未来のプロトキャスト
ノト丸
毎日未来創造、本日もまだ見ぬ未来のプロトキャスト、可能性を探ってみましょう。
今週のテーマは、学びの未来です。
ブク美
はい。
ノト丸
今日はですね、ある近未来を描いた、ちょっと考えさせられるショートストーリーがありまして、
それと、それに対する考察を手がかりに、これからの時代のアイディアの生み出し方とか、
AIとどう向き合うか、みたいなことを皆さんと一緒に深く考えていきたいなと思っています。
ブク美
なるほど。手元に資料があるんですけど、
AIによって人生が最適化されちゃった男性の物語とですね、
あとは私たちがAI時代を生き抜くための思考の地図みたいな、そういうフレームワークが示されてるんですよ。
ノト丸
それは興味深いですね。
効率とか正解を求めるのが、どんどん加速する現代ですし。
ブク美
そうですよね。で、AIがさらに社会の隅々まで入ってくる未来を考えると、
その中で私たち自身がどう考えて、どう創造性を発揮していくのか、
そのかなり核心に迫る内容なのかなと。
ケンジの物語
ノト丸
思います。では早速、その物語の世界からちょっと覗いてみましょうか。
ブク美
はい。
ノト丸
舞台はですね、2045年の東京。
ブク美
2045年。
ノト丸
主人公はケンジという35歳の男性です。
ブク美
ケンジさん。
ノト丸
彼の人生は政府から支給された生涯設計AI、オルクスっていうのがあるんですけど。
ブク美
オルクス。
ノト丸
これによってもう完全に管理されて最適化されてるんです。
ブク美
へー、完全に。
ノト丸
協力からキャリア、友人関係、さらには結婚相手まで。
ブク美
結婚相手まで。
ノト丸
オルクスが膨大なデータに基づいて、これが最も成功確率の高い正しい選択肢ですよって提示してくる。
ケンジはそれに素直に従うことが美徳とされる社会のまさに模範市民なんですね。
ブク美
なるほど、そういう社会なんですね。
ノト丸
で、驚くのがですね、彼はオルクスの指示通りに量子情報理論から古代ギリシャ哲学まで。
ブク美
幅広いですね。
ノト丸
なんと4つも博士号を取得してるんですよ。
ブク美
4つもですか。
ノト丸
そうなんです。
ノト丸
で、彼の書斎の壁はその学位記とか、あと人生のあらゆる場面で最適解を選んできた証の"最適解選択証明書"っていうので、もうびっしり。
ブク美
最適化選択証明書、すごい。
ノト丸
結婚相手の選択証明書なんてものまであるんですよ。
ブク美
へー。
ノト丸
昼食のメニューですら最適化位が示される。すごい徹底ぶりですよね。
ブク美
いや、それはまさに正解だけで塗り固められた人生という感じですかね。
ノト丸
ですよね。
ブク美
でもその資料の描写にはその完璧さの中に何か彼自身の意思が入り込む余地がないみたいな、そういう静かな暗示も感じられますよね。
静かな墓標のようだっていう表現も使われていて、効率と引き換えに何か人間として大事なものが失われてるんじゃないかっていう。
ノト丸
で、ある日ですね、ケンジは公園で目的もなく、ただ無心に蝶を追いかける子供を見かけるんですよ。
ブク美
はいはい。
ノト丸
彼はその光景を非効率、無意味、不正解だって心の中で断じちゃう。
ブク美
あらら。
ノト丸
オルクスの導きがない、そういう子供の行動を哀れみさえ思うんです。
うーん。
この感覚どうでしょう。ちょっとドキッとしません。
ブク美
いやー、しますね。
ノト丸
皆さんも日々の忙しいタスクとか溢れる情報の中で、つい最短ルートとか正解ばっかり探しちゃってる瞬間ってありませんか。
ブク美
ありますね、ついつい。
ノト丸
なんか自分でじっくり考えることから少し距離を置いちゃってるなーという感じることって。
ブク美
ケンジの姿って決して遠い未来のフィクションってわけじゃなくて、今の現代を生きる私たちの姿をある意味映し出す鏡になってるのかもしれないなと。
ノト丸
うーん、なるほど。
ブク美
AIが提示してくれる便利な最適解に知らず知らずのうちに自分の思考を委ねちゃうその息苦しさというか。
ノト丸
わかります。
ブク美
資料が鋭く指摘してるのは、ケンジの悲劇は知性が足りなかったことじゃないんですよね。
むしろその高い知性の使い方を唯一絶対の正解っていう外部の存在に明け渡しちゃった点にあると。
これは非常に重要なポイントだと思いますね。
ノト丸
なるほど。そう言われると、じゃあどうすればいいんだってなりますよね。
そうですね。
ケンジみたいにならないためにはどうAIと付き合っていけばいいのか。そこで登場するのが資料で提示されている"アイディア創発コンパス"っていう思考フレームワークなんです。
ブク美
アイディア創発コンパス。
ノト丸
これはAIと共に未来を創造的に生きるための、いわば思考の羅針盤みたいなものかなと。
