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こんにちは。横浜で15年以上、犬の保育園の先生を行っている、なおちゃん先生と申します。
こちらの番組では、たくさんのワンちゃんや飼い主さんと関わってきた私が、
日本の犬と飼い主さんのQOLをあげるテーマに、犬のあれこれについて、私個人の見解からお話ししています。
時には子育てネタや留学時代、旅行の思い出などのお話もお届けいたします。
さて、今回は昨日のヒロミカさんとのコラボライブの振り返りになります。
ご参加いただいた皆様、ヒロミカさん、本当にありがとうございました。
最後は娘が大泣きしてしまって、何とも歯切れの悪い終わり方になってしまって、すみませんでした。
超等栄養学の観点からヒロミカさんが、行動学と現場の経験と経験観点からは私が、
それぞれ思うことをお話しした犬の攻撃性について、
このコラボのきっかけとなった高タンパクの食事は、犬の攻撃性を高めるという論文に対して、
それぞれ持論を展開するという内容になりました。
お聞きになったことがあるかもしれませんが、
肉をたくさん食べさせていると攻撃的な犬になるという都市伝説的な意見は、
実は論文としても上がってきているんですね。
私たちの持論の共通点としては、高タンパク質食が犬の攻撃性を高めるという結果を論文は得ているものの、
それは攻撃性なのか活動性なのかが曖昧である。
そもそもの研究対象としている攻撃的な犬の攻撃性とはどういった時に見られるものなのか、
どういう背景、環境、生活をしてきたのかがわからない。
犬の攻撃性というものの定義をどのようにしているのか。
高タンパク食のみが犬の攻撃性を高めるという要素ではなく、
他にも要因があるのではないか。
特に腸内細菌の種類や活性については注目すべき点である、という結果に落ち着きました。
タンパク質を減らして栄養的に不足しているフードを食べている犬は、
食ったりして元気がなかったり、活力が見られないということを、
攻撃性がない犬ということは要因にできますよね。
また、そもそも研究対象にしている攻撃性のある犬の定義について、私は疑問でした。
犬の攻撃性というのは、すべての犬が本能として持ち合わせて生まれてきているものです。
なぜなら、攻撃性があることで身の安全を確保し、獲物を捕らえ、子孫を残すことができるからね。
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持って生まれた攻撃性をどのように使うか。
そして、それは時としてコミュニケーションを取るためのツールとしても頻繁に使われるものだからです。
犬はもともとは争い合うのが嫌いな動物です。
というより、ほぼすべての動物がそうですが、無駄に殺し合いや流血沙汰は起こしません。
相手もですが、自分も傷つくリスクがあるからです。
なので、相手と争わなければならないようなシーンにおいては、
いかに俺は攻撃するぞ、それ以上やったら、近づいたら攻撃するぞと相手を威嚇し、
実際はその威嚇に怯んだ方が逃げることで、バトルにならず解決するということが定策なんです。
そのため犬たちは、攻撃するぞするぞ詐欺をよく使いますし、そのための豊かな表現方法を身につけてきました。
うなる、毛を逆立てる、姿勢を低くする、鼻にシワを寄せる、尻尾や耳を立てる、目を吊り上げるなどのボディランゲージがそれらです。
俺はこれから攻撃するぞ、というものの、このパフォーマンスを見せて相手が逃げてくれたら、本人はバンバン罪。
内心はホッとしているはずで、逃げた相手をしつこく追いかけて、喉元に噛みついて殺してやろう、なんていう犬はほとんどいないんです。
では、これは攻撃的な犬の仕草と言えるんでしょうか。
私はどちらかというと、これらのディフェンスやソーシャルにおいて見せる犬の攻撃性は、平和的解決のためのコミュニケーションスキルであると思います。
ディフェンスは防御、ソーシャルというのは他者との関係において見せる攻撃性というものになりますね。
攻撃性は防御、他者との関係性に関わるソーシャルのほかにも、フラストレーションからくる転化行動、痛みに起因する攻撃行動、恐怖が引き金となる攻撃行動などがあります。
また、ヒロミカさんのご専門である栄養不足からくるもの、化学物質や添加物によるホルモンや精神のバランスを崩して起こりうる攻撃性もあると言われています。
それぞれ原因が違いますが、私が現場の経験から見てきた限りでは、犬の攻撃性は高タンパク質の食事よりも、社会化、経験不足による恐怖からが一番多いように思えます。
