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病院で迷子になった少女が繋ぐ優しさのリレー『小さなバトン』(29文字)
2026-08-05 10:16

病院で迷子になった少女が繋ぐ優しさのリレー『小さなバトン』(29文字)

ことね作の絵本『小さなバトン』の朗読エピソードです。入院中のお姉ちゃんにお使いを頼まれた妹のあんちゃんは、広い病院内で迷子になり泣きそうになってしまいます。そこへ優しいお医者さんが現れ、温かい言葉とハイタッチで勇気を与えてくれました。無事買い物を終えたあんちゃんは、帰り道で困っているおばあさんや、迷子になって泣いている男の子に出会います。お医者さんからもらった優しさを胸に、今度はあんちゃんが誰かを助けるために手を差し出します。思いやりの連鎖と心の成長を描いた、心温まるストーリーをお楽しみください。(258文字)

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琴音の音cafe 今夜の朗読は、タイトル
小さなバトン 作者は琴音です。
お姉ちゃんが入院している白い部屋から、妹のあんちゃんはお使いを頼まれて、一人トコトコと歩き出しました。
りんごジュースとプリン、りんごジュースとプリンと何度も繰り返し声に出し、お姉ちゃんの喜ぶ顔を思い浮かべながら、あんちゃんは元気よく出発したのです。
ところが、広い病院の廊下は、小さなあんちゃんにとってまるで果てしない迷路のようでした。
曲がり角をいくつも曲がったところで、あんちゃんはハッと立ち止まりました。
どこを見ても同じような白い壁、同じようなドアが続いています。 遠くでエレベーターの到着を知らせる電子音が、冷たく響きました。
あんちゃんは売店がわからなくなり、一度お姉ちゃんの部屋に帰りたくなったのに、どうやって帰ればいいのかもわからなくなってしまいました。
どこも同じに見えてしまい、あんちゃんの目がだんだんうるうると涙でにじんでいきました。
心細さが胸いっぱいに広がり、その場にしゃばがみ込んだその時です。
あれ、こんなところで小さな冒険家さんが涙をポロポロこぼしてるわ。
どうしたのかな、ふわりと優しい声がふってきました。 顔をあげると白衣を着たお医者さんが温かい笑顔で鏡込んでくれました。
その穏やかな眼差しに、あんちゃんは少しだけ安心してぽつりぽつりと事情を話しました。
売店に行こうとして迷子になったこと、お姉ちゃんの部屋へ帰れなくなって怖いこと。
お医者さんは優しくうなずくと、
そうだったのね、この病院は大きな迷路みたいだから、お姉ちゃんのお部屋がわからなくなって怖かったよね。
先生もね、時々迷子になっちゃうの。 でもね、大丈夫だからね。
あそこの床にある緑の線をね、ずーっとたどっていくとね、すぐに売店に行けるんだよ、と教えてくれました。
お医者さんはあんちゃんの小さな手をポンポンと優しくハイタッチしてくれました。
その優しくて温かい手に触れた瞬間、あんちゃんの胸の奥にあった冷たい不安はすーっと消えていき、
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代わりにじんわりとした温かさが広がってきました。
うん、ありがとうお医者さん。 勇気をもらったあんちゃんは教えてもらった緑の線をしっかりと見つめながら再び歩き出したのです。
すると大きな看板が見えてきました。 売店と書いてあります。
お店の中に入り、お目当てのリンゴジュースと大好きなプリンをかごに入れてお会計を済ませます。
無事にお使いをやり遂げた安土館に包まれながら、あんちゃんはほっとため息をつきました。
けれど帰り道のことです。 ふと廊下の隅に目をやると知らないおばあちゃんが大きな荷物を抱えて
困った顔で立ち止まっていました。 杖をつきながら歩くおばあちゃんはバランスを崩して大切なハンカチを床に落としてしまいそうになっていました。
その姿を見た瞬間、あんちゃんは心の中でつぶやきました。 あっ、危ない!
