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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、あなたとワンちゃんの10年をよりよく変えるをもとに、犬と生きる10数年をもっと本気で楽しみたいあなたに、幅広い分野から犬に関するお話をお届けしています。
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飼い主さんが変われば、犬が変わる。犬のことをもっと知って、あなたも犬育てのプロになりませんか?
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さて今回は、ペット飼育者専用マンションのオーナー様からのご質問への回答事例、続きをお話します。
ペット飼育者専用の新築物件のオーナー様より、入居規約に虚勢は必須であるということを盛り込んだ方がいいか、どうかというご質問をいただきました。
虚勢が必須という理由がマーキングを防ぎたいということであれば、虚勢だけでは防げないと思いますよ、ということは前回お話しましたね。
まだ聞いていないよ、という方はぜひ前回配信も聞いてみてください。
今回は、喧嘩やトラブルを避けたい、無駄防衛によるクレームを減らしたい、という目的について、虚勢必須の条項が実効力を持つかどうかお話ししていこうと思います。
まずは、喧嘩やトラブルは虚勢をすることで防げるのか、という点について、これはご想像の通り、虚勢をするということだけでは全く防ぐことはできません。
虚勢をするイコール犬の性格が穏やかになる、ということに関しては、私はあまり期待しない方がいいなと思っています。
特に幼年期に虚勢をした場合、幼い頃ですね、虚勢をした場合には行動の基本となる個性、人間で言えば人格形成ができていくというのはその後からになってくるんですよね。
攻撃性があるという犬が虚勢を進められる、ということは昔はよくあったようですが、現代では犬の攻撃性イコール男性ホルモンだけの問題ではない、ということはよく知られています。
そしてメス犬に関しては、否認したメス犬の方がどちらかというとこういった手の問題行動は起こしやすい、ということも知られています。
犬の攻撃性と否認の有無の件については話がそれてしまいますので差し控えようと思います。
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犬同士の喧嘩やトラブルを防ぎたいという気持ち、これは管理者側であればもちろん強いと思うんですよね。
ですが残念ながら、喧嘩やトラブルというものは虚勢、つまり男性ホルモンの生存をストップしたところでなくなるものではありません。
これはメス犬同士が喧嘩することもあるということからもお分かりになると思います。
もしできるとしたら、発情期のメス犬を巡って行われるオス同士の争いや競争に関してであればおそらく効果はあるかもしれませんが、それ以外であれば大した効果は得られないでしょう。
というのも犬同士の喧嘩やトラブルは大きく2つの要因から起きるからです。
1つは犬同士が接触すること、もう1つは飼い主さん及び管理者による犬のコントロール力が不足していることです。
逆に言えば犬同士の極端な接触を避けて、飼い主さんや管理者の方がコントロール力を身につけるということで、喧嘩やトラブルは避けることができます。
そして無駄防衛によるクレームを減らしたいという問題、こちらに関しては虚勢がどれだけの効力を発揮するのか。
そもそもこちらのオーナーさんが心配をしているということの1つ、それは発情中の犬を巡って、メス犬ですね、巡って未虚勢のオス同士が喧嘩をしたり吠えあったりするのではないかということがありました。
また発情中のメス犬が近くにいると遠吠えしたりするんでしょう、それだと近所迷惑になるのでは、という懸念もあったようです。
これについては、この条件の虚勢に多少効果はあるかもしれません。
虚勢否認についてはあくまでも飼い主さんの判断だと思いますが、日本の犬の仕事に関わるプロフェッショナル、これは繁殖に関わるブリーディングを行う方以外は、否認虚勢を進めるという方が多いと思います。
動物関連事業者の方ですね。私もこんな話をしていますが、虚勢否認に反対をしているわけではありません。
発情中のメス犬に引きつけられているのに、自分ではどうにもしようがない本能に突き動かされている未虚勢のオス犬の気持ちを考えたら、私が女性であったとしてもちょっとかわいそうだなぁと思ってしまいます。
