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2022-08-22 22:03

「ウクライナはファシスト」モスクワ市民が信じるロシアの正義 ~産経新聞記者の出張報告

ウクライナ侵略を仕掛けるロシア。世界から非難を集めるロシアだが、ロシア側からウクライナの見方はまったく異なる。5月~6月にかけてロシア・モスクワに飛び、現地取材した産経新聞元モスクワ特派員で現在、大阪経済部の黒川信雄記者が伝えます。

【聞き手】安本寿久(産経新聞大阪本社・編集委員)

                                      

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改めまして、今晩のゲストも、産経新聞経済部の黒川信夫記者です。黒川さん、今晩もよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今晩は、少し対極的なお話から伺ってみようと思います。今回のウクライナ侵略は、ロシア側から仕掛けているというのが、僕たちの普通の見方ですね。
ですから、善悪で言えば、ロシアにとって悪の戦争をやっているということになるわけですが、当のロシア公民たちは、この戦争をどんな目で見ているのかというところから伺ってみたいと思います。
はい。実はですね、かなりの数の人たちは、ロシアが悪いとは思っていません。逆に、ウクライナが悪い。ウクライナはファシストだと思って、この戦争を見ています。
なるほどね。そう思わせる何か理由が当然あるわけですね。客観的に国民たちは、事実を知れていないということになるんでしょうか。
はい。これはですね、2014年という年を思い出すなではなりません。2014年の3月に何が起きたかというと、あのウクライナ南部、クリミア半島をロシアが併合したという事件が起きました。
そして、その併合されたクリミアとはまた離れた場所で、実は非常に深刻な紛争が始まりました。それは今、ドンバスと呼ばれるウクライナ東部の地域です。
こちらの地域でですね、当時ロシア軍の支援を受けたと見られる、いわゆる現地の武装勢力なるものが、戦闘をウクライナ軍に対して始めて、地域を占領し始めた。それに対してウクライナが応戦をして、非常に厳しい紛争状態に陥りました。
そこで何が起きていたのかというところなんですけども、我々から見ればこれは当然ロシアが仕掛けた非常に他国を侵入した。
ウクライナの領土を奪おうとしているわけですもんね。
ですけれども、ロシア国内ではそういった認識を徹底的に排除していったんですね。つまりあれはウクライナのロシアにシンパの人たちが立ち上がったんだと。
ウクライナという国にもう我慢ならんということで立ち上がった。それをロシア側は支援していたというような構図であったと思うんですけども。
問題はその紛争というのはあまり大きく注目されませんでした。だけれどもずっとそこから8年間紛争状態が続いていて、これ国連の統計でも民間人だけでやっぱり4000人ぐらいの方が亡くなっていらっしゃるわけですね。
我々から見ればこれはウクライナという国の領土であって、そこにロシア側が何がしかの支援をしていわゆる地域を占領するなんていうことはあってはならぬことだという認識なわけなんですけども、彼らの中ではそうではない。
03:15
つまりそこでウクライナ軍による虐殺が行われていたんだと。真逆の捉え方をこれは言ってみればプロパガンダでして、それが今ことさらにクローズアップされてですね、8年間耐えに耐えてきたウクライナ東部のドンバスの住民を救うためにプーチン大統領はついに立ち上がったんだ。
という構図が彼らの頭には合います。
ウクライナだけでの一種内戦だったところに一方的に虐殺されているので、ロシア軍が助けに来ると。こういう簡単に言えば構図で真似させているわけですね。
これはもう当然ながらテレビとかマスコミで全部そういった流れ方をしてるんだと思いますが、先日もちょっと聞きましたけども、一般の市民の方々はそれをもうそのまま鵜呑みにしてるんですか。
していました。そのような捉え方をされていました。これはやっぱり8年という時間があったと思うんですよね。8年間クリミア侵攻以来やっぱりロシアの国営テレビの放送等は非常にウクライナはナチスである、ファシストであるというような報道に注力していましたから、
