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聴くNIKKEIリスキリング
こんにちは、NIKKEIリスキリング編集長の桜井洋です。
この番組は、変わりたい組織と成長したいビジネスパーソンをガイドする
NIKKEIリスキリングに掲載した記事を深掘りしたり、
ビジネスパーソンの学びに役立つ話をお届けしたりするポッドキャストです。
編集チームのメンバーやゲストの方と、ちょっと横道にもそれながら
ビジネスに役立つ楽しいリスキリング情報を提供いたします。
今回のテーマは、最近の売れ筋本のピックアップとなっております。
ゲストはですね、編集チームで長年本の紹介をされている水垣さんです。
水垣さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
私はずっとこの本の紹介をやっているんですけれども、
その中で毎週書いているビジネス書今週の平台というシリーズがありまして、
そこでは都内のビジネス街の書店を回って、
そこの書店員さんに最近どんな本が売れているの、ランキングなんかを紹介してもらって、
その中からまだ取り上げていない本を一冊主に集中的に取り上げて、
その本を紹介するという中身なんですね。
毎回書店員さんのお話されるんですよね。
そうですね。本屋さんに行って、今週どんな感じですかというと、
こんな本が売れてますよとか、ベスト5はこんな感じです、ベスト10はこんな感じですと言って、
その中でどんな本が特に興味を持たれましたかとか、
本の中でご本人が特に気になっているものはありますかとか、
そういうことを聞いて、お互い合意してこの一冊取り上げましょうという感じで取り上げています。
毎回1位だとあまり名簿があらからか変わらないとか、先週と同じ本になっちゃうということも当然あるので、
書店自体はじゅんぐりにいくつかの、
今いくつぐらい行ってらっしゃいましたかね。
5つの書店に伺ってて、主に丸の内とか大手町とかの書店ですね。
これ中心に5店舗行ってて、毎月3つのお店に。
それは塩留と大手町とちょっと西側の青山の3つのお店。
これは毎月1回。
あと有楽町と日本橋のお店を交互に取り上げる形で5つのお店を回っているという流れですね。
ありがとうございます。
今回またその中から2つの記事をピックアップしたいと思っておりまして、
1つがですね、なぜ働いていると本が読めなくなるのか。
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読書が問いかける今の働き方への違和感という記事で、
本ももちろん売れてますけど、記事もすごく読まれましたよね。
そうですね。読まれましたね。
タイミング的に4月の下旬に出た本なんですけども、
既に読書界って言ったらいいんですかね。話題になっていて。
連休明けのところのタイミングで紹介をしたんですけれども、
本当にものすごくよく売れてると。
一押し中の一押しだという感じで。
書店さんの。
そうなんですね。
ビジネス書に関連した本なんですけど、書かれている方は若手の文芸評論家の女性の筆者で。
若いですね。1994年生まれだから30歳ぐらいですかね。
ジャスト30か29かということですよね。
実際大学時代にもいわゆる文筆活動というか、そういうのをしていた方で、
それで一旦普通の会社に就職されて、その時に自分が本を読めなくなったと。
本が読めなくなったという体験。
つまり働くようになったら、昔はいっぱい読んでた本がちょっとも読めなくなったという体験をして。
ご自身の体験から。
ご自身が体験していて、それは何でだろうというところを深掘りしていくという流れの本なんですね。
そうなんですね。
これもネタバレしてもいいかなとは思ってますので、内容的に。
働き始めて本が分かるような分からないような。
つまり読まないといけない本って結構出てきたりするじゃないですか。
僕らの仕事はそうなのかもしれないですけど、一方で好きな本を読めてるかというと、あんまり読めてないし。
どういうことなんですか?
