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2025-09-13 03:40

53 ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」

世界の名画ランキング第53位 ゴヤ「我が子を食らうサトゥルヌス」のご紹介

サマリー

ゴヤの絵『我が子を食らうサトゥルヌス』を通して、マリアはその恐ろしい構図と色彩の詳細をトミーに説明しています。

絵の構図と描写
ボイスドラマ、ゴヤ、我が子を食らうサトゥルヌス。
マリアとトミーは美術館にいました。
ゴヤの、我が子を食らうサトゥルヌス。
トミーの手を優しく取り、絵の前に立たせながら、その作品の前で、マリアは静かに語り始めます。
まず、絵全体の構図から説明するね。
この絵はね、中心に巨大な男性の姿が描かれているの。
彼はね、背景の闇に溶け込むように、真っ黒い空間にぽっかりと浮かんでいる。
体の向きは、少し右を向いていて、右足は前に踏み出しているみたい。
頭は下を向いていて、何かを食べているの。
彼は、自分の子を食べているの。だから、腕でその体をしっかりと掴んでいる。
特に、左腕はグッと力を込めているのがわかるわ。
この絵の背景は、ほとんど真っ黒。本当に深い闇なの。
でもね、彼の肌と、今まさに食べられている子供の体だけが、白く濁ったような、くすんだ色で浮かび上がっているの。
この対比が、本当にゾッとするほど強烈なのよ。
彼の肩のあたりに、わずかに赤茶色っぽい色が混じっているんだけど、これは、彼の肩にかかっている布かもしれないし、血の色かもしれない。
彼の肌は、月色というか、病的にくすんだ黄色なの。
でも、所々に赤みが混じっていて、それが血色なのか、興奮しているのか、狂気なのか、見る人を不安にさせる色合いよ。
子供の肌は、もっと白くて、まるで老人形みたい。
でも、頭からは血が流れ出ているように見えるの。
彼の髪は、ほとんど剥げ上がっているの。わずかに残った髪も、ボサボサで乱れている。
そして目、これが本当に恐ろしいの。
大きく見開かれていて、白い部分が濁っていて、充血している。
視線は下を向いているけれど、焦点が定まっていない。
何を見ているのか、まるでわからない。
狂気に満ちた、虚ろな眼差しなの。
彼の表情は?
口は大きく開けられていて、子供を食いちぎっている。
その口元から、赤黒い血が滴って落ちているのが見えるの。
彼の顔全体が歪んで、苦痛と狂気が混じり合ったような表情をしている。
マリアは、ゆっくりと絵の細部を説明し終えました。
トミーは静かに耳を傾け、心の中でその情景を描いているようでした。
ありがとう、マリア。すごくよくわかった。
狂気と闇の中に浮かぶたった一つの恐怖、それがこの絵なんだね。
二人は、しばらくの間、言葉なくその場に立ち尽くしていました。
美術館の静寂の中、小屋が描いた狂気が、二人の心に深く響いているようでした。
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