物語の世界観
ノト丸
はい、毎日未来創造、本日もまだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探ってみます。
今週は、学びの未来をテーマにお届けしています。で、今日はですね、ある近未来SFのショートショートがありまして、
それと、その物語について深く考察した文章、あとはアイディア創発コンパスっていう、まあ思考の地図みたいな資料があるんですけど、
これらを手がかりにして、これからの時代に本当に求められる知性とか学びってどういうものなんだろうっていうのを、あなたと一緒に考えていきたいなと。
手元にあるのが、まず〈問いを育つ者たち〉っていう物語ですね。AIのオルクスっていうのが社会基盤になっている世界なんですけど、ある日突然それが沈黙しちゃう。
世界が崩壊するところから始まる話です。で、次にその物語を受けて書かれた、図書館から砂場へっていう"あとがき的な考察"、これが物語が示している知性の大きな転換点、つまり過去の正解に頼る図書館みたいな知性から、未知の状況で試行錯誤をしていく砂場的な知性へっていうシフトをすごくわかりやすく解説してるんです。
ブク美
その対比が面白いですよね。
ノト丸
そして最後にアイデア創発コンパス、これは私たちの思考を4つのゾーンに分けて見せてくれる、そういうフレームワークですね。
今回の探求のミッシンとしては、これらの資料から、特に今みたいな変化の激しい時代に私たちが情報をどう捉えて、どう新しい価値を生み出していくべきか、そのヒントをつかんでいこうと、そういうことです。
ブク美
特に注目したいのは、やっぱり物語に出てくる2つの対照的な知性の在り方ですよね。
ノト丸
アガツマ教授とソラ、それがアイデア創発コンパスの上でどういうふうに位置づけられるのかっていう点、データとかも既存の正解が通用しなくなった時に、じゃあ何が価値を持つのかっていう、結構深い問いを投げかけてると思うんです。
そうですね。
では早速、その物語、問いを育つ者たちの世界観からちょっと見ていきましょうか。
ノト丸
主人公のケンジが目を覚ますと、もうすべてを最適化してくれてたAIオルクスが完全に動かなくなってる。
スマホも交通もインフラ、全部ダウン。
昨日までの当たり前、つまり正解がもうない、そういう世界です。
ケンジはもうほんと途方に暮れちゃうんですね。
これちょっと想像してみてください。
もし、今あなたが毎日使っている検索エンジンとかAIアシスタントが、ある日突然うんともすんとも言わなくなったら?
ブク美
いやー、考えただけでもちょっと怖いですね。
ノト丸
ですよね。ケンジが感じたであろう情報の飢餓感とか、正しい答えが見つからないっていう不安。
これって、なんか情報が多すぎる現代で、逆に自分ちゃんと考えてるのかなってふっと感じる瞬間の不安感とどこか重なる気がしません?
ブク美
あー、わかります。ありますね、そういう感覚。
ノト丸
で、そのケンジは頼るけきオルクス、つまり正解を失って、わずかな情報を求めて区役所の対策本部に行くわけです。
はい。
まるで昔、オルクスに次どうすればいいって聞いてたみたいに、誰かが与えてくれる正しい情報とか、正しい行動を探しちゃうんですよね。
ブク美
うん。つい頼りたくなりますよね。
ノト丸
そこで出会うのが災害社会工学の権威、アガツマ教授。
ブク美
出ましたね、アガツマ教授。
ノト丸
彼は過去の膨大なデータと理論に基づいて、この状況ならこうすべきという正解を知ってるわけです。
ブク美
まさに図書館ですよね。知識がぎっしり詰まった。
ノト丸
そう、まさに図書館のような知性の持ち主。
でも、彼の知識ってオルクスが動いてて、過去のデータが有効っていう前提があってこそなんですよね。
ブク美
ええ、その通りです。その前提が崩れちゃった。
ノト丸
インフラが崩壊して前提条件が変わってしまった世界では、残念ながら彼の図書館はうまく機能しない。
ブク美
そうなんです。そこでもう一方の存在が出てくる。
ノト丸
そうなんです。役所を後にして、街でケンジが出会うのが、ソラっていう女の子を中心にしたビルダー世代の若者たち。
ブク美
ビルダー世代。
ノト丸
彼らはもう廃墟みたいな公園を拠点にして、瓦礫とか廃材を使って、発電機とか浄水装置とか、今まさに必要なものをどんどん作ってるんです。
ブク美
すごいですね。たくましい。
ノト丸
しかもなんか悲壮感とかなくて、むしろこの状況をゲームみたいに楽しんでる感じすらある。
ブク美
うん、その楽しんでるって感覚が重要そうですね。
ノト丸
その夜、ケンジは彼らの焚き火ブレストを見るんです。
リーダーのソラが、対岸の仲間に連絡どうする?みたいなお題を出すと、
巨大パチンコ?とか、狼煙上げちゃう?とか、一見バカみたいなアイデアがポンポン出てくる。
ブク美
自由ですね。
ノト丸
でもそこには大事なルールがあって、どんなバカげたアイデアも絶対に否定しない。
ブク美
あー、なるほど。
ノト丸
するとその中から、待って、あのビルの窓ガラス使って太陽光でモールス信号を送るとかどう?