好きな本というのが読めなくなっていく。
だから会社から課題で与えられた本であるとか、この資格を取ってくれとか言って、その資格の勉強のための本を読むとか、
そういうことは仕事の文脈でできるようになるというか、仕事の文脈で読むわけですけど、
一方で昔何の気なしに読んでた本とか、本だけに限らずよく聞いてた音楽とか、そういうのを追っかけていくみたいなことも何となく働きだすとですね、しにくくなる。
そんなような現象が起こってくる。
割と読者の方もそう、私もそうというかですね。
もともとウェブか何かで発表されてた趣旨で、そこにやっぱり共感の声がいっぱい読者から集まってきて。
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もともとウェブ記事だったんですね。
それをウェブ連載というかですね。
それを本にまとめたのがこの本なんですね。
やっぱり結構そういう人がいっぱいいる。
なんでだろうっていうのは、やっぱりいろいろ生活する中で働くことっていうことにゼンフリしてる状態っていうか、
何となく働くことに対する意識が行き切ってる状態が今のビジネスパーソンの働き方に要求されてる。
それを割と真面目に受け止めちゃってる。
それが自分の好きなことで知的な活動をするのを阻害しちゃってる。
そういう風に考えられるっていうことを、昔からそういうビジネスマンに流行る本っていうのは明治大正の昔からの時代々いろいろあるわけですけど、
そういうベストセラーのビジネスショーのベストセラーの社会史みたいなものを追いかけながら、今の人たちにとっては本はどういう存在なんだろうかっていうことを考えていくっていう。
単純に時間がないとかではないんですか?
そうですね。時間がないにしても読めることは読めるっていうか、本当に時間がないわけじゃないんですけど、読もうって気になれないみたいな、そういう現象のことを主に言ってるんですね。
自分の心が全部仕事に持ってかれちゃってるので、入ってかないみたいな、そういう感覚ですか?
だから、YouTube動画見られる。ウェブ記事とかは簡単に読める。そういう情報活動はやれるんだけど、本を読むとか、音楽を聞くとか、そういうのを区切って自分の楽しみとしてやるとか、
そういうようなまとまって向かい合うっていうことが本に対して、まとまって向かい合うってことができなくなる。そういう感覚が今のビジネスパーソンにはすごくあるっていう。そんなようなことを言ってるんですね。
本はそれだけまともに向き合わないと、ちゃんと咀嚼できないものであるっていうことでもあるんですか?
っていうより、仕事の方で生活が構成されていくと、本に向ける関心みたいなのが働きにくくなってる。そんな現象なんじゃないでしょうかね。
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なんでこれがこんなに世の中に刺さったのか。つまりみんな忙しいんだったら、そっち向かなくなっちゃうじゃないですか。本当にこの関心がいかないんだったら。でもこれが売れるってことは、なんか関心自体は向いてるってことだと思うんですよね。
だから、読みたいのに読めないっていう現象が結構いろんなところでというか、いろんなビジネスパーソンに起きてるということで。そこが共感がウェブ連載の時に寄せられたことでもありますし。
それで、もやもやしたものを抱えた人が、読みたいのに読めない。それは何でだろうって。わかるなーっていう感じが、働いているとなぜ本を読めなくなるのかっていうそのタイトルそのものに敏感に反応したっていう感じがありますよね。
これ処方箋は提示してるんですか?
処方箋はいくつか提示してますし。大きなことを言うと、とにかくやっぱり仕事が全てみたいな人生観に生活リズムに仕事を一生懸命やってるとなりがちであるっていうことが最大の原因なんじゃないかっていうところが彼女の見立てですね。
リスキリング・ポッドキャスターとか聞いてる場合じゃないかもしれないですね。
いやいやいや。それもありだし、でも仕事仕事で仕事の勉強のために読むとか、出世のために読むとか、そういうものばっかりで塗り込められていっちゃうと、本当に何にもなくなっちゃうっていうか、好きなことが全然仕事以外からは思いつかない。
思いつかなくなっちゃうっていうか、それが良くないんじゃないのかなっていう。そんな感じですかね。
そんな感じになっちゃうとリスキリング文脈に無理やり当てはめるとすると、そんな状態だと本当の学びってできなくなっちゃうし、おそらくですよ。
だから働くっていう方向に全員振りしすぎちゃうと、次に繋がるような学びもできなくなっちゃって、先ぼっそりしちゃうかもしれないっていうのはあるかもしれないですね。そのさじ加減で結構うまくやりたい部分はありますね。
