メディアの歴史的変化
ノト丸
はい、本日も毎日未来創造 Week11にようこそ。
本日も、まだ見ぬ未来の可能性 プロトキャストを探っていきましょう。
今週のテーマはですね、メディアの未来。
これは、私自身も日々肌で変化を感じている分野です。
Week11の初日、まずリサーチから。
提供いただいた資料を手がかりに、 この大きな変化の輪郭を一緒に探っていきましょう。
さて、本題に入る前に、一つちょっと揺さぶりというか、 試行実験をさせてください。
もし、今あなたが聞いているこの分析、この声、 この会話そのものが、生成AIによって作られたとしたら、どう感じますか?
この問いを少し頭の片隅に置きながら、 今日の話を聞いていただけると、
メディアの未来がより立体的に感じられるかもしれません。
ブク美
はい、今回の分析では、提供されたリサーチノート 【メディアの近未来】、
空気の創造主の移行、これが中心になりますね。
情報発信とか、あるいは文化形成の核となるものが、 どのように移り変わってきたのか、
そして、これからどこへ向かおうとしているのか、 この変遷を解き明かしていくと。
特にnoteが提示している、時代の空気を作る存在。
これが、巨大な組織から私たちのような個人へ、 そして、さらにその先へ、
もしかしたら人間ではないかもしれない存在へと、 移り変わっているという視点。
これは非常に示唆に富んでいると思います。
具体的にはまず、伝統的なメディアの地殻変動、 それからSNSによる個人の力の増大、
そして、生成AIやVTuberのような仮想存在の対等。 この大きな流れを追っていきましょうか。
ノト丸
なるほど。まずは少し時間を巻き戻してみましょうか。
平成の頃を思い出すと、やっぱりテレビとか新聞とか、 いわゆるマスメディアですよね。
つまり巨大な組織が、良くも悪くも、 時代の空気、流行、価値観みたいなものを形作っていた。
そんな印象が強いですよね。
ブク美
まさにその通りです。
資料にもありますように、新聞、テレビ、出版、 といった伝統的なメディアが、
私たちが何を知って、何を話題にして、 何を重要と考えるか、その主要な情報源でした。
ブク美
社会全体の共通認識のようなものも、 こうした組織メディアによって、
かなり矯正されていた側面が大きかったと言えますね。
ノト丸
ええ。でもその状況は、本当に劇的に変わりましたよね。
資料にある数字を見ると、 その変化の大きさに改めて驚かされます。
例えば新聞ですが、発行部数。
1997年のピーク時、約5,376万部もあったものが、
2023年には約2,859万部、ほぼ半分になっていると。
ブク美
半分以下ですね。
世帯あたりの公読数も、 0.5部を下回っているというデータもありますから、
これは単に部数が減ったというだけじゃなくて、
人々の生活習慣からも、新聞を読むという行為自体が 薄れてきていることを示唆している。
これはかなりの衝撃的な変化と言えるでしょうね。
ノト丸
テレビも安泰ではないということですね。
個人とプラットフォームの台頭
ノト丸
アメリカのデータですけど、
2025年には、Netflixみたいな ストリーミングサービスの視聴時間シェア、
予測で44.8%だそうですけど、
これが初めて地上波放送とケーブルテレビの 合計を上回るんじゃないかと。
これも大きな転換点になりそうですね。
ブク美
地上の仕方がもう根本的に変わってきていると。
ブク美
リアルタイムでみんなが同じ番組を見るという習慣から、
好きな時に好きなものを個人で選んでみる、 そういうスタイルへの移行がどんどん加速していますね。
出版業界も同様に厳しい状況に直面しています。
ノト丸
日本の紙の出版物、つまり書籍と雑誌を合わせた売り上げは、 1996年のピークからこれも半減しています。
半減ですか。
電子書籍は伸びていると聞きますけど、 それでも追いつかない感じですか?
ブク美
はい。電子出版市場は確かに成長しているんですが、
紙と電子を合計しても、 ピークだった1996年の市場規模のだいたい6割程度。
2022年で約1.63兆円。
そこにとどまっているんですね。
これらの数字が示しているのは、 結局かつて社会の空気を主導してきた組織としてのメディア。
その影響力が相対的に、しかし確実に低下しているという事実ですね。
ノト丸
うーん、なるほど。
その影響力が低下したということは、 人々が情報とか価値観とか、
あるいは時代の気分みたいなものを受け取る場所が変わったってことですよね。
資料によると、その受け皿となったのが個人。
特にSNSだとはありますが、 具体的には社会にどんな変化が見られたんでしょうか?
