2022-03-27 07:48

(17)福間→中西→山本和の順で投げさせろ

阪神が21年ぶりにリーグ優勝した昭和60年。感動で身震いしたバース、掛布雅之、岡田彰布の甲子園バックスクリーン3連発。古葉竹識率いる広島との死闘。日航ジャンボ機墜落事故での球団社長死去の衝撃…。そしてつかんだ栄冠。「吉田義男監督誕生秘話」から「栄光の瞬間」まで、トラ番記者だった田所龍一の目線で、音声ドキュメントとしてよみがえります。

昭和60年の阪神の快進撃を象徴する〝伝説〟の試合―とくれば、誰もが4月17日の巨人戦での甲子園バックスクリーン3連発―と言うでしょう。

 でも、トラ番記者たちが「今年の阪神は違うで」「何かが起こりそうや」と感じたのは、この3連発が出発点ではありませんでした…

 


【原作】 産経新聞大阪夕刊連載「猛虎伝―昭和60年『奇跡』の軌跡」
【制作】 産経新聞社
【ナビゲーター】 笑福亭羽光、内田健介、相川由里

■笑福亭羽光(しょうふくてい・うこう)
平成19年4月 笑福亭鶴光に入門。令和2年11月 2020年度NHK新人落語大賞。令和3年5月 真打昇進。特技は漫画原作。

■内田健介(うちだ・けんすけ)
桐朋学園短期大学演劇専攻科在学中から劇団善人会議(現・扉座)に在籍。初舞台は19 歳。退団後、現代制作舎(現・現代)に25 年間在籍。令和3年1月に退所。現在フリー。
テレビドラマ、映画、舞台、CMなどへの出演のほか、NHK―FMのラジオドラマやナレーションなど声の出演も多数。

■相川由里(あいかわ・ゆり)
北海道室蘭市出身。17歳から女優として、映画、ドラマ、舞台などに出演。平成22年から歌手とグラフィックデザイナーの活動をスタート、朗読と歌のCDをリリース。平成30年「EUREKA creative studio合同会社」を設立し、映像作品をはじめジャンルにとらわれない表現活動に取り組んでいる。
猛虎伝原作者田所龍一

【原作】
■ 田所龍一(たどころ・りゅういち)
昭和31年生まれ。大阪芸大卒。サンケイスポーツに入社し、虎番として昭和60年の阪神日本一などを取材。 産経新聞(大阪)運動部長、京都総局長、中部総局長などを経て編集委員。 「虎番疾風録」のほか、阪急ブレーブスの創立からつづる「勇者の物語」も産経新聞(大阪発行版)に執筆

 

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危機打開への提言
ナビゲーターは、私、内田健介でお届けします。
第17話
馬、中西、山本一の順で投げさせろ!
8月17日
またしても先発陣が崩れ
広島戦に4対9
阪神は4対3
その夜のこと
広島滞在時の選手宿舎
菊川観光ホテルの一室に
加計府や岡田、真由美、川戸浦主力選手たちが
密かに集まった
話し合いのテーマは
どうやってこの倒壊現象を打開するかだった
ベテラン優勝たちが思い思いの打開策を提案した
結局は総崩れとなった先発投手をどうするかに尽きた
今のままでは試合にならない
時間が経つうちにお酒も入り
少々酔っ払いながらの話し合いとなった
こうなったら
まだ多少頑張っているリリー夫人を
先発にさせるしかない
今のままでは試合にならない
まだまだ頑張っているリリー夫人を
先発にさせるしかない
ずっととは言わん
この連敗を抜け切るための緊急措置や
そうや
福間、中西、山本、和の3人で
3イニングずつ投げたらええ
オールスターみたいに
ええなそれでいこう
岡田お前選手会長として
全員一丸のムード
お前の部屋へ行って言うてこい
と河棟の指示が出た
なんともはや危ない展開
普通ならまあまあ落ち着いてとなるのだろうが
なんと岡田会長
分かりましたほな行ってきますわ
と吉田監督の部屋をノックした
普通はいかんやろね
でもあの時は河さんや加計夫さん
先輩たちもそんな雰囲気じゃなかった
大事に監督には拒否されたけど
と岡田は後に振り返っている
翌18日の昼
猛虎たちは宿舎2階の食堂に集まった
そして選手会長の岡田が口を開いた
しんどいのはみんな一緒や
ここで人踏ん張りして
苦しい局面をみんなで力を合わせて打ち砕こう
続いて前会長の加計夫が
みんなが目一杯やれば負けることはない
と帰省を挙げた
ほんまになりふり構わずやるしかないで
トラバン記者たちも気合を入れた
18日の広島戦
一度は岡田会長の提案をそんな無茶なと拒否した
吉田監督だったが
なんと中継ぎの福間を本当に先発で投げさせた
そして提案の順番こそ違ったが
2番手で山本3番手で中西と
ほんまになりふり構わず繋いだのである
ああそれなのに
試合はまたしても5対6で赤敗
首位広島との差が1.5ポイント
だが試合後の吉田監督の表情が
これまでとは変わっていた
今日の戦いぶりに今までにないものを感じました
最初から最後まで喉が枯れるほど
みんな声を出していました
年配でファンのみなさんには申し訳ないが
今日の全員一丸のムードは
太陽戦の猛攻
必ず次に繋がっていこうと
思っています
ショーの目にはまもなく来る試練の終わりと
その先にある栄光が見えていたのかもしれない
広島との死闘を戦い抜き
夏の悪夢にも猛虎たちは耐え抜いた
長い長いトンネルを抜けると
そこには眩しい太陽の輝きが
いや、その光が
その光が
その光が
太陽の輝きが
いや、太陽ホエールズ戦が
待っていた
それはそれは眩しい攻撃だった
8月21日
対太陽17回戦
3対2と1点リードで迎えた5回
阪神はバースのセンター前ヒット
タケフのレフトオーバーの2塁打
岡田の3塁戦を破る3塁打
ラストへのホームランで
サイクル攻撃完成
11得点をあげ
11対2で大勝利を収めた
翌22日の18回戦は
さらなる打戦の大爆発
6回には先頭真由美のライト前ヒットを皮切りに
器器の集中8アンダ
打者13人の猛烈攻撃で
9連続得点
8回には真由美の26号
9回はバースの37号で締めくくり
終わってみれば
16対6だ
ありがとう
太陽様様
とにかく太陽戦になると阪神打戦は
打ちまくった
不思議なことに猛虎たちが一番苦しんだ
7、8、9月
太陽戦が組まれていた
試合日程を決めるのは前年だから
当然作為なし
広島にコテンパンにやられても
太陽戦で猛虎たちは息を吹き返したのである
そして
ついに優勝マジック点灯の日がやってきた
もちろん太陽戦
9月11日
横浜球場での22回戦だ
1対2とリードされた5回
2アウトから駆け伏がフォアボールで歩くと
続く岡田が宇宙間へ逆転の28号ツーラン
この一発で勝負あり
5回、6回と2リング連続の9人攻撃で
いつもの太陽戦のように
2桁の12アンダの10得点
そしてついに2位の広島に5ゲーム差をつけ
優勝マジック22を花々しく点灯させたのである
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