あんちゃんは駆け寄っておばあちゃんのハンカチを素早く拾い上げました。 そして両手でおばあちゃんに差し出しました。
おばあちゃん、大丈夫? これ、どうぞ。
おばあちゃんは目を丸くして、それから花が咲いたような笑顔になりました。
わあ、なんて優しいお嬢ちゃんなんだろうね。 足が痛くて落とし物を拾うのも一苦労だったの。
本当に助かったわ。 ありがとうね。
ううん、どういたしまして。
おばあちゃんがぎゅっと握りしめてくれたその手は、 さっきお医者さんに温めてもらった手と同じぐらい優しくて温かいものでした。
その手のぬくもりを感じた時、あんちゃんは自分の胸の中で何かがふわっと軽くなるのを感じました。
それはただお使いを頼まれた時とは違う、胸が熱くなるような誇らしい気持でした。
さらに病院の廊下を進むと、混んだベンチの隅っこで小さく丸まってしくしくと泣いている小さな男の子の姿が目に入りました。
あんちゃんは足を止め、心配そうに男の子に近づきました。
「ねえ、どうしたの?」
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男の子は顔をあげ、涙まじりの声で答えました。
「お母さんとはぐれちゃったの。こわいよ。」
その男の子の姿は、さっき病院のロビーで泣いていた自分自身の姿と全く重なって見えました。
あの時、お医者さんに優しくしてもらってどれほど安心したことでしょう。
あの温かさがどれほど心強かったことでしょう。
その記憶があんちゃんの背中をそっと押しました。
あんちゃんはぐっと胸を張り、小さなお姉ちゃんのような頼もしい顔をして男の子の前にしゃがみ込みました。
「泣かないで。大丈夫だよ。私もさっき迷子になったけど、ちゃんとここまで来れたんだから。」
男の子は涙をぬぎながら不安そうに尋ねました。
「本当?」
「うん、本当だよ。一緒にお母さん探してあげるから、こわくないよ。」
あんちゃんは自分の小さな手で男の子の手をぎゅっと力強く握りしめました。
不思議なことにさっきまであんなに心細かった自分の足取りはもう少しも震えていませんでした。
怖さなんてどこかへ吹き飛んでしまっていたのです。
男の子の手を引っ張るあんちゃんからはぽかぽかした温かい勇気がわいてくるのを感じました。
通りかかった案内係の看護師さんの手を借りて男の子は無事に大好きなお母さんと再会することができました。
男の子とお母さんから何度も何度も本当にありがとうねと感謝の言葉をかけられ、あんちゃんは少し照れくさそうにでも誇らしげににこっと笑いました。
そしてあんちゃんはやっとお姉ちゃんの待つ病室へと戻ってきたのです。
お姉ちゃんただいま ドアを開けて元気よく飛び込んできた妹にベッドの上で本を読んでいたお姉ちゃんは
目を丸くしました。 あんちゃん遅かったじゃないどうしたのその顔なんだかすごくかっこいいよ
お姉ちゃんの驚いた顔を見てあんちゃんは買ってきたプリンとジュースを差し出し胸を張って大きな声で言いました。
うん途中でね迷子になっちゃったけどいろんな優しいお医者さんや大人たちに助けてもらったんだよ。
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それからね今度は困っている男の子を私が助けてあげたんだよ。
窓の外からは茜色の夕日が差し込み 病室全体をオレンジ色の優しい光で包み込んでいました。
病院の広くて白い廊下はあんちゃんにとってもう決して怖い迷路ではありません そこは人と人との優しい気持ちがつながり合う
ポカポカした場所でした あんちゃんはポケットの中で自分の小さな手をギュッと握りしめました
今日この病院の中でたくさんの人から分けてもらった勇気と元気はいつの間にか あんちゃんの心うんと強く
そして大きく成長させてくれたのです おしまい
ありがとうございました
10:16

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