そして、それを実現してしまう手腕にも。
とにかく御社の全てが新しく、また独創的であるため、今後私自身が思い描くビジネスパーソンになるためには、
まだ誰も経験したことがない業務に携われる御社だけであるという点が最大の魅力です。
歌方を始めた時、あなたはまだ小さかったんじゃない?
はい。小学3年生、9歳でした。
その年齢でよくマインドシェアに興味を持ったわね。
はい。父がその分野に少し詳しかったようで、実は当時2日間だけ歌方を体験したんです。
父がPCを付けっぱなしで外出してしまった時に、好奇心を抑え切れずに勝手にログインしてしまいました。
歌方に年齢制限があるのは知っているわよね?
はい、もちろんです。ただ当時は、年齢制限はもちろん、
仕様上のルールや、ましてや、あれが歌方であるということすらも認識していませんでした。
大変申し訳ございません。
別に責めてるわけじゃないの。そう、道理で詳しいわけね。
そんなに幼くして歌方を知ってしまったんだものね。
はい。ただ、あの時歌方を経験できたことで、私の人生の目標と夢が決まったんです。
なるほど。今回弊社を受けた理由もその辺にあるよね?
はい、お察しの通りです。
なるほど。そのお話もぜひ聞かせてほしいけど、まずはあなたのことを教えてくれる?
ちゃんとあなたを理解した方が面白そうだから。
承知しました。
改めまして、藍染香と申します。
出身は群馬県間抜け村というところなのですが、今は合併して群馬市になっています。
大学では心理学を専攻していました。
フルリモートで授業を受けられる学科だったので、世界を点々としながら単位を取得しました。
1年の時に上海から始めて、西回りで卒業と同時に日本に帰ってきました。
だいぶアクティブなのね。何をそんなに生き急いでいるの?
とにかく何でも自分で経験したいという焦燥感があるんです。
中高とサッカーをやっていたんですが、本当は野球漫画みたく甲子園も目指したかったし、
バスケでも全国目指したかったし、100人一種もやりたかったし、恋もバイトもしたい。
だけど、どれかに集中しないと本当に欲しいものは何も得られないんですよね。
でもあなたはもうその頃には歌方を知っているでしょ?
自分で経験しなくてもシェアすればいいんじゃない?
私が経験を与える側になりたいんです。
正確には、ただで大事な経験や知識をもらう側になりたくないというか、
ちゃんと経験には経験で対価を払えるようになってから他の人の記憶をもらいたいんです。
それに…
それに?
あ、いや、何でもないです。
とにかく自分自身の経験に対しての上があるんです。
今時ここまでハングリーな若者も珍しいわね。
じゃあ、あなたが家に入ってどんなことで役に立てると思いますか?
私のような弱肺者がすぐにお役に立てるとは思っていませんが、実現したいことがあります。
へぇ、何かしら?
音者の歌方は経験と知識を他者と共有することができます。
現在、その共有された経験と知識を保存できるようなシステムも開発中だと伺いました。
よく知ってるわね。
はい。
そして私が音者で働かせてもらうことになった暁には、
歌方で経験と知識に加えて感情も共有できるようにしたいと思ってます。
感情…
はい。私自身、いろいろな国を訪れてみて、経験と多少の知識はたまったんです。
ただ、それよりもかけがえがないと思ったのが、
絶景を見て綺麗だなって思ったり、現地の方に優しくしてもらって感謝したり、
そういう感情ってあまり文章でも写真でもちゃんと残せなくて、
いざ帰国して振り返った時に、そのまま思い出せなかったんです。
でも、その時に感じた気持ちは忘れたくないし、
他の人の経験でも、その時にどう感情が動いたのか知りたくなったんです。
だから、歌方に感情を持ち込みたいと思っています。
んー、面白いアイディアね。
もちろん、それだけ大切なものだから、ユーザーの意思で共有する市内を選択できるようにした方がいいと思いますが、
私たちがより豊かになる一助になるのではと確信しております。
この歌方というサービスはね、私が40歳になった時に立ち上げたの。
若い頃の私は、どちらかというと引っ込み事案でインドアだったんだけど、
結婚して子供を産んで育ててみて、ふと気がついたの。
私、普通のことしかしてないって。
もっとあなたみたいに海外行ったり、友達と遊んだりしておけばよかったって、後悔しちゃったの。
でも私がやりたかったことは、その時からでは遅いものばっかりで。
だから、他人の経験や知識を共有してしまおうって考えて、それで歌方は生まれたの。
以前、袖引き社長が出されていた書籍にも書かれてましたね。
あの本まで読んでるの。感心ね。
はじめは社員二人の会社だったんだけど、気づけば創業十五年、社員も千人近くになるわ。
あなたのアイディアはハードルもあるけど、そういう新しい挑戦が必要な頃なのかもしれないわね。
ね、最後にあなたの死亡理由を聞かせてくれる?
