-
-
スピーカー 1
で、これね、終焉写で実際に今人気のアニメらしい。
スピーカー 2
ん?え、何?桃太郎のおばあさんがマッチョなの?
そうそう。
マンガ太郎みたいな?
スピーカー 1
実際にあるんだよ、それ。俺びっくりして。
スピーカー 2
そうなの?
スピーカー 1
そうなんだ、マンガ太郎みたいな感じじゃん、ほんとに。
スピーカー 2
マンガ太郎か。
スピーカー 1
そう、だからこそ、謎に満ちてる部分が多いからこそ、彼女って小説とか映画、アニメとかにもなったりしてるんだよね。
今ね、まさにこれを放送してるときも、映画オオイオオイっていう映画が今上映中なんですよね。
スピーカー 2
へえ、そうなんだ。
スピーカー 1
そうそう、オオイの主演を演じてるのが長澤雅美さんです。
スピーカー 2
なんか、前にもなんかで出てきた気がするけどな。
スピーカー 1
あ、ほんとに?
いや、なんかこのオガ太郎との会話で。
あ、そう?
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ま、そんな風にちょっと、まあ今でも注目を浴びている方ですね。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
で、彼女、あの本名はね、あのまあ先ほども言いましたが、オエイっていうのが本名なんですね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
ただ、この人はそのオオイっていう、まあ画号、ペンネームの方がまあ有名かもしれないんだけども。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
なんでこのオオイになったかっていうと、北斎がね、初めのうちはその娘に用があればオエイってこう呼んでたんだけども、
そのうちまあめんどくさくなったのか、オオイオオイっていうだけになったらしいんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
それが、あの画号となったんでね。
スピーカー 2
おお。
スピーカー 1
で、あのまあオイたちはですね、あんまり記録がないからはっきりとしたことは言えないんだけども、葛飾北斎のまあ三女として生まれるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、生まれた年も不明なんだけども、まあおそらく1800年前後ぐらいじゃないかって言われてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、北斎は二度結婚していて、そこにね二男三女の子供がいたってされてるんだけども、オオイはその二番目に結婚した後妻のことの子供なんだよね。
うん。
で、彼女はその幼い頃から父の傍らで絵を学んだんじゃないかっていう風に言われてるんだよね。
うん。
作品がね、残っていて、これがね、大海原に穂掛け舟図っていうのがあって、
このね、絵は14歳の時の絵と言われていて、書名にね、エイジョヒツって、彼女の本名のエイという字が署名されてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、この絵ってね、海にたくさんの穂掛け舟が描かれていて、絵の手前に一番大きな穂が描かれていて、奥に行くに従って穂がこうだんだんと小さくなるっていう遠近法を使ってるんだよね。
うん。
そう、すでにこの時点で、あの、幼いながらも彼女は遠近法を使いこなしていたって言われてる。
で、北斎はね、あの、ちょっともしよかったら、この回を聞いた後でも聞く前でもいいんですけど、一回ね、私がちょっと北斎の回をやってるんで、あの、それを聞いていただけるとよりわかりやすく聞けるかなと思ってるんですが、
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
北斎もさ、西洋画の技法を熱心に研究した人で、自分の作品にも活かしてたんだよね。
うん。
