1. 今日も明日も授業道~国語教育をゆるっと語る~
  2. 450_「板書をしない」は「望ま..
450_「板書をしない」は「望ましい困難」の機会を失っている?
2026-05-26 12:44

450_「板書をしない」は「望ましい困難」の機会を失っている?

spotify youtube

「板書をしない」は、もしかして学力向上のチャンスを逃している?ある生徒の悩みから、元校長先生と認知科学の研究を深掘り!iPadで楽に写すより、黒板を写す「望ましい困難」こそが、脳を鍛え、一生モノの記憶と学力を育む秘密だった!デジタル時代にこそ知りたい、手書き学習の真実をお届けします。

DeepReseachの結果

https://gezjgwll.gensparkspace.com/

 

ご意見・ご感想はメールフォームからどうぞ!
https://www.naomi-sensei.com/form/


#板書 #望ましい困難 #手書き学習 #学力向上 #認知科学

感想

まだ感想はありません。最初の1件を書きましょう!

サマリー

板書をしないことは、学習機会を損失している可能性がある。手書きでノートを取ることは、タイピングよりも深い思考と記憶の定着を促し、脳の広範囲なネットワークを活性化させる。この「望ましい困難」こそが、長期的な学力向上に不可欠である。

板書をしないことへの疑問と元校長先生との対話
皆さん、こんにちは。今日も明日も授業道ス黒瀬直美です。この番組では、中学校・高等学校の国語教育・働く女性の問題・デジタル教育についていると配信しています。
今日は450回、板書をしないは望ましい困難の機会を失っているというタイトルでお届けしたいと思います。
これまで何回も何回も板書についてこのポッドキャストで配信してきました。
それはやっぱりSNSの投稿で板書は終わりとか板書は一切しないとか板書はもう前世代だっていうようなことを言われて、結構板書の重要性というものをすごく感じながら授業してきた私にはかなり引っかかるものがあったんですね。
その引っかかりについてそういうことがあるたびに振り返り考えてまいりました。
そういった中で先日ある生徒が黒板の文字をなかなか打ちせないというようなそういった状況を目にして、うちの学校に長年生徒の発達や認知について研究を重ねて学術論文もたくさん発表されていらっしゃる元校長先生がいらっしゃるんだけれども、
その先生に相談する機会がありました。
その先生のお話は非常に興味深くて、iPadに表示されたものを横のプリントに書き写すという行為よりも黒板を見てそして視線を変えて手元のプリントに写すという行為の方が認知的に負荷が高くて難しい。
この難しさで書き写すことができないという生徒がいる一方で、この黒板を写すという行為そのものが学力を向上させるものになっているということを様々な論文を引用しながら根拠付けて説明していただいたんです。
なので今日はそれらを裏付ける研究についてディープリサーチに改めて研究を依頼しまして、根拠に基づいた研究成果について紹介しながら、私が感じている版書についてまた再定義していきたいと思います。
手書きとタイピングの認知的な違い:脳の働きと記憶定着
まず最初、手書きとタイピングの認知的な違いについて、ミュラーさんとオッペンハイマーさんという方が2014年に研究をしていらっしゃいます。この2つは脳の働きに大変違いがある。これは今までも様々な人が言っていたことだと思います。
パソコンやタブレットでタイピングしてノートを取る人っていらっしゃいますよね。結構たくさん文字数が打てるわけなんですけれども、これって講義の内容をそのまま書き写すということになりがちで、実は内容があまり頭に入ってこないという研究結果になっているそうです。
一方で手書きでノートを取る人は応用問題においていい成績を出す人が多かったそうです。しかも面白いことに、この効果というのは1週間経った後のテストでも持続していたというんですね。
なぜこんな違いが出るかというと、原因は書くスピードということにあったそうです。タイピングは早く打てるから、脳を使わずに耳で入ってきた言葉をそのまま吐き出すというふうに浅い処理になりがち。
でも手書きというのがスピードはどうしても遅くなるからこそ、聞いた内容を頭の中で1回要約したり、自分の言葉に言い換えたりという、頭の中を整理しながら書くという、そういう行為になります。このステップを挟むことで結果的に深い思考につながって、記憶にも残りやすくなるという、そういう研究結果でした。
私もすごく思い当たるんですけど、いろんな研修会に過去参加して、パソコンを持って行ったり、iPadを持って行ったりして、デジタルで残そう残そうとチャレンジしてきた私なんですけれども、いつの間にか手で文字を書いたりとか、iPadの手書き文字入力にしたりとかっていうように、結局手書きでメモっていうところに戻ってきて、今ではもう手書き一本やりでございまして。
これって私、前世紀の古い人間なんじゃないかなと思ってたんだけれども、結局脳に残りやすい方を自覚せずに、無自覚なまま自然と選んでいたということになります。
この研究成果をしっかり読んだので、これからは胸を張って手書きで臨みたいと思っています。
運動の記憶:手書きが脳の身体イメージを活性化させるメカニズム
次に2番目、脳の仕組み、特に運動の記憶についてのお話になります。これはロングキャンプさんという方の研究で、面白いことは分かっています。
先ほども言ったように、手書きで覚えた文字っていうのは、タイピングよりもずっと後に残るというお話でしたが、これは手書きしているときに文字を見ているだけじゃなくて、実際に手を動かしたり、その動いているイメージを頭の中でもう一回イメージしたり、というように脳の体を動かすっていうことをイメージするエリアが活発に働いているということなんですね。