はい。そのためにはまず、私が歌方と出会った頃のお話をしなければなりません。
私が九歳の頃、あれは夏休み中のことでした。
お父さん、開けるよ。
いない。また出張かな。いつ帰ってくるんだろう。
せっかく夏休みなのに、また一人ぼっちだ。
ああ、つまんないな。
あ、またパソコンつけっぱなしだ。
う、た、か、た?
なんだろう、ゲームかな?
ちょっとくらい触ってもいいよね。
VRゴーグルを装着してください。
うわ、しゃべった。
ゴーグル、あ、これか。
ようこそ、マインドシェアサービス歌方へ。
私はAIアシスタントのあれ。よろしくお願いします。
あれ、うん、よろしく。
あなたの名前を教えてください。
僕は、こうだよ。
やあ、こう。よろしくお願いします。
まずは、あなたのマインドの設定です。ご希望はありますか?
えー、すぐできないの?設定とか嫌いなんだよな。
では、おまかせでよろしいですか?
おまかせにできるの?
うん、じゃあおまかせで。
かしこまりました。
次は、他のユーザーへのマインドの設定です。
どこまでの共有を希望されますか?
うーん、よくわかんないから、それもおまかせで。
承知しました。
続いて、アバターの設定です。
お好みのスキンはありますか?
スキンって何?
どのような見た目になりたいですか?
ん?僕は僕だよ。このままがいい。
承知しました。
こう自身をスキャンし、アバターを設定いたします。
6桁のルームナンバーを指定してください。
番号を言えばいいの?
うーん、あ、これでいいや。
443116
承知いたしました。
ルーム443116はテストルームと設定されています。
テストルーム?チュートリアルってこと?わかった。
それでは、ルーム443116へご案内します。
やっと始まる。どんなゲームなんだろう。
新しいユーザーがログインしました。
え?誰?
あれ?もう始まってる?
この人たちは?
はじめまして。私はハル。この子はシエン。
シエン?
ママがタバコが好きだから。
なんか近くない?
タバコでシエン?なんで?
紫の煙って書いてシエンって読むの。
タバコの煙のことをそう言うのよ。かっこいいでしょ?
へー、かっこいい。僕はコウ。9歳。
へー、かっこいいね。コウは本名?本名で登録したの?
勇気あるわね。こういうのは自分で考えた名前でいいんだよ。
そうなの?
でも僕、この名前気に入ってるからいいんだ。
僕の名前もママが付けてくれたんだ。
そうなんだ。いい名前だね。
ここにはどうやって来たの?
えっとね。
それでは体験記憶のアップロードを始めます。
あ、ちょっと待って。
今回は1年分となりますので所要時間は3から4時間になります。
もう融通が効かないAIね。
アップロードの間はこの部屋から出ることはできません。
それ以外は何をしていただいてもかまいません。
それではまた後ほど。
あれ、バイバイ。
うそー。えー、どうしよう。
えっと、コウ君、ここにはどうやって来たの?
お父さんがパソコンつけっぱなしで出張に行っちゃったから、
触ってみたらここに入ったんだ。
ダメだった?
