評判スコアの急落
ブク美
- こんにちは、〈名声指数の夜明けシリーズ〉。今回は、エピソード3。 〈名声指数★4.8〉ですね。
えっと、2042年、個人の評判がRepスコアで全部数値化されて、もう生活のあらゆる面に影響するっていう、そういう世界観の、これ抜粋資料ですけど、一緒に見ていきましょうか。
ノト丸
- ええ、今回は特にジェットコースターみたいでしたよね。主人公の綾、人気ストリーマーで、もともと4.9のエリートだったのが、一気に落ちて、そこからまた、という。
- うーん。
- 彼女を通して、この数値評価社会の危うさとか、じゃあ、価値って何なんだろうって、すごく考えさせられる内容でした。
ブク美
- まさにスコアが全ての世界。あなたも、もし自分が?ってちょっと想像しながら聞いてみてください。まず最初の転落。アヤはスコア4.9。腕輪も青くピカッと光ってるエリートですよ。
ノト丸
- ええ。
ブク美
- それが、学園祭のライブ配信中、AIが歌詞を差別用語だって間違って検知しちゃった。たったそれだけ。それでスコアが3.6にカクンと落ちて、腕輪の色も赤に。これ信じられないスピードじゃないですか。
- 本当ですよね。しかも、怖いのは、それが誤検知なんだっていう訴えが、これ全然通じないシステムなんですよね。
ブク美
- ああ、なるほど。
ノト丸
- 異議申し立てができないのか、あっても機能してないのか。結果として、もう即座に要注意人物扱い。で、次の日にはカフェの支払いもできなくなって、奨学金まで危うくなるっていう。
- うわあ。
- 数値化された信頼ってこんなにあっけなく、しかも冷たいものなのかって、なんかこう、突きつけられる感じですね。
ブク美
- しかも、それで終わりじゃないんですよね。匿名の情報で楽曲盗用疑惑まで出てくる。
ノト丸
- ああ、ありましたね、それも。
ブク美
- これも結局デマなんですけど、もうスコアが低いから、綾が何を言っても信頼できないってなっちゃう。
ノト丸
- そうなんですよ。スコアが低いと、もう発言の信憑性自体がシステムに疑われてしまう。
ブク美
- AIの判定も類似性78%とか出ちゃって。
ノト丸
- その数字もね、どういう基準なのかよくわからないまま一人歩きする感じで。
ブク美
- で、スコアは★2.1。社会的な落伍者って、ここいいですよね。
ノト丸
- これは、もう一度落ちると自力で上がるのがすごく難しいっていう、負のスパイラル構造をなんか示唆してるように見えますよね。
ブク美
- ネットじゃ、泥棒だの裏切り者だの、昨日までファンだった人たちがもうすごい言葉で叩くんですよ。
ノト丸
- ええ。
ブク美
- あまりに轢きすぎて、綾は腕輪を引きちぎろうとするんですけど、逃亡とみなされ、スコアは永久凍結って警告が出る。
- 逃げることさえできないっていう。
- まさにデジタルタトゥーというか、電子的な楽園というか、システムとあと大衆心理みたいなものが一緒になって個人を追い詰めていく。
ノト丸
- 数値化社会の息苦しさとか、個人の尊厳が、いかに簡単に踏みにじられるかっていうのがすごく生々しいですよね。
- これはちょっとフィクションだけじゃ済まされない怖さがありますね。
共感の再定義
ブク美
- そんなもうどん底の時に、声をかけたのが同級生のエリ。
スコアは★3.0台で、まあ高い方じゃないんだけど、数字なんてくだらないって。
ノト丸
- おお。
ブク美
- それで匿名のゲリラ音楽フェス、ゴーストジャムっていうのを提案するんです。
IDもスコアも隠して、評価は観客の共感トークンだけっていう。これ面白いですよね。
ノト丸
- それは非常に興味深いですね。スコアっていうフィルターをこう意図的に外したら一体何が見えてくるのかっていう。
この共感トークンっていうのも具体的にどういう仕組みかは分からないですけど、多分アルゴリズムじゃなくてもっと直感的というか感情的な繋がりを見るようなものなのかなと。
システムへのある種のカウンターとしての共感って感じがしますね。
ブク美
- で、アヤは参加して歌うんじゃなくて、自分の経験とか理不尽さへの怒りとか、システムへの抵抗みたいなのをラップで叩きつけるんですよ。
ノト丸
- なるほど、ラップで。
ブク美
- そしたらその魂の叫びみたいなのが、もう会場の心を掴んじゃって、圧倒的な共感を集めて優勝する。
ノト丸
- ここが物語のまさに転換点ですよね。
匿名だったからこそ、彼女はスコア2.1のアヤじゃなくて、一人の表現者としてちゃんと評価された。
ブク美
- 確かに。
ノト丸
- 数値じゃなくて、生身の人間の感情、つまり共感が彼女の価値をもう一度定義し直したっていう、そういう瞬間ですよね。
システムの外側というか、システムが測れないところに本来の価値があるんだって示しているような。
ブク美
で、ゴーストジャムの運営がアヤのIDを公開したら、世間はえっ?ってなって、彼女のスコアはスコア4.8まで一気に回復するんです。
ノト丸
- すごい回復ですね。
ブク美
- でも綾自身はもうスコアを見てないんですよ。
ブク美
で、ふと腕輪を見たら、その色が青でも赤でもなくて、なんかいろんな色が混じった虹色に光ってたっていう。
ブク美
これはどういうことなんでしょうね。
ノト丸
- うーん、虹色ですか。単純な高スコアの青でも低スコアの赤でもない、システムが標準的に決めている価値軸じゃ捉えきれないような、もっと複雑な、もしかしたら矛盾も含んだような人間的な価値とか、
あるいはその逆境を成り越えた経験自体が虹色として現れたのかもしれないですね。
ブク美
- なるほど。
ノト丸
- 友情とか共感、抵抗、才能、そういう数値化できないものが、もしかしたらシステム自体にちょっと予期せぬ変化を与えた、バグを生んだみたいな、そんな解釈もできそうですよね。
ブク美
- スコアっていう物差しを一度失って、で、取り戻したけど、彼女が見つけたのはもう数字以上のものだったみたいな感じですかね。
ノト丸
- そうかもしれませんね。
- で、さらに気になるのが、資料の最後に出てくる謎の通信、DJ N0_MINTからのシステムにバグが生まれた。
- 貨幣リビュートまだ残り54日。
ブク美
- あー、ありましたね、それ。
ノト丸
- これがすごく引っかかるんですよ。
単なる評判システムの話にとどまらず、社会の根っこである貨幣そのものの価値基準まで揺らぎ始めてるんじゃないかっていう、すごく大きな変化の兆しを感じさせますよね。
ブク美
- 評判スコアだけじゃなくて、お金の価値まで変わるかもしれない世界の夜明け。
うーん、では最後にあなたに聞いてみたいんですが、もし私たちがお金とか、あるいはこの物語みたいな数値化された評判とか、そういう社会を支えている共通の物語、まあ幻想と言ってもいいかもしれないですけど、それを失ったとしたら、その後に残る本当に揺るがない価値って一体何だと思いますか?