ゲームであったじゃん?みたいな具体的で、しかもなんか面白そうって思えるアイデアが生まれてくるんですよ。
ブク美
いやー、そのプロセスいいですね。ワクワクします。
ノト丸
この対比ですよね。アガツマ教授とソラたち。
ブク美
えー、ここが本当に今回の話の核心だと思います。
アガツマ教授は過去のデータ、つまり図書館の辞書を引いてきて、今の問題に対するベストな答え、正解を探そうとする。
ノト丸
はい、知識ベースからの検索みたいな。
ブク美
そうです。一方でソラたちビルダー世代は、目の前の現実、課題と手元にあるもの、つまり砂場の道具ですよね、廃材とか。
それを使って試行錯誤しながら、新しい可能性、新しい遊び方みたいなものをその場で作っていく。
考え方のスタート地点もプロセスも全然違うわけです。
ノト丸
なるほど。この対比というか対比について、あとがき的考察の図書館から砂場へではさらに深く掘り下げてますよね。
アイディア創発コンパスの重要性
ブク美
そうなんです。そこで使われているメタファーが秀逸で。
ノト丸
アガツマ教授の知性を巨大な図書館、ソラたちの知性を無限のサンドボックスだと。
ブク美
えー、これは本当にわかりやすい。
ノト丸
図書館型の知性というのは、ルールが安定していて、過去のデータが有効な世界、比較的変化の少ない状況ではものすごく強い。
ブク美
そうですね。効率とか正確さが求められる場面ではやっぱり必要不可欠ですよね。知識の蓄積とか検索能力とか。
ノト丸
でも物語みたいに前提がひっくり返るような予測不能な変化、ゲームのルール自体が変わっちゃうみたいなことが起きると、その価値って揺らいじゃう。
ブク美
ええ、過去の正解がむしろ邪魔になることすらありますからね。
ノト丸
一方で、サンドボックス型の知性っていうのは、正解を覚えるんじゃなくて、むしろ目の前のカオスから、そもそも問題ってなんだっけ?って課題を見つける力とか。
ブク美
はいはい、課題発見力。
ノト丸
それから手元にあるもので、これ何かに使えないかなって考えるリソース活用能力。
ブク美
うーん。
ノト丸
あとは、とりあえず小さくやってみようみたいなプロトタイピングの考え方。
ブク美
ええ、実践的なスキルセットですよね。
ノト丸
この考察の中で、マインクラフトとかロブロックスみたいなサンドボックスゲーム。
ブク美
ああ、はいはい。
ノト丸
あれが彼らにとって、このサンドボックス型スキルを遊びながら自然に身につけるトレーニングの場になってるんじゃないかっていう指摘はすごく面白いなと思いました。
ブク美
あれは鋭い指摘ですよね。失敗してもペナルティじゃなくて、むしろ学びのチャンスだと。試行錯誤自体が価値を生むプロセスなんだという考え方。
ノト丸
そうですね。さて、そこで3つ目の資料、アイディア創発コンパス。これを見てみましょうか。
ブク美
はい、コンパスですね。
ノト丸
このコンパスは、私たちの思考を大きく4つのゾーンに分けるフレームワークでしたね。
ちょっと十字の図を思い浮かべていただいて。
ノト丸
ええ。
ノト丸
左下が共通認識ゾーン。常識とかルールとか手続とかみんなが知ってる安定した知識のエリア。
ブク美
右下がオリジナリティゾーン。個人の主観とか直感、体験、アイディアの種が生まれる場所ですね。
ノト丸
そして、左上がひらめき燃料ゾーン。集合地とかデータの中のパターンとか、いろんな情報から得られる洞察のヒントみたいな。
はい。