ううん、そんなことないよ。大丈夫。
ここにいていいんだよ。
そっかー。
でもここに入るときにお部屋の番号を聞かれなかった?
番号・・・
あ、聞かれた。
どんな数字答えたか覚えてる?
えっとね。
えーと・・・
忘れちゃった。
お父さんの机にあったメモの数字だった気がするんだけど。
そうなんだ。そんな偶然があったか。
やっぱりルームのセキュリティが甘いんだよな。
ごめんなさい。
全然全然、コウ君は何も悪くないよ。
入っちゃったもんは仕方がないから、一緒に楽しみましょ。
よし、まだ時間あるから、何か飲みながらお話ししよっか。
私、牛乳。
はいはい、牛乳ね。
あんた本当に牛乳好きね。
コウ君は?
僕はお水。
あれー?コウ君遠慮してる?
ここはバーチャル空間なんだから、どんなワガママ言ったっていいんだよ。
何だってあるんだから。
本当は何が飲みたい?
コーラ。
お、炭酸好きなんだ。大人じゃん。
ちょっと待ってて。
はい、お待たせー。
さ、何のお話ししよっか。
私ばっかり質問しちゃったから、コウ君、何か聞きたいことある?
それとも何かゲームでもする?
二人は友達なの?
違う。春はご主人様。
ご主人様?お金持ちのお嬢様ってこと?
そんなんじゃないよ。むしろ私の方が支援の召使いって感じだよ。
牛乳よこせとかご飯用意しろとか振り回されてばっかり。
支援はドアすら自分で開けないからね。気まぐれお姫様なんだから。
仲いいんだね。
ねえ、これって何するゲームなの?
え?歌方がなんだか知らずに入ってきちゃったの?
そこからか。えっとね、何て言ったらわかりやすいかな。
経験と記憶を共有するの。
ねえ、さっきから近くない?
あなた、変な匂いがする。ちょっと寂しそうな匂い。
寂しそうな匂いってどんな匂い?
えっと、経験と記憶ってどういうこと?
支援がごめんね。ほら離れなさい。
えっと、コウ君は今9歳だよね。
8歳のお誕生日のこと覚えてる?
うん。8歳の誕生日はね、ママがチラシ寿司作ってくれたんだ。
僕が好物だからっていっぱい作ってくれたんだ。
チラシ寿司いいね。私も食べたい。
もう終わり?
今日の分はね、これから圧縮作業だから、一旦解散して、また明日同じ時間にここで集合しよっか。
明日も遊べる?
うん。また明日遊ぼう。だから今日は帰ってご飯食べて、ゆっくり寝よう。
うん。
それじゃ、今日は落ちますか。
じゃあね。
うん。バイバイ。また明日ね。
バイバーイ。
さ、じゃあ私たちも落ちようか。
忘れ物したから、先に帰ってて。
え?忘れ物って?
アレ、メッセージを録音して。
かしこまりました。
全員揃いましたので、昨日アップロードされた記憶の共有を始めます。
今回は一年分となりますので、所要時間は3から4時間になります。
記憶のダウンロードの間は、この部屋から出なければ何をしていただいてもかないません。
それでは、また後ほど。
記憶って、ダウンロードされたらどうなるの?
二人の一年分の思い出が、一気に入ってくるってこと?
大丈夫?
記憶はね、ダウンロードしたからといって、その記憶が一気にコウ君の頭の中にあふれるわけじゃないの。
いつでも引っ張り出せるところにしまってある感じ、って言ったらわかるかな。
誰から教わったのか、何で読んだのか、どうやって知ったのか思い出せない知識ってあるでしょ?
なんでこんなことを覚えてるんだろう?って思っちゃうような。
木工用ボンドの正式名称は作酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤だとか、
お弁当に入っている魚の形の醤油刺しはランチャームって名前なんだとか、
甲子園球場の土は春と夏で黒土と砂のブレンドが違うとかね。
でも、その知識についていつも考えているわけじゃないでしょ?
