1. 音声で聴く スポーツ、ここが知りたい
  2. 東京デフリンピックで理解広が..
2022-10-19 23:12

東京デフリンピックで理解広がれ 全日本ろうあ連盟本部事務所長・倉野直紀さん

聞こえないアスリートが集い、世界一を争う「デフリンピック」が2025(令和7)年の秋に東京で開かれる。会期は11月15日から26日までの12日間で、約80の国・地域から約5000人の参加を想定しているという。

夏季大会は1924年に第1回が開かれ、東京で迎える第25回大会は「デフリンピック誕生100年」の節目に当たる。パラリンピックより歴史のある大会にもかかわらず、日本での認知度はまだ高くない。開催準備に忙しい全日本ろうあ連盟理事・本部事務所長の倉野直紀氏に、大会開催の意義やデフスポーツの魅力について聞いた。(聞き手・森田景史)

■倉野直紀(くらの・なおき)
1972(昭和47)年、三重県生まれ。東海聴覚障害者連盟事務局長などを歴任し、現在は全日本ろうあ連盟理事・本部事務所長。2025年東京デフリンピックに向けて、連盟内のデフリンピック準備室室長補佐として、開催準備の中心を担う。競技歴はバレーボール。

 


■この番組は

産経Podcast「音声で聴く スポーツ、ここが知りたい」は、アスリートご本人やコーチ、団体運営者の肉声インタビューをお届けします。

【制作】産経新聞東京本社・運動部
【更新】毎週水曜日(予定)

                                      

