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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
今回も、世界一周の船旅にお付き合いいただき、ありがとうございます。
前回は、生き物たちの楽園、ガラパゴス諸島に別れを告げたところまで、お話をさせていただきました。
今回は、出港より81日目、7月21日の様子をお届けいたします。
ガラパゴス諸島に別れを告げ、私たちがエクアドルグアヤキルに戻って宿泊したホテルの部屋のお湯は、結局出ることはなく、
熱いシャワーは諦めて、集合時間の午前4時30分、眠い目をこすりながらロビーへ降りる。
このホテルの美味しい朝食はもちろん、食べることはできず、朝食ボックスというお弁当が配布された。
中身は、りんごとみかんのような柑橘類、ミネラルウォーターとパックのジュース、サンドイッチとバナナブレッド、これはちょっと期待外れでかっかりだった。
聞きすぎている冷房で冷えた体を温めるべく、出発までの間にコーヒーと紅茶を交互にひたすら飲んだ。
飛行機に乗り、乗り継ぎを3回。移動続きは観光よりもずっと疲れる。みんな疲れ切った顔をしていた。
やっぱり、エクアドルからパナマに戻る途中でも、持っていた鉛筆とハサミを募集された。
もう起こる気すら起こらない。今回の旅は来てよかったと本当に思う。
けれど、自然の圧倒的な力と偉大さの前の、人間のせせこましい欲や醜さが見えてしまったことも確かだった。
特に最後の飛行場での荷物の募集やトランクの破壊、盗難は、旅の最後の印象を少し悪いものに変えてしまった。
今までの旅は、人間の残した遺産や遺跡を巡り、人類の可能性や偉大さを実感することも多かった。
でも、ガラパーコス諸島の旅は、人間の有害さや宗教の虚しさ、それを私に痛感させた。
言葉でも書物でもなく、人という存在がいかに小さく弱いのに、この地球上で最も優位である動物であるかのように考えているのかを、
海鳥が、アシカたちが、ヒグワナが、ゾウガメたちが、そして素晴らしい自然の造形が私たちに教えてくれていた。
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ガラパーコスは素晴らしかった。天敵がいないために、動物も鳥も全く逃げようとはせず、ありのままの姿をすぐ近くで見ることができる。
しかしそれは、あと100年後も同じように続いているものなんだろうか。
いかにナチュラリストガイドが規制をし、触ったり道を外れたり近寄りすぎたりすることを禁じても、そもそも人が到達する前の動物たちと自然の姿、それは確実に変わっていくものだろう。
人がこの島に入ること自体、動物たちの間にいること自体、強烈な違和感と疎外感があった。
お前たちはここに何をしに来たんだ。お前たちはここにいるべきではない、生き物だろう、とアシカが、カツオドリたちが、軍艦ドリたちが、アホオドリたちが、ウミイグワナたちが、目で伝えてきたように感じていた。
彼らがバランスをとって強制しあっているところに、私たちは決して入れてはもらえない。
彼らの近くにいようと、彼らが泳ぐ海に一緒に泳ごうと、疎外感を否めない。
人間は孤独で悲しい生き物なのかもしれない、と20年間生きてきて初めて感じた感覚だった。
自然界を壊すことでしか生きていけないという生き物が他にいるんだろうか。
カラバコスにいる動物たちは逃げることを知らない。襲われる恐怖を忘れてしまった生き物たち。
そんな場所が地球上にあるということだけで生きていてよかったと思う。
サンタクルス島はツアーガイドのKさんが10年前に来たときはもっと何もなかったのだという。
人口も少なく夜の11時には一つも明かりがついていなず、観山島をしていたそうだ。
今では大きな普通の観光街だ。規制はしているがエクアドロフォンドが不景気なために人々は観光収入を求めて次々とやってきては気を切り、
動物の生息地に建物を建て、ペットや家畜、農作物、新種の病気と微生物を連れてくる。
ペリカンが巣を作っているマングローブの木の下をペットボトルが流されていく。
決して土に帰ることがないたくさんのものがカラバコスの姿をゆっくりゆっくり変えていってしまうのかもしれない。
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目を閉じて寝ようとしても、昨日感じたどうしようもないやるせなさと一末の絶望感、たくさんの動物たちの思い出が浮かんでは消えて、なかなか眠ることができなかった。
それほどカラバコスの思い出は強烈で他のどことも違う印象を私に植え付けたのだった。
エクアドル・ワヤキルからパナマシティ、そこからメキシコのメキシコシティへ。
メキシコシティから最終目的地のアカプルコに着くまで、私はぐるぐるとそんなことを考え続けていました。
旅の疲れや最後の盗難の落胆感もあったかもしれません。
アカプルコの空港に着くと、空港には船からの迎えが来ていました。
懐かしい面々に迎えられて専用バスに乗り、我らがオリビア号の待つアカプルコの港へ。
ここは世界有数の保養地、リゾート地でいくつもの湾にビーチがあり、山を越えて港に着く間も山の斜面にたくさんのプライベートホテルや世界的著名人、ハリウッドセレブの別荘が立ち並んでいた。
あのシルベスタストローンの別荘も。
観外沿いのホテル外はネオンがきらめく派手な装飾、大きな音楽、高級車とクラクション。
店内外には陽気な人々の酔っ払う姿、行ったことはないけれど、さながら海のラスベガスといったところか。
ついさっきまで絶壊のこと、動物たちの最後の楽園にいた私は、あまりにも人工すぎ、人工的すぎる。
自然の神秘を感じられない、この世界的リゾート地のギャップに全くついていけない。
思わず目をそらしてしまった。
港にも豪華客船から高級クルーザーが所狭しと停泊し、当たり前だが動物たちの姿を見られない。
アカプルコの夕暮れを楽しんでいる人たちも多くいたが、船に残っている人たちもいて、口々にガラパゴスどうだった?日焼けしたね、と私たちの機関を喜んでくれた。
本場のタコスを食べたい気持ちもあったけれど、移動の疲れとあの人工的な街に出て行く気にもなれず、荷物を置いて船内のレストランへ。
メニューはこの日はサバの味噌煮、白いご飯に味噌汁、白菜の漬物にシバ漬け。
久しぶりの日本食だ、これは疲れた体と心に嬉しかった。
明日からまた離脱ツアーが始まる。
友達にお土産を渡しに行きながら早々に眠りにつきました。
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私のこの日の日記の最後には、ああ、しばらくまだ人間界に帰ってこれないショックが大きかった。
何かが変わってしまいそう、それともこの思いも時とともに忘れてしまうんだろうか、と書かれていました。
実は割愛しましたが、ガラパゴスへの思い、人間への絶望感、これはもっと長くこの日記に書かれていました。
それだけ、二十歳の私の胸に突き刺さったものは深かったのです。
100%そのものではないけれど、今も確かに存在をしています。
もちろん当時とは違う意識や捉え方、大人になったなと感じることもあります。
今またガラパゴスに行く機会が巡ってきたら、私はどのように感じるんだろう。
そもそも、あの場所に再び行くという選択をするのだろうか、楽しみなこともあります。
皆さんがガラパゴスに行く機会があるとしたら、それを選択されるのか、そして何を感じ、どう思われるのか、その感想をとても聞いてみたい気がします。
もし行かれる方、ぜひ配信してくださいね。
今回は短く、あまり面白い描写はなかったと思います。すみません。
次回も移動日の記録になりますので、少し短くなりますので、早めに配信を上げたいと思います。
次回はメキシコの有名な世界遺産遺跡、テオテワカン遺跡のツアーへ出発します。
お楽しみにお待ちください。