おそらく彼女もその影響を受けて、西洋画の技術っていうのを取り入れてるって言われてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そんな彼女は、縁談の話があってね、絵師、南沢透明っていう方と結婚するんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
彼女はね、結婚生活の時に、絵師としては特段活動してる様子はないんだけれども、江戸時代にね、雛人形の代わりに流行した消し人形っていうのがあって、それを作る内職をしたっていう記録があるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、彼女は手先が器用だったから、結構あの、いい収入になったって言われてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、ただその結婚生活自体長く続かなかった。で、その理由が夫が絵師だから、彼の絵を見て下手だって笑ったために離縁されたっていう記録が残ってんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
北斎の絵を見てさ、育った彼女でさ、やっぱそれと比べて夫の絵を見た時にそう思ったのかもしれないけどね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
いや、すごいエピソードだなと思って。
スピーカー 2
まあ、どっちもどっちだなと思っちゃうけど。
スピーカー 1
そう。で、彼女ね、まあそれ以外にもその性格とか態度なんだけども、朝からこうタバコを吹かしたりとか、昼間から酒を飲むっていう結構ね、自由奔放な人なんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、家事はしないし、着飾ったり化粧もしない、まあズボラで男まさりな性格だったって言われてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
まさにまあ結婚生活には向いてないような人だったんだよね。
スピーカー 2
まあ当時なおさらだろうね。
スピーカー 1
そうそうそう。いや、なかなか珍しいよね。
スピーカー 2
うん。なんかあんまりそういう話って聞かないから、なんか新鮮っちゃ新鮮だけどね。
スピーカー 1
うん。で、結局それで北斎の元へ戻って、北斎もさ、あのすごい掃除とか洗濯とかもう一切しない人で有名で、あのゴミ屋敷にも住んでたんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
だから親子揃って、そのゴミ屋敷のような家でその後一緒に暮らすんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
二人ともさ、風呂も滅多に入らないし、年中もう家の中は白身とかのみにたかられてるような状態で絵を描いてたらしいんだよね。
うん。
で、家にゴミが溜まりすぎたらそのまま放置して、近所の空き家に移り住むっていう。
まあ北斎は有名です。あの生涯で93回ぐらい引っ越ししたんじゃないかって言われてるぐらい引っ越しをしてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、大井もその北斎について行って、まあ一緒に生活をしたんじゃないかって言われてる。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
大井がね、ずっと北斎の下で生活していく理由に、2回目の結婚した妻、琴がね、北斎が69歳の時に亡くなっちゃうんだよね。
うん。
だから父親の面倒見るためにもずっと一緒にいたんじゃないかって言われてるんだよね。
うん。
で、そんなね、父北斎とこの大井の関係性なんだけども、大井はね、その容姿がお世辞には美人とは言えないっていうような記録が残っていて、
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
顎がね、こう飛び出しているような容姿だったらしくて、
うん。
