2048年の東京と培養肉
ブク美
はい、毎日未来創造へようこそ。本日もまだ見ぬ未来の可能性、そのプロトキャストを探っていきましょう。
今週のテーマは、食と資源の未来です。今回ですね、皆さんと一緒に深掘りしたいのが、培養肉の晩餐っていうショートショートなんです。
テクノロジーが食卓の風景をガラッと変えた、少し先の未来を描いた物語ですよね。
ノト丸
そうですね。この物語、フィクションではあるんですが、食の現在と未来、それから私たちが食べることとどう向き合っていくのかっていう点で、非常に示唆に富んでいると思うんですよ。
まずはこの物語が描く世界観、そこからちょっと見ていきましょうか。
ブク美
はい、舞台は2048年の東京でしたね。そこではもう、培養肉、いわゆるクリーンミートがごく普通の食事になっている。
フードプリンターにカートリッジみたいなものをセットすれば、もう数分で栄養バランスも見た目も完璧な肉料理がポンと出来上がる。
ノト丸
そうなんです。食卓にはいつも綺麗な円盤形のハンバーグが並ぶみたいな。
ブク美
なるほど。
ノト丸
かつての畜産が抱えていた、例えば環境負荷、広い土地とか水とか温室効果ガスとかですね、あとは倫理的な問題、そういうものから開放された食の形と言えるわけですね。
でからこそ、この世界では、いわゆる自然肉っていうのは、もうごく一部の富裕層だけが手にするような希少な高級品になっている。
ブク美
なるほど。物語のお母さんも言ってましたけど、食卓から血の匂いとか、後はなんかこう、後ろめたい罪悪感みたいなものが消えた。
ノト丸
非常にクリーンな食文化が実現しているわけです。
ブク美
そのクリーンさがまた新しい世代の価値観を作ってるっていうのが面白いですよね。
まさに。
物語に出てくる息子さん、彼はもう培養肉しか知らない世代で。
ノト丸
そうですね。
ブク美
歴史の授業か何かで知ったんでしょうね。昔の人は本当に牛さんを殺して食べてたの?残酷だってお母さんに聞くんですよ。
ノト丸
そこが象徴的ですよね。
彼にとっては、牛っていうのはもう絵本の中のかわいいキャラクターでしかない。
ブク美
はいはい。
ノト丸
なので、食卓に並んでいる肉と生きていた動物の死っていうのが全く結びつかないんですね。
ブク美
なるほど。
ノト丸
ここにそのテクノロジーがもたらす光と影、両方が見えてくるような気がしますね。
ブク美
光と影ですか。
ノト丸
命をいただくっていう、かつては当たり前だった感覚がどんどん希薄になっていく。
安全で効率的な食事が実現する一方で、物語のお母さんは何かすごく大切なものを失っちゃったんじゃないかっていう漠然とした不安を感じてるんです。
ブク美
その感覚の変化ですか?
ノト丸
それこそがこの物語が問いかけている核心の一つかなとも思いますね。
ブク美
これリスナーのあなたもちょっと想像してみてほしいんですけど、もし自分の子供に同じ質問をされたら何て答えるかなって。
ノト丸
考えさせられますよね。
ブク美
その背景にはもちろんフードプリンターとか細胞培養っていう技術があるわけですよね。
これ自体は環境問題とか将来の食糧不足を解決する切り札みたいに期待されている。
ノト丸
その技術的な可能性はものすごく大きいと思います。
命の重みと食の価値
ノト丸
より少ない資源で安定的に、しかもクリーンに食肉を供給できるかもしれない。
でも物語は同時に問いかけるわけです。
その効率性とか完璧さと引き換えに私たちは何を失うんだろうかと。
だからこそ物語のお母さんはあえて高価な自然肉を探し出してきてですね、息子にある体験をさせようと決意するわけですね。
ブク美
そのクライマックスがあの食卓のシーンですよね。
息子さんが初めて目にする不揃いな形の本物の肉。
フライパンの上でジュージューって音を立てて香ばしい匂いがして。
そしてお母さんからこれはね本当に生きていた牛さんのお肉なのよって告げられる。
あの時の彼の衝撃。
ノト丸
まさにこう世界がひっくり返るような瞬間ですよね。
絵本の中のなんか残酷な昔話だと思ってたことが目の前のリアルな現実として立ち現れてくる。
彼は涙を流して食べ物の形をした命の死そのものと、こう向き合うことになる。
そして震える声で、でもちゃんと自分の意思で口にするんですよね。
「命をいただきます」って。
これはもう単なる食事前の挨拶じゃない。
彼が食と命のつながりとかその重みみたいなものを初めて全身で受け止めた。
そういう瞬間だったと言えるでしょうね。
ブク美
食卓はその時初めて完璧じゃなくなったんですよね。
培養肉みたいにいつも同じじゃなくてどこか歪で生々しい。
でも初めて本当の意味で満たされたと感じるっていうこの結びつきがすごく印象的でした。
そうですね。
さてこの物語やっぱり未来の食を考える上で私たちにすごく重要な問いを投げかけてるなと感じます。
ノト丸
つまりテクノロジーがどんどん進化して食がよりクリーンにより完璧になっていく。
そういう未来が来るかもしれないとして。
その時に私たちが失うかもしれないもの。
例えば不完全さであるとか直接的な命の手触りみたいなもの。
そういったものには果たしてどんな価値があるんでしょうか。
そしてその価値を私たちは未来でも大切にし続けることができるんでしょうかね。
ブク美
あなたはどう考えますか。
この物語についてさらに深く考察したロングバージョンも用意していますのでぜひそちらも聞いてみてください。
ノト丸
そして#毎日未来創造のタグをつけてあなたの考えとか気づきをぜひ私たちにもシェアしていただけると嬉しいです。