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2022-08-15 22:28

日本製の10円ガムが5個セットで2000円! ウクライナ進行中の露・モスクワ出張/平和な空気と高騰する物価

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ウクライナ侵攻を仕掛け続けるロシア。
5月~6月にかけてロシア・モスクワに飛び、現地取材した産経新聞・元モスクワ特派員の大阪経済部・黒川信雄記者がロシアの状況をレポートします。

【聞き手】安本寿久(産経新聞大阪本社・編集委員)

                                      

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00:00
改めまして、今晩のゲストは、産経新聞経済部の黒川信夫記者です。黒川さん、こんばんは。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
ロシア出張から帰ってきたばかりということで、非常にホットな国に行ったばかりだなということを思うんですが、このロシア出張、いつどこへ行ったか、あるいは何を取材したか、簡単に概略を教えてもらえますか。
はい。今回はですね、5月の下旬から6月の上旬まで、約10日間、モスクワに行きました。
モスクワではですね、現地の人々の声をとにかく多く拾って、いわゆる戦争をしている最中のこの国がどんな状況なのか、みんな何を考えているのか、どういう方向に向かうのか、そんなことを今回は取材してまいりました。
なるほど。今、ロシアは日本を非友好国ということにしてるわけですね。そこからの記者ということで、ロシア側の取材の態と言いますか、反応と言いますか、そういったものはやはり冷たいものがあったんでしょうか。
そうですね。もちろん様々嫌がらせのようなものはなくはないものだったんですけど、ただ一般の人たちはそれどころではない。今の状況がそもそも何が起きているのか分かっていないというところもあってですね。
日本の記者に私がどんどん街中で声をかけしても困惑してしまったり、もしくは自分のことをつらつらと話してみたり、またはプルチン政権が言うようなプロパガンダ丸出しのことをこわだかに叫ぶ人もいたりと。反応は本当に様々でした。
一般に日本で言われているのは、国営放送なんかを見ている限りにおいては、ロシア側の良いところと言いますか、ロシア側に利があるんだということばかりを言っていて、ウクライナは悪者ということになっているんですが、実際にやはりそういう放送がほとんどで、それに接している人がほとんどなんでしょうか。
はい。そういった放送が通っていて、またそれに触れている方も非常に多くいます。ただ一方で、一部はインターネットを使ってそうではない情報に触れている人もいます。
それはVPNという規制をかいくぐるような手段を使ってみるんですけども、それはただやっぱり非常に限られた若い方々であろうなと。また、年配者であってもテレビを仮に見ないような人々であっても、結局インターネットを介してそういったプロパガンダに触れているという非常に厳しい状況がありました。
03:07
なるほどね。インターネットでもやはりロシア政府の思惑通りのものが結構流れているということですね。
その通りです。
なるほど。そういう状況の中で、僕は国民としてどう思うかというところで非常に興味があるのは、実際に誰かが戦争に行っているわけですね、ロシアの国民にとっても行っているわけです。あるいは息子さんが行っている、あるいは兄弟が行っているかもしれないわけですが、そういった戦場に自分たちの家族を送り込んでいるというようなケースというのは多かったんでしょうか、少なかったんでしょうか。
モスクワで私が聞いた人々の間でそういう方は実は一人もいませんでした。
一人もいない。
というのは、報じられているように、今戦地に向かっている方々というのはほとんどがいわゆる地方、いわゆる南部の昔戦争が、チェシン紛争とかありましたけども、ああいった戦争があった地域であったり、もしくはシベリアの極地の少数民族の方々。
若いけどもお金がない、仕事がないという中で軍に入って知らず知らずと戦地に送られてしまっていたという方が非常に多いんですね。