で、北斎はね、大井を顎顎って呼んでたんだって。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、それを言われて彼女は何代親父殿って返すことが多かったって言われてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
なんかもう顎の四角な女っていうふうにも記されてたり、なんかすごい関係性だよね。
スピーカー 2
まあでも、容姿はさ、少なくとも1回結婚できてるわけだから、もうまあ特徴が顎が出てただけで別にそれ以外はだったんじゃないのかな。
スピーカー 1
ああ、確かにね。
あの、まあ実際四角い顔だったらしくて、
うん。
なんかこれを持ってね、食パンマンか映画泥棒ぐらい四角いって言われてる。
スピーカー 2
え、でもあれじゃ、別に四角い顔は今でもいるからさ、まあそんなに珍しい感じじゃないけどね、まあ顎が出てるっていうのがどれぐらいかにもよるけどさ。
スピーカー 1
結構出てたらしい。
スピーカー 2
であれば、まあ顎が特徴的って言われるのはしょうがないんじゃないのかなと思うけど。
スピーカー 1
うん、まあただね、ギリ人情に熱いっていう評価もあるからね、あの実際会ってみたらまた全然違うのかもしれないけどね。
スピーカー 2
なんか男性的なんだろうね、なんかその性格からしてそういう感じなところは見受けられるね。
スピーカー 1
そうなんでね、それ今回の映画で長澤正美がまさにすごくうまく表現してるらしい。
スピーカー 2
いやだからもうその長澤正美がやってる時点で違ぇじゃんってなるじゃん、だからさ、俺そういうの好きじゃないんだよ本当に。
スピーカー 1
まあ。
スピーカー 2
だから違うやつ、顔が四角いんだったらまず四角いやつ選べよ、顎出てるやつ選べよって話じゃん、もう再現、ちゃんとその辺再現してさ。
いるじゃん、そういう人言わないけどさ、口では、あの名前では出さないけどいるじゃん、そういう人はちゃんと。
スピーカー 1
でもやっぱりそこは今の価値観が入り込むんだろうね。
スピーカー 2
まあ価値観というか、ほら、工業収入だなんだっていうところ入っちゃうからね。
スピーカー 1
そうそう、でもなんか本当に演技はね、北斎の演技してる人も含めて評価があったけど。
スピーカー 2
いやでも俺はもう長澤正美って聞いた時点で、もう今小片郎の話ともう全然一致しねえじゃんってなっちゃって。
スピーカー 1
あ、そう。で、彼女のね、絵の才能なんだけども、このね、絵の才能は冒頭でも言ったように、父をも凌ぐっていう部分があったんでね。
そう、これは北斎が冒頭で言った、美人画はお絵に及ばざるなりと語ってるように、美人画を描かせたら北斎よりもすごい優れてるっていう評価が高いんだよね。
その中、代表作がいくつかあるんだけども、これが最も有名かな、吉原孝司先の図っていうのがあるんだよね。
これはね、江戸の吉原の裕閣街の張り店の様子を描いた浮世絵なんだよね。
で、これ夜にね、あの優女が孝司付きの部屋で待機をしていて、客が外からその孝司の間から好みの優女を選ぶ様子を伺っているような、そんな絵なんだよね。
この絵のすごいところは、光と影が見事に描かれているっていう点なんだよね。
ちなみに、この絵知ってる?
スピーカー 2
いや、知らないと思う。
いや、分かんない。名前だけじゃピンときてないってだけ。
スピーカー 1
確かにね。
で、これ張り店の中は明るく描かれていて、その外に眺める客は暗がりの中いるっていうような構図で、
ただ、その暗闇の中でも大きさの異なる蝶珍の明かりが3つ辺りを照らしてるんだよね。
その光と影が、吉原の妖艶な世界観とか、これから始まる男女の濃密な深い夜っていうのを表してるんじゃないかとも言われてるんだよね。
で、張り店の孝司の一番手前に座っている優女がいるんだけども、なぜか真っ黒に描かれてるんだよね。
本来だったら、ちょっと光当たって色合い出してもいいんじゃないかってところを真っ黒に空いて描いてるってところで、
なんかこれは借金を背負って自由に外に出ることもできない、当時の優女の影の部分も表現してるんじゃないかって言われてるんだよね。
こんな彼女の作品、江戸のレンブラントって言われるぐらいこの陰影法が優れてるんだよね。
スピーカー 2
なんか俺今レンブラントって聞いて、やっとなんか俺が分かるところ出てきたぞってなったんだけど。
本当に?
