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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、
日本の犬と飼い主さんのQ&Aをあげるおテーマに、犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には子育てネタや、留学時代や旅行の思い出などのお話もお届けいたします。
さて少し間が空いてしまいましたね。今回は犬の【咬みつき】についてのお話をしたいと思います。
これは実はある方の配信を伺って思いつきました。犬の【咬みつき】と聞いた時、皆さんはどんなイメージをいただけますか?
ほえ、【咬みつき】は飼い主さんが犬の専門家の文句を叩く担い要因だと思いますが、そのうちより深刻なのは【咬みつき】です。
特に大型犬の【咬みつき】に関しては、生命の危機にさらされたり、時に痛ましいニュースとして人々の話題に昇ることも少なくはありません。
【咬みつき】には種類があります。ざっと大きく分けると4種類となるかなと思って分類しています。
【甘噛み】
1番、子犬の頃に出る成長過程の一種。噛みつきの程度を知る成長過程の一種。
特に生後4ヶ月から6ヶ月へ。乳歯から永久歯への抜け替わりの時期が最も激しい。
【甘噛み】の2、生献になっても出る興奮や甘え、じゃれつきの一種。
相手を痛めつけようという意図はなく、だいたいは落ち着けば収まるもの。
研修・正確により出やすい出にくいという差がある。
【本噛み】
本噛みの1番、相手に自分の意図を伝えるための軽い噛みつき、スナップと呼ばれることもある。
痛めつける、傷つける、攻撃的な意図はない。
生献の甘噛みよりも少し強い。繰り返しの学習経験が伴うことも多い。
通常は歯型が少し残ったり、軽い裂傷、内出血、青痣になったり、歯を当てるだけで傷にならないことも多い。
本噛みの2番、攻撃的な意図を持った噛みつき、バイトと呼ばれることもある。
パニック、極度の恐怖、捕食行動など、本能のスイッチが入った状態で出る強い噛みつき。
通常はかなりの負荷で、中型犬でも骨が折れたり、犬死が貫通するほどの重症となるケースも多い。
その対象が去るまで繰り返し攻撃したり、食いついたまま離れないという場合もある。
はじめにお断りをしておくと、犬は噛むという生き物です。
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噛むという行為は、彼らのDNAの中、どんな犬にでも組み込まれています。
彼らが持っている鋭い歯は武器であり、コミュニケーションツールの一つの手段でもあります。
うちの子に限ってということは存在しないということを、飼い主さんには心のどこかできちんと知っておいていただくことが必要だと思います。
人間が使わないこの噛むというツールを自分たちの犬に向けられた時、飼い主さんはパニックになり、動揺し絶望します。
うちの子が噛んだ!と、そう、それは何も不自然なことではないんです。
噛みつきの種類と原因、対策と予防策を知っておくことで、
しょっちゅう噛む犬になるのか、一生噛まない犬になるのか、選択できると言っても過言ではありません。
それは飼い主さんが、犬は噛む生き物である、こうすると噛む、こうしなければ噛まない、ということをまず知っておくことが必要だと思います。
今回は、以上の4種類のうち最初の2種類、アマガミのうちの2種類のお話をしようと思います。
飼い主さんからお問い合わせをいただいた時、それがこの4種類のどのケースにあたるかをまず大まかに分析します。
子犬や年若い犬には、アマガミの1・2が相当するケースが多いです。
アマガミの1の子犬のアマガミから見ていきましょう。
犬種や性格によっては、強く出て飼い主さんから、うちの子は攻撃性が高いのでは、激怒症候群なのでは、と不安になるお声をいただいたり、
実際、飼い主さんの手は細かい切り傷、ひっかき傷、内出血だらけということも少なくはありません。
子犬のアマガミは3ヶ月頃から始まります。
もちろん個体差もあります。離乳は本来なら歯が生えてくるため、母犬に授乳を断られる時期です。
実はこのプロセスは非常に大切なんですが、この離乳の儀式をしっかりと受けていない子犬は、噛みつきの抑制を学ぶのが遅いと言われています。
母犬は子犬にチブサを噛まれるのが嫌なので、子犬たちが父を求めてやってくると唸るようになります。
この警告、これ以上は近寄るな、という警告が理解できない子には、母犬は軽く子犬に歯を当てて、傷つけないくらいの軽い噛みつきを行います。
子犬たちは離乳の儀式から、唸っている犬に近づくと噛まれることがあるということを学び、どうすれば怒られないのかを学んでいきます。
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これは大事な大事な学習ステージの第一歩です。
耳を伏せ、尻尾を丸めて、母犬の口元を舐めて、並べて受け入れてもらおうとします。
飼い主さんにもこのように甘える子も多いですよね。
完全に離乳を済ませると、今度は親兄弟のじゃれあい子が本格的になります。
小さなパピーたちがくんずほずれつ、団子のようになってじゃれあっている姿は可愛らしさしかありませんよね。
実はこれらは彼らにとって非常に大事な噛みつきの抑制、犬同士の付き合いのマナーを学ぶステージなんです。
自分がどれだけ強く噛んだら相手が嫌がるのか?
反撃されるのか?
遊んでもらえなくなるのか?
どうしたら遊んでもらえるのか?
どれだけ強く噛まれたら痛いのか?
どうしたら相手が遊びに乗ってくれるのか?
どういう時は誘ってもダメなのか?