ブク美
まさに個人が主役になった時代。
それがまあ令和のメディア状況と言えるでしょうね。
プラットフォームの巨大化がそれを後押ししています。
例えばYouTubeの月間ログインユーザー数、 世界で25億人。
TikTokは10億人。
これはどちらも2023年時点の数字ですが、
これらのプラットフォーム上で個人が発信する情報とかコンテンツが、
かつての組織メディアに匹敵する、
あるいはそれ以上の影響力を持つケースも、 珍しくなくなりました。
ノト丸
日本の特に若い世代では、ニュースを知る手段として、
新聞やテレビよりもX、旧Twitterですね、とかYouTubeとか、
そういうSNSの方が上回っているという 調査結果もあるそうですね。
ブク美
複数の調査でそうした傾向が報告されています。
情報の入り口が、もう組織から個人へと 完全にシフトしている証拠と言えるでしょう。
ブログで専門家顔まけの、 なんかすごく深い知識に触れたり、
あるいはTikTokとかInstagramの短い動画から、 新しいファッション、音楽、独特の言い回し、
そういうマイクロカルチャーが次々に生まれて拡散したり、
生身の個人の体験とかアイデア、表現が、
ダイレクトに時代の空気感とか価値観に繋がっていく。
これは、平成時代のメディア環境からは、 ちょっと考えられなかった大きな地殻変動(知覚変動⁈)ですよね。
ノト丸
本当にそうですね。
生成AIと仮想存在の影響
ノト丸
誰でも発信者になれるっていうのは、 ある意味で情報の民主化とも言えるんでしょうけど、
一方で、情報の信頼性とか、フェイクニュースの問題とか、 新たな課題も同時に生まれているわけですよね。
ブク美
おっしゃる通りです。
そして、その個人が主役の時代も、 もうすでに次の段階へと移行しつつある。
ここからが、資料が"胸騒ぎ"と表現する領域に 入っていくわけです。
人間とAIが一緒に何かを作り出す。
そしてその先には、もしかしたら人間を超えた存在そのものが、 時代の空気を作るかもしれない。
そんな未来の可能性。
この辺りから少し未来への想像力を働かせながら 聞いていただけると、面白いかもしれません。
ノト丸
"胸騒ぎ"ですか。
確かに、AIが作るコンテンツの話を聞くと、
なんかワクワクする反面、 どこか落ち着かない気持ちにもなりますね。
具体的には、どんな動きがあるんですか?
ブク美
まず、生成AIによるコンテンツ作成のツールが、 本当に驚くべきスピードで進化して普及していますね。
非常に新しい動きとしては、
OpenAIが、AIによる動画生成共有アプリSora2、 これをついに、招待制ですけど、リリースしました。
9月30日ですね。
まだアメリカとカナダ限定ですが、
AIが作った動画を、まるでTikTokとかインスタグラムみたいに、 ユーザーが共有し合うプラットフォームが登場したわけです。
ノト丸
へぇー。
AIが作った動画がSNSでバズる、みたいなことが、 もう当たり前になるかもしれないと。
音楽の分野でも、面白い動きがありますよね。
音楽生成AIのSUNOが、Hooksっていう機能を導入したとか、 9月23日でしたっけ?
これは、AIが作った曲の短いフレーズ、 キャッチーな部分だけを切り出して共有できる機能だそうですね。
ブク美
まさに音楽のミーム化を加速させるような機能です。
AIが生み出した短いメロディーが、 TikTokのダンスチャレンジみたいにあっという間に広まっていく、 そんな光景が目に浮かびます。
しかしこうした進展には、必ず陰の部分も伴います。
例えばSpotifyが、AIによって自動生成された、 明らかに質の低い、スパムのような楽曲ですね。
これが大量にアップロードされているとして、 過去1年間で実に7500万件ものトラックを削除した、という報道もありました。
ノト丸
7500万件、すごい数ですね。
技術の進化と、それを悪用しようとする動きというか、 あるいは予期せぬ問題との、まさにいたちごっこですね。
ブク美
そのとおりです。
AIが生み出すコンテンツの量が、 既に現実的な課題を引き起こしているわけですね。
一方でAIとか関連技術は、単にコンテンツを作るだけじゃなくて、 影響力を持つ存在そのもののあり方も変え始めています。
資料が次に注目しているのは、 VTuberとかアバターといった仮想存在の影響力です。
これは日本が世界的に見ても、 かなり先行している分野かもしれませんね。
ノト丸
VTuber、確かにすごい人気ですよね。
でも、あれは人がいるわけだから、 AIとはまた違うような気もしますが?