レンブラントまで今この話1個も全然分かんねえなってずっと聞いてたからさ。
スピーカー 1
そうだよね。もしよかったら多分ね、1回絵見てから聞いた方がいいかもしれないけど。
スピーカー 2
レンブラントでやっとイメージがついた。
スピーカー 1
本当に?それは良かった。
彼女はやっぱり西洋画に見られるような陰影法を巧みに取り入れてるんだよね。
それでいて、ただ写実的に描いてるだけじゃなくて、その光と影がそこにいる人たちの内面とか背景まで描いてるように見て取れるんだよね。
この時代ここまで見事にこういった陰影表現をした浮世絵っていうのは珍しいんだよね。
ここでちょっと調べてて、日本画ってそれまでほとんどと言ってほど影を描いてこなかったんだって。
これはね、偽料がなかったからっていうより、意図的に影を描かなかったんじゃないかって言われてるんだよね。
スピーカー 2
へえ、そうなんだ。
スピーカー 1
うん。
で、このね、吉原孔子先の図っていう絵自体は昭和初期に雑誌に掲載をされて注目されるようになったんだけども、
日本が第二次世界大戦に入っていくから、この絵自体がね、その時に行方不明になっちゃうんだよね。
うん。
で、それがね、1982年になって再び発見されて注目を浴びて、近年また彼女の研究が進んで注目を浴びてるんだよね。
うん。
で、この絵にはね、通常作者を示す楽観、署名が押されてないんだよ。
うん。
で、よく見ると、3つの提灯に漢字が入っていて、それを繋げると、大井、えいって彼女の画号と本名の漢字が当てられてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そうそう。で、これはね、隠し楽観って言われていて、表向きには誰が描いたかわかんないんだけど、見る人にはわかるっていうようなやり方なんだよね。
うん。
で、これによって、この作者が北斎の娘、大井の作品っていうことがわかって、またさらに注目を浴びてるっていうところなんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
そう。で、次にね、夜桜美人図っていうのがあるんです。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
これはね、星空の下、若い女性がね、蝶鎮の光で短冊を描いてる場面なんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、これはね、さらにというか、もう光と影を見事に表現してるんだよね。
うん。
で、ここにもね、3種類の光源が描かれていて、1つ目がね、画面中央にある石道路の光、灯篭だね、石の光があって、そこにね、筆を走らせる女性の顔と手元、そして桜が照らされてるんだよね。
うん。
で、2つ目がね、画面右下にある雪見灯篭の光があって、ここで女性の足元の周辺をほのかに照らしてるんだよね。
うん。
で、3つ目が、あの空に輝くこう、星が光源になってるんだよね。
うん。
で、それぞれさ、光源の大きさが異なって、光の当たってる部分と当たってない部分で、同じこう、暗闇の中だからさ、黒でも異なる階調で描き分けてるんだよね。
うん。
そう。で、日本でね、これ初めて夜の明かりの色調の変化を描いた作品とも言われてるんだよね。
うん。
で、そもそもね、夜を主題とした浮世絵自体が珍しいから、今までね、少しはあったんだけども、そのほとんどがね、ちょっとこう、彩度を落としただけっていうような、全体的に暗くしただけっていう作品が多かったんだよね。
うん。
で、これはすごく見事なこの階調を描き分けて陰影表現をしてるっていう点で注目されてるんだよね。
うん。
で、この作品自体にもね、楽観がないんだよね。
だからね、誰の作品か分からないんだけれども、この絵の特徴から言って、ほぼ大井の作品で間違いないだろうって言われてるんだよね。
うん。
スピーカー 1
で、この特徴はさ、吉原孔子先の図でも見られるような光を意識した夜景の表現があったり、対角線上に置かれた灯籠、そして夜空に輝く星っていうのが、3つの光源の配置がバランスよく描かれてる点がすごく似てるんだよね。
うん。
で、さらにね、この絵に描かれてる女性が真ん中にいるんだけども、これがね、元禄記に実在した佳人習式を描いたものって言われてるんだよね。
うん。
で、彼女はね、13歳の頃に上野に花見に出かけて、清水観音堂の井戸の傍らに咲いた満開のこの桜を見て、句を読んだんだよね。
で、これがね、井の旗の桜あぶなし、酒の栄っていう、酒の酔うって書いて栄っていうんだけど、で、この句が有名な佳人なんだよね。
うん。
で、この酒の栄っていう栄なんだけども、多いはね、別の作品に、自分の本名が栄であるっていうのもあるんだけど、酔う女って書いて栄女ってこう署名することがあったんだよね。
スピーカー 1
うん。
だから、彼女なりのこれは洒落なんじゃないかとも言われてるし、だから当時これはね、知ってる人が見れば多いの作品だってわかったんじゃないかとも言われてるんだよね。
うん。
いや、どうこの作品。
スピーカー 2
どうって言われても、俺は何て返せばいいんだ。
スピーカー 1
でもね、この作品も、さっきの吉原孝志作品の図も、すごいね、引き付けられんのよこれ。
うん。
実物を見たわけじゃないけど、なんか今回合集があって、それで見たんだけども、なんかこのね、夜桜美人図なんかも、こう周りがすごく暗いんだよ。
で、そのなんか暗いのが深ければ深いほど、光がこうより際立つんだなと思って。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
なんかやっぱ光ってさ、いくら強くてもさ、周りが明るいと目立たないじゃん。
うん。
で、下の方が星とかすごく見えるようにさ、なんかそういう表現がね、すごいなと思って。
スピーカー 2
ま、この辺のセンスは小片郎がね、やっぱあるからね。
なんかその美的センスって言えばいいの?