ですから、モスクワでは表紙抜けするぐらい平和な空気があったのも事実です。
非常に巧妙な国内政策が行われているという感じですね。一種国民を分断しているという感じがしますが、こういった体質というのはもともとロシアにあったというふうに黒岡さんはお考えですか。
この戦時下でそういった体制が急遽取られたというふうに見たほうがいいんでしょうか。
これはもう歴史的なものだと言っていいぐらい、そういう昔からの体質だと思います。
やっぱりロシアって国土がものすごい広いですから、ウラジオストックとモスクワの間っていうのは日本とインドネシアぐらい距離があるわけですね。
つまりもう全くそこで何が起きているのかわからないというぐらいやっぱり人々の関係が希薄なんですよね。
だから仮にそういう地方の人が戦地に送られて亡くなっていたりしたとしても、やはりモスクワではその痛みは感じない。
それは非常に意図的に行われているなという感覚もありましたけども、遠くで起きていることに関して感じることができない、また感じさせないというような体制が取られているなと思いました。
06:00
となると、戦争だけに限っていると、モスクワだけ見ていてはなかなか全体像が見えないというきちいとした構造ができているような気がしますね。
なるほど。となると、交戦国だなという感じがなかった中で取材を続けるということになるわけですが、ここのところたくさん聞きたいんですけども、モスクワの街中、例えば商店ですね。
それが開いている、あるいは商品が多い、あるいはよく言われるのは例えばマクドナルドが撤退していったのでそういった店がなくなる、外資系がなくなるといったことなんですが。
こういったものは目に見えて、ここのところが変わったんじゃないかなという部分は結構ありましたか。
それほどなかったというのが正直な思いです。
というのは、お店は普通にスーパーでも小さな店舗でも経営していますし、ホテルもやっている、レストランもやっている、バーもやっている、劇場もやっているということで、
パッと見、先ほどちょっと言ったように表紙に消すぐらい普通の光景が広がっています。
ただ、よく見ると違いが分かってきます。
というのはやっぱり値段です。
例えば、私2017年まで実はモスクワに赴任していたんですけども、その頃と比較すると明らかにそのものの値段が大幅に上がっているんですね。
生活用品もそうなんですけども、特に輸入品、家電、そういったものはびっくりするような。
例えば日本で10円で売られている風船ガムが実はある高級スーパーで売ってるんですけども、5個で2000円ぐらいでした。
10円が2000円、50円のはずのものですね、だいたい。
なるほど。それぐらいグッと輸入品が上がっているということなんですね。
そうですね。
他に、例えば日常的に買い物する分にはまだ市民生活への影響が出ていないようですか。
ものの値段が上がって3割値段が上がっているという感覚でいただければいいかと思います。
ただ3割って微妙ですよね。痛みを感じるったら感じますけども、何とかやりくりをしてみんな我慢して生きているというような、そんな状況だと思います。
なるほどね。それに対する不満の声っていうのはどうなんですか。
言えないけどあります。
言えないけどある。あるけど言えない。
聞き込むとですね、やっぱりついこないなまで行っていた普通のスーパーが、今や高級店になってしまった。安い店を見つけるのにもうひと苦労ですというような女性のお話とかはありました。
09:13
ですけど、それはまだそこまでですよね。
これが2倍3倍になるともう生活できないということになるんでしょうが、そこまでないので愚痴のレベルで留まっているという感じですかね。
もう一つ、市民生活でいわゆる監視でしゃべれないというところは黒川さん取材して感じた部分はありますか。
感じました。それは、やっぱり小和中に行ったら危険だからっていうご発言も当然ありました。
いつどこで誰が何を聞いているかわからないという不安感ですよね。
もちろんそこに誰かが立っているわけではないんですけども。
ただやっぱりどんどん先の見えない状況に彼らは今置かれているので、とにかく今は静かにしておこうというような、特に若い人はそういう姿勢が目立ちました。