それがずっと言ってみればのまなしにされてしまっていて、彼らの中ではそれが当たり前というような構図ができてしまっていた。その中で起きたこの紛争だから、今さらロシアが悪いというような捉え方を彼らはもうできなくなってしまっているというのが現実だと思います。
この辺りはマスコミとか報道に接する者の心の持ち方の問題かなりあるような気がしますね。同じものをずっと受け続けていくと、それに疑問を挟む余地さえなくなってくるという一種心理学的な効果が出ているような気がしますね。
そうですね。
なるほど。となると非常に僕たちも気をつけなきゃいけないということもあるかもしれませんが、ただ一般には僕たちの世界でインターネットというものがあるので、それによっていろんな情報を得るということができると思うんですが、先日もちょっと伺いましたけども、そういったものがまで遮断されているのが今のモスクワの状況なんですね。
はい。遮断されつつまた流れるものはそういったプロパガンダに染まった内容というような、そういう情報にほとんどの方が触れているのではないかなと感じます。
06:00
いろいろ報道があったように、今回のオフライナーの侵略が始まってから、フェイスブックだ、ツイッターだ、様々ないわゆるSNSが遮断されて情報のソースがなくなっていって、それでも残っていた情報源、例えばYouTubeなんかは今でも見られるわけなんですけども、これもやっぱり厳しいなと思ったのは、
私、道端であるおばあさんに、この動画を見なさいと言って渡されたんですね。スマホを渡されました。そこはですね、YouTubeだったんですけども、そこではロシア側が完全に正しいというような趣旨の内容の放送だったんですね。
これは国営テレビに準じた内容の放送だったんですけども、結局ですね、そもそも海外の情報に多くの方々は触れないし、触れたくもないし、触れようとも思っていない。そもそも信じようとしていないという前提があるので、結局そういうプロパガンダの情報に自分から触れようとしてしまっている。
そんなインターネット空間が彼らの周りに勝手に出来上がってしまっているという、非常にこれは厳しい状況がありました。
その後、もう一つ僕が気になるのは、経済政策に伴って西側の企業とか駐在員とか、あるいはその家族とかという人たちはどんどん引き上げていっているわけですね。となると、本当のロシア人ばかりというような状態、どんどん近づいていく。
そうすると、人から人に話という形で接する情報も限られてくるわけですよね。そういったことも考えると、この経済というか情報のあり地獄のようなものは、なかなか抜け出せない状況の中にモスカワの市民の方たちが入ってしまっていると、こういう感じなんでしょうね。
厳しいですけど、全くその通りだと思います。
なるほど、わかりました。となると、少なくとも西側の人間にできることというのも考えてみたいですし、同時に在日モスクワの日本企業とか海外企業というのは、全くいなくなったのかどうかというところも知りたいところなんですね。そのあたり少し教えてもらえますか。
報道の通り、非常に多くの企業が撤退、またビジネスを辞めてしまったというのは事実です。日本の企業の方々も、だいたい駐在員の方、ご家族とか連れて現地に入っているわけなんですけども、当然すぐに子供や奥さんであったりご家族は返して、ご本人が残っている。
ご本人が残っていてもやっぱりその状況が悪くなったことを踏まえてご本人も帰国して、残っているのはいわゆる現地のスタッフのみというような状況が非常に多いです。
09:09
これは当然ヨーロッパや他の国の企業もそうなんですけども、ただちょっとここは残念かなと思うのは、言われたのはヨーロッパは意外と人を残している。それはいつかどこかの局面でまた大炉ビジネスが再開されるであろうということを念頭に置いている動きであろうというようなことを現地では言われました。
それはミスメッセージではないですか。いずれ西側から情報をしてくるだろうという一つの兆候になるんじゃないかなという気がするんですが、その心配はあるでしょうね。
大いにあると思います。