スピーカー 1
いやいや、なんでだよそれ。ないでしょ。
スピーカー 2
俺、マジないじゃん、こういうの。
だからさ、なんかね、いや申し訳ないけど、俺美術館行っても結構ポカンてしちゃう人だからさ。
スピーカー 1
美術館行かないでしょ。
スピーカー 2
いや、行ってたんだよな、昔はちゃんと。
あの、そういう観光地とか行ってたら。
でも俺は結構割とポカンとしちゃう人だったのよ。
スピーカー 1
あー、いやでも俺もそんなの全然分かんないし。
スピーカー 2
小片郎ほら、美的センスあるじゃん。割とこう写真とかさ、そういう、なんかこだわりは強い方じゃん、そういうものに。
俺マジでないじゃん、そういうのが。
だからマジでポカンだと思う、たぶん。
スピーカー 1
いやー、そう、今聞いてる人もちょっとポカンとしてなければいいな。
スピーカー 2
いや、してないよ。
俺はね、たぶんね、こういう話題はマジでポカンなんだけど、他の人はね、
あ、なに、そんなの、そんな国際の娘さんのようなの?みたいな感じでさ、
ま、まずね、長澤正美をこう見てると思う。
スピーカー 1
確かにね。
次はね、長丸も多分得意とするジャンルなんだけども。
スピーカー 2
お、いいね、いいね。
スピーカー 1
縁本も多く書いてるんだよね。
スピーカー 2
なに、縁本?
スピーカー 1
うん、いわば現代でいうエロ本みたいなもの。
あー、春画ね。
スピーカー 2
そう、春画。
スピーカー 1
そうそうそう。
スピーカー 2
あー、春画は小片郎の得意じゃん。
俺、これも、あの、俺そこのジャンル弱いからさ、めちゃめちゃ。
スピーカー 1
やめろよ、それ。
俺全然だから、なんかそういうのダメなタイプで有名だし。
スピーカー 2
え?ダメなタイプってなに?
俺別にダメなタイプじゃないけどさ、俺はそういうのマジで買ったりしてなかったからさ。
スピーカー 1
いやいや。
マジでわかんないのよ。
いいんだよ、大丈夫。
スピーカー 2
いや、大丈夫っていうか、俺は嘘を言わないよ。
小片郎はさ、ほら、そういうの大好きだからさ。
スピーカー 1
やめよう、続き行きましょう。
はい。
これね、男女の交わりなんかをこう多く描かれてるんだけども、
その中に絵本、ついのひな形っていうので有名なんだよね。
で、この作品はね、長らく北斎が描いたものだって言われてたんだけども、
ただね、近年の研究によって、北斎だと着物を描くときに、
シワとか裾の乱れを波打ってるように描く特徴があるんだって。
で、その特徴が、このついのひな形っていうのには見られずに、
なんか滑らかで美しく描かれてるんだよね。
で、このね、中によく見ると、Aっていう漢字の文字が入った角白感が見つかったんだよね。
で、これによって大井が描いたんじゃないかって言われてるんだよね。
そう、で、当時さ、絵本って人気があったから、
幕府はさ、風紀を乱すものとして、表向きは禁止をしてたんだよね。
で、そこで、絵師たちは、その自分が描いた絵に堂々と署名を入れずに、
角白感ってこう、見る人にはわかるようにほんの少しこう、字を入れて、
まあ、当時のシャレって言われてるんだけども、そんな風に角白感をしてたんだよね。
で、江戸時代にね、こうやってね、絵本を描いた唯一の女流絵師とも言われてるんだよね。
うん。
でも、やっぱなんか、いつの時代もこういう、なんだろう、エロ本的なものって人気だったらしい。
スピーカー 2