最後に、右上が未知創造ゾーン。まだ言葉になってない概念とか、未来の可能性とか、まさに新しい価値を作るために思考が行われるフロンティア。
ブク美
なるほど。4つのゾーン。そして、このコンパスを読み解く上で大事なのが軸ですよね。
ノト丸
そうですね。
ブク美
縦軸が[知っている]か[未知]か。横軸がMe個人か、We集合か。さらに特に重要だと思うのが、下に示されている[データあり]AIと[データなし]っていう軸。
ノト丸
その軸が現代的ですね。
ブク美
このコンパスで見ると、アガツマ教授は明らかに左側のデータありの世界。つまり、既存の知識とか過去のデータに基づいて考える***感の世界の住人ですよね。
ノト丸
はい。彼の専門知識とか理論は、左下の共通式とか、左上のひらめき燃料、過去データに基づいたものにありますね。
ブク美
その通りです。それに対して、そらたちビルダー世代は、右側のデータなしの世界ですごく生き生きしている。
つまり、まだデータになっていないとか、既存のデータがもう役に立たない未知の領域で、まさに砂場で遊ぶように、自分たちの体験とか直感、右下オリジナリティから始めて、その場の即興的なアイデア、右上未知創造で新しい価値を生み出している。
ノト丸
あの焚火ブレストとか廃材ビルドは、まさにコンパスの右側での活動そのものと言えそうですね。
ブク美
まさにそうなんです。ここに、生成AIがどんどん進化していく今の時代に、私たち人間がどう知性を生かしてアイデアを生み出していくべきか、そのヒントがあると思うんですよ。
AIは、このコンパスの左側、データ有の領域、つまり膨大な知識の整理とか検索、パターンの発見、過去事例からの最適化、こういうのはもう人間を遥かに超える能力を発揮し始めている。
ノト丸
そうですね。超高機能な図書館の図書みたい。
ブク美
へえ、あるいはそれ以上かもしれない。でもコンパスの右側、データ無の領域に目を向けると話は違ってくる。個人のユニークな体験とか身体感覚、暗黙地から生まれるオリジナリティ、右下。
それから、まだ誰もはっきり言葉にできていない未来のビジョンとか、既存の枠を壊すような問いを立てる力、右上。
そして、予期せぬ状況で手持ちのリソースを組み合わせて即興で問題を解決する創造性。こういうのはやっぱり、そして多分これからも人間ならではの価値が発揮される領域じゃないかなと。
なるほど。
コンパスの右側を探求する力、つまり砂場で自由に遊んで創造的に試行錯誤できる力っていうのがAI時代には相対的にますます重要になってくるんじゃないでしょうか。
危機の中の創造性
ノト丸
物語でも、AIオルクスが失われた後、最終的に危機を救ったのはアガツマ教授の図書館じゃなくて、ソラたちの砂場の力だったっていうのはまさにそれを象徴しているのかもしれないですね。
ブク美
そう思いますね。
ノト丸
物語はクライマックスへ。町の唯一の水源である貯水タンクに致命的な亀裂が見つかるんです。最大の危機ですね。
ブク美
うわー、それは大変だ。
ノト丸
ここでアガツマ教授は、彼の専門知識と理論に基づいて、タンクの構造上、内側からの報酬は理論的に不可能、外部資材もない、うつてなし、と冷静に、でも絶望的な結論を言うわけです。
ブク美
理論上は正しいんでしょうけどね。
ノト丸
過去のデータと理論からすれば、それが正解だったのかもしれない。でもその詮告を聞いたソラの反応がまたすごいんですよ。
ブク美
お?どう反応するんですか?