そんな感じ。思い出そうとしなくても知ってる。
それがマインドシェアなの。
それでわかる?
なんとなくわかったような。
まだいいこぶってる。
しんえん、今はなんとなくでいいよ。
急に情報がバーっと入ってきて困っちゃうってことはないから大丈夫。
ダウンロードが終わったら思い出すのがどんな感じかやってみよう。
で、まだまだ時間あるね。
今日は何しよっか。
こうくんやりたいことある?何でもいいよ。
どうしたの?
共有が終わったら、
二人とはもう会えない?
あー、そうだね。
プライバシーのセキュリティも入ってるから、リアルで会うのは難しいかもね。
そうだよね。
うん。全然大丈夫。
また無理してる。
そんなんじゃないよ。
でもさ、せっかく仲良くなったのに。
わがままになればいいのに。
ちょっと、無責任なこと言わないでよ。
どれくらい離れた距離で暮らしているかもわからないし、
それにあんたは。
ごめんね。僕は大丈夫だから。
喧嘩しないで。
それでいいの?
いいんだ。
僕のことで誰かが喧嘩するの嫌なんだ。
僕が我慢すれば、
僕が余計なこと言わなければ、
僕がいい子にしてれば、
誰も怒らないでしょ?
困らないでしょ?
こうくん、
私は日向が好き。
何急に。
日向?
って、お日様が当たってるところ?
私は、自分の気持ちが良くなるところが好き。
それ以外は嫌い。
でも、私が寝てると日向は逃げる。
だから、私は次の日向に行くの。
えっと、自分の居場所は自分で作るって言いたいのね。
いいこと言うじゃん。
そうね、こうくんはこうくんらしくいられるように振る舞う権利があるの。
すぐには難しいかもしれないけど、
自分の気持ちも主張できるようになろう。
うん。
そうしたら、また会える気がする。
うん。
よし、じゃあこうくんの不安も払拭されたし、
ダウンロード終わるまで何やろっか。
僕、
二人とお話がしたい。
お話?
ゲームじゃなくていいの?
うん。
二人ともっとお話がしたい。
今、言えたじゃない。
ダウンロードが完了しました。
お疲れ様でした。
何も変わった気がしないね。
でしょ?
じゃあ歌方の成果を試してみようか。
どうしよっかな。
あ、じゃあお祭り。
お祭りのこと考えてみて。
こうくんはお祭りって聞いて、
どんなこと思い出す?
お祭り?
えっと、
あれ、
春姉ちゃんが浴衣着て、
フランクフルトと綿飴食べてる。
欲張りね。
あ、ちょっと、
そこまで思い出さなくていいの?
でも分かったでしょ?
こうくんとは昨日会ったばっかりだし、
私が浴衣を着ているところなんて見たこともないのに、
知ってるでしょ?
そういうこと。
ほんとだ、不思議。
じゃあ、春姉ちゃんもお祭りを思い出したら、
僕のこと思い出すの?
ちょっと待ってね。
あ、去年の神社の夏祭りで、
学校の先生に会ったんだよね。
他の子に内緒だよって、
しんちゃんとジュース奢ってもらったんだね。
え、しんちゃんのことも知ってるんだ。
すげー。
歌方ってすごいね。
こうは面白いね。
え?
僕、面白い?
まだ変な匂いがする。
変な匂い?
僕、臭い?
まだ乾いていない洗濯物の匂いがする。
乾いたら、いい匂いなのに。
ちょっと、それ失礼だよ。
と、とにかく、歌方ってすごいでしょ?
