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2025-11-26 05:37

97 ラトゥール「聖ヨセフ」

世界の名画ランキング第97位 ラトゥール「聖ヨセフ」のご紹介

サマリー

ポッドキャストでは、ジョルジュ・ド・ラトゥールの「聖ヨセフ」に関する詳細な解説が行われています。この作品が光と闇を通じて神聖さを表現していることが述べられています。

ラトゥールの絵の解説
ボイスドラマ、「ラトゥールの大工の聖ヨセフ」。
雫の夜の作業場の美術館の一室。
雫の中、ジョルジュ・ド・ラトゥールの大工の聖ヨセフの前に、
マリアとtomyが立っています。
tomyは手に持った白い杖を静かに床に立てかけています。
マリアが絵に向かって静かに、
tomy、この絵がラトゥールの大工の聖ヨセフよ。
まず、全体の構図から説明するわね。
うん、よろしく。
ラトゥールの絵は、光の使い方がすごいって聞いているけど。
ええ、まさにその通り。
この絵は、縦長の画面のほぼ全体が深い闇の中に包まれているの。
その中に、ただ一つの光源、
つまり、ロウソクの炎によって、
二人の人物が劇的に浮かび上がっているの。
画面の右側には、年老いた聖ヨセフがいて、
左側には幼いイエス・キリストがいる。
二人が向かい合うように配置されていて、
彼らの顔と手が、そのロウソクの光に照らされているの。
闇の中に浮かぶ光と二人。
そのロウソクは、どこにあるの?
ロウソクは、左にいる幼いイエスが、
自分の手で持っているの。
イエスは、画面左の低い位置に座っていて、
私たちの方に横顔を見せているわ。
幼いながらも、どこか神聖な者たちで、
目は大きく見開かれ、ロウソクの炎を見つめている。
肌は、炎の温かなオレンジがかった黄色い光を浴びて、
透けるように明るいの。
彼は、簡素な明るいオード色のチュニックを着ていて、
その服のひだも光を反射しているよう。
髪は短く、金茶色で光の輪郭を帯びているよう。
幼子が光源を持っているんだね。
ロウソクの炎は、どんな風に見えるの?
炎は、ロウソクの芯の周りで細長く、強く輝いているわ。
そして、最も印象的なのがイエスの右手よ。
彼はその小さな手を、まるで光を遮るように炎のすぐ前にかざしているの。
そのせいで、指と指の間から光が漏れて、
指が半透明な琥珀色に透けて見えているの。
炎に照らされて透ける幼子の手の描写は、
この絵の神聖さと静けさを象徴しています。
次に、画面右側の聖ヨセフ。
彼は老年の男性で、体を大きく前屈して、私たちに背中を向けているわ。
顔は左を向いているから、イエスと向かい合っている形になる。
彼は今、大工仕事の最中よ。
大きな木の角材に、手回しの霧で穴を開けようとしている。
その角材は、画面中央から右下にかけて斜めに横たわっていて、
ヨセフの作業場合になっているの。
大工の仕事か。光に照らされたヨセフの姿は、どんな感じ?
ヨセフは、濃い茶色の作業着っぽい服を着ていて、袖を肘までまくっている。
その服は、闇に溶け込みそうな色だけど、
光が当たる肩や背中、そして腕の筋肉が浮き出ている。
彼の顔は、深いシワが刻まれた老人特有の肌。
光が強く当たっているせいで、そのシワがシャドウになり、
彼の集中と人生の苦労を物語っているように見える。
髪は白く、少し乱れていて、視線は手元の作業に集中しているわ。
特に注目してほしいのは、ヨセフが穴を開けようとしている木の角材よ。
この縦長の角材が、後にキリストが張り付けられる十字架を暗示しているとも解釈されているの。
彼の顔のシワや、少し苦悩を帯びたような表情は、
自分の養子であるイエスの運命を知っているかのように見えるわ。
ろうそくの光が、未来の受難を示唆するなんて、なんて深みのある絵なんだろう。
風景や背景は?
背景は、ほとんど何も見えない漆黒の闇よ。
何かの道具や板切れが床に散らばっているのが、
ろうそくの光が微かに届く範囲で、濃いシャドウのシルエットとして描かれているだけ。
この闇が、幼子の手に持つろうそくの光を際立たせ、
二人の人物を外界から切り離し、この瞬間を永遠のものにしている。
まさに、日常の作業の中に神聖さが宿っている、というラトゥール特有の表現よ。
感銘を受けた対話
一連の説明を終えた後、マリアは静かにトミーの手を優しく握りました。
トミーは、深い感銘を受けた様子で、しばらくその場に佇んでいました。
マリア、ありがとう。光と闇、働くヨセフと光を持つ幼子。
その対比と透ける地微の描写、僕にもはっきりとその景観が心に浮かんだよ。
どういたしまして、この絵の誠実な雰囲気、感じてもらえたかしら。
二人はしばらく、静かに絵と対峙しています。
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