかというと、それが短いんです。
現段階でリリースされているこの番組のエピソードを見ても
全て15分以下、短いもので10分を切っているんですね。
いわば今までの普通と言われる長さの半分の長さで
エピソードを構成してきています。
続いて注目ポイント2つ目は、エピソードリリースの頻度です。
これも数年前の普通と違います。
今回毎週配信しているんです。
週1回。
これ、実は国内の多くの音声配信者の方からすると
週1回か毎日配信じゃないのねと思われる方も多いかもしれません。
が、これ実は海外のリリース頻度からすると
週1回というのは結構早い方なんですね。
今回の番組はフィクション番組。
脚本も他のテレビ番組で有名な脚本家が作っていたり
もちろん声優を担当するのも有名な俳優ぞろい。
そんな作り込みの番組の場合、
大抵2週間に1回エピソードをリリースするものが多いんです。
特に今回制作を手掛けている会社ギムレットの番組を
過去のものジャンルを問わず見ても
大抵2週間に1回リリースのペースが多い。
だからこそ今回のようなこういう作り込み、
しかもエンタメ系ジャンルにおいて
週1回リリースというのは個人的には結構珍しいという感覚でした。
そして最後の注目ポイント。
ここは一度にリリースされるエピソード数です。
これがまた驚き。
毎週1話ずつじゃないんです。
最初の8話までは一度に2話同時リリースされていました。
これいろんな音声配信者の方の話を聞いても
音声配信をコツコツ続けていくポイントは
毎週決まった曜日決まった時間に配信をしていくということをよく聞くんですが
今回の例はこれを結構かき乱しているとも言ってもいい例なんですよね。
今回は最初の4週間で8話まで一気にリリースをして
その後は1本ずつという今までにないリリースの
ペースでした。
さてここまで今回の注目ポイント3つ。
エピソードの長さが短い、リリース頻度が速い、
そして一度のリリース本数が違うというところを挙げてきました。
じゃあこれが一体何を意味しているのかということです。
Spotifyのポッドキャスト実験
これはですね私Spotifyが実験してるんだと思うんです。
Spotifyはもともと音楽のストリーミングサービスで業界を台頭してきましたが
近年ではポッドキャスト実況に非常に力を入れていて
今年中にはなんとポッドキャストの視聴者数が
アップルを超えるとも言われています。
ここにきてポッドキャストの配信方法についても
最適な長さ、頻度というものについて
実験をしているんじゃないかなと思うんですね。
実は今回取り上げた番組以外にも
今回のようにリリース頻度や番組の長さが
今までの普通と違うものがありました。
エピソードの長さは今回と同じく短めな一方で
リリース頻度は例えばシリーズ丸ごと一挙公開という方法を取ってたんですね。
やはり今ポッドキャストに力を入れているSpotifyは
プラットフォームとして他人が作ったポッドキャストが聞けるというだけではなくて
さらにもう一歩深掘りをしてですね
ポッドキャストを制作する立場で
今のリスナーに最適な長さ、リスナーが満足するリリース頻度というのを
こういう番組を使って探っているんじゃないかなと深読みをしてみました。
さて今回のエピソードいかがでしたでしょうか。
Spotify限定のプロが作ったある一つの作品を撮ってという分析ではあったんですが
YouTubeとかTikTokとか歌手本時間の取り合いといわれるさまざまなエンタメ
ポッドキャストである音声メディアもですねやはり全体の流れを気にしながら
いろいろ実験しているのではないかなと深読みしてみた番組レビューでした。
本編ももちろんですね、Sci-Fiとして楽しめる番組ですので
ぜひ気になった方は聞いてみてください。
今回のエピソードの感想は書き起こし配信をしている
ノートのコメント欄やツイッターにてお待ちしております。
そして番組のフォローやレビューもしていただけると非常に励みになりますので
よろしくお願いいたします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ポッドキャストアンバサダーのあらいりながお送りしました。
それでは次回のエピソードで。