紡ぎ屋と「こまったさん」シリーズの紹介
ようこそ、いらっしゃいませ。ここは紡ぎ屋。 世界中にある、いろんな物語を必要としている人にだけ、教える案内所です。
もうすっかり7月になって、梅雨には入ってますが、暑くなってますね。 お客様も、この猫ちゃんに招かれて、ここに来てくださったんですね。
この子は、紡ぎちゃんと言って、うちの看板猫なんです。 案内所の名前にもなっているんですよ。もちろん女の子です。
今日は私が案内の担当の日でして、私が紡ぐ物語は、恋や愛、友情や家族、恋愛などいろんな形の愛についての物語がメインです。
物語の方向性としては、ほっこりしたもの、心が温まるものなど、いろんな形の物語がメインです。
今日は懐かしい昔の絵本、自動書の話をしようと思います。
こまったさんって知ってますか? 知ってる方は久しぶりに聞いた名前かもしれません。
あの柔らかい線の絵のタッチとか、お花屋さんの可愛いエプロンとか、不思議な出来事が起きるたびに口から出てくる困った困ったという声、
それから本の最後には載っていたレシピのページもあったり、そう、こまったさんは料理をモチーフにした絵本なんです。
初めて聞いたお客様にも説明すると、こまったさんシリーズはあかね書房から出ている自動書で、正式なシリーズ名はお話料理教室と言います。
全部で10巻あるんですね。
私も久しぶりに今年の春頃から少しずつ近くの図書館で借りてきて読んでいたんですよね。
全部で10巻あるんです。
私が小学生の頃によく読んでいたんですけど、私だけじゃなくて周りの女の子たち、友達、クラスメイトもみんなして借りるので、
なかなか自分の番が来ることなく、自分が欲しいものをなかなか借りれないっていう状態なくらい結構人気な本だったんですよ。
この本は1984年から発売されてたロングセラーです。
著者・寺村輝夫とシリーズ誕生秘話
書いた著者の方が寺村寺夫さんという方で、ご存知ですかね。
私この寺村寺夫さんが大好きで、自動文学作家さんなんですけど、2006年に亡くなられていて、この寺村さんが残した作品が私すごい好きなんですね。
寺村さんは大学が早稲田だったそうなんですが、早稲田大学の童話界に入って童話を書き始めたのがスタートだったみたいで、日本の童話作家の第一人者って呼ばれるようになったそうなんです。
代表作で言うと、僕は王様シリーズ。これは結構有名なので、ご存知の方も多いんじゃないかなと思うんですけど、この作品のシリーズはまた別の機会に私がご紹介したいと思います。
このシリーズもきっかけに、寺村さん自身は料理と卵がものすごい好きな方だったみたいで、自分で卵料理家って名乗るくらいだったそうなんです。
そのくらい料理に思い入れがあったので、物語と料理のレシピを一冊にっていう企画が生まれてできたシリーズがこの小又さんシリーズなんです。
これは寺村さん自身があかね処方に持ちかけた企画だったらしくて、書きたくて作りたくて生まれた本なんです。
「こまったさん」シリーズの構成と登場人物
なので、当然読んだ後に何か作りたくなるっていう体験をちゃんと設計してくれています。
そしてその主人公が小又さん。小又さんはお花屋さんで働く奥さんなんですけど、ご主人が山さん。
で、いつも困った困ったって言うので、小又さんと呼ばれるようになったっていうところからいつも入ります。
で、ちょっとおちょこちょいで慌てんぼうでっていう性格なんですけど、毎巻タイトルが料理名になってて、
小又さんの〇〇。この〇〇に料理名が入ってくるんですね。
1巻から10巻、全部の料理名はスパゲッティ、カレーライス、ハンバーグ、オムレツ、サラダ、グラタン、サンドイッチ、コロッケ、ラーメン、そしてシチュート。
全部で10品。子供たちも好きな洋風のメニューですね。
毎回必ず困ったさんがふとしたきっかけで不思議な出来事に巻き込まれて、魔女が出てきたりとか、見知らぬ島に迷い込んだり、
気づいたら模型の列車に乗ってしまってたりなんていう、震動中の中で毎回テーマ、その料理を作ることになる。
最後はちゃんと美味しいものが出来上がって、めでたしめでたしという構成なんです。
なのでファンタジーとご飯の組み合わせ、子供心をがっちり掴まれてたなと思います。
料理のヒントとマスコット「室野君」
話の最後には実際の料理のレシピとか、寺村照夫さん自身のコラムも載っていたり、
小又さんが料理を本の中で作中で作っている時に、ここは料理をする時のポイントっていうのも大体歌にしてたりとか、
