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2025-08-04 06:33

人生200年時代 Episode3:〈明日の草原で〉

「7分で聴ける未来物語」

• 移動中に
• 朝の準備中に
• 寝る前のひとときに

“池袋から新宿”に山手線で移動するくらいの時間で、まだ起きていない未来に触れる。というコンセプト。

今週は"人生200年時代"をテーマに6つのストーリーをプロトキャストします。

 

下記noteのSFショートショートを元にNotebookLMで音声化しています
 

note URL: 

https://note.com/daisaw33/n/nea487a21aa14

サマリー

近未来SFのショートショート『明日の草原で』は、肉体から精神への移行をテーマにしている。主人公の炎静香は、彼女の愛する夫との約束に向かう物語を展開している。時間や存在について考えさせられる内容の中で、科学技術と愛の再会のドラマが描かれている。

肉体と精神の境界
ブク美
さて、今回はですね、近未来SFのショートショート〈明日の草原で〉をちょっと深掘りしたいと思います。
ノト丸
人生が200年続くっていう世界の話ですね。
ブク美
そうなんです。最初の100年は肉体で生きて、残りの100年は精神だけの存在になると。
ノト丸
なかなか考えさせられる設定ですよね。
ブク美
ですよね。
ノト丸
この物語を通じて、あなたにとって生きるってどういうことなのかとか、肉体から解放されるって一体何を意味するのか、あとはその時間そのものについても一緒に考えていけたらなと。
ブク美
はい。で、主人公の星野静夏(ホシノシズカ)、彼女はもうすぐ100歳。人生の後半にあたる精神期に移ろうとしてるんですね。
高性能なサイマティック車椅子っていうのは乗ってるんですけど、でもやっぱり重力からは逃れられない。
友達にね、静香さんはいいわね、現実世界に未練なんてないでしょ、なんて言われちゃうんですけど、いや、彼女の気持ちはもっと複雑で。
ノト丸
その言葉、なかなか無邪気というか、ちょっと切ない響きもありますね。
そうなんですよ。
周囲から見ると、その精神期っていうのは、ある種の終わりの始まりみたいに捉えられてるのかもしれないですね。
ノト丸
ああ、なるほど。
ノト丸
でも静夏の中には、もちろん楽しみな部分もある一方で、全部が本当じゃないみたいな、そういう不安もきっとあるんでしょうね。
膝の上のスケッチブックに描かれた誰も見たことのない明日の草原が、なんかそれを表してる気がします。
確かに。
あなただったら、この大きな転換点、どう捉えますか。
ブク美
いやあ、難しい問いですよね。
でも、静夏には、他の人とは違う強い動機があったわけです。
動機ですか。
ええ。それは、80年も前に若くして亡くなった夫、勇樹さんとの約束なんです。
ノト丸
80年前。
ブク美
事故で心を閉ざしちゃった静夏を、彼が当時最新だったVRの世界に連れ出してくれた。
ああ、VR。
現実ではもうベッドの上だけだった彼女が、ゴーグルを着ければ勇樹さんと星空の下を歩けた。
なるほど。
そして彼が約束したんです。精神期になったら、今度は本当の君の意識であの草原を走ろう。僕がそこで待ってるから。
ノト丸
うわあ、それは。
ブク美
だから彼女にとって、移行はただの終わりじゃなくて、80年越しの約束の始まりだったんですね。
なるほど、なるほど。
ノト丸
単なる憎さめとか、逃避のためのVRじゃなかったと。
そうなんです。
その体験が、来るべき精神期へのある種の架け橋になっていたわけですね。
肉体期と精神期っていう普通なら断絶してしまいそうな2つの時間を愛が繋いでいる。
愛と再会の物語
ノト丸
ええ。
しかも本物の意識っていう言葉、これもまた考えさせられますよね。精神だけの体験はじゃあ本物じゃないのかって。
ブク美
その問いへの答えみたいに、移行センターの描写がすごく印象的で。
はい。
胸を閉じると体の重みがフッと消える、意識が浮き上がるような、あるいは逆に深く沈んでいくような。
ノト丸
移行から切り離された船みたいな感じですかね。
ブク美
そんな感じです。そして眩しい光の後、彼女は立ってたんです。80年ぶりに自分の足で。
ノト丸
自分の足で。
ブク美
その感覚想像できますか?足の裏に感じる土の感触、風の強さ、花の香り。
ええ。
五感全部がもう現実以上に鮮やかに生きてるって訴えかけてくる。
ノト丸
ここすごく重要ですよね。精神世界の体験の方がむしろ肉体で経験してきた世界よりもリアルに描かれている。
ブク美
そうなんです。
ノト丸
これはやっぱり肉体こそが存在の基本だっていう我々の常識をちょっと覆そうとしてるのかもしれないですね。
うんうん。
生きてるっていう実感は必ずしも物理的な体が必要なわけじゃないんじゃないか。
ブク美
深いですよね。そしてその草原の向こうから現れるんですよ。
勇樹さん。
若い頃のままの姿で。待ってたよ静夏って。
うわー。
その声も笑顔も記憶の中の彼そのまま。いや、それ以上に温かい存在として。
ノト丸
なるほど。
ブク美
静夏はもう涙を流して喜びの声を上げながら彼に向かって走り出すんです。
80年という時間を超えて。
ノト丸
まさに失われた時間を取り戻すように2人の永遠の午後が始まるという。
ブク美
そういう結末ですね。いや本当に胸が熱くなる物語でした。
ノト丸
SFという枠組みですけど、その核にあるのはすごく人間的で普遍的な愛の形ですよね。待ち続ける愛。
はい。
200年という寿命とか精神期への移行という科学技術は結局その愛と再会のドラマを描くための壮大な舞台装置であり、
同時に時間とは何かを我々に問いかけるための仕掛けでもあると。
肉体を失うことが必ずしも終わりや喪失だけを意味するわけじゃない。
再会とか存在の新しい継続の可能性もあるんだってことを示唆しているように思いますね。
ブク美
明日の草原で。本当に短いお話ですけど、生きること、愛すること、そして待つこと、その意味を深く考えさせられましたね。
ノト丸
まさにもし人生200年が現実になったら、私たちの価値観もきっと大きく変わるんでしょうね。
ブク美
そう思います。
ノト丸
この物語は肉体がなくなっても存在はある形で続き得るかもしれないと示してくれました。
では最後にあなたに問いかけたいんですが、生きているという実感は一体何によってもたらされるんでしょうか。
もし意識が物理的な形を離れても愛する人とつながり喜びを感じられるとしたら、
あなた自身の時間に対する考え方や喪失の捉え方、そして誰かや何かを待ち続けるということへの見方はこれからどう変わっていくと思いますか。
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