さらに面白いのは、手書きで覚えた文字を後からパッと見たときに、脳の中ではその身体のイメージが自然と蘇るらしいんです。
つまり、目で見た記憶だけじゃなくて、体で覚えている記憶がダブルで脳を刺激して定着するのをサポートしてくれるということでした。
体を動かすということは、人間の記憶とか脳の働きを助けるんだなというふうに思います。
脳全体のネットワークと脳波:手書きによる短期・長期記憶の連携
それから3つ目は、脳全体のネットワークのお話になります。
手書きをしているとき、この脳をタイピングのときと比べると脳のてっぺんとか、それから真ん中、中心部のあたりでものすごく広範囲にわたってネットワークがつながるという研究がされていてわかっているそうです。
この脳の中ではシーター波とアルファ波という脳波がキャッチボールをするように運動しているらしいですね。
シーター波というのは一時的に記憶をキープするというワーキングメモリーとか、新しいことを理解するときに働くそういうもので、アルファ波というのはずっと学んだことを忘れないようにする長期記憶のスイッチを入れる働きを持っているそうです。
つまり手書きをしているときは、このシーター波とアルファ波が入ってきた情報を短期記憶して、さらにそれを長期記憶しようとする、こういうルートがフル稼働で作動している状態らしいですね。
だからこそ手書きというのは記憶に残りやすいんだなというふうに思います。
望ましい困難:学習理論と手書きの重要性
それから4つ目、これは今までの話にとてもつながっている学習の理論になるんですけれども、病区教授という人が提唱している望ましい困難という考え方です。
勉強しているときにすぐ結果が出るような楽で簡単な方法というのがあるわけなんですけれども、そういう方法として、実際問題を長い目で見て記憶をキープしたり応用したりということにはあまり役に立たない。
逆にちょっと手のかかるハードルを用意して、あえて学習のスピードをちょっと遅らせる、じっくり取り組ませるような条件、こういうことをはめる方が長期的な記憶には大変に優れているし応用力も高めているということがわかっているそうです。
タイピングに比べて手書きは少し時間もかかるし、頭も手も使うからちょっとめんどくさいです。
そのめんどくささ、ちょっと努力が必要な作業というのが脳にとっては望ましい困難ということになっていて、結果的により長く残る記憶、そしてあらゆることに応用できる能力を作ってくれていると、こういうことになるそうです。
黒板を写すことの負担と発達段階による違い
そして最後、5番目、これは国際医療福祉大学の研究で、特に黒板、これを写すことについての負担です。
私たち大人は黒板を見てさらさらとノートに写せるんだけれども、特に小学校低学年の子どもたちにとっては、黒板を一度見上げてからノートに目線を写すまでに、実は1文字から2文字ぐらいしか頭にキープできないという、そういう研究結果が出ているそうです。
これは大人が思っている以上に子どもたちにとっては、黒板の文字を頭に入れるだけで脳の記憶の中がいっぱいになっちゃっているということで、いっぱいいっぱいなんですよね。
やっぱり黒板からノートに写すという作業というのは、脳の視覚とか空間とか、そういった分野をフル稼働させているということなんです。
だからこれを鍛えることによって、子どもたちはだんだんと長期記憶というその能力を上げていくそうなんですよね。
これを鍛えないと思考力も深まらないということなんだそうです。
研究結果の確信とデジタル・アナログのバランス
ということで、これまで5つの研究について、手書きとか文章とかの方が効果的なんじゃないかという研究結果を見てきましたけれども、
改めて見直してみると、これまでいろんなところでこの話は繰り返し繰り返し問い直しされていたわけですけれども、
私が実際、自分の学校にいる長年こういうことについて研究していらっしゃる元校長先生が、実際問題、ご自身もたくさんの論文を読みになって、
そしてそれに基づいてご自身も研究論文を発表されている方のご意見を直に生で聞きますと、やっぱりそうなんだろうなというふうに私は納得せざるを得ません。
黒板を書き写すという、一見すると大変で非効率なそういう行為が、私たちの脳に深いレベルで働きかけて長期的な学習効果というのを大変高めてくれているんだということが、
まずもって私の中では確信に変わりました。タイピングで早く楽に済ませるのではなく、あえて手書きでじっくりと向き合うという望ましい困難こそが子どもの脳を育てて、記憶の定着と学力向上には欠かせない役割を果たしていると、そういうことなんですね。
私が手書きに結構こだわるとか、版書が大切と何回も配信したり、グラレコ大事って言ったりするのは、実際現場に立っている実感からだったわけですけれども、こうして改めて研究の結果と照らし合わせてみると、本当にそういうことが重要なんだということが再認識できると思います。
ともあれデジタルはデジタルでとてもいいところがあるので、やっぱりデジタルの良さとアナログの良さのバランスを生徒の発達段階や授業の目的に応じて使い分けるという、そういったことが大変重要になってくるということがわかります。
特に教室にいる生徒も発達段階に差があるので、やっぱりそれぞれの生徒に配慮しつつ、これからもICTと版書、デジタルとアナログの効果的な使い分けについて試行錯誤していきたいと思いました。
リスナーへのメッセージ募集
この番組ではリスナーさんのメッセージをお待ちしております。概要欄にメールフォームを貼り付けておきますので、お気軽にメッセージをお寄せください。
それでは今日の配信はここまでです。聞いてくださりありがとうございました。またお会いいたしましょう。
12:44

コメント

スクロール