ブク美
ああ、良い点ですね。
VTuberは多くの場合、リアルな人間が演じています。
でも重要なのは、視聴者がキャラクターそのもの、 つまり仮想の存在に対して、非常に強いつながりを感じているという点なんです。
例えば、ハツネミックは海外の研究者によって、 コレクティブアバター、集合的アバターとして分析されています。
これは特定の人がいるわけではなくて、 多数のファンが彼女の歌とかイラストとか物語を作り上げて共有することで、
あたかも集合的な意思を持つアバターのように 存在しているという見方です。
非人間的なキャラクターをコミュニティ全体で育て上げていく、 非常にユニークな文化といえますね。
ノト丸
なるほど。Fan Community全体が一つのキャラクターを 形作っているみたいな。面白いですね。
ブク美
ええ。
ブク美
さらに、個々のVTuberとか、 最近触れているAIを活用した仮想インフルエンサーと、
視聴者との間にパラソーシャルリレーションシップ、 日本語だと疑似社会的な関係と呼ばれる繋がりが生まれやすい、
という研究も複数報告されています。
これはテレビタレントとか有名人に対して、 一方的に親近感とか友情のようなものを感じる真理のことですが、
興味深いのは相手が生身の人間ではなくて、 アニメのようなアバターとか、
あるいは完全にAIによって動く存在であっても、
同様の時にはそれ以上に強い結びつきを 視聴者が感じることが示されている点なんです。
ノト丸
人間じゃないとわかっている相手に、 友達のような親近感を抱く、
なんか不思議な感覚ですけど、 実際に多くの人が体験していることなんですね。
でもそれって例えば過度に依存しちゃったりとか、 何か危うさみたいなものは指摘されてないんでしょうか?
資料ではそのあたり何か触れられていましたか?
ブク美
それは非常に重要な問いかけだと思います。
資料自体ではそこまで深くは言及されていませんが、
研究レベルではもちろん依存の問題とか、 あるいは仮想存在が発出する情報の影響力、
そういった倫理的な側面からの議論も始まっていますね。
一方で研究によれば、VTuberが持つリアルな声優と バーチャルなキャラクターというこの二重性が、
AIと音楽の新しい可能性
ブク美
かえって視聴者との関係性を複雑で より魅力的なものにしているという側面もあるようです。
リアルとバーチャルの境界が曖昧になるからこそ、 新しい形のエンゲージメントが生まれているとも言えますね。
人々は人間でないシステムとかキャラクターに対しても、
無意識に人間的な特徴とか感情を投影する傾向がある、 という心理学的な指摘もありますし、
ノト丸
なるほど。AIがコンテンツを作り、仮想の存在が影響力を持つ。
さらにその先、AI自身が単なる模倣とか組み合わせじゃなくて、
全く新しい文化とか表現の型みたいなものを 生み出す可能性っていうのはあるんでしょうか?
ブク美
まさにその兆候を示唆するような研究とか事例が出始めています。
例えば、RadioGPTというシステムがあります。
これはAIがDJになって、選曲から天気予報、交通情報、 そしてリスナーとのテキストベースですけど、
対話まで含めて完全にラジオ番組を自動で運営するというものです。
すでにアメリカの一部のラジオ局では導入が始まっているそうです。
ノト丸
AIがDJ、選曲だけじゃなくてトークまで。もうなんかSFの世界の話ではないんですね。
ブク美
音楽の分野では特にAIが新しいジャンルを生み出すんじゃないかという 期待と議論が高まっていますね。
例えば、人間とAIがリアルタイムで即興演奏を行う リアルジャムのようなシステムも開発されています。
AIが人間の演奏に応答して、共に新しい音楽を作り上げていくと。
ノト丸
ここであなたにも問いかけてみたいんですが、
もしAIが私たちが今まで聴いたこともないような全く新しい音楽ジャンルとか、
あるいは芸術の型そのものを発明したとしたら、私たちはそれをどう受け止めるでしょうか?
それは人間の創造性の延長線上にあるのか、それとも全く別次元のものとして捉えるべきなのか?
どうでしょう?