私は両極端の犬の例を知っています。
私がイギリス犬留学時代に師匠が飼っていた犬たちは、ガンドッグという鳥の回収競技を行うスポーツドッグたちでした。
運動量は日本の一般家庭の犬の数倍はあったと思います。
彼らの食事はすべて生食、特に主食は骨付きの生肉でした。
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チキン、牛、馬、羊、豚といろいろな肉の種類はありましたが、一番多かったのは骨付きの鶏肉やターキー。
そして彼らは打ち落とされた鳥やウサギを回収して戻ってくるという競技をします。
彼らは決して食われた獲物を途中で食べるような真似はしません。
私は当初、毎日チキンを食べているのに、どうして獲物は食べないんだろうと不思議なものでした。
彼らは自分の仕事をきちんと把握していたんですね。
伸び伸びと育ち、心身ともに満ち足りた生活をして、たくさんの経験をして、生肉を食べている師匠の犬たちに人間に対する攻撃行動を見ることはありませんでした。
犬同士のいさかいもほとんどなく、あったとしても経験豊富な犬たちは上手にボディランゲージを使って喧嘩を避けていたものです。
私が見てきた中で、本気で犬が人を噛む行動には2種類があり、一つは社会化不足、経験不足による恐怖から引き起こされたものがほとんどです。
もう一つは、学習経験からの強化行動、これはある状況においてやむを得ず噛むことになってしまった犬が、その効果から学習し、同じ状況において噛むことで状況が改善することを覚えたというものです。
ちょっと難しいかもしれませんが、例えばお散歩に行くときに首輪をつけられることが嫌なワンちゃんが飼い主さんが首輪を持って近づいてきたときに、飼い主さんの手を噛むことで飼い主さんがひるんでその手を引っ込めたというような学習経験が重なっていくとですね、
首輪を持っただけでうなるようになるとか、首輪を持って近づくと噛んでくるというような噛みつきの状況が出てくると思います。
でも、彼らはこういったワンちゃんはほとんど生の肉は食べたことがないと思います。
このことから私の経験則としては、高タンパク食や生肉を食べることがすなわち犬の攻撃性を高めるということには即つながることはないと思います。
むしろ経験不足による恐怖ややむを得ない状況での噛みつきが、こうそうした場合の学習から強化されるものであると思っています。
攻撃性は犬同士のコミュニケーションや生きる本能の中にプログラムされた行動であり、どの犬も持ち合わせているもの。
生まれたばかりで攻撃性の強い犬というのはいません。
純粋な攻撃のための攻撃行動は捕食や生殖に関わる本能的な行動で、ペットとして飼われている犬たちの日常生活にほとんど見られることはありません。
残念ながら、その持って生まれた攻撃性を引き出すか、ほとんど発揮せずに終わらせるかは、
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犬種、遺伝、生活環境、育成環境、幼少期の体験と社会化、そして最大のものは関わる人間、すなわち飼い主さんの行動にかかってきます。
私が犬に対抜を与えない、しつけをする最大の理由がここにあります。
対抜を与えて育てた犬には、抜に対する、人間に対する恐怖が残ります。
その恐怖が抑えきれない、逃げきれないものになったとき、犬たちは今までは見せてこなかった攻撃性を見せることがあるからです。
犬を触る手は犬にとって限りなく優しく、良い印象のものであるべき。
そうすれば犬たちは人に対して攻撃性を高めるということはありません。
抑えつける、叩く、拳を口に突っ込む、マズルを掴む、無理に持ち上げたりひっくり返して抑えつける、
嫌がっているのにしつこく触る、そういう犬にとって嫌な手、押しつけと称して使うことで、
犬に知らず知らずのうちに攻撃性を開花させてしまっている可能性は、私は怖いと思います。
約2万年かけて、人と犬は距離を縮めてきました。
犬の祖先とされる狼の中で、より穏やかなもの、より好奇心の強いもの、よりなつきやすいものが当初は好まれて、
人間社会に近づき、やがて犬へと進化してきたのです。
その根底にあるものは、お互いへの信頼関係。
事実、犬は人が手を出すとニョニョ鍵に寄ってくるという習性が身につけた唯一の動物であるという説もあります。
差し出すその手が犬たちの攻撃性を高めるのか弱めるのか、それは人の行動次第だと私は思います。
あなたの手はどんな手ですか?犬たちにとってどんな手でありたいですか?
今日も最後まで聞いていただきありがとうございました。次回もまたよろしくお願いいたします。