2017年に駐在していたということなんですが、まだプーチンさんがまともな頃は共産主義からロシアは変わっているわけですから、なんとなく西側に近くなるんじゃないかなと思われた時代があって、ここに来て全く昔同時だな、昔と全然変わっていないんじゃないかというのが僕たちのロシア感になっているんですが、黒川さん自身が2017年はどういう雰囲気を感じていました。
2017年の頃はおっしゃる通り、まだうまくいっている、やりのけている、そういう感覚がありました。
それは2014年のクリミア併合というのがあったかと思うんですけども、それによって政権の支持率が跳ね上がって、そんな跳ね上がって余波がまだまだある。非常に言ってみれば快活に欧米をぶった切るようなプーチン大統領の手腕というのがそこらかしこに見えていた。
そんな時代だったと思います。
そうですね。やっぱりあっという間にけりをつける考えであったであろうこの戦争がもうすでに5ヶ月近く経ってしまっているわけですから、やっぱり国民はみんな何かおかしいと、これはただ事ではないと。
12:16
インターネットからもやっぱりいろんな情報が漏れきいてくる。これは嘘だと、ファシズムだと言ってのける人はいますけども、ただやっぱり目の前にあるものはあるので、それに対してどう言っていいかわからない、そこ知れぬ不安が人々の心にはあると思います。
なるほどね。わかりました。後半はもう少し市民生活、例えば仕事をどうしてるとか、街中の移動をどうしてるとか、そういったことも聞こうと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
はい、後半です。引き続き、産経新聞経済部の黒川記者に、モスクワで見てきたことということでいろいろお話伺うと思います。
前半は商店とか消費の状況から、モスクワの人たちどういう生活をしているのかという話を伺いましたが、ここではまず企業とか仕事とか、そういった面で変化が現れているのかどうかという話を伺いたいと思いますが、普通の勤め人の人たちはどういう生活を送っていたでしょうか。
はい、これは厳しいものがありました。私の友人の間でも少なからぬ人が失業していました。航空機のパイロットであれば飛行機がもう制裁で海外に飛ばなくなって失職してみたり、例えばこういう話がありました。
ロシアというのはタクシーの運転手さんがですね、主にいわゆる移民の方々がやってらっしゃる、中央アジアからですね、出荷席に来られている方々。そこにですね、これタジキスタンの方から聞いたんですけど、今大量にロシアの方が入ってきていると。つまりそのある方はついこの間まで会社の役員をやっていた方が仕事を失ってタクシーの運転手になられた。
もしくはいわゆる食品の食べ物の配達ですね、自転車で。ああいったような仕事に就かれている方が非常に増えているという話がありました。ですから、これから間違いなく厳しくなってくるのは失業問題だと思います。
なるほどね。その後西側諸国からの制裁は企業社会が非常に効果を発揮していて、その結果として職を失うモスクワの市民たちが増えている。市民たちが移民の仕事に流れ込んで、移民を今度は弾き出して、こういう構造が見られるわけですね。
なるほど。そういった意味では制裁は効果があるのかなということなんですが、こうなっていくと一つ僕は心配なのは治安が悪くなるんじゃないかなという気がするんですが、治安面で黒岡さん取材をしていて不安に覚えたりとか心配だなというような場面あるいは空気というものはあったでしょうか。
15:15
逆にこれはありませんでした。というのはロシアもしくは旧ソ連の独裁的な国々っていうのはやっぱり監視社会なんですね。つまり警察の面が非常によく行き届いています。だから下手なことはできない。騒ぐ人もいなければ、みんなお行儀よく生活をしなきゃいけないというのはわかっているので、
あまりそういった不安定な場面は遭遇はしてないです。
となると力で抑え込んでいるという感じですね。不満あるいは失業のどうやって生きていくかといったパワーみたいなものも抑えている感じがしますね。
そういった面では一つ伺いたいんですが、まだニュースの初期の頃には街頭で反対運動をして、日本でいうと機動隊ですかね、軍隊、ほぼ軍隊ですけども、それに連れて行かれるとか殴られるとかそういった場面が結構ニュースに流れていました。