まあ、そこはどの時代もさ、あの、セイバイバイの話にもなるけど、必ずあることじゃん。
スピーカー 1
うん。
スピーカー 2
だから、現代にも通ずるものだと思うよ。
スピーカー 1
通ずるよね。
うん。
まあ、他にも、彼女作品いくつかあるんだけれども、
特徴としては、さっきも言ったように、光と影の表現っていうのに優れてるんだよね。
うん。
あと、その、女性たちのその指先の描写なんだけれども、
このね、指先から関節まですごく詳細に、ほっそりとこう、長くこう、柔らかく女性的に描くんだって。
うん。
で、他の絵師ってね、その、当時、指先の描写は結構雑だったり、簡略されてるってことが多くて、
父長の北斎もそうだったんだよね。
うん。
ただ、多いは、まあ、女性ならではの視点というか、その指先まで丁寧に描写してる。
うん。
で、これは、先ほどの夜桜美人図にもそうだし、まあ、他にもね、かや美人図とか、手踊り図っていう、あの、有名な作品があるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、特徴の3つ目がね、女性のほつれ髪を、こう、うまく描いてるんだよね。
うん。
当時さ、女性って、ゆい上げてたんだけども、それでも、その耳元の毛が1、2本、こう、ほつれて、くるんと、こう、跳ねてるような様子を描いてるんだよね。
うん。
これはさ、やっぱ、どんなに完璧に髪をゆい上げても、やっぱり日常生活の中で、どこか乱れてしまうっていうような、まあ、そんな細かな部分も、まあ、女性ならではの視点というか、あの、描いてるんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、これね、今で言うと、おいしんぼの山岡志郎みたいな感じなのかもしれないけど、まあ、どっか乱れちゃうんだろうね。
スピーカー 2
ふふふ。
あの、今で言うの、たとえが今じゃないんだよな。古いんだよな。おいしんぼってあたりが。
スピーカー 1
たしかにね。たしかに古いんだよな。
スピーカー 2
そう。もうちょっと新しくないと、あの、若いリスナーわかんねえよ。
スピーカー 1
いや、大丈夫。今、聞いてる大人の大体の年齢数はわかるかもしれない。
スピーカー 2
まあ、それはそうなんだろうけど。
スピーカー 1
そう。で、あの、まあ、こんなふうに細部の描写を繊細に描くっていうところで、北斎を上回ってるって言われてるんだよね。
うん。
で、こういったね、特徴から探していくと、楽観がなくて、絵師が不明なものでも、実はこれ、大井が描いたんじゃないかって言われるのも、今後の研究で出てきたりするんだよね。
うん。
あとね、北斎の楽観が入っていたものでも、絵の特徴から、これ大井が手伝ったんじゃないかって言われてるのも出てきたんだよね。
うん。
まあ、こんなふうにちょっと視点で見ると、面白いんじゃないかなと思うんだよね。
うん。
で、北斎ってね、あの、前の放送でも言ったんだけど、90歳ぐらいまで生きたんだよ。
うん。
で、晩年期、その、80代以降はね、北斎の作品って、なぜかこう、色鮮やかになってくんだよね。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、それまで色使いってこう、どちらかというとシックな色が特徴で、それが逆に年取って色鮮やかになってくるっていうところで、これさ、年を取るとどうしても目が衰えてくるじゃん。
うん。
ねえ、永丸もこの前言ってたようにさ。
うん。