国旗損壊罪の法制化とその背景
この時間は日替わりコメンテーターによる解説で日々のニュースを掘り下げるブラッシュアップ。
水曜日はRKB NEWS DIGの高藤秋子編集長です。
高藤さん、おはようございます。
おはようございます。
今日は、表現の自由抑圧、息苦しい社会へ蟻の一穴に。
法律の専門家が懸念するのはなぜか。
自民党の国旗損壊罪を読み解く。
この記事をご紹介します。
自民党のプロジェクトチームは、6月1日、法案の条文を大筋で了承しました。
与党は国旗損壊罪を、今の国会での成立を目指しています。
この国旗損壊罪について懸念を表明する専門家は少なくありません。
実は2012年には、日弁連、日本弁護士連合会が法制化に反対する会長選名を出しています。
懸念や反対の声が上がるのはなぜか。
できるだけわかりやすく専門家に解説してもらいました。
法案の内容と専門家の懸念
話を聞いたのは、福岡県弁護士会の憲法委員会に所属する福留秀氏弁護士です。
国旗損壊罪というのは刑法に追加する条文なんですけれども、
憲法に明記された表現の自由ですとか、内心の自由に密接に関わるので、
憲法委員会に所属する弁護士がいいでしょうということでした。
まず自民党のプロジェクトチームが了承した法案の中身なんですけれども、
処罰の対象になるのは、人に著しく不快、または嫌悪の情を催させるような方法により、
公然と国旗を損壊し、除去し、または汚損する行為の加えて、
自ら損壊している様子をSNSで配信することも処罰の対象になります。
罰則は2年以下の懇金刑、または20万円以下の罰金というふうになっています。
非常にちょっと難しいテーマだと思うんですけれども、
国旗損壊罪がどういうものなのかということを考えるときに、
まず大前提として知っておかなければならないことがあると。
福戸部弁護士が指摘するのは、刑法の権欲制。
権欲制。
謙虚になるの権利、抑制するの欲に性質の性。
私も初めて聞いた言葉なんですけれども、刑法の権欲制とは、
刑罰は他の手段では社会秩序を保てない場合の最終手段であり、
必要最小限に留めるべきという考え方。
国家権力の行使による人権侵害を防ぐための原則。
福戸部弁護士はこんなふうに話しています。
刑法って刑罰を課す法律ですから、
課される人の人権に対する強度の制約、侵害になります。
場合によってはその人の人生を変えてしまうわけですから、
だから極力刑法は出番が少ないほうがいい。
出しゃばらないようにする。
だから刑法の一つ一つの罪には解釈の指針として、
こういうことを守るんだという保護法益があるわけです。
刑法以外の手段で解決可能な問題については、
他の法律や条例などで解決するという考え方。
刑法ではこの問題が非常に重要だということ。
まず前提として、私もストンと落ちました。
国民感情と少数派の表現の自由
国旗損壊罪、何を守ろうとしているのか。
保護法益なんですけれども、自民党のプロジェクトチームは、
国旗損壊罪で守ろうとしているのは、
国旗を大切に思う国民感情。
加えて将来に対する抑止目的もある。
というふうに説明しています。
抑止目的って何だって。
私もすごく分かりにくいなと思ったんですけれども、
副留め弁護士はこんなふうに述べています。
国旗を大切に思う国民の感情。
多くの場合、国民の多数派。
おそらく多くの人がそんなふうに思うだろう。
一方で国の現状なり政策なりに対して、
異論を述べるための象徴的表現として、
国旗損壊を用いる一部国民もいる。
これは少数派です。
多数派の感情を保護するために、
少数派の表現の自由を抑制するということになるんじゃないかと。
実は条文には、表現の自由と国民の自由と権利を
不当に侵害しないように留意しなければならないという記載もあるんですね。
これで表現の自由が担保されるとお考えですかと聞いたんですけれども、
副留め弁護士は担保されないと考えます。
なぜならば、表現の自由等に留意して許容される行為というのが
どういうものかということが全く不明瞭。
確かに実際曖昧さが残って、
どこまで許されて、どこまで許されないのかというのが非常に分かりにくくなっている。
あともう一つ、私がなるほどと思ったのが、
立法事実の欠如と必要性への疑問
立法事実があるかどうかという問題。
副留め弁護士立法事実がないというふうに指摘してるんですけれども、
これどういうことかと言いますと、こんなふうに話されてますね。