なるほど。一方で、こういった企業に対するプンチンさんのいわゆる報復措置というのが一時ニュースになりました。平たく言うと企業全部接種してしまうぞと、ロシアのものにしてしまうぞということを言ってたわけですが、実際にこのやり方というのは進められているようですか。
はい。直接的な、まだ法律も十分に成立していない部分もありますので、やれていないところはあるんですけども、例えばフランスのルノーという会社が自動車会社がありました。
そちらはロシアの大手自動車会社、アフトバズというところの株式の過半数を持っていたわけなんですけども、報道によればそれをわずか1ルーブル、これ2円ですね。
で売却をしたというふうに言われています。その売却相手というのはロシアの公営の機関であるというふうに伝えられています。これは非常に接種ではないですけども、ただやっぱり事実上排除された。
またルノー側も当然自分から去っていたというところはあると思うんですけども、これは外部の目ですけどもね、私どもの目から見ると、それに近いような状況ではなかったのかなと感じる部分はあります。
裏ざるを得なかったでしょうね。それは2円というお金で自動車会社そのままを渡すということはあり得ないわけですから、奪われたに近いということだと思います。これがロシア側がやっている経済政策に対する報復だと思うんですが、一方で日本も結構ロシアには投資もしているわけですね。
日本側もこれから帰り地も浴びなきゃいけないということもあるだろうと思います。その一番の例としてよく挙げられるのはサーリンツーですね。日本にとっては非常に大切な天然ガス、それを安定供給するために投資していたわけですが、これがどうなのかというところは日本人としてはやはり気にせざるを得ないところだと思いますので、後半はその辺りを伺いますか。
12:26
はい、後半です。引き続き産経新聞経済部の黒川信夫記者に聞きます。後半はサーリンツーに絞って伺おうと思います。天然ガスの安定供給のために日本の主に商社が出資をしていて稼働させていた部分もあるということなんですが、今、ロシア側はこれに対してどういう態度をとっているというのが最新のところでしょうか。
はい、報道にあった通りですね、サーリンツーに関してはロシア側が作る新しい企業にその権益を移す。その新しい企業には日本企業も外国の企業も株主になれるということなんですけども、ただそれはロシア側が提示するであろう条件を飲む場合というような形になっています。
なるほど。となると、その条件を飲まない場合は、今までの投資はパーだよと言っているに等しいような一種脅しですね、これは。
そのように読めると思います。
日本にとってはこのサーリンツーも含めて、やはり北方領土も含めて、あの部分ですね、あの箇所が非常にロシア側にギュッと握られていて弱みになっているということがあって、北方領土に関してもほとんどこれでも進展しないという状況を飲まざるを得ないわけですよね。この辺りはロシア側としてはカードとして非常に有効に使えるなと思っていると思いますか。
領土問題というのはまた非常に大きな話ですので、ただ今回やっぱりここまで行ってしまったということでですね、事実上交渉自体が今もう完全にストップしてしまっている状態です。
一方でその現実的な利益としてやはりサーリンツー、サーリン1のこの権益というのは日本側と様々な交渉をする上での重要なカードだと認識していると思います。
なるほどね。じゃあここで日本側の情報も引き出してくるというアプローチがあるかもしれないわけですね。これ平たく言うと西側の諸国の足並みを乱させる、それのために日本が一番弱いと見られているかもしれないわけですよね。
まさにそうだと思います。
これに関して日本はどうしたらいいんでしょうか。これに関して僕は思うのは、例えばドイツなんかはエネルギーのそれこそ10%、6割ぐらいをロシアに握られているわけですよね。
15:07
それを全くゼロにすることに向けて今いろんなことをしているということですから、相当な会議地でも各国の上でウクライナ支援あるいはロシア制裁に動いているということだと思うんですが、
日本はここまでやるべきかあるいはやれるかというところを黒岡さんの意見を伺ってみたいんですが。
ドイツがどこまで本当にロシアとの関係を見直しているのかというのはまたちょっとそれも疑問がある部分と思うんですけども、今回日本はそういった状況ではあるけども権益は維持するという姿勢を示しました。