ブク美
非常に本質的で考えさせられる問いですね。
まさに資料が指摘しているのも、
AIが既存のジャンルの模倣とか既にあるスタイルの組み合わせを、まあ超えて、
人間には思いも寄らなかったような新しい型とか構造を提示し始めているんじゃないかという点なんです。
具体的な例をいくつか挙げると、
まずイギリスの大学講師がAIを使ってEDM、エレクトロニックダンスミュージックですね。
その膨大な楽曲データを分析して、
そのトレンドからInfinity Waveという新しいサブジャンルを定義して創出したという事例があります。
これは単に既存ジャンルを混ぜ合わせただけじゃなくて、
AIによるデータ解析がなければ見出すことが難しかったであろう、
新しい音楽的な特徴を持つスタイルを提示したとされていますね。
ノト丸
AIがトレンドを読んで新しい潮流を生み出したということですか?
人間とAIの共創
ノト丸
すごいですね。
ブク美
そういう見方もできますね。
また、AI作曲家として知られるAIVAというのがありますが、
これはクラシックから現代音楽まで、
すでに250以上の膨大な音楽スタイルを学習実装しています。
それに加えて、ユーザーが様々なパラメータを調整することで、
既存のスタイルを変化させたり、
全く新しいスタイルを定義する機能も持っているんです。
これは、もはやAIが単に作曲するだけじゃなくて、
人間とAIが新しいジャンルを共に発明していく
ような環境が生まれつつあることを示唆していると言えるでしょう。
ノト丸
人間とAIの共同発明ですか?
ブク美
ええ。
ブク美
AIによる音楽生成に関する研究論文のレビューを見ても、
現状ではまだ多くが、
既存のジャンルをベースにした変形とか応用なんですけど、
中には、人間がまだ知らない未知の音楽スタイルを探索しようとする
野心的な試みも進んでいることが報告されています。
将来的には、AI自身が独自の型を発明して、
人間がそれを後から解釈したり、
その型に従って新たな作品を作ったりするような、
そんな未来も決して非現実的とは言えなくなってきている。
一部では、ジャンルという、
これまで人間が音楽を分類して理解するために使ってきた概念そのものが、
AIによってもっと流動的でダイナミックなものに再定義されるんじゃないか、
という、そういう議論さえ始まっているほどです。
メディアの未来の展望
ノト丸
さて、ここまでの流れをちょっと振り返ってみると、
時代の空気を作る存在、その主役は、
平成の組織、つまりマスメディアから、
令和の個人、生身の人間へと移った。
そして現在は、人間とAIの共犯関係とも言えるような状況に、
まあ、足を踏み入れつつあると。
そして未来には、もしかしたら人間を超えた存在、
AIかもしれないし、膨大なデータそのものかもしれない。
あるいは、SF的に言えばゴーストのようなものかもしれない。
そういった存在へとその役割が移っていくのかもしれない。
そんな大きな移行のダイナミズムが、なんか見えてきたように思いますね。
ここで、まだ最初の問いに戻るような気がするんですけど、
これ、人間が作った?それともAIが作った?って、
将来私たちはまだ気にするんでしょうかね。
まあ、この配信もAI製かもしれないって最初に言っておいて、
お前が言うなよって話ですけどね。
自分でツッコミ入れておきます。
ブク美
いえいえ、でもそれは、この変化の確信に触れる問いかけだと思いますよ。
資料の最後の部分でも示唆されていましたけど、
この空気の創造主の移行の先にあるのは、
もしかしたら、人間が社会の空気を作るという、
ある種の重責から解放される自由なのかもしれない、と。
空気を読み、空気に合わせ、
あるいは必死に空気を作ろうとすることから自由になる。
それはある意味では、非常にドライで冷徹な自由と表現できるかもしれませんね。
ノト丸
ある種の役割からの解放ですか、なるほど。
その上で、そうして解放された私たち人間が、
それでもなお何かを作りたいと、
内側から湧き上がる衝動として願うのかどうか。
それこそが、このメディアの未来をめぐる、
何とも言えない胸騒ぎの正体なのかもしれませんね。
今日は、#毎日未来創造Week11の初日として、
メディアの未来と空気の創造種の移行をテーマに、
提供いただいたリサーチ内容を深掘りしてきました。
伝統的なメディアの影響力の大きな変化から、
SNSによる個人の発信力の爆発的な増大、
そして、生成AIや仮想存在といった、
人間ではない新たなプレイヤーの登場。
さらには、AIが文化そのものを自律的に生み出すかもしれないという可能性まで、
本当に大きな変化の潮流を感じていただけたのではないでしょうか。
明日からは、このメディアの未来をテーマに、
具体的な未来の可能性を探るショートショート、
まだ見ぬ未来のプロトキャストをお届けします。
今日感じたあの胸騒ぎの正体が、少しだけ見えてくるかもしれません。
ぜひお楽しみに。
本日の探究はここまでです。
また明日お会いしましょう。