昭和58年から59年にかけてNHK連続テレビ小説として放送された「おしん」は、明治時代に山形の貧しい家に生まれた一人の少女が苦労にめげずに生きていく姿を描き、爆発的な人気を呼びました。

「おしん横綱」や「おしん宰相」という言葉を生み、「我慢の哲学」は海外にまで輸出されました。日本人がおしんに投影させて見つめようとしたものは何だったのでしょうか。

産経新聞に過去に連載された「戦後史開封」を再構成してお届けします。ナレーションは、朝ドラ出演経験があり、脳出血から復帰した俳優・河合美智子さんです。

 

■この番組は
政治、経済、事件、スポーツ、文化、そして風俗・・・。
戦後の歴史の中から、印象深い出来事を再取材して、知られざるエピソード、報道されていなかった面に新たな光を当て、戦後を振り返ります。

 

【原作】「戦後史開封」(「戦後史開封」取材班 /産経新聞社・刊)
【番組制作】産経新聞社

 

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00:01
戦後史開封
おしんブームが残したもの
第1話 橋田須賀子さんへの手紙
脚本家の橋田須賀子さんは昨年、令和3年4月に95歳で亡くなりました。
橋田さんの代表作といえばおしんです。
今から40年ほど前、昭和58年から59年にかけてNHK連続テレビ小説として放送されたおしん。
明治時代に山形の貧しい家に生まれた一人の少女が苦労にめげずに生きていく姿を描き、爆発的な人気を呼びました。
おしんは社会的なブームも巻き起こし、おしん横綱やおしん最小という言葉を生み、我慢の哲学は海外にまで輸出されました。
日本人がおしんを通じて見つめようとしたものは何だったのでしょうか。
産経新聞に連載された戦後史開封を再構成してお届けします。
案内役は私、河井美智子です。
きっかけは昭和53年頃のことだった。
その時すでに売れっ子の脚本家になっていた橋田菅子さんのもとに、高齢とみられる女性から一通の手紙が届いた。
手紙は、静岡の消し印があるだけで差し出し人はわからない。
しかし、手紙の文章を読んだ橋田さんは、その刺激的な内容に心を強く奪われたという。
私はもうじきこの世を去りますが、家族にも言えない秘密があります。
今は孫もいて幸せな毎日を過ごしておりますが、誰かに聞いてもらいたくて筆を取りました。
手紙には壮絶な人生が綿々と綴られていたのである。
その手紙によれば、女性は若い頃、イカダに乗って花町に売りに出された。
3年間の我慢の後、逃走した。
事前団体に駆け込んでミシンを習い、やっと自立することができたという。
橋田さんは、明治の人はこんなにもすごい人生を送っていたのか、と知った。
この女性以外にも苦労した人はいるのではないだろうか、そんな人生をもっと聞きたいと考えた橋田さん。
03:04
週刊誌を通じて当書を募集した。
すると全国から段ボール箱がいっぱいになるほどの手紙が殺到したという。
方向先でご飯も食べさせてもらえませんでした。
妊娠していても農作業を休ませてもらえずに、田んぼのあぜ道で赤んぼを産みました。
寄せられた手紙には想像を超えるほど多くの悲しくつらい話が詰まっていた。
橋田さんは、何としてもこれを素材にしたテレビドラマを見た。
橋田さんによれば、豊かな今の時代はそもそも明治の人たちの苦労が作り上げたもの。
昔は食べるものがなくても精一杯生きていた。
しかし最近では車のローンが返せないという理由だけで死を選ぶ人もいる。
豊かさをありがたいと思っていなかった。
あなたたちは実はものすごく幸せなんですよというドラマを書きたかった。
そう振り返った。
ところが当時は明治の暗い話などどこのテレビ局も買ってくれなかった。
そこへNHKがテレビ放送を開始30周年を記念して、
明治の暗い話などどこのテレビ局も買ってくれなかった。
そこへNHKがテレビ放送を開始30周年を記念して、
朝8時15分からの連続テレビ小説で1年間のドラマをやるという話を聞いた。
半年なら書く気はなかった橋田さんだが、
1年ならばと早速企画を持ち込んだ。
こうしてお心が産声を上げた。
視聴率は最高で62.9%。
連続ドラマでは空前絶後の好視聴率を記録した。
お心が社会的なブームを巻き起こしたことで、
当時のNHKには毎日膨大な量の手紙が寄せられたといえ、
お心を子役の小林彩子さんが演じた序盤や、
大人になってからのお心を田中裕子さんが演じた中盤は、
番組に好意的な手紙が多かった。
ところが終盤に差し掛かり、
音羽信子さん演じるお心がスーパーを経営するようになってからは、
批判的な当初が目立つようになったという。
その批判の多くは、「商売に突っ走るなんて、
お心はまるで人が変わってしまった。」というものだった。
それについて橋田さんは、
お心は高度成長に合わせてスーパーの金儲けのことだけを考えるようになり、
大事なものを忘れていきました。
06:02
それでも最後は昔の自分を思い出して反省し、
事業を小さくしようと思い至る。
しかしそういった意図を分かってくださった方がどれだけいらしたのか、
と振り返っている。
第2話の次回は、
お心の少女時代を演じた小林彩子さんについてお送りします。
字幕をご覧いただきありがとうございます。
07:20

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