1%の人々の視点
1%の人々、100%の人が、学校教育や社会の中で、戦うこと、抜きん出ること、人と争うこと、比べることを教わります。
そして、99%の人が、戦うこと、抜きん出ること、人と争うこと、比べることを体現しながら生きています。
しかし、99%の人が歩んでいる路線とは、違う価値観で生きている人が1%ほどいます。
その1%の人たちは、大病をした、大事故にあった、災難、トラブルに巻き込まれた、寝たきりの親の介護を何年も続けたなど、普通の人が一般的に苦労、大変なことと言われる出来事に身を置いていたことがある人たちです。
この人たちは、普通に生活できることがどれほど幸せかを知っています。
普通に歩けること、普通に食べられること、普通に話ができること、すべてに感謝をして、ありがとうございますと手を合わせることができるんです。
1%の人たちは、何かを手に入れなくても幸せを感じることができます。
99%の人たちと同じように、持っていないものをあげつらねて、それを手に入れることで幸せになれると教えられたにもかかわらず、
辛い経験をしたことで、今のままでも幸せである、自分も相手も今のままで100点であることに気づいたんです。
欲しいものを50個書いてみてくださいと言うと、別荘が欲しい、結婚相手が欲しい、車が欲しい、子供が欲しい、など50個を書ける人がいます。
では、同じ数だけすでに手に入れているものを書いてくださいと言うと、50個書くことはできません。
足りないもの、持っていないもの、手に入れたいものだけを見つめているからです。
成績をあげるためにもっと勉強しなければいけない、今以上の成果を出すためにもっと働かなければいけないと教えられてきた結果、
99%の人は、上昇志向や向上心に常に追い立てられ、安らぎを感じることができません。
常に枯渇感に苛まれています。
夢が叶っていないのは、自分の頑張りが足りないからだと考え、いつも足りないものを探しています。
しかし、1%の人たちは、自分がすでにどれだけたくさんのものを手に入れているか、どんなに自分が恵まれているのかを知っています。
だから、手に入れているものを書いてくださいと言うと、いくつでも書くことができるんです。
この1%の人たちは、実は夢も希望もない暮らしをしています。
私たちが受けてきた学校教育では、夢や希望を持ち、幸せとは努力や頑張りの先に手に入れるものだと教えられてきました。
けれど、自分にはあれが足りない、これが欲しい、まだまだ、もっともっとと言い続ける限り、いつまでも満たされることはありません。
空の概念
1%の人は、今の瞬間から幸せを感じることができます。
すでに満たされているのだから、夢も希望も持つ必要がありません。
幸せは頑張った結果として手に入れるものではありません。
必要なものはすでにすべていただいていることに気がつき、そのことにありがとうと感謝できれば、神様が味方をし、夢も希望も持たなくても幸せを感じることができるんです。
すべて、空。
般若心経の中に色足絶空という言葉があります。
色とは形あるもの、目に見えるもの、手につかめるものといった意味です。
狭い意味では肉体を指し、色欲、色情という意味にも取られていますが、もともとは物体であることを意味しています。
空とは何も存在しないこと、実体のないこと、虚ろなことの意味です。
すなわち色足絶空とは、形あるもの、目に見えるもの、命あるものは必ず滅する、常なるものはなく、無常である、常に同じものはない、形あるものはないとする解釈が主流です。
ですが私は、お釈迦様はもう少し違うことを伝えたかったのではないかと思っています。
色とは幸・不幸、軽い・重い、大きい・小さいといった評価や論評を加えた状態のことを言うのではないか。
そして空とは評価も論評も性格付けもされていない中立の状態を言うのではないか。
私たちが楽しいとかつまらないと評価している現象は、実体として独自に存在するわけではありません。
淡々とした、何の色もついていない空の現象が続いているだけです。
お釈迦様は、現象はもともとニュートラルであり、ゼロであり、色がついていない。
それなのに私たちの心が、遠い・近い・重い・軽い・辛い・楽しい・悲しい・嬉しいといった色をつけているに過ぎないということを言いたかったのではないでしょうか。
200ccのコップに100ccの水が入っている状態は空です。
100ccの水を半分しかない悲しいと思うことも半分もある嬉しいと思うことも一つの色であるとお釈迦様は唱えているように思います。
すべてが空の世界で評価論評をしているのは私です。
色のついていない現象を指して、これは気に入った、これは気に入らないと解釈する自分がいるだけです。
ということは空である現象を嬉しい・楽しい・幸せと捉えれば、過去のことも今日以降のこともすべて幸せに感じるのではないでしょうか。
それが人生のすべて。
喜ばれる存在になるために
がんを宣告されてから毎日様々な健康法や食事療法を続けてきた人がいます。
自分の健康を取り戻すことを優先し、ありとあらゆる頼まれ事をすべて断ってきた。
しかし5年たったところで自分は何のために生きているのか、どうして病気を治そうと思っているのかと疑問に思ったそうです。
その時、たまたま私の講演会においでになって、人生の目的は頼まれ事をして喜ばれる存在になることであることを知った。
病気を治してから頼まれ事をやろうと思っていたけれど、それでは今この瞬間を生きている意味がないのではないか。
そう思い、次の日から頼まれ事をやり始めたんです。
それ以来3年経ちますが、とてもお元気そうで一度も病院に行っていないそうです。
もし神様という存在が上から見下ろしていたとしたら、その人が病気であろうとなかろうと関係ない、
その人がどんな病気を背負っているかではなくて、喜ばれる存在であるかどうかを神様は見ているらしい。
たとえ病気でも与えられた状態の中で頼まれ事をやり続けていたら、神様はこの人をもうちょっと長生きさせようかなと思うのではないでしょうか。
なぜならこの人は周りを喜ばせることができるのですから。
私たちの人生は長生きすることがテーマなのではありません。
生きている間にどれだけ喜ばれるかだけです。
たとえ病院のベッドの上にいても、お見舞いに来てくれた人に不機嫌にならずに笑顔で穏やかに対応をしてその人を安心させることができたら、それだけでも喜ばれたことになります。
そういう一瞬一瞬を積み重ねていけば、それ以外のことはいらないんです。
この世に生を受けた目的とは、いかに喜ばれる存在になるかということです。
そして喜ばれる存在になるために頼まれ事を淡々とこなすこと。
それが人生のすべてなんです。
心を込めなくてもいい。
ありがとうは心の中で思うより口に出した方が何倍ものパワーを持つ。
心の中で思う力、想念よりも。
口に出した力の方が遥かに大きなエネルギーを持っています。
ですから心の中で何を考えていたとしても、ありがとうを口に出した方がいいと思います。
想念の力が一だとすれば、言葉の力は一万倍にも一億倍にも一兆倍にもなります。
想念よりも言葉の方が相手に伝わる力は大きい。
もし世界の人口約70億人がコーヒーが飲みたいと思いながらも紅茶をくださいといえば、
70億人全員が紅茶を飲むことになるはずです。
心を込めなくてもいいから、ありがとうをたくさん言っている人にはありがとうと言いたくなるようなことが次から次へと起きてくることになります。
目の前に嫌いな人がいて、心の中ではこの人のことが嫌いだ、苦手だ、この野郎と思っていてもありがとうと言ってみる。
言われた相手はきっと感謝されたと思うはずです。
腹の中が煮えくり返っていてもありがとうと言い続ける。
そうすれば周りの状況を楽しめると思います。