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今回のテーマは、2025年11月に東京での開催が決まったデフリンピックです。
デフリンピックは、聴覚に障害のあるアスリートの祭典です。
夏と冬の大会があり、夏は1924年にフランスで、
冬は1949年にオーストリアで初めて開催されました。
夏の大会は、ことし5月に開催されました。
日本からは選手95人を含む149人の選手団が参加しました。
100年の節目となる3年後の東京大会で
25回目を迎えるということです。
今回は、2025年東京デフリンピックについて
全日本ローア連盟本部事務所長の倉野直樹さんをお迎えして
お話を伺います。倉野さんは、
全米のデフリンピック準備室で視聴・補佐も兼務なさっています。
今回は、手話通訳の方にご当席をお願いしました。
倉野さんの答えは全て、手話通訳の方に音声にしていただきます。
倉野さん、よろしくお願いします。
障害のある方々のスポーツイベントとしては、
パラリンピックが知られていますよね。
デフリンピックとパラリンピックの違いについては、
大きく3つあると思います。
1つ目が参加資格です。
デフリンピックに参加するには、
人工内耳を取り外した状態で
聴力のレベルが55dB以上であることが条件です。
ですから、例えば
オリンピックはドーピングテストがありますが、
デフリンピックの場合は、ドーピングテストプラス聴力検査もあります。
ですから、ドーピングチェックをクリアしたとしても
聴力検査に引っかかってしまって、失格になるというケースも見受けられます。
2つ目ですが、競技をするために
補聴器や人工内耳を外した状態で
試合に臨むというのが条件になっています。
それはなぜかと申しますと、
選手みなが平等な状態で聞こえない立場として
競技に臨むということが求められているからです。
ここがパラリンピックやパラスポーツとの違いだと思っています。
デフリンピックやデフの競技の場合は
03:00
聞こえる人のスポーツとほぼ同じルールを
従用しているということがほとんどです。
ですが、例えば水泳や陸上のスピードを争う競技は
スターターの音が聞こえない。
音というのは重要な要素ですが、
その代わりに光でスタートの合図を教える
スタートランプという器具を使って競技を行います。
また、空手やテコンドーといった武道の試合、
非常に試合に集中されている場合はシンパンの合図、
そういったものが選手に伝える方法として
ライトを当ててやったり、
競技ルールを聞こえる人のスポーツと同じ
そういったところを大事にしながら
視覚的な情報の保障も行う。
そして、選手に伝えるというのが
デフリンピックの特色だと考えています。
3点目は、デフリンピックの公用語に
使われている国際手話といったように
それぞれの国で手話も全く違うものになります。
デフリンピックという世界各国のスタッフが集まる場で
選手やシンパンとのやり取り、コミュニケーションを
どのようにするかということで
公用語といった形で定められているのが国際手話です。
そういった意味では、オリンピックやパラリンピックでも
選手との国を越えた交流が大事にされますが
デフリンピックもその精神を踏襲しています。
大会で行われる競技数や大会日程は決まっていますか?
まだ正式決定というわけではありませんが
私どもが想定している競技数は
2025年11月15日から11月26日までの
12日間を想定しています。
東京大会の開催が決まったのは
9月にウィーンで開かれた
国際老舗スポーツ委員会の総会でした。
招致活動はいつ頃から行われていたのでしょうか?
デフリンピックが100年近い歴史があるという話をしましたが
06:00
まだ日本で開催されたことがないということで
以前から聞こえないデフのアスリートたちが
日本で開催をしてほしいという声が上がっていました。
大きな転換点となったところが
東京2020のオリンピックを
決定したときに
非常にメディアで報道されたことがきっかけになります。
それが何回も繰り返しメディアで放送されたということです。
それを見た日本の聞こえない選手たち、また子どもたちから
デフリンピックも日本で開催をしてほしいという要望が
非常に多く寄せられてきました。
そこで様々な大会の状況も視察をしながら
そして2018年大阪で開催されました
全国ロアシャ大会という
全国の仲間が1年に1回集まる大きな大会があるのですが
そこでデフリンピック日本で開催を求める特別決議が
提案され大会で採択されました。
その決議に応えるために本格的に取り組むということで
デフリンピック準備室を開設して以降
様々な招致活動に取り組んできたということになります。
東京オリンピック・パラリンピックでは大会のレガシーとして
例えば多様性と調和という理念もありました。
レガシーの継承や発展をデフリンピックでも踏襲しよう
という意義と申しますが、基本的な考え方としては
2020年の東京オリンピック・パラリンピックのレガシーを
受け継いで発展させるということが考えとして持っています。
まず1つ目が2020年の東京大会は
全国各地に心のバリアフリーとか
建物のバリアフリー、交通バリアフリーといったものが進みました。
その流れやムーブメントを
ぜひ2025年のデフリンピック大会で発展させたいと考えています。