ブク美
なるほど、羅針盤。
ノト丸
さあ、これをちょっと詳しく見ていきましょうか。
ブク美
はい、お願いします。このコンパス非常に興味深い構造をしてまして、まず頭の中に4分割された図を思い浮かべてみてください。
ノト丸
はい、4分割。
ブク美
縦軸が私たち人間、私、私たちがその事柄を"知っている"か"知らない"か。
ノト丸
知ってるか知らないか。
ブク美
で、横軸がAIがそれに関するデータを"保有している"か"していない"か。
ノト丸
AIがデータを持ってるか持ってないか。
ブク美
この2つの軸で思考の領域を4つに分けて捉えるんですね。
なるほど、なるほど。
まずコンパスの左側、つまりAIがデータを持っている領域から見ていきましょうか。
はい。
ここはいわば正解とか事実を探求する世界です。
正解や事実。
左上は"ひらめき燃料ゾーン"と名付けられています。
ノト丸
ひらめき燃料。
ブク美
これは私たちはまだ知らないけど、AIは膨大なデータからパターンを見つけ出して知識として持っている領域。
人類の集合知とか、新しい発見のヒントが眠っている場所とも言えますかね。
左下は"共通認識ゾーン"。
共通認識。
これは私たちもAIもすでに知っている常識とか社会のルール、確定した事実、手続きといった領域ですね。
ノト丸
なるほど。ということは、ケンジはまさにこのコンパスの左側の世界の完璧すぎる住人だったと。
ブク美
そういうことになりますね。
オルクスがひらめき燃料ゾーンから提示する情報をもう疑うことなく受け入れて、それを共通認識ゾーンの絶対的な正解として生きてきたと。
あの書斎の壁一面の証明書がその証拠なわけですね。
ノト丸
まさにその通りです。
この左側の領域においては、AIには何よりも正確性が求められるわけです。
ブク美
ああ、そりゃそうですよね。
ノト丸
ですから、AIが事実に基づかない情報を生成しちゃう、いわゆるハルシネーション。
ブク美
はいはい、ありますね。
ノト丸
これはこの領域では明確なエラーとして扱われる。ケンジの世界ではおそらくエラーは許容されなかったんでしょうね。
ブク美
うーん、厳格な世界だ。でもそれだけだとケンジと同じになっちゃいますもんね。
ノト丸
そうなんです。ここからが未来への扉が開く感じがしますね。コンパスの右側。
ブク美
ええ、ここからが面白い。
ノト丸
ここはAIがデータを持っていない広大な未知の領域が広がっていると。
ブク美
そうなんです。
ノト丸
右下のゾーンは"オリジナリティゾーン"。
オリジナリティ。
これはあなた自身の主観とか直感、個人的な体験、あるいは組織とかチームが持つ暗黙知みたいな。
つまりあなたや私たちは知ってるんだけど、AIはデータとして持ってないっていう独自の領域。
ここにこそ新しいアイディアの種が眠ってると。
ブク美
なるほど、自分たちの中にあるもの。
ノト丸
そうなんです。そして右上が"未知創造ゾーン"。
ブク美
未知創造。
ノト丸
これは私たち人間もそしてAIもまだ誰も知らない、言語化すらできていない概念とか未来の可能性そのものを作り出す領域。
まさにこれから切り開いていくフロンティアですね。
ブク美
いやー壮大ですね。この右側の領域は左側とは全く性質が違うんですよね。
ほう。
ノト丸
唯一の正解が存在しない可能性を探求して創造していく世界。
ブク美
可能性ですか?
ノト丸
ええ、AIには学習データがないわけですから正確な答えを求める場所じゃないんです。
ブク美
なるほどなるほど。
むしろここから新しい問いが生まれてくる場所と捉えるべきでしょうね。
ノト丸
問いですか?
ブク美
ええ、資料の分析によればケンジが本当に失ってしまっていたもの。
それはこの右側、特に自分自身の内側から湧き出てくるはずのオリジナリティゾーンの価値を彼自身が見失っていた点にあると。
ノト丸
ああ。
ブク美
彼にはAIであるオルクスに投げかけるべき自分だけの主観とか体験、疑問といったボールがもうなくなっちゃってたんですね。
ノト丸
なるほど。ボールがなかった。だからAIに対して主体的な問いを立てることができなくて。
ブク美
そうなんです。
ノト丸
ただオルクスに次の正解は何?って受動的に求めるだけの存在になってしまったと。
ブク美
うーん、公園で蝶を追う子供を見たときに感じたかもしれない。ほんのわずかな心のざわめきとか懐かしさみたいなものさえ非効率、不正解として自分自身で切り捨てちゃったのかもしれないですね。
アイディア創発コンパス
ノト丸
そうかもしれませんね。
ブク美
で、ここで極めて興味深いのが、AIとの対話を常にこの自分たちのオリジナリティゾーンから始めることの重要性が示唆されている点なんです。
ノト丸
オリジナリティゾーンから始める?