ちょっと思い出そうとしてくれたら、
いつでも私たちは幸福の頭の中にいるってことだからね。
うん。
これなら寂しくないね。
二人のこと、いっぱい思い出すね。
ありがとう。
私たちもいっぱい思い出すね。
こうはもっと日向に行きな。
うん。僕の日向を探してみる。
こうくんなら大丈夫だよ。
またどこかで会えるのを楽しみにしてるね。
絶対だよ。忘れないからね。
さ、もう戻らないとお家の人心配しちゃうよ。
はい。行使混同ではありますが、楽しみです。
わかるといいわね、彼女の気持ち。
じゃあ後の段取りは任せるわ。
私はプレスへの発表の準備をします。
はい、よろしくお願いします。
過去にマインドシェアされた記憶に感情が付与されました。
お疲れ様でした。
じゃあ早速。
お疲れ様。
港社長、なんでここに?
あなたが最初にテストするならここじゃないかと思ってね。
なんでこのルームを知ってるんですか?
大きくなったね、コウ君。
まさか、春姉ちゃん?
やっぱり気づいてなかったよね。
私もこの前のミーティングの時まで忘れてたの。
藍染君、コウ君っていう名前だったのね。
この前、あなたの小学生の時の話を聞いて思い出した。
紫苑のこと、大事に思ってくれていてありがとうね。
紫苑ちゃんもここに来てるんですか?
紫苑はここに来られない。
なんでですか?
感情もシェアしたんでしょ?思い出してごらん。
なんだろう、他の人の記憶と感情となんか違う。
もやがかかったように見えないし、なんかずっと寂しい感情だけが溢れていて。
白内瘡も患っていたからね。
あの子ね、猫なの。
猫?どういうこと?
本名はメビウスって言うんだけど、家で飼っていた猫でね。
私が小さい頃に家に来てずっと一緒だったの。
でも年齢も年齢だし、病気にもなっちゃって。
動物病院でももう長くないって言われちゃって、私それが嫌で。
メビウスがいない人生なんて考えられないと思って、
母に内緒でうたかたにルーム作ってメビウスと一緒にいたの。
母にバレないようにうたかたネームまで作って。
そのルームに僕がたまたま入ってしまったってこと?そんなことって。
すごい偶然よね。でもそうみたい。
あの時は本当にびっくりしたんだから。
うたか会長はそのことを知ってたんですか?
知っていたみたいね。内緒にはしてたはずなんだけどね。
ちょっと、まだ飲み込めてなくて、何から聞いたらいいかわからないんですが。
シーちゃんは今…
あの後少しして亡くなったわ。
そうですか。もう会えないんですね。
うん。でもメビウスに会うためにコウ君がこんなに頑張ったって知ったら喜ぶと思うよ。
そうですかね。だとしたら、僕も嬉しいです。
僕にとってシーちゃんは初恋の人でもあり、恩人でもあるんで。
恩人?
あの日、シーちゃんが常に日向を探しているって言ってたんです。
自分にとって居心地がいい場所にずっといたいって。
ここはあの時の僕にとっての唯一の日向だったから。
ここに戻ってきたい。
シーちゃんのことをもっと知りたいって思ってここまで来たんです。
そうだったの。あの子ちゃんといいこと言ってたんだね。
そうだ、日向。あの日最後にも日向に行くって。
そんなこと言ってた?
あの、日向について思い出してみませんか。
ミナト、コウ、思い出してくれてありがとう。
本当は何も残さずに消えようと思っていたけど、二人が一緒に来てくれると思ったから残しておく。
私は予知能力があるみたい。
ミナト、あんまり夜更かししたらダメだよ。
あなたはママの期待に応えようとすぐに無理するから。
無理している時のあなたの匂いは好きじゃないの。
ダラダラしている時のあなたは十分お日様の匂いなんだから、そのままでいて。
コウ、今日会ったばかりだけど、あなたもミナトみたいにお日様の匂いがする人。
今は半乾きみたいな匂いだけど、たぶんすぐに乾くと思う。
だから、頑張るんだよ。しけないようにこのメッセージ聞きに来るんだよ。
じゃあね。私はもうすぐ死ぬ。
今までありがとう。ミナトに言っておかなきゃ。
ベッドの下にいっぱいあなたのシュシュ隠してあるの。ごめんね。処分よろしく。じゃ。