共生社会の実現に向けて
さらにそれを前進させたいということになります。
2点目が競技施設についてです。
競技施設だと1964年の1回目の東京オリンピック・パラリンピックや
競技施設を3年間作っています。
09:00
それがまだ残っています。
それをぜひ活用して大会を運営したいと思っています。
そして3点目が2020年オリパラ大会で積み重ねた
ノウハウ、またボランティアの皆様の経験、
その皆様の力を2025年のデフリンピック大会で活かして
まさしくレガシーの活用という形になります。
今年のブラジル大会には
日本から約150人の選手団が参加されたということで
日本勢は金メダル12個、銀メダル8個、銅メダル10個を獲得されました。
金メダル数は過去最多と伺っています。
競技にもよるとは思いますが
デフリンピックの日本選手団の総務として
2回大会に同行しております。
1回目は2017年トルコで開催された大会、
そして2回目がこの前の5月のブラジルの大会になります。
2017年のトルコ大会の際は
日本のメダル数は総獲得数が世界全体の第6位だったんですね。
総獲得数も日本の中では過去最高の獲得数となりました。
そういった意味で競技力は世界と比べても引き劣らないレベルも
上がってきていると思っています。
日本での過去の調査では
パラリンピックに比べてデフリンピックの認知度はあまり高くなかったと伺っています。
この背景には何があるのでしょうか。
背景としては2つあると思います。
1点目が今まで日本でデフリンピックを開催したことがなかったことが第一です。
ですがヨーロッパの場合ですと
1回目はフランスで開催されたという話もありましたが
それ以降何度もヨーロッパ各地でデフリンピックの大会が開催されています。
ヨーロッパでのデフリンピックの認知度は
1回目ぐらい高いです。
ですので日本でデフリンピックを開催したことがないということが背景の大きな1つにあると思います。
そして2点目はコミュニケーションの問題があると思っています。
今皆さんお聞きいただいている通り
クラノが表出している手話を手話通訳が読み取って
皆さんにお伝えしているという状況になります。
デフリンピック等のさまざまなPRアピールをしようと思っても
12:00
以前は例えばソーシャルネットワークサービス
SNSとかインターネットもまだ普及していなかった頃は
発信力が非常に弱かったのですが
最近SNSが非常に普及してきたり
インターネットも普及して少しですけれどもデフリンピックの知名度は
非常に低くなっています。またコミュニケーションの壁というのは
やはりまだ大きく残っているということになります。
手話をお使いになる方、それから唇の動きをお読みになる方
聴覚の障害を持たれた方もいろいろお話しする手段のタイプが異なると思うのですが
選手の皆さんはいかがでしょうか。
選手の中でもコミュニケーションはさまざまでして
手話ができない選手もいます。
そもそも聴覚障害者の数というのは
今34万人という風に統計が出ているのですが
厚生労働省の統計の調査ですが
その中で手話を使ってコミュニケーションを取る人というのは
はっきりとしたデータというものはないのですが
手話を覚える、聴こえない子どもが手話を身につける場所というのが
聴こえない子どもが集まる老学校というところがほとんどです。
ですが、例えばそうではなくて聴こえる人と同じ地域の学校に通っている人たちは
周りの友達はみんな聴こえる子ども
手話を覚えるきっかけもないというような状態になります。
そのために手話ができる選手、手話ができない選手
というのは選手の中でも様々になります。
例えばチーム競技、団体競技ということになりますと
聴こえない選手同士で簡単な手話、サイン、ミブリを教え合って
そういった形でコミュニケーションを独自の方法で取っているチームもあります。
クラノさんご自身は
レフリンピックの実施競技をなさっていたご経験はありますか?
先ほど申し上げた地域の学校に小学校から高校まで通っていました。
その時は手話もできなかったのですが
その際に中学校、高校ではバレー部に所属してバレーをしていました。
もちろんレフリンピックの中にもバレー競技が含まれています。
私の時は中学、高校の際はバレー部の顧問の先生や
監督などの指導者が
レフリンピック・バレーボール協会があるといった情報を
15:00
一度も教えてくれたことがなかったので
聞こえる指導者がそもそもレフリンピック・スポーツのことを知らない。
私たちの課題として考えているのですが
聞こえない子どもに対する地域の聞こえる方の指導者
スポーツをしている子どもに対する指導している側
その指導者の皆さまに
レフリンピックというものがあるということを知っていただきたい。
そのための2025年のレフリンピックの開催の意義も非常に大きいと思っています。
そういう意味では、2025年の開催準備、それから大会の実施を通じて
耳の不自由なお子さまたちがもっとスポーツに可能性を見出す
そういう機会になるといいですよね。
私たちが考えているのは、2025年のレフリンピックの
そのレガシーを残すというのも一つです。
レフリンピックを開催しました。それで終わりということでは決してなく
その次にそのレガシーを日本の中のレフスポーツの発展
