2022-03-21 07:20

(11)見つけたで これが猛虎の野球や

阪神が21年ぶりにリーグ優勝した昭和60年。感動で身震いしたバース、掛布雅之、岡田彰布の甲子園バックスクリーン3連発。古葉竹識率いる広島との死闘。日航ジャンボ機墜落事故での球団社長死去の衝撃…。そしてつかんだ栄冠。「吉田義男監督誕生秘話」から「栄光の瞬間」まで、トラ番記者だった田所龍一の目線で、音声ドキュメントとしてよみがえります。

昭和60年の阪神の快進撃を象徴する〝伝説〟の試合―とくれば、誰もが4月17日の巨人戦での甲子園バックスクリーン3連発―と言うでしょう。

 でも、トラ番記者たちが「今年の阪神は違うで」「何かが起こりそうや」と感じたのは、この3連発が出発点ではありませんでした…

 


【原作】 産経新聞大阪夕刊連載「猛虎伝―昭和60年『奇跡』の軌跡」
【制作】 産経新聞社
【ナビゲーター】 笑福亭羽光、内田健介、相川由里

■笑福亭羽光(しょうふくてい・うこう)
平成19年4月 笑福亭鶴光に入門。令和2年11月 2020年度NHK新人落語大賞。令和3年5月 真打昇進。特技は漫画原作。

■内田健介(うちだ・けんすけ)
桐朋学園短期大学演劇専攻科在学中から劇団善人会議(現・扉座)に在籍。初舞台は19 歳。退団後、現代制作舎(現・現代)に25 年間在籍。令和3年1月に退所。現在フリー。
テレビドラマ、映画、舞台、CMなどへの出演のほか、NHK―FMのラジオドラマやナレーションなど声の出演も多数。

■相川由里(あいかわ・ゆり)
北海道室蘭市出身。17歳から女優として、映画、ドラマ、舞台などに出演。平成22年から歌手とグラフィックデザイナーの活動をスタート、朗読と歌のCDをリリース。平成30年「EUREKA creative studio合同会社」を設立し、映像作品をはじめジャンルにとらわれない表現活動に取り組んでいる。
猛虎伝原作者田所龍一

【原作】
■ 田所龍一(たどころ・りゅういち)
昭和31年生まれ。大阪芸大卒。サンケイスポーツに入社し、虎番として昭和60年の阪神日本一などを取材。 産経新聞(大阪)運動部長、京都総局長、中部総局長などを経て編集委員。 「虎番疾風録」のほか、阪急ブレーブスの創立からつづる「勇者の物語」も産経新聞(大阪発行版)に執筆

 

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00:01
ナビゲーターは、私、内田健介でお届けします。
第11話
見つけたで!これが猛虎の野球や!
古典版に広島にやられても、猛虎たちは決して落ち込まなかった。
8連敗した時も、猛虎は大好きだった。
例えば、6月11日の広島市民球場での8回戦。
阪神に1点を先行された広島は、2回、ノーアウト満塁のチャンスを掴んだ。
すると、小葉監督は早々と保守の立川に大打・西打を送り、
逆転の2点対無理。
この2回戦の結果は、
さらに、8回には大打・小早川の対無理などで3点を奪い、
計11得点。
守っても先発の軸になっていた高木を、
4回からリリーフを取り戻した。
その結果は、
もうこれ以上阪神を走らせない。
という王者の執念が見えた試合だった。
とにかく完敗。
羨ましいほどの戦力の熱さ。
この日、大打や大相で出てきた広島の被害人、
福島、西打、小早川、木下、
どの選手も他の球団へ行けばすぐにでも
レギュラーを奪える選手たちばかりだ。
あかん。全然はがたたんわ。
私はがっくり。
ところが阪神の選手たちはけろりとしたもの。
それどころか翌日、岡田は胸を張ってこう言ってのけた。
本気でうちを優勝争いのライバルと見て試合してきよった。
広島を本気にさせたってことは、うちの力を守ると
広島が認めた頃になるやん。
なんと負けて逆に自信を深めていたのだ。
そして、そんな広島をついに乗り越える日がやってきた。
7月6日、甲子園球場での広島での
11回戦のことだった。
03:01
5万5千人の大観衆でスタンドが埋まったこの試合は
阪神・伊藤・広島・山根両選発がともに序盤に4点を失い
1点を争う軽闘戦となった。
広島は4回途中からリリーフした川端が後頭。
阪神は伊藤・佐藤・池田とつないで8回
リリーフした。
4対4の同点。
広島は先頭の高橋がセンター前ヒットを放ち
2、3、300個目の投類を決める。
ワンアウト後、小林川のセカンドゴールで高橋が3類へ進み
2アウト3類。
さらに阪神の野主陣はやや深めの守備位置を取った。
さあ来い。3類の加計夫が体を低く沈めた。
次の瞬間、木の傘のスーッと出されたバットにボールがコツン。
まさかのセーフティバットだ。
加計夫が打球を手にした時にはもう1類には間に合わない。
3類から高橋が手を叩きながらホールを駆け抜けた。
予想?全くしてなかった。だってキヌさんだよ。
市枝コーチもボテボテの頃には気を付けろとは言えても
まさかあの場面でバントを警戒しろとは言えん。
と首を振った。
木の傘はしてやったりの顔でこう言った。
操舎を返すのが僕の仕事だからね。
答えは一つさ。
これでもか、これでもかと見せつけられる広島野球。
さすがの吉田監督も試合後は
勝負は神ひとえでんな。
木の傘のバント?まさかとは思いましたわ。
けどベンチも含めてああいうプレーができるんは
僕の心は逆だった。
この昭和60年のすべての戦いが終わったとき
猛虎たちはこの日の広島戦を振り返った。
まず岡田は
あの試合からかなうちの本当の相手は
広島やないと思うようになったのは
木の傘。
06:04
いくらヒットになる、勝てるからといっても
木の傘さんがあんなプレーで喜んだと思うとね。
あのプレーにプロ野球の夢が見えたかい?
子どもたちが憧れるかい?
僕もあの試合から広島に負けても
技巧派は技巧派らしく
勝つための野球ではなくファンを魅了する野球で勝つ。
プロの試合にはただ勝つことよりもっと大事なものがある。
猛虎たちが自分たちの目指す野球を見つけた瞬間だった。
次回予告
お相手は小福天皇と
私、市田健介がお送りしました。
07:20

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