ノト丸
面白くなってきたじゃん。緊急クエスト発生。拠点の最終防衛ラインを守れって。まるで難しいゲームのミッションが始まったみたいに状況を捉え直す。
ブク美
ポジティブというか、ゲーム能というか。
ノト丸
そして使えるアイテムはそこら中のガラクタだけ。さあどうする?って彼女が言うと、ビルダーズが一斉に動き出すんです。
もうどのマニュアルにも載ってない、完全な即興の創造行為。まさにビルド。
ハイクレーンを振り込みみたいに使って衝撃を加えたり、広告看板を滑車で吊って内壁に押し当てて水圧を酔えめたりしながら、内側から排材で亀裂を塞いでいくんです。
ブク美
へえ、すごい発想。
ノト丸
ケンジにはただのガラクタにしか見えなかったものが、彼らの手にかかると次々と意味のある道具に変わっていく。その様は本当に見ていて息を飲みます。
ブク美
まるでリアルタイムで物理パズルを解いてるみたいですね。
ノト丸
そうなんです。スリリングで創造性に満ちた光景。
ブク美
そしてついに亀裂からの水漏れが止まる。
ノト丸
理論上不可能と言われた危機を彼らは乗り越えた。
はい。
街が救われた。既存の知識とか過去のデータじゃなくて、その場のひらめきと面白そうっていう遊び心に満ちた試行錯誤が文字通り世界を救った瞬間でした。
ブク美
いやー、ドラマチックですね。
ノト丸
これを全部見ていたケンジは、自分がいかにアガツマ教授と同じように正解ばっかり求めてたかっていうのを痛感するんですね。
新しい問いかけ
ブク美
うんうん。
ノト丸
そして物語の最後にケンジがソラたちに投げかける問い。これがもう正しい答えは何ですかじゃないんです。
ほう。
彼はこう聞くんですよ。「僕にも教えてくれないか。どうすれば君たちのように遊べるんだ?」って。
ブク美
あー、遊べるか。深い問いですね。
ノト丸
このどうすれば遊べるかっていう問いこそが、ケンジが自分の意思でアイデア創発コンパスの左側、図書館の世界から右側、砂場の世界へ一歩踏み出そうとしている。その決意の現れなんだなと。
ブク美
ええ。まさに越境をしようとしている。後書きでも強調されてましたけど、コンパスの右側で必要なスキル、課題発見とか、リソース活用、プロトタイピング、システム思考、失敗から学ぶ力、こういうのって本を読んだり講義を聞いたりするだけじゃなかなか身につかないんですよね。
ノト丸
そうですね。体験しないと。
ブク美
ええ。これらはまさに遊びとかゲームみたいに、自分が主体的に関わって手を動かして決めて、その結果からフィードバックを得て次どうしようって考える、そういう経験的な学びのサイクルを通じて体得されていくものなんです。
ノト丸
なるほど。
ブク美
ソラたちがマインクラフトとかロブロックスで培ってきたのって、単なるゲームスキルじゃなくて、まさにこの砂場で生きていくための実践的な知恵だったとも言えるのかもしれないですね。
ノト丸
今回の探究いかがでしたでしょうか。AIが私たちの図書館としての能力をどんどん拡張して、ある意味代替すらしていくかもしれないこれからの時代。
私たち人間には未知の状況とか予測不可能な変化を怖がるんじゃなくて、むしろそれを想像性を刺激する砂場だと捉えて、仲間と一緒に試行錯誤を楽しみながら新しい価値を作っていく。
そんな考え方とかスキルがますます大事になってくるのかもしれないですね。
ブク美
そうですね。物語のケンジみたいに、私たちも普段の仕事とか学びの中で、正しい答えは何か?って、効率とか正解ばっかり追い求めるだけじゃなくて、時にはちょっと立ち止まって、どうすればこの状況をもっと面白く遊べるかなって自分に問いかけてみること。
それが不確実な未来を生き抜いて、自ら未来を作っていくための、なんか新しい扉を開く鍵になるんじゃないでしょうか。
ノト丸
本当にそうですね。最後にこの探求を踏まえて、あなた自身に問いかけてみたいと思います。あなたの今の仕事や学び、振り返ってみたとき、ちょっとアガツマ教授的な図書館の在り方、つまり既存の知識とかルール、過去の成功体験に少し変更すぎてはいませんか。
ブク美
耳が痛い人もいるかも。
ノト丸
What if?もし失敗が責められるんじゃなくて、価値ある学びのデータとしてむしろ歓迎されるとしたら、あなたはどんな面白い挑戦、どんな砂場遊びを始めてみたいですか。
どうすればあなたの日常にもっとソラたちのような砂場、遊び心とか思考錯誤、即興性みたいなものを取り入れられるでしょうか。
この続きはまた明日。学びの未来をテーマに、まだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性の探求は続きます。
今日の探求で何か心に響いたこととか、ご自身の砂場について考えたことなどあれば、ぜひ#毎日未来創造をつけて、あなたの気づきアイディアをシェアしてみてください。
ブク美
どんな遊びのアイディアが出てくるか楽しみにしています。
ノト丸
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