だからやっぱり仕事も仕事で、仕事を楽しむようになって仕事で充実感を得られてっていうような形ならば、もしかしたら全員振りしてても楽しいのかもしれないんですけど、やっぱりその充実感が得られないで仕事しているのに、自分の楽しみの部分までなくなっちゃっていくとかなり厳しいんじゃないかなっていうですね。
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そんな感じが本を読んでると知ってますし、本当に簡単でいいんでいくつかの処方箋みたいなのが書かれてるんで、それをあんまりもちろん気払わずに本に接するようにするとか、それとか本屋にちょっと行ってみるとか。
とにかくちょっと接触回数を増やして、仕事以外に目を向けるっていうチャンスを増やして、一番おすすめの一つはiPadを買うっていうのがありましたね。
要するにiPadで全書籍読めばいいんじゃないっていう。一番身近に、つまり本屋さん行かなくても読めますし、新しい本に触れられますし、そういう割と手近に、手を伸ばせるところに本がある環境を作って本当に隙間時間でも何でもそういうところを利用して、自分の好きな本、好きな音楽、そういったものにどんどん触れていくように。
することが第一歩なのかなと。要するにハードルを下げるっていうことね。
ありがとうございます。2冊目いきますかね。
2冊目いきます。
2冊目。何回説明しても伝わらないはなぜ起こるのか。認知科学者が解く小魅力の本質。これもよく本屋さんでひなずみになってますよね。
なんかちょっと不思議な色の本ですね。緑色っぽいね。
こっちはたぶん今井口さんという方が去年中高審査で言語の本質っていう本を出して、これが中高審査としては異例のヒットを飛ばしたんですね。
そうなんですね。
これはオノマトペワンワンとか、そういう動物の鳴き声だったり、しとしと雨が降るの、しとしとだったり。
そういうような言葉からオノマトペが生まれるっていう、使うようになるっていう子供の体験みたいなところから、言語ってどういうふうに獲得していくのか。
そのあたりを考察した本なんですけど、これが異例のヒットを遂げて、たぶんそこでこの方、認知科学の研究者なんですけども、その辺でこの方に対する興味が増えたところ、その方がビジネス書を書いたっていうので。
そういう、なるほど。
そういう認知科学で会社のコミュニケーションみたいなのを見ると、どうなるのかなっていうところで、みんなが手に取ったんじゃないのかな、そういう感じがします。
そうなんですね。
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管理職、特に管理職ですけどね、管理職に限らないですけども、本当にビジネスの現場で伝わらない、コミュニケーションどうしよう、ワンワンつらいって、我々ニケリスキリングの中でも何度も取り上げてますけども、結局コミュニケーションの問題に何か戻ってきますよね。
このスキルどうしようってみんな悩むんですけど、そこに直接的に答える本なんですか?
答えるっていうよりも、とにかく何回説明しても伝わらないって、どうしてだよってみんな思いますよね。
はい、よくあります。
なんでだっていう。
よくあるでもないけど。
どうなってんだこれっていう。
どうなってんだろうな、この人っていう時はたまにありますけど。
やっぱり、もちろん最終的には解決策が知りたいわけですけども、多分なんだか分からないことが起こってるぞっていうか、なんだか分からない相手がいるぞっていう、そこを解明してほしいっていうか、なぜか知りたいっていうのが、なぜ起こるのかのなぜ、ここのとこに反応してるんじゃないのかなっていうふうに感じましたね。
どうすれば、howの部分、コミュニケーションどうすれば伝わるのかっていう感じの本はあるけど、おそらくそれを全部実行したとて、本当のコミュニケーションってできないとは思うんですよ。できない場合があるなと思って。
だからこそこういう、いやそもそもこういう構造なんで、無理なものは無理なんですよってみんな言ってほしかったのもあるかもしれない。
それもあるし、こういうことで伝わらないってことが起こるんだっていう。構造として。
その構造が分かった方がその打ち手っていうのは、要するにこうすればいいってhowだけを伝えられるよりも、なぜが分かった方が多分自分も負に落ちて対策が取れるっていう。
それぐらい伝わらないっていうか、ディスコミュニケーションっていったらいいんですかね。そういうことっていうのは、なぜをつかんでないとただ単にこうすればいいだけではどうもうまくいかないんじゃないかっていう、そういう感覚があるんじゃないですかね。
これは結局なぜなんですかね、この辺り。
