2022-03-20 07:28

(10)「広島死闘編 なんでカープに勝たれへんねん」

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阪神が21年ぶりにリーグ優勝した昭和60年。感動で身震いしたバース、掛布雅之、岡田彰布の甲子園バックスクリーン3連発。古葉竹識率いる広島との死闘。日航ジャンボ機墜落事故での球団社長死去の衝撃…。そしてつかんだ栄冠。「吉田義男監督誕生秘話」から「栄光の瞬間」まで、トラ番記者だった田所龍一の目線で、音声ドキュメントとしてよみがえります。

昭和60年の阪神の快進撃を象徴する〝伝説〟の試合―とくれば、誰もが4月17日の巨人戦での甲子園バックスクリーン3連発―と言うでしょう。

 でも、トラ番記者たちが「今年の阪神は違うで」「何かが起こりそうや」と感じたのは、この3連発が出発点ではありませんでした…

 


【原作】 産経新聞大阪夕刊連載「猛虎伝―昭和60年『奇跡』の軌跡」
【制作】 産経新聞社
【ナビゲーター】 笑福亭羽光、内田健介、相川由里

■笑福亭羽光(しょうふくてい・うこう)
平成19年4月 笑福亭鶴光に入門。令和2年11月 2020年度NHK新人落語大賞。令和3年5月 真打昇進。特技は漫画原作。

■内田健介(うちだ・けんすけ)
桐朋学園短期大学演劇専攻科在学中から劇団善人会議(現・扉座)に在籍。初舞台は19 歳。退団後、現代制作舎(現・現代)に25 年間在籍。令和3年1月に退所。現在フリー。
テレビドラマ、映画、舞台、CMなどへの出演のほか、NHK―FMのラジオドラマやナレーションなど声の出演も多数。

■相川由里(あいかわ・ゆり)
北海道室蘭市出身。17歳から女優として、映画、ドラマ、舞台などに出演。平成22年から歌手とグラフィックデザイナーの活動をスタート、朗読と歌のCDをリリース。平成30年「EUREKA creative studio合同会社」を設立し、映像作品をはじめジャンルにとらわれない表現活動に取り組んでいる。
猛虎伝原作者田所龍一

【原作】
■ 田所龍一(たどころ・りゅういち)
昭和31年生まれ。大阪芸大卒。サンケイスポーツに入社し、虎番として昭和60年の阪神日本一などを取材。 産経新聞(大阪)運動部長、京都総局長、中部総局長などを経て編集委員。 「虎番疾風録」のほか、阪急ブレーブスの創立からつづる「勇者の物語」も産経新聞(大阪発行版)に執筆

 

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ナビゲーターは、私、内田健介でお届けします。
第10話 広島死闘編
なんでカープに勝たれへんねん。
昭和60年の阪神の宿敵は、巨人ではなく、59年のセリーグ覇者、
昭和60年の昭和60年の昭和60年の昭和60年の昭和。
59年のセリーグ覇者、広島だった。
破壊力だけなら、阪神が軽く広島を上回った。
だが、まるで野球の質が違った。
5月までは、広島の主力投手が巨人戦に向けられていたおかげで、
4勝3敗と勝ち越したが、
5月に小葉監督が、
阪神を楽な気持ちで走らせてはいけないと警戒警報を発し、
エースの北べっぷや川口を阪神戦に投入し始めた途端、
さっぱり勝てなくなった。
5月23日、甲子園での試合で北べっぷに敗れてから、
7月17日の広島球場での試合で、
なんと8連敗。
一体、広島と阪神の野球はどこが違ったのか。
7月17日のゲームを例に挙げてみよう。
阪神は周囲の広島を3ゲーム差で追いかけていた。
阪神の先発はゲイル、広島はエースの北べっぷ。
阪神は1回、先頭の真由美が2塁打で出塁した。
2塁目に送りバントではなく、強打させて
1塁へのファールフライに倒れた。
強行策には理由があった。
ここ数試合、阪神の投手陣が打ち込まれ、
3試合の失点の合計が32点。
1回から大量得点狙いに出たのだ。
これに対し広島は1回2アウトから高橋がデッドボールで出塁。
すかさず投塁を決める。
4番山本浩二がフォアボールで歩くと、続く小林川の4球目にゲイルが冒頭。
ランナー2、3、5となって1塁が開く。
ゲイルは小林川が苦手。杉の木乃笠は得意。
当然、小林川を敬遠すると思われた。
03:04
そのまま勝負して2塁打を浴びて2点を失った。
阪神は5対5の5回にワンナウト2塁のチャンスを迎えた。
だが佐野はピッチャーごろ。
2塁走者の掛け風が飛び出してアウト。
打った佐野も1塁間で挟まれ、これまたアウト。
チャンスは消えた。
山崎がヒットで出塁すると投塁を決め、続く木乃笠が2塁打を放って決勝点。
阪神は5対6で敗れた。
一発に頼る阪神に比べ、機動力を活かした広島の攻撃は多彩だった。
この年、打線が選んだフォアボールの数は阪神が477、広島が512。
投塁数は阪神60に対し広島は3倍近い178。
阪神と広島の差はこんなところにあったのである。
不思議なもので猛虎たちは広島に何度叩きのめされてもなぜか自信をつけ、さらにたくましくなって立ち上がった。
そして6月13日、広島球場での試合で事件は起こった。
3対2と1点のリードを奪った阪神は5回、1ナウと1二塁のチャンスを迎えた。
ここで広島の当たりはさあどころ、併殺かと思われた。
ところが一塁走者の北村が併殺を防ぐため、体を回転させヤシュの足を払うローリングスライディング。
広島の二塁手商談が一塁へ飽きそう球。
阪神に貴重な4点目が入った。
その時だ。
ベンチから飛び出した小場監督が阪神ベンチに向かって。
スパイクを立てるな。危ないじゃないか。
と怒鳴った。阪神ベンチも河東がやり返した。
何が危ないんや。スパイクなんか立てとらへんで、あれをかわせんほうが下手なんや。
何?外野は黙っとれ。
そこへ吉田監督が飛び出して睨み合った。
コーチや選手がぶつかりかける二人を止めて乱闘にはならなかったが、壮絶な絶戦が繰り広げられた。
まずは小場監督。
我々は野球で飯を食っている。だから怪我が一番怖い。
私も球団から大事な財産を預かっている。
だから抗議は当然のこと。ベンチにおる選手がとやかく言う必要はない。
黙って座っておればいいんだ。
これに吉田監督がやり返した。
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そんなお嬢さんみたいなこと言うてるから、日本のプロ野球の技術は一向に進歩しまへんねん。
私らはグラウンドで戦争やってまんねんで。
ベンチから野児があって当然でんがな。
それに北村のプレーも、もしスパイクを立てたんやったら私が注意します。
けどあれはやるかやられるかのプロのプレーですわ。
確かに怪我は最大限に防がなきまへん。
けどそれは優れた技術で防ぐんです。
もしうちがやられたんなら、私はうちの選手の技術の未熟さを責めますわ。
この時の吉田監督のかっこよさときたら、
思わずその通りや!
よっさんがんばれ!
と心の中で声援を送ったのである。
お相手は小福天皇と、私、内田健介がお送りしました。
ありがとうございました。
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