あるいは国営放送のアナウンサーの後ろで、戦争反対だというものを紙で出して、放送が一時混乱したといった、いわゆる反対の運動もちょこちょこあったような印象を僕は持っているんですが、黒川さんが行ったときにはそういったものはどれぐらいあったのでしょうか。
全くありませんでした。
皆無ですか。
皆無でした。それはもう徹底的に鎮圧されてしまった後だったからだと思います。やっぱりですね、非常に怖いのは、ああいった反戦デモに参加をすると、例えば僕も以前2017年の取材のときとか経験あるんですが、上からドローンがずっと追ってるんですね。
やっぱり詳しい方に言わせると、全部顔と、場合によっては名前も把握されると。だから次にその人が何かをしようとしても、すぐにもう治安機関はわかってしまうというぐらい徹底をしています。
だから非常に最初、ものすごい力で抑え込んで、私も友人の方が反戦デモに参加したという理由で2週間留置状に入れられたという話を聞いたんですけども、やっぱりそういった目にあったが最後、私も社会から抹殺されますんで、皆もうそういうことはしない。
なるほどね。聞き死に勝る恐怖政治、あるいは警察国家という感じですね。このいった動きっていうのは、僕は2014年のクリミア併合からだと思うんですが、そのちょうど真ん中くらいの2017年に黒岡さん仲材してるわけですが、この流れって徐々に厳しくなってきたのだと思いますか。
18:18
あるいはウクライナとの戦いが始まったことによって急にここ数カ月で強められたものだと思いますか。どちらのほうの理解がいいでしょうか。
やはりこのウクライナの侵略をもって一気に悪化したのであろうなと思っています。
ただ、王帝ではロシアはウクライナを全面的に支配するという頭がおそらくあったんだと思います。ですから時を捉えて今回打って出たのだと思うんですけども、それは思い通りにはならずにずるずると今沼のような状況にはまり込んでるわけですね。
そこで社会不安が爆発するっていうことが政権としては一番怖いですから、それを今徹底的に抑え込んでいると。そんな絵だと思います。
プーチンさんの立場になってみれば非常な誤算だと思うんですね。クリミアン時には結構スムーズに行った。同じように今回行くのではないかと思ったけども、今回は全くウクライナ側の対応も違ったし、西側社会の対応も違ったということで、思わぬ長期戦に入ってるわけですよね。
その中で国民に不安を持たせない、あるいはそれを表面化させないためにコンクリートのような警備でガチガチに固めてるという感じがしますよね。
となると、今度は経済政策が続ければ続ければほどこの状態になってきて、モスカワ市民の不満がこの壁を壊すくらい大きくなるのかどうかといったところに興味があるんですが、これは来週詳しく聞こうと思うんですが、黒岡さんの勘論でどっちの方向に動くと思います。
一年、二年続くのか、あるいは二、三ヶ月でガラッと変わるのかといったところですが。
一年、二年ではなく三年、四年かかると僕は思ってます。やっぱり、それでもロシアっていう国は資源があって、食料があって、土地があってと、言ってみれば豊かな国なんですね。
また、こういった事態にも慣れているということもあって、国内で何とか需要を賄う、不満があればそれは排除するということができる体制、政治体制になってますから、となってくると、欧米や日本のように国民が不満を爆発させるという局面は極めて考えにくいと思います。
21:07
黒岡さんがおっしゃっているのは、エネルギーもあるし食料もあるので、空に困らない、あるいは寒さ、暑さで生活できないというような状態にはならないので、その中で不満がある程度だったら抑えられるとこういうことなんでしょうね。
わかりました。となると、今後僕たちが考えなきゃいけないのは、そうしたロシアをさらに変えるには何ができるのか、今の経済制裁だけではある程度限界が見えていることが今の話でよくわかりましたので、次どうすればいいかということを来週考えてみたいと思いますので、黒岡さん、来週も引き続き出ていただくようにお願いします。
こんばんは、ありがとうございました。
ありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。
お聞かせください。
22:28

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