ブク美
ええ。例えばもしケンジがですよ、今日公園で蝶を追いかける子供を見て、なんか理由はわからないけど無精に懐かしい気持ちになったんだ。オルクスこの感情は一体何だろうみたいな。
はい。
効率とか正解とは全く関係のない彼自身の個人的な体験"Me "とか、ふとした気づき、"We "をAIに投げかけていたらどうなってたか。
ノト丸
なるほど。その主観的で一見取り留めもないようなボールを投げかけると、AIは今度はコンパスの左側、ひらめき燃料ゾーンに蓄積された膨大な知識を使って返求してくれる可能性があるわけですね。
ブク美
そうなんです。
ノト丸
例えば懐かしさという感情は心理学的には過去の記憶と情動を結びつける神経回路の働きと関連しておりまして、生物学的に見ると蝶の予測不可能な飛翔パターンは探索行動や環境適応と関係が、みたいに自分一人では到底たどり着けないようないろんな視点とか情報を返してくれるかもしれない。
ブク美
まさにその通りです。大事なのは、AIが出してきた答えをそのまま鵜呑みにするんじゃなくて、それを新たな素材として受け止めて、さらに自分の思考を深めて、また新たな問いをAIに投げかける。
ノト丸
なるほど。キャッチボールですね。
ブク美
このAIとの創造的なキャッチボールを繰り返していく先に、AIと人間が共に新しい価値を生み出す"未知創造ゾーン"への道が開けていく、そういう可能性が示されているわけです。
へー。
AIを単なる答え生成器として使うんじゃなく、思考の壁打ち相手とか発想の触媒にみたいに捉えるということですね。
ノト丸
いや、面白いですね。つまりこういうことでしょうか。コンパスの左側は、既知の知識とか事実についてAIに答えを求める領域。ここではAIの正確さが重要になると。
ブク美
ええ、そうです。
ノト丸
ということで、コンパスの右側は、まず自分自身のオリジナリティゾーンにある主観とか体験、直感からユニークな問いを立てる。
ブク美
はい、そこがスタート。
ノト丸
で、それをAIにぶつけることで、AIの持つ左側の知識、つまりひらめき燃料を引き出して、共に未知創造ゾーンという新しい可能性を探求していく領域である。
ブク美
ええ、そういうことになりますね。〈正解の袋小路〉の物語は、AIに思考の主導権を分け渡しちゃった未来の一つの暗い可能性を描き出しましたけど。
問いかけの力
ブク美
一方でこの"アイデア創発コンパス"は、私たちが主体性を持ってAIと関わることで、全く異なる、より創造的な未来を選び取る力があることを示唆していると。
なるほど。
AIに次の正解を教えてもらうんじゃなくて、自らの内なる声、すなわちオリジナリティゾーンから生まれた問いをぶつけることで、
AIと共にまだ見ぬ価値の創造へと旅立つことができる、そういう未来への招待状とも読めますよね。
ノト丸
いやあ、希望が持てる感じがしますね。この話、皆さんはどう感じましたか。ちょっと立ち止まって考えてみてほしいんですけど。
ノト丸
はい。
ノト丸
まず、How、あなたのオリジナリティゾーン、つまり日々のふとした気づきとか、あなただけの個人的な体験、大事にしている価値観とかを、どうやってAIとの対話の出発点として活用するでしょうか。
ブク美
うーん。
ノト丸
それからWhy、正解を効率よく見つけるだけじゃなくて、AIに対してあなた自身のユニークな問いを投げかけることが、これからの変化の激しい時代において、なぜ重要になってくるんだと思いますか。
ブク美
なぜ問いが大事なのか。
ノト丸
そしてWhat If、もし次にAIを使う機会があったら、単に情報検索したり、文章を要約してもらったりするだけじゃなくて、試しにあなた自身の個人的な観察とか、ふと感じた疑問、あるいはちょっとした感情から対話を始めてみたら、いったいどんな予想外の発見や展開があるでしょうか。
ブク美
面白そうですね、それは。
ノト丸
ええ。今回はですね、近未来SFショートショート、正解の袋小路と、思考のフレームワーク、アイディア創発コンパスを通して、AI時代の学びと創造性のあり方について、皆さんと一緒に深く掘り下げてみました。
ブク美
AIをただ便利な答えを教えてくれる機械として使うのか。それとも、自らの思考とか創造性を刺激して拡張してくれる対話のパートナーとみなすのか。
うーん。
コンパスの右側、特にオリジナリティゾーンを意識するかどうかで、その関係性は大きく変わってきそうですね。未来の可能性はその向き合い方次第なのかもしれません。
ノト丸
本当にそうですね。明日も引き続き、学びの未来をテーマに、学びの未来のProto-Cast、新たな可能性を探っていきます。
今日の話を聞いて感じたこと、考えたことなど、ぜひハッシュタグ、#毎日未来創造をつけて、あなたの気づきをシェアしてみてください。
ブク美
えぇ、お持ちしています。
ノト丸
さて、今日あなたがAIに投げてみたい、あなただけの問いのボールはどんなものでしょうか。
ブク美
♫創造日常
ノト丸
♪毎日未来
創造