聞こえない選手が増える。聞こえない子どもたちがレフスポーツの選手になる
ということを目指すというのが増えるというのが大きな目標でもあります。
レフリンピック準備室におられるということですけれども
開催に向けた準備として具体的にはこれからどのようなお仕事をなさっていくのでしょうか。
レフリンピック開催に向けて今やっていることと申しますと
大会の内容ですね。例えばさまざまあります競技の運営ですとか
また組織委員会をどうするか、設けるのか
また選手の宿泊とか輸送をどうするのか
そういった計画を今策定をしているというところになります。
今東京都との協力をいただきながら
またその他JOC、日本オリンピック委員会さんですとか
こういう競技の団体の皆様にご協力をいただきながら
さまざまな計画を練っている。話し合いも行っているというところです。
レフリンピックを東京都で開くことによって
日本の社会をどういうふうに変えていきたいと願っているのでしょうか。
そうですね。一番の願いと申しますか
一番の思いは強制社会の実現に向けてさらなる一歩を踏み出す
それを皆さんに見せるという大会にしたいというのが
一番の思いになります。それはレフリンピックですとか
あとはもう一つ珍しいものがありまして
それはステージがあるんですね。一つ目が大会運営
18:00
二つ目が競技の運営
三つ目が地域ということになります
それぞれの3つのステージが、例えば大会運営だと
今、全日本ローア連盟が聞こえない当事者団体が主体となって動いていますけれども
だからといって私たちだけが何でもやれるという
わけではありません。例えば東京都
聞こえる競技団体、さまざまな聞こえる人たちのお力を借りる
いただくということ。そして大会運営を成功させなければならないということです
聞こえない人と聞こえる人が一緒になって
大会運営に取り組むということが非常に大事なんですね
一方、競技運営の方でも、例えば審判員の皆様ですとか
21ある競技の中でも、たくさんの審判員の数を
費用する大会になりますので、当然聞こえる競技団体の皆様の
ご協力もいただきながら、例えば審判員を派遣していただいたり
そういった協力をいただく、また世界及び日本の審判の資格を持っている
聞こえない審判の人もたくさんいるんですね
その聞こえない審判員と聞こえる審判員を結びつけて
大会運営をする、一緒に大会運営をするということですね
それが聞こえる人と聞こえない人との共生社会の取り組みです
また地域、第三のステージの地域の部分ですけれども
2020東京オリパラはたくさんのボランティアが参加をしていただきました
ただボランティアといっても、障害のない人が障害のある人を支える
というようなイメージがボランティアというのは強いかもしれません
2020年のデフリンピックでは、聞こえない人、当事者がボランティアをたくさんしていただける
もちろん聞こえる人もボランティアをしていただく
聞こえないボランティアと聞こえるボランティア、一緒になって大会に取り組む
大会を支援していただく、この3つのステージが合わさって
それぞれ全てのステージで聞こえる人と聞こえない人が一緒に取り組むというのは
本当に障害のある人とない人も一緒に取り組みをするという
そういったものを一つを作っていくということですね
それこそが共生社会の実現の一つと見せられるのかなと思います
ぜひ皆さんに見ていただきたい、考えていただきたい
日本を変えていきたいと思っています
日本では2020年の東京オリンピック、パラリンピックもそうですが
19年にはラグビーのワールドカップも行われました
大きなスポーツのビッグイベントでは目白押しで
21:00
これからも続いていくと思いますが
今後、倉野さんがお気になっている皆さまにお伝えしたいことは何かありますでしょうか
オリンピックといいますのは、聞こえない人または聞こえない選手だけの大会という風に
思ってほしくないというのがまず1のメッセージになります
先ほどおっしゃっていただいたラグビーのワールドカップですとか
国民皆さんに関心を持っていただいて、皆さんに応援していただいた大会となったと思うんですね
ですので、2025年のデフリンピックでも
その流れを引き継いでいただいて、ぜひとも国民の皆さまに
全てに関心を持って、皆さまに応援をしていただいて
それをきっかけに自分の地域の社会の変えるヒントにしていただきたいというのがあるんですね
2025年の次はもしかしたら
2030年札幌の冬季パラリンピック、オリンピックパラリンピックにも
つながるのかもしれません
やはり日本で国際スポーツ大会というのが目白押しという風におっしゃっていただきました
それが続くような流れの1つにデフリンピックがあるので
ぜひとも自分のこととして応援をしていただければなという風に思います
はい、わかりました。デフリンピックの開催はもう3年後です
日本の社会がどう変わっていくのか追い続けたいと思います
アスリートの皆さんの活躍にも注目しながら東京デフリンピックを楽しみにしたいと思います
今日は倉野さんありがとうございました
ありがとうございました
オフラインでも楽しめます
歩きながら、運転しながら、地下鉄でも大丈夫
ぜひフォローをお願いします
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