これは言ってみればロシア側と交渉の余地があるという風に見せている部分だと思うんですけども、これは良いとも悪いとも両方の側面があるとは思います。
悪いというのは言ってみればロシアからのエネルギーを買い続けるという姿勢を鮮明に示したというところが一つあるわけなんですけども、
ただ一方でじゃあその権益を手放してしまったらじゃあ誰が買うのと考えたときにやっぱり他に欲しい人がいるわけですね。
結局そこに売られてしまえばロシアとすればお金に色はありませんからどこから入るほうがそれは関係ないというようなところだと思います。
非常に厳しい立場でもあるということなんですが、今後ですねこのウクライナ情勢が今のままで後着長期化ということになると、
さらに経済制裁の強化という声が西側諸国から上がってくると思うんですが、どんなことをこれからするべきかできるのかといったこともちょっと教えてもらえますか。
新しい手段というのは限られていると思うんですけども、一つやっぱり重要なのは今やっていることを着実に続けることではないかなと思っています。
というのは私、制裁というのは非常に効いていると見ています。
特に製造業の分野においては、例えば日本においてはものすごい幅広い分野の技術であったり部品であったり機械であったりの輸出を止めるという制裁を下しました。
それはいろんな国々から今受けているわけなんですが、これ先日報道があったところで非常に象徴的だったのは、今申し上げたアフトバーズというロシアの自動車大手が今度車の生産を再開をしたと。
18:03
ただその車にはいわゆるエアバッグがついていない。ABSという揺れを止める装置もついていないということなんですね。
これは何でかというと要するにそういった技術が入ってこないからなわけです。
一般のロシアの方には申し訳ないですけども、やっぱりロシアが持っていない製造業等の分野において欧米や日本が協力をしないというのは確実に打撃を与えます。
またさっきサハリン2の話ありましたけども、こちらもいわゆるシェルとかエクソンですとかそういったメジャーと呼ばれる石油企業が撤退をする方針をすでに表明をしました。
これは何を意味しているのかと言いますと、いわゆる非常に厳しい環境、海底の掘削をする技術がロシアに入らなくなってくるということを意味するんですね。
これは実は長い目で見ると大変な打撃でして、ロシアというのは西シベリアの地上の油田が昔は主でした。
だけどこれはもう枯渇してきてしまっていて、いわゆる東シベリア、もしくはサハリン、北極圏といったいわゆる環境の非常に厳しいエリアの原油を掘削しなくてはならないんです。
そのためにはやっぱり欧米、特に国際企業の力というのは必須でして、それが入らなくなるということはしばらくは石油の生産というのはある程度はできるけれども、いずれ絞んでいく。
非常に負荷逆性の高いカードをロシアとしては切られてしまったというのが現実だと思います。
エネルギー大国と一言で僕たち言ってしまいますけども、そのエネルギー大国も首都側向けば非常に脆弱なものだと、それを支えるためには西側の技術は必ず必要なんだよと。
そういったことになってるんでしょうね。そのあたりを僕たちはしっかりと認識しておく必要があるでしょうね。
なんとなく普通の報道だけ見てますと、ロシアはエネルギーがたくさん持ってるし、食べ物も困っていないので、多少制裁してて効果ないんだよということなんですが、そういった深部まで見ていくと、結構痛がってるところがあるなということが実感できるような気がしますね。
プーチン大統領が制裁は効いていない、苦しんでるのは欧米側だというように、小裸に言っていますけども、逆に言うとそうやってアピールをしなくてはならないほど制裁というのは効いているという見方をしてもいいかと思います。
21:00
そのあたり、国際政治の非常に厳しいところ、あるいはシビアなところ、経済制裁に関するニュースというのは僕たちに教えてくれてるというのがかもしれないですね。そこのところまでしっかりと見極め、あるいは聞き分けたいものですね。
わかりました。今晩も非常に貴重な情報、あるいは物の見方を教えてもらったような気がします。どうも黒川さん、ありがとうございました。
ありがとうございました。
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