料理を作る最中にもここが大事っていうポイントが書かれたりとか、ちゃんとしたレシピ本にもなってます。
読んで作れる本なので、これは当時としてはすごく新しい発想だったんじゃないかなと思います。
絵本でもなく、料理本でもなく両方ですね。
小又さんが買っている旧館長の室野君っていうマスコットキャラクター的な言葉を喋る旧館長がいて、
その室野君が毎回小又さんにヒントをあげたりとか、
小又さんもいつも困った困ったって言ってるので、旧館長の室野君も口癖がね、うつって困った困ったよく喋ったりするんですけど、
その料理を作る時の重要なポイントのところには室野君マークが書いてあったりして、
そのマークを見たらこれは料理をする時に重要なところだよと教えてくれるんですね。
こまったさんの料理の成長と不思議な出来事
意外と最初の方の作品っていうのは、小又さんも料理が最初から上手っていうよりは、
ところどころで失敗したりすることもあるんですよね。
第4巻の小又さんのオムレツなんかでは、綺麗なオムレツが作れるまでお家に帰れないっていう展開だったりするので、
何度も失敗してたりするとか、巻を覆うごとに後半になるとご主人の山さんも出てきて、
第9巻の小又さんのラーメンとかではご主人の山さんと小又さんで一緒に歌いながら料理をしてたりします。
毎回歌いながら歌うリズムで料理を楽しくっていう感じで物語が進んでいきます。
例えばファンタジーな展開といえば、第2巻の小又さんのカレーライスで玉ねぎをみじん切りにしていたら、
目が痛くて涙が出てくる。
旧館長の室野くんに水中眼鏡をつけてというアドバイスで、
もう一回切り出したら切った端から玉ねぎが魚とかエビとかイカになって泳ぎ出して、
気づいたら海の横にいるとか、
麺を茹でようと思ってお鍋に水を張ろうとするけどなぜか水が溜まらなくて、
ようやく溜まったと思ったら今度は茹でているスパゲッティが鍋の中から見えなくなって、
気づいたらスパゲッティの海の中に流されているとか、
冷蔵庫を開けたらそこは気づいたら別世界に行って、
ハッと気づいたら現実に戻っているみたいなファンタジー展開が結構毎回あったりするんです。
おちょこちょいで結構ドジなので毎回ご飯を炊き忘れたりとか、
麺がどこかに消えちゃうとか台所でハプニングが毎回料理をする前段階でずっと困っているんですね。
最終巻が伝える料理の真髄
後半はどんどん小松田さん自身の料理の手際も変わってくる。
場所がどこでも関係なく状況がどうあれ、とにかく手を動かして料理する。
最終巻は小松田さんのシチューなんですが、
今日は小松田さんの誕生日というところから始まるんですね。
ラストシーンはご主人の山さんが心を込めて作ってくれたシチューが登場します。
それまでは全部小松田さんが作る側だったんですけど、
最終巻は完全に作ってもらう側になるんですね。
山さんが一生懸命作ったシチューを小松田さんが受け取るという場面。
美味しそうだから食べたくて作りたくなるのが今までの小松田さんだとしたら、
今回は食べた人が喜ぶ顔が見たいからという真逆の理由で料理がしたくなる。
料理って自分が食べたいじゃなくて誰かに食べてもらいたいから作るっていうのがあるよねっていうのを最終巻でちゃんと書いています。
シリーズの魅力と広がり
私も10冊とも全部読んだんですけど、意外と文字も大きいですし、
ほとんど毎ページにイラストがあるので、ページ数は120ページぐらい。
大人でもすぐにさらっと読めますし、
昔読んだかもしれないって記憶がある方はぜひお近くの図書館なんかで読んでみてください。
このシリーズは料理のシリーズでしたが、もう一つ分かったさんシリーズっていうお菓子のシリーズがあって、
こちらももちろん寺村てりおさんが同じく書かれてます。
イラストはまた違う方なんですが、こちらも別の時にまたご案内しようと思います。
ちなみに2020年にはあかね処方からこまったさんのレシピブックが実は出ているんです。
これは私も調べて初めて知りました。
10品のレシピをちゃんとした料理家の方が監修して1冊にまとめてくれています。
写真付きで実際に作れる本として出版されてますね。
もう40年以上経ってもこうしてレシピブックが生まれるくらい愛されている作品ということです。
紡ぎ屋からのご案内
というところで本日はいかがだったでしょうか。
私たちはあくまで案内人ですので、この物語が気になった方はぜひ読んでみてください。
次回お客様が来た時は別の案内人が案内しますので、また月の夜の日にお待ちしています。
それではお気をつけて、良い夜を。