親兄弟との関わりを通じて、子犬たちはこれを学んでいきます。
今、日本の家庭で暮らしている犬たちがどれだけ離乳の儀式をきちんと通過しているのでしょう。
もし大量繁殖、人口保育、親兄弟と接することなくガラスケースに入れられて販売され、行き着く先が人間の家庭であれば、犬たちにはこれらの噛みつきの抑制、社会的な犬同士の関わり方を学ぶ機会がほとんどありません。
であれば、犬たちは当然、自分の力の有り余るままにその歯を使うようになりますよね。
ですので、人間家庭に来る前に犬との接触が少なかった子ほど、甘噛みは激しく、それは性嫌になっても残ることがあります。
また、お留守番が多い、エネルギーが高い、抑圧された生活をしている子ほど、この甘噛みは酷くなり本噛みに近くなっていきます。
こうした場合、飼い主さんのとる手段は2つです。
1、甘噛みをさせない環境、状況、行動をとる。
2、若いエネルギー、抑圧されたストレスを発散する機会を多く与える。
もちろん年齢が上がるとともに自然と消滅していく甘噛みのケースもありますが、対応策を間違えると余計に悪化したり、本噛みへ発展しかねないこともあります。
マズルをつかんで抑え込む、犬をひっくり返して抵抗がなくなるまで抑えつける、
口の中に固いものや拳を突っ込む、反撃してこなくなるまで叩くなどの対策は、私は個人的にはあまりお勧めしません。
なぜなら甘噛みは本来、相手に対する興味・関心・好意から出てくる行動だからです。
もし飼い主さんのことが嫌い、怖いようであれば犬は近づいてきません。
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その好意を踏みにじるような行動は、私は犬たちにとってフェアではないと思っているからです。
甘噛みがエスカレートしていくという場合、いくつかの条件が考えられますが、
そのうち多いのは、歯の抜け代わりのため、歯がむずかゆく、噛みたい衝動が強くなる、
成長とともに顎の力や噛む力が強くなる、
飼い主さんの反応を面白がったり、遊びの一環だと思っている、などが挙げられます。
もちろん、上記の3項目すべて当てはまる場合もありますし、他にも原因はあります。
人間の皮膚は当然弱いですから、犬の歯の前にはなす術がありません。
痛がってやめて、噛まないで、とか、お座りのダメ、などといって、
手足をバタつかせたり、犬をどかそうとして体を押したり、逃げ回ったりすることで、
犬たちは興奮して面白がり、甘噛みはエスカレートします。
ここで甘噛みをさせない環境、状況、行動をとるということが大切になります。
例えば、トイレシートを変えようとすると飛んできて、
汚れでシートや飼い主さんの手足を甘噛みしてくるので、
トイレシートを変えるのが大変で仕方ありません、というご相談を受けたことがあります。
私の回答は、「トイレのお掃除をするときには、クレートや別のお部屋で待っていてもらいましょう。」です。
何も同じ土俵で戦う必要はありません。
待って、待て、ステイなどのその場で待機するということは別に教えていき、
ある程度できるようになったら、クレートや別室を使わないで、
待ての指示でその場で待っていてもらい、トイレシートを片付けましょう。
それが私の意見です。
また、小犬や若い犬の噛みつきは、エネルギーの発散不足や抑圧されたストレスなども原因です。
家具や人を噛んでしまうから、と大型犬を10ヶ月まで1日2回の散歩以外は、
ケージの中で飼っていた、という方もいらっしゃいましたが、
こうした飼育状態は、噛みつき問題を根本から治すことはできません。
それどころか、さらに悪化させてしまうことさえあります。
飼い主さんが悩まれる多くの問題は、1日4、5時間毎日違ったコース散歩に出れば、
特別なトレーニングをしなくても解決するだろうな、と思うことが多々ありますが、
そんな余裕がある飼い主さんはほぼいませんよね。
どうしても犬のエネルギーを発散することができないという場合には、
シッターさんや預かりトレーニング、犬の幼稚園や保育園といった
その道のプロにお願いするのも一つの方法だと思います。
甘噛みの2は、整形になっても残る甘噛みです。
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これは例えば、飼い主さんがお留守番から帰宅されたり、
新しいおもちゃでひっぱりっ子で遊んでいる時、またはそれをやめた時、
飼い主さんの手まで噛むようになったり、服を引っ張ったり、
飛びついてきて、ジャンプして噛む。
追いかけっ子やじゃれあいっ子をしてくる時に、パクパクと小さく噛んでくるような時です。
これには攻撃的な意図はなく、嬉しさと興奮からつい出てしまう、
軽い噛みつきの部類になります。
性格や研修によって出る子、出ない子は分かれるでしょう。
ボーダーコリー、コウギ、ジャックラッセル、シバ犬、チワマなどは出やすいと言えそうです。
興奮すると色々な行動を犬はとりますが、
その研修の本能的用途が出てくることも多いです。
興奮すると吠えが出やすいのは、ビーグル、ダックス、プードル、シナウザーなど。
回ったりジャンプしたりは、パピオン、シワ犬、プードル、レトリーバー、ヒタグレなど。
もちろん全ての行動を伴う場合もありますし、個体差も多くあります。
愛犬はどんなことをするとどの程度興奮するのか、
それを飼い主さんが正確に把握しておき、
甘噛みが気になるようであれば、どこまで過度な興奮をさせないという方法がやはり有効だと思います。
甘えてるからこれくらい許そうかなと思っていると、
ますますエスカレート、ヒートアップして噛みつきが強くなってしまい、
全く言葉を聞いてくれないほど興奮してしまうという場合もあります。
きちんと今日はここまでと線引きをするのも、飼い主さんの大切なしつけになります。
飼い主さんがそれを教えない限り、犬たちは人間とどこまで遊んだらいいのか、噛んでいいのかということがわかりません。
興奮しすぎてしまったらなかなかすぐに冷静に戻ることは難しいというのが犬です。
さて次回は噛みつきの後編。
いよいよ本題の本噛みの2種類、攻撃性のない学習経験による噛みつきと、
攻撃性のある強い噛みつきについてお話ししようと思います。
最後まで聞いていただきありがとうございました。