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この時間はZoom Up、毎週木曜日は科学です。
毎日新聞客員編集委員の元村有希子さんです。
元村さん、おはようございます。
おはようございます。
一昨日の毎日新聞に載っていまして、びっくりしたのが、
東京都内の会社が運営する2つの私立の保育園が、
育児に役立つとして子どもに遺伝子検査を受けさせるよう呼び掛け、
保護者の3割が応じていたことが分かった。
ちょっとこのニュース驚きましたね。
いろいろと深い問題をはらんでいるので、
ここでちょっとご紹介したいと思います。
検査は、こんなふれ込みなんですね。
子どもの未来を知るチャンス。
でもやり方は簡単で、子どもの唾液を採取して、
専用の入れ物に入れて検査キットを郵送します。
その唾液を検査した結果が、
親のスマートフォンなどのアプリを通じて、
香港の検査会社から届きます。
だから親の負担は唾液を取って送る、投函するというだけ。
費用は1件あたり9万円ぐらいだそうです。
なかなかの高額ですけど、
負担は保護者ですか?
そうです。保護者が負担をします。
検査では500項目以上調べてくれるということなんですね。
例えば、運動や勉強の才能、
性格特性、男性・女性ホルモンのレベル、
巨乳になるかどうか、
血友病やキンジストロフィーという遺伝子の原因で起きる変異、
それから認知症・糖尿病の発症リスク、
保護者の関心が高いのは、
IQ、知能指数、言語能力といった将来の成功に関わる項目。
こちらに関心が集まっていて、
希望する方は9万円払っているということなんです。
何が問題かというのは、私なりに3つ考えてみました。
1つは、その検査を親が受けさせたいということなんですけれども、
肝心の本人の同意というのがないですよね。
つまり、保育園に通っている子どもなので、
親の都合で受けさせているというのが1つですね。
それから、例えば血友病や認知症とか、
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病気に関わるリスクも調べてくれるということなんですけれども、
これで親が望まない結果が出た場合のフォローが手薄だということです。
どうしていいか分からない。
それから3番目が一番大きなところだと思うんですけれども、
この遺伝子検査そのものの技術が発展途上であって、
不確かさも大きいんですが、それにもかかわらず、
その結果を例えば親が鵜呑みにして、いろいろ慌ててしまったり、
それから子どものいろいろ将来の可能性を、
親の配慮で狭めてしまうようなことになりかねないということですよね。
もちろん例えば血友病なんかは、
特定の1つの遺伝子、2つの遺伝子が特定されていて、
その変異があるかないかというのは診断のときにとても必要な情報なんです。
でもそういう情報は、本来だったら医療機関を通して検査で受けるべきものなんですね。
さらにその変異があったからといって、発症するかどうかはまた別なんです。
そのあたりのことを民間業者が検査をして、
レポートだけで返してしまうということのちょっと危うさをすごく感じます。
なるほど。
遺伝子検査というのは、厚生労働省がきちんと監督している病院で行う検査のシステムと、
もう1つ、遺伝子検査ビジネスという2つのジャンルがあって、
こちらは今回のやつは遺伝子検査ビジネスの方なんですけれども、
こちらは法的な規制とか、役所による規制が事実上ありません。
なので例えば宣伝とか、それから販売とか、あと検査キットの制度なども含めて、
野放しというとちょっと悪意があるけれども、全部任されているんですよね、業者さんに。
そうなるとちょっと本当にクオリティもだけど、いろんな費用の設定とか、
望まない結果が出た後のフォローとか、ちょっとそこら辺のビジネスの信頼度というのが、
信じるか信じないかになっちゃいますよね。
不安が多いようなことにもなりますよね。
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だから自分が親が望むような、足が速くなるんだこの子はとか、巨乳になるんだとか、
望む結果が出ればいいんですけど、そうじゃない場合のリスクということについては、
特に親に全部委ねられています。
もう一つは、遺伝子に関わる情報って究極の個人情報とも言われますよね。
なので幼稚園、保育園を通すことで漏えいする心配はないかということも報道では指摘をされていました。
そこについては、縁側は仲介するだけで、自分たちは検査結果を全く知る余地がないと。
だから仲介しているだけなので、本校の検査会社と親との間のやり取りだけなので、
それによって指導方針が変わることはないと。
ここは明言しておられましたが、こうもおっしゃっているんですね。
子育ては今、情報戦だと。
DNAが全てではないと思いますが、早い段階で知っておくのはすごくいいこと。
その情報、結果が確かなのか不確かなのか、
それを子育てにどう生かすかは、親御さんそれぞれの解釈です。
それはおっしゃる通りですよね。
そうですね。
ただ、そういう時代になっているというのは、ちょっと驚きですね。
何だろうな、素直に。
ちょっともやもやしますか。
確かにリスクを先に知っておいて、それに備えることができるのはいいことだと思うので、
私も自分の検査を受けて、なりやすい病気を知りたいなと思うけれども、
幼児に。
年に一度の人間ドックとか、そういうのとはちょっと違うじゃないですか。
レベルがね。
そうですね。
水木さんがおっしゃるように、健康とか病気の診断とか治療に生かしていこうという研究はどんどん進んでいます。
例えば、がんとかね。
女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝的に乳がん、子宮がんになりやすいということを遺伝子の検査で判明して、
おっぱいを予防的に切除するという決断をしたことが話題になりましたけれども、
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ああいったゲノム情報、遺伝情報を病気の予防や治療に生かすという研究はもちろん進んでいて、
それを進めていくという方針を日本も決めているんですね。
ただ、やっぱりその裏側のこととして、
その遺伝情報が、例えば漏れて、悪用されて、結婚とか就職とか、あと生命保険の加入などで差別されるというような、そういう事態もゼロじゃないですよね。
そこを心配です。
だから、遺伝情報をまずどう利用し、差別を防ぐかというのは、今日的世界的な問題になっているんです。
これはユネスコなども宣言をしていて、各国で法律の整備が進んでいます。
例えばアメリカ、カナダ、フランス、ドイツ、韓国、先進国はそれを整備していて、
日本でも去年、ゲノム医療の推進と差別禁止を明記した法律ができています。
なので、法律の整備がようやく追いついたところ、これからは、本当にそういう起きてほしくないよねっていう事態が起きた時にどうするかという問題と、
それから今言ったように、規制の雨にかかっていない遺伝子検査ビジネス、
ここを使うか使わないか、規制するか規制しないかっていう辺りの議論が、まだちょっと今置き去りです。
ここをちょっとこれから整備していかないといけないし、
昔はウジより育ちとか言っていたけど、今は多分ウジも育ちもっていうことになるんでしょうから、
そこをどう私たちが向き合うかっていうことをね、この話題は割と教えてくれているなぁと思いますね。
そうですね。
わかりました。本村さんありがとうございました。
ありがとうございました。
毎日新聞客員編集委員の本村幸子さんでした。
これからもお楽しみいただけます。
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