そもそもアートってどんな印象ですか?
3人のアートとの出会いや向き合い方の話から、のぞみるき美大時代の苦い思い出ばなしも飛び出します。
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✍︎ 生活者のためのアート入門
想像以上に奥深いアートの世界…実はアーティストも迷ってしまうのだとか。
まずは闇雲に踏み込んで迷子にならないように、ざっくり全体をいろんな角度から観察してみましょう。結局わかりやすい答えには辿り着きませんが、最後まで聴けば少なくとも「なぜアートがわからないのか」はわかるはず…!
このテーマは全4回シリーズでお送りします。
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出演者 : 藤野真司, のぞみるき, 塩田素也
収録日 : 2022年5月18日
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📮あなたからのお便りお待ちしています!
https://forms.gle/g41vMYqjT6RhumfJ6
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\ お し ら せ /
藤野さんが大阪のアートフェアに出展します!
総勢455組から選ばれた27名の作品が、大阪京町堀エリアの4つの会場に集まるイベント。藤野さんの作品は「BYTHREE」という会場に展示されるとのこと。ぜひ足をお運びください!
メタセコイア・キョウマチボリ・アートフェア2022
https://www.metasequoia-art.jp
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Produced by かもすハウス
サマリー
このエピソードでは、アートについての理解が深まらない理由や、アートと他のジャンルとの境界について考察されています。参加者たちは、自身のバックグラウンドを基にアートの定義や認識を共有し、アートに対する敷居の高さや親しみやすさの不足について議論します。また、アートに対する理解の乏しさが、美術教育や個々の成績から生じていることも論じられています。特に、現代アートに対する誤解と分断が、マッチングアプリの会話例を通じて明らかにされています。
アートに対する興味と背景
はい、こんにちは。みみもとスケッチ第一回始めようと思います。
かもすハウスの塩田本也と言います。
かもすハウスののぞみるきーです。
美術作家の藤野真嗣です。お願いします。
はい、お願いします。
このみみもとスケッチという番組は、藤野真嗣さんが同じ美大を卒業した同窓生という感じですかね。
僕自身は美大とか出てないんですけど、アートに近いところにいたりとか興味があったりして、
そういう話を聞いてみたいなというふうな動機から始めた聞くアートのワークショップという感じで名付けてますけど、
ざっくり言えばこの3人で月に1回ぐらい集まって気楽にアートの話をしていくと。
ということでね、実はこれ第1回って言ってますけど、1回収録はしていて。
そうですね。
ただなんかちょっとね。
ちょっとトラブルによる。
お蔵入りになってしまった。
でもなんかそのおかげでね、反省点というか、もうちょっとこういうふうに進行してもいいかなみたいな。
アートの定義を探る
分かってきたので、ちょっとそれを踏まえて改めて第1回を撮ってみようということでやってますけど、
前回その藤野さんのこれまでこう個人的な活動でやってきたような美術史の話をダイジェスト版みたいな感じでね、
してもらおうっていうふうにして始めたんですけど、
まあなんか思った以上にやっぱり厚みがすごいっていうことがよくわかって、
よく考えてみたら当然だよなっていうことなんですけど、
その人類のほぼ歴史と同じスパンの話をしているので、
1回でまとめたらそりゃもうぎゅうぎゅうになるかなって。
そうですよね。
まあ考えてみたら当たり前ではありますね。
それだけやっぱりなんかよくわかってないということでもあるし、
それだけの厚みがあるジャンルなんだっていうことも意外となんかわかってないなって思ったりして、
そう考えてみたときに、そもそも現代で生きている自分の周りにあるアートっていうものについて把握ができてないから、
なんかその歴史の話を聞くのも面白いけど、
それよりも前にまず自分が今どこにいるのかみたいなことを話したほうが、
むしろその歴史の話とかも入ってきやすくなるなっていうのも思ったりして、
今日はそういう話を2人とできたらいいかなと。
なんかアートって聞いて、なんか最初にこう思い浮かぶものってね、
どんなのがあるんですかね?お2人はどうですか?油絵とか絵はアートですか?
そうですね、絵はアートっていうイメージがあって、
で、あとなんかそのあれですかね、これはすごい個人的なことなんですけど、
そもそもバックグラウンドとして工芸の専門の学校に入ったっていうのが、
自分の中ではそのアートっていうものをはっきりと認識するきっかけになったというか、
多分世間一般で工芸っていうのは結構アートと同じくくりに入れられるものだと思うんですけど、
実際やっぱやってみるとそのアートとは全く違う動機で動いている分野で、
でもその境目もないんですよね。だからそこがちょっとこうややこしいんだけど、
なんか境目はないけどでも明らかに違いもあって、
なんかその違いによってアートっていうものを逆に自分は認識できたというところがあるんですよね。
なんかそれまではその定義というかっていうのを考えたことがなかったけど、
工芸っていうなんか限りなくアートに見えるけど違うっていうジャンルを一つ掘り下げたことで、
アートじゃないものが自分の中ではなんとなくこうわかるようになってきたっていう。
でも逆にアートがじゃあどういうものなのかっていうのは業界の中には入ってないので、
具体的なところは全然わかっていないっていうような感じなんですよね。
ルキさんはどうですか?