男性の皆さん、どうでしょうね。
ですので、やはり周りに発情中のメス犬がいれば、いつもより過剰に吠えたり、場合によっては遠吠えをする未虚勢のオス犬がいても不思議ではありません。
ただし、その条件を取り払った場合には、虚勢をしていないから吠えるということはありません。
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犬の吠えに関しては、必ず理由があります。
そして警戒や警告、恐れや攻撃的な意図から来る吠えというのは、その対象がなくなれば長く続くということはないんですね。
これは私の経験上からの一意見ですが、マンションなどの集合住宅でクレームになるほどの吠えというのは、だいたいが長く続く吠えです。
この長く続くというのは、人によって30分なのか1時間なのか3時間なのか、それは変わってきますが、
例えば3日に1回来る宅急便の人に5分から10分程度吠えるというくらいでは、マンションの理事会で議題に上がるということは珍しいでしょう。
言うほど犬嫌いの方が隣人でない限り。
とはいえ、それを放置していていいというわけでもないんですけどね。
であれば、マンションなどの集合住宅で問題になる吠えというのは、頻度と長さです。
そして過去、数々の隣人との吠え問題に携わってきた私の感覚としては、
集合住宅で問題になる吠えというのは、攻撃性や警戒心からの吠えよりも要求吠えです。
この要求吠え、例えば人が帰宅したときの、「構って遊んで。」という吠え、
例えばご飯の時の、「早く飯をくれ。」という吠え、
例えば朝の、「早く起きてお散歩に行こうよ。ご飯をちょうだいよ。」という吠え、
例えばお留守番をさせられている時の、「寂しいよ。誰かいないの?帰ってきてよ。」という吠え、
これらの吠えというのは、要求が叶えられるまで続き、吠えることによって要求が叶えられたという経験から、
犬はさらに強く、長く、そして頻繁に吠えるようになっていきます。
これが多く集合住宅での問題事項に挙げられやすいのですが、
ここには虚勢や否認の有無というのはほとんど関係がないと思っています。
ということで、喧嘩やトラブルを避けたい、無駄ぼいによるクレームを減らしたいという要望は、
虚勢を必須にするということでは対策不十分だということは、皆さんにもよくお分かりになられたと思います。
それでは、集合住宅で犬同士の喧嘩やトラブル、無駄ぼいによる住民同士のクレームやトラブルを防ぐためにできることは何でしょうか。
それはやっぱり、犬のコントロール、管理を飼い主さんご自身がしっかりできるようにしておくということに尽きると思います。
最後に少し余談になりますが、私はイギリスでの犬留学時代、よく狩りの現場やガンドックのトレーニング、コンペティションに連れて行ってもらいました。
その場には、オス犬もメス犬もいて、繁殖で良い血統を残すために否認や虚勢をしているのは稀だったと思います。
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それでも特に狩りの現場、両場やコンペティションでの犬同士の喧嘩やトラブルは厳禁5発とです。
血液の匂いで両場がかくらんされてしまうので、発情期の出血中にはメス犬は競技には出場できませんが、その前後はOK。
当然、発情期の前後、直後にはかなりフェロモンの匂いが強いですから、オス犬たちの中には当然引きつけられる犬もいるんですよね。
ですが、狩りの場やコンペティションの場というのは神聖な場です。
当然、打ち落とされた鳥を回収する時にはノーリードですが、ノーリードにされた瞬間に一目散にお目当てのメス犬に走っていくという姿は、
ハイレベルのコンペティション、両場では見たことがありません。
私はそのことで、虚勢否認は犬のコントロール能力を左右するものではないと強く感じました。
虚勢否認をしようがしまいが、犬のコントロールを飼い主さんがどんな時でも行い、その行いに全責任を負うということは犬を飼う上では基本的なことであり、
その方法は今や無料でも簡単に手に入ります。
もし、犬のコントロールの方法がわからない、難しいという場合には、プロフェッショナルの方に指示をあらわれるのもいいと思いますよ。
それでは、2回にわたり、ペット専用マンションのオーナー様からのご質問。
入所者規約に虚勢は必須ということを盛り込んだ方がいいかどうか、というご質問に対してお答えをしてみました。
最後まで聞いていただきありがとうございました。