ノト丸
ブク美
ノト丸
ブク美
はい、わかりました。
感情とか内蔵感覚だけじゃなくて、次は私たちの物理的な身体能力そのものを拡張するっていう動きですね。
技師とか、最近よく聞く外国核、エクソスケレトンも、昔の失われた機能を補うっていう段階から、今は健常者の能力をさらに高めるみたいな方向へシフトしているっていう印象があります。
ノト丸
まさにその通りです。特にAIとの連携がここでは鍵になっていますね。
例えば、ユーザーが腕をこう動かしたいって考えた、その意図をですね、筋肉の電気信号なんかからAIが先読みして、動きをスムーズにアシストしたり、あるいはより強くしたりする、そういう技術が開発されています。
これは単なる補助っていうよりは、人間の意図と機械が融合するような感覚に近いのかもしれません。
ブク美
へー、手を動かす前にもう手が動いているみたいな、そういう感覚ということでしょうか。
ノト丸
そういうイメージですね。日本でも、例えば産総研にHARC、Human Augmentation Research Centerっていう専門の研究センターがありますし、大学初のベンチャーなんかからは、軽量でまるで身体の一部みたいに自然に使えるロボットアーム、オーグリンブみたいな具体的な研究成果も出てきています。
まさに身体能力の拡張と言えるでしょうね。
ブク美
ハラの次は手足の拡張と、身体の外側だけじゃなくて、さらに内側の感覚、つまり感じ方そのものを拡張しようという試みもあるんですね。
ノト丸
これも非常に興味深い分野です。
MITメディアラボなんかが先進的な研究を行っていますが、触覚あるいは痛覚とか温度覚といった、普段あんまり意識しない内蔵からの感覚、これを"Interoception"と呼びますけど、これをテクノロジーで再現したり伝えたりしようという動きなんです。
ブク美
内蔵感覚を再現伝達、具体的にはどういうことでしょう?
ノト丸
例えばですね、遠く離れた場所にいる大切な人の心臓の鼓動のリズムを自分のデバイスを通じてリアルタイムに感じる、みたいなそういうコミュニケーション装置が考えられています。
これがAR拡張現実のような技術と組み合わされれば、他者の内蔵感覚、文字通り他人のハラを感じるなんていう体験も将来的には可能になるかもしれないですね。
ブク美
他人の心拍を感じる、うわぁ、なんかコミュニケーションのあり方が根本から変わりそうな話ですね。
一方で技術がどんどん完璧を目指していく中で、あえて不完全さとか誤差に注目する研究もあるっていうのは、これは面白い視点ですね。
ノト丸
ええ、誤差こそが実は人間らしさの源泉なんじゃないかという考え方ですね。
どれだけ技術が進歩しても、人間の身体とか感覚とのインターフェースには何らかのズレとかノイズ、つまり誤差が残ることがあるわけです。
それを単なるバグとして修正したり排除したりじゃなくて、むしろその不完全さとか揺らぎの中にこそ人間的な思考とか想像性のヒントがあるんじゃないかと、そう捉える研究者たちが出てきているんです。
AIはどうしても論理的な完全性を追求しがちですけど、人間はもっと曖昧で揺らぎの中で考えている。その余白みたいなものを大切にしようというアプローチですね。
ブク美
なるほど、完璧じゃない部分にこそ価値があると。それで先ほど少し話に出ましたけど、AIによる感情の予測が現実に影響を与え始めているっていう研究もあるんですよね。
ノト丸
そうなんです。拡張のプレースボ効果(placebo effect)とも呼べるような現象が報告されていまして、これは例えば感情センシングAIがあなたの今の脳活動とか生態信号からすると、数分後に悲しい気持ちになる可能性が高いですよ、みたいな予測を提示したとしますよね。
ノト丸
するとその予測を見ただけで、実際に本当に悲しい気持ちが誘発されてしまうというようなケースです。AIによる予測が私たちの自己認識とか感情そのものを変えてしまう可能性があるということなんです。
ブク美
うーん、それは考えさせられますね。自分の感情のはずなのに、なんかAIに誘導されているような、そんな感覚になるかもしれないってことですか?
ノト丸
まさに、そしてこうした強力な技術っていうのは、残念ながら常にポジティブな目的ばかりに使われるとは限らないという側面もあります。
ノト丸
軍事分野とか産業分野での応用研究も特に往国間では活発に行われているんですね。兵士の認知能力、例えば反応速度とか判断力を高めたり、あるいは恐怖みたいな特定の感情を感じにくくさせたりするための神経インターフェースの研究とか。
ノト丸
これもある意味では人間拡張の一環と言えてしまうわけです。技術の持つ力っていうのは常にこう倫理的な側面と隣り合わせですね。
ブク美
光と影ですね、本当に。一方でアートの世界なんかでは、こうした身体とか感覚の拡張をむしろ新しい表現の可能性として積極的に捉える動きもあると。
ノト丸
ええ、その代表的な存在がアーティストのニール・ハーヴィソンさんでしょうね。
彼は生まれつき色を全く見ることができないんですが、頭部に取り付けたアンテナを使って色を音として知覚してるんです。