私はそうですね、母親が絵を描いてたので、やっぱり絵画っていうのが一番自分のベースになってて、
アートのベースにもなってるんですけど、そのまま美大に入って、だからモテ屋さんとは逆というか、
その家畜の中にずっといて、だからわからないんですよね。
絵画から、絵から生まれたものみたいな認識があるかもしれないですね。
でも今アートって何なのかって言われると、なんかその逆にそのアートじゃないものを知らないから、
世間のこととかも知らへんから、他の人には説明できないっていう感じです。
なるほど、なるほど。これもわかりますね。
僕はあれなんですよね、今美術作家って言って作品を作って発表するっていうことをやってますけど、
小さい時の一番原初の体験って漫画なんですよね。漫画家になりたくて、僕最初。
あ、そうなんだ。初耳です。
で、なんか自由帳ってあったじゃないですか、真っ白な。あれをですね、本当に年間何百冊と書くような、
アートと認識の壁
親は次々に自由帳を切らせたらこの子はちょっとおかしくなってしまうんじゃないかっていうような、発作的になんかね、書いてて。
キャラクターを最初書いてたんですけど、そのキャラクターがこの筋書きを持ってコマ割りを持って漫画の形を出し始めて、
それを人に友達とかね、家族に見せると喜んだもんだから、僕はもう漫画家になるぞと言って、
なんかその時の興味によってバトルモノを書いたりギャグ漫画を書いたり色々してたんですよ。
で、そんなことばっかりしてるもんだから勉強が全くできず、
で、そのまま僕は絵を描く、漫画家になるというか、そっちで行くんだという自覚のもとに書いていたら、
気づいたらそういうね、絵描く人ばっかりが行く環境があるよと、高校の美術家だったり、その後の美大であったりっていう環境があるよというのを知って、
もうそこからこう、そちらに向かうようになったら、気づいたらデッサンやらされてたんですよね。
そっかそっか。
だからちょっと僕もアートの入り口にぬるっと入って、デッサン、その美大に行くためにデッサンが必要ですよっていうので紙と鉛筆を渡されて、
漫画を楽しく書いてたのにいつの間にかワインの瓶とか人参とか一生懸命、でもそれも楽しかったんでね、書いてたんですけど。
そこから色々知識が入って、その絵画というジャンルに移行してったんですよね。
漫画の興味がそっちに移ったというか。
そうなので、僕もある種、ルキさんとちょっと似ていて、その身近というか自分が好んで足を踏み入れていた領域だったから、
その外からどう見えてるかっていうことはあんまり意識することがなかったのかもしれないですよね。
で、今日のお話の出発点にもなると思うんですけど、
自分がアートというジャンルに身を置いて、ふと世間からの見られ方というかを見た時に、
やっぱりそのアートに対するちょっとわからないというリアクションや、
なんかちょっと敷居が高いとか、自分たちには関係ないことっていうような、
そういう反応をされることが割とあって、せんびきされるというかね。
それがすごく寂しい気持ちになったのがあるんですよね。
でもなんかそれって自分たちがいる領域含め、アートと呼ばれるこの分野の現状を見渡してみると、
それはちょっと無理もない状態だとも思えて、
それは専門的な領域っていうことによる内輪の空気感であったり、
やっぱりパッと見てすぐに理解できるものばかりではなくて、
ちょっと事前の予備知識が必要だったりとかするものだったり、独特の体系がありますよね。
それよりはもっと親しみのある漫画とかアニメとかサブカルチャーの方に、
やっぱりお客さんが集まるのも本当は当たり前の話だと思うんですよね。
それだけじゃなくて、今アートって呼ばれてるものがあまりに多すぎて、
風景画とか人物画とか写真みたいに綺麗に描いた絵とか、あれもアートって呼ばれるし、
よくわかんない抽象画みたいなとかもアートって呼ばれるし、
立体で彫刻とかならまだしもビニールとかを使ってぐちゃぐちゃ貼り合わせて、
壁一面にそれが広がってる、これがアートですみたいな、これよくわかんないみたいな。
だから結局アートって何?みたいなところで、そこ以上を何か説明する、埋めてくれるコンテンツっていうのは少ないですよね。
そうですよね。だから自分の近いジャンルで言うと、やっぱり陶芸とかってすごいアートって言われるときもあるし、
クラフトフェアみたいなところで売られているものもあるし、
さらにいけば本当に百均とかでも同じような機能性の器っていう意味では売っていてとか、なんかその幅があって。
なのでね、そのアートっていうのがじゃあどこまでアートなのって言われると、結構そういう自分の知ってるジャンルの中でも曖昧なところはある。
なんかクラフトフェアがアート1って呼ばれてたりとか、
なんかすごいテレビアニメで技巧的なクオリティの高い作品に対して、もうアートじゃんみたいないう感想が出たりとか、
なんか使ってる方も定義曖昧だしね、難しいよね。
あとこう変わった人って、彼はアーティストだよねとか。
確かに。アーティストの定義もそうですね。
そう、あれって、なんかその、何でしょうね、あれも若干の感じ悪さを含むじゃないですか。
アートと教育の影響
あんまり言われて嬉しくないみたいな。