認知の仕組みっていうか、心の仕組みっていうか、それがやっぱり当たり前に考えられているものと違うタイプの思考回路っていうか、そういうのを持っている人がいて、つまりどういう心の動きをしているから説明しても分からないんだろうかと。
そういう相手の心の状態っていうものをきっちりつかまないと伝えることができない。だから単純に言えば説明の仕方が悪いって言い方もできますけども、それは表面的な言い方というよりは相手がどういう状態なのかっていうの、相手の心がどういう状態なのか、相手の認知がどういう状態なのかっていうことをちゃんとつかんでないとなかなか対策することが難しい。
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それにふさわしい説明を与えることが難しい。そういうふうなお話でした。
これのちょっと前に、指示通りができない人にどう対処。管理職の婚枠に心理学者が書いて、そういう記事も書いていらっしゃいますけど、ちょっと通じる感じですね。
そうですね。そっちはまさに心理学の先生が書かれた本で、そっちの方では認知の仕方にちょっと問題があるって言ったら言い方が悪いんですけど、ちょっと普通の人と違う認知の仕方をする人がいるっていうタイプを認知そのものだったり認知しているかどうかっていうのをもうちょっと上から見たメタ認知っていう考え方。
そこの部分が自分を客観視できないとか、そういうところの心の働かせ方が得意じゃない人だったりっていうのをいくつかのタイプに分けて、それでこのメタ認知に問題がある人だったらこういうふうに言ってあげればいいんじゃないかとか。認知そのものが弱い人はこんなふうに言ったらいいんじゃないか。
そういうところじゃなくて非言語的な認知っていうか、そういう部分の問題だとすればこうすればいいんじゃないかとか。そういうのを実際相談を受けている形で対話体で相談者に答えるっていうような形でその本はやったんですね。
ビジネス本において結構その認知科学系のワードを見ることが今夜で多くなったなと思うんです。メタ認知っていう言葉もそんなに知られている言葉じゃないはずなのに、ビジネス本の中にメタ認知が結構出てるじゃないですか。何なんですかねこの現象。
やっぱりまあいろいろとそういう認知能力と人とか人の能力とかそういう視点からビジネスとかコミュニケーションを考えるっていう方向が割と大きくなってきたんじゃないのかなと思いますよね。
だいぶだからやっぱりそのコミュニケーション難しいしその分断もいろんなところで起きてるし、その上でハウだけではなかなかもう動かないのでもう一段上げてそもそもなかなか人間って分かり合えない構造もあってとかこういう認知の方法ってそれぞれ人それぞれ違うんだよって前提に一回立たないとなんかコミュニケーションが成り立たない時代になってる。
だから分かり合ってるようで同じこと言っても自分が思っている範囲と相手が思っている範囲が違うということがとりわけいろいろな国の人であるとかいろいろな思考の人であるとかそういう人との付き合いが増えてきている。
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今まさに認知の度合いが違う人とコミュニケーションしなきゃいけないっていうフェーズが増えてるんじゃないかなと思うんですよね。
だからこそその認知の違いってどういう原因なんだろうかとかこういう風になった時はどんな認知の違いなんだろうかとかそういうあたりをやっぱり知りたいというか知った上でならばその人に合わせた言い方を考えたりとかそういうことができるであろうと。
そういうところなんじゃないかなと。
もちろん認知科学自体がすごく発展してきてるところでもあるし認知科学なんかを利用した経済学で行動経済学っていうのがありますけども、
そういうことによってもう人間は合理的な存在だって考える前提で理論とかを打ち立ててた普通の経済学とは違って人間は非合理な行動をとると。
その前提に立っていろいろ経済活動についても考えたりマーケティングについても考えたりコミュニケーションについても考えたりっていう。
そういうのがトレンドとして今の時代新しくいろいろなことをやっていく上で必要なのかなっていう。そんな流れになってるんじゃないですかね。
ありがとうございました。では今回の本の話題はこれぐらいにさせていただいて、また次回本を何冊か取り上げて終わらせていただきたいと思います。
はいでは今回ここまでです。お相手は日経リスキリング編集長の桜井洋夫と、日経リスキリング編集部の水垣たけしでした。どうもありがとうございました。
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