法律を制定する際には、こういうことがあったからこの法律が必要なんだ。
法律制定の必要性の裏付けとなる社会的事実がないといけない。
なるほど。これまで制定されてきた刑法とかでも、
いろんな事件、事項があって、
それを補う形で法律が立てられるということはあってましたよね。
それが立法事実がないと。
そうなんですよ。社会的に何か、国旗損壊行為が今問題になっていますか。
問題になってないですよね、という指摘ですね。
そもそもその表現の自由を抑制してまで、
国旗損壊行為を刑罰の威嚇で取り締まる必要性が今の日本にあるのか。
根本的な疑問が拭えないと。
国旗に対する愛着を育てて国民の統合を図るという目的を、
もしかしたら考えているのかもしれないけれども、
それは刑罰による強制によって達成することができるのか。
むしろ逆効果なんじゃないか、というふうに福留弁護士は指摘されています。
外国の国旗損壊罪との比較と過去の答弁
今回の自民党のプロジェクトチームの会合でも、
岩屋前外務大臣が途中退席されて、反対されているんですけれども、
元外務大臣も立法事実がないということを指摘されていて、
私もそれは確かにそうだなというふうに思いました。
外国の国旗に対する損壊罪あるじゃないか、という指摘もあるんですけれども、
こんなふうに福留弁護士がおっしゃっていて、
外国の国旗損壊罪の場合は、外国の国旗を損壊すると外交関係に悪影響を及ぼすと、
ひいては日本の国際的な地位に悪影響を及ぼしかねないという、
外交上の利益が保護法益だと。
今回の国旗損壊罪の場合は国民感情が保護法益で、
全く違うものでバランスを欠くという指摘は当たらないというふうに話されていました。
1999年に国旗国家法で日の丸が日本の国旗だというふうに定められたんですけれども、
その当時の法務大臣、自民党の法務大臣が、
日本の国旗について損壊した場合の処罰規定ないじゃないかという質問があったときに、
こんなふうに答弁していて、ちょっとその一部を紹介したいと思うんですけれども、
我が国の国旗等に対する損壊行為については、これを処罰する規定がありませんが、
これは国家の維新の保護のあり方として刑罰をもって強制することが適当かという根本的な問題のほか、
他人の所有する国旗等の損壊については、
刑法第261条の旗物損壊罪の規定が適用されることなども考慮されていると。
今ある法律でも十分対応できるじゃないかというふうに答弁されていて、
副ドメ弁護士こんなふうに話しています。
国旗損壊行為についての社会的状況は、当時と今とで何ら変わるところはないのではないか。
むしろ処罰の必要性は縮小しているのではないかというふうに感じると話していました。
法制化のスピード感と国民のニーズ
私が今感じるのは、高市総理選挙の時から一貫して、
まずは物価高対策だというふうにずっと言い続けてきているわけですけれども、
このことよりさらに国旗損壊罪を非常にスピード感を持って進めているということに私は正直驚いていて、
5月22日に自民党のプロジェクトチームが法律の骨子案を了承して、
6月1日には法律の条文を大筋で了承していて、ものすごい速いスピードなんですよ。
国民が今本当に求めていることって国旗損壊罪なんだろうか。
むしろ物価高の国民の生活に直結した部分なんじゃないかと思うんですよね。
こういう法律ってなかなか私たちの生活に密接に関係ないので、考えることって本当にないと思うんですよ。
漠然とそんなのできるの?
人の主張、イデオロギーに踏み込む部分ですから、なかなか考えられないところありますよね。
けれども一度やっぱり法律って制定されると非常にいろんな面で影響が大きい。
やっぱりもう少し少なくとももう少し考える時間を、時間をかけて考えた方がいいんじゃないかなというふうに私は思いました。
袋目弁護士のインタビューの詳細、ニュースリグで読むことができますので、
ぜひ難しい法律用語も出てくるんですけれども、できるだけわかりやすく解説していただいたので読んでいただきたいなと思います。
息苦しくなってから気づいた時は遅いんですよね。
そうなる前に考える必要もあると思います。
この時間は、RKBニュースリグ高戸昭子編集長でした。
高戸さんありがとうございました。
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