あれはやっぱり、その時代の空気感として、アートっていうのはよくわからないもので、
ちょっと我々の、自分たちがいる側の我々の共通言語とはちょっと違う、理解不能なものっていうのに出会った時に、
これは何ですか?アートですか?みたいな、学校払いみたいなツッコミがあったり、そういうものなんだと思うんですよ。
僕、その意識ってどこから生まれてるんだろうなと思うと、やっぱり小学校の時の美術教育、
学校の美術の時間とか、そういったところから端を走ってる方って多いんだろうなと思っていて、
今また美術教育のやり方ってかなり雰囲気変わってきてる、僕たちの時代から変わってきてるそうなんですけど、
基本、絵を描かされるじゃないですか、風景にしろ、お花にしろ、読書感想画みたいなものにしろ、
そこで他の科目と同じように評価をつけられて、成績2とか1とかつけられちゃって、
それでなんとなくよくわからないまま、自分はアートは苦手なんだと思い込まされてしまう現象みたいな。
すごいありますね、それ。
実際ね、やっぱあるんですよね、僕もアートを扱うお仕事の場面の時に、その拒絶反応にすごく出会うというか、
いやいやもう私はアートはかやきしでとか、アートはもうちょっと本当にわからないので、わからないのでってすごく皆さんおっしゃるんですよね。
で、それどうしてそう思われるんですかって聞くと、いやいやもう本当小さい時からもう美術成績が1だったんでとかっていう、その下りが必ず回ってたりするんですよね。
いや僕はそのね、小学校の時に美術の成績5をつけられた側の人間だったから、そこで劣等感を植え付けられるという体験をしてなかったんですよね。
なるほど。
でも、それってなんかなんていうか、そこでつけられる成績の基準なんてものすごく狭い、本来アートというものすごく広い人間の表現行為全般を指すジャンルの中でごく一部の、例えばなんか色使いとかデッサンとか、そういったパートだけで評価がされてしまっているので、
だから多くの人がそれはあの勘違いをさせられているんだと僕は思ってるんですよね。
今のここまでの話を聞いてて、結局アートの実際に制作をしている人っていうのは、もうなんかそのある意味無自覚にやっていたことがアートになっていたっていうことで、アートをやろうと思ってやってるっていうわけじゃなかったりするから、
そうするとやっぱりその自分の立ち位置っていうのが別にわかっているわけではなくて、かといってその外から見ている人たちのイメージが大半がもう理解できないものっていう、なんていうかその理解しようとする対象の外になっちゃってるので、
すごいなんか分断が起きていて、なんかそこがお互いにその歩み寄る、なんていうかな、きっかけがないまま来てしまっているというか、そういう感じがすごいしますね。
分断とマッチングの難しさ
で、なんか自分はそういう意味で言うと、すごく絶妙な位置にいて、さっきの工芸の学校っていうのも、結局その座学とかで美術史よく考えたりやってるんですよね。
現代アートとかについてはあんまり詳しくないけど、昔の美術っていうのは限りなく工芸と混ざり合っているので、そこら辺の知識っていうのは座学でやったり、あとやっぱりデッサン力も最終的にデザインするとかいう時にも役には立つので、そういう意味でデッサンをしたりとかね。
そういうなんか経験としてやってたりすることも半分あって、だからなんかその自分の中でもやっぱりすごい理解していることではないんだけど、でも理解できない対象ではないっていうようなぐらいの距離感になっているなっていうのを今ちょっと聞いてて思いましたね。
そうですね、なんか私マッチングアプリを、急にですけど、マッチングアプリをしてたことがあるんですけど、なんかそこでいいねしてくれた男の子とやりとりをするじゃないですか、で、やっぱりさっきの藤野さんみたいに何勉強してたの?みたいに聞かれて、で正直に現代アートって答えたんですよ。
でも言ってからわかるかなと思って、わかりますかって聞いたら、わからない、笑って帰ってきて、すごい私ショックを感じて。
それはひどい、そうなんでしょうね。
会話終わったと思って。
終了。
そこで終わったんですけど。
マッチングならず。
ならなかった。
そういう認識なんだなって思ったし、そしてこっちからも歩み寄れないんですよね。
じゃあ何?って説明、面白くしてあげられなくて。
なるほど。
その構図ではずっと感じてます。
それすごいわかりやすいですね。
さっきの分断してるっていうのは要するにマッチングしないってことだよね。
興味がそもそも向いてないし、中の人もそれに対して投げる球を持ってないから、マッチングがそもそも起こらないっていう状態になっているのが。
でも別に自分が多分ちょっと片足突っ込んでいるからそう思うんだと思うんだけど、入ってみたら別にそんなに排他的なジャンルでもないし、
それこそ自由度が高いっていうこと自体もアートの多分良さでも元々あると思うので、面白いし、知らないことの方がもったいないなって自分は思うようになれたというか、たまたま自分の経験から。
嬉しいですね。
そういう人がやっぱり増えてマッチングが起こりやすくなると良いのかなっていうのを聞いてて思いましたね。
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