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2025-08-30 07:56

【映画レビュー】#ニーキャップ 【ネタバレなし】

サマリー

映画「ニーキャップ」は、アイルランドのヒップホップトリオが自身の物語を描く反自伝的な作品です。言語がテーマとなっており、アイルランド語での音楽制作を通じてアイデンティティについて深く考えさせられます。

ニーキャップの紹介
皆さん、こんばんは。マカ・ママレードです。
今回取り上げる作品は、こちら。
【ニーキャップ】
アイルランドに実在するヒップホップトリオのニーキャップ。
本作は、ニーキャップの3人が本人役で出演した反自伝的映画となっています。
脚本と監督を務めたのは、リッチ・ペピアットです。
ストーリーは、アイルランドでドラッグディーラーをしているニーシャは、ひょんなことから音楽教師のJJと出会う。
ニーシャが書いたアイルランド語の詩を読んだJJは、ニーシャとニーシャの幼馴染、リーヤンを誘い、ヒップホップの音楽を作るのだが、という感じです。
はい、というわけでニーキャップ見てきたんですが、もうね、非常に面白かったです。
ニーキャップは、たびたび過激な言動で話題になることもあるそうなので、もしかしたら知っている方もいらっしゃるかもしれないんですけど、
僕はこの映画の公開で初めて知って、この人たちの最大の特徴としては、アイルランド語でリリック、歌詞ですね、詩を書いていると、
そこに彼らのアイデンティティ、活動のスタンスというのが込められているわけですけど、
僕はアイルランド語は全くわからないんですけど、そういう音楽の作り方、向き合い方が非常に魅力的というか、訴えかけてくるものがあるなと。
アイルランド語は、外圧的な要因、権力によって消えゆく言語の一つなわけですけど、それをあえて使うということですよね。
なぜかというと、それがニーキャップの自分たちの言葉だからということなんですけど、
成立的なことを考えたら、英語で歌ったほうが多くの人に届きそうじゃないですか。
圧倒的に英語を回する人のほうが、アイルランド語がわかる人より多いわけですから。
それはアイルランド語でっていう、アイルランドでっていうことじゃなくても、世界レベルで見るともう圧倒的ですよね。
なんですけど、そういうことじゃないんですよね。
アイルランド語で、自分たちの言語で、権力に屈さずに歌を作るんだという、そこに境地があるわけで。
そこに映画を見て痺れましたね。
その映画を見て、彼らの背景とかを見ると、なおさらその思いが強くなるわけですけどね。
でも、彼らの背景を知ると言っても、どこまで本当のことなのか、映画を見てもよくわかんないんですけどね。
例えば、ニーシャとJJが出会うきっかけも、そんなことある?みたいな奇想天外な話で。
ちなみに、この警察の取り調べのシーンなんですけど、この映画は言語っていうのが大きなテーマの一つになっていて。
この警察の取り調べのシーンは、アイルランド語と英語のディスコミュニケーション、そこが仕掛けの一つになっているわけですけど。
僕はこのシーンを見ていて、三谷幸喜のオデッサという舞台を思い出しました。
あれも警察と通訳と容疑者の3人の駆け引きを描いていて、ニーキャップのこのシーンに似てるんですよね。
そういうシーンもあるし。
その後、この2人が一旦別れて、また偶然出会うんですけど。
そのシーンも、いくらなんでもそれはっていう話なんで。
まあね、絵でしてそういうことこそ本当だったりするのかもしれないですけど。
でもね、なんか最初から最後まで、そういうとにかくどこまで本当かわかんないような作りになっているわけです。
なんかそういう軽薄な感じ、真面目腐ってない、非常に軽やかに進んでいくストーリーテリングも非常に魅力的でした。
なので、見てたら本当に非常に辛い現実にこのニーキャップの面々っていうのはぶち当たるわけですけど。
語り口が軽いんで非常に面白く見られるという。
映画のテーマと知見
で、面白く見た上で、これあの僕が見に行った回のアフタートークがあって。
そこで北村沙耶さんがお話しされていた中に出てきた言葉ですけど、
少数化された言語ですね。アイルランド語という少数化された言語について考えさせられるという。
アイルランド語に限らずですけど、少数化された言語、また言語がもたらすアイデンティティですよね。
そういったものにもきちんと観客が思いを巡らせ思考するような作りにもちゃんとなっているという。
ここら辺も見事でした。
で、この言葉なんですけど、やっぱり非常に重要なわけです。
それはそうだろうと思われるかもしれないですけど、人間にとって言語、言葉というのは本当に重要で、
それはコミュニケーションを取るためというのもそうだし、あとは人間は思考するときはほぼ必ず言語によって思考するんですよね。
つまりは自分を自分と認識して社会において生きていくためには言語というのは不可欠なものなわけです。
だから全然代替可能なものではないというか、ある言語を使う人が少なくなってきた。
もうこの言語が絶滅しそうだっていうときに別に他の言語を使えばいいじゃんという話ではないわけですよね。
思考と言語が結びついている限り、言語というのはアイデンティティを形作る上でなくてはならないものなわけで、
その言語体系を他のものにするっていうのはなかなか難しいわけです。
ましてやそれを暴力的に力づくで他の言語に代えさせるっていうのはあってはならないことらしい。
その他の言語を使わせるっていうのが本当にその代えさせられた自分の言語を奪われた当人に非常にダメージを与える。
アイデンティティを破壊するというのが分かっているからこそ、植民地支配している地域で自分たちの言語を使わせるという大国が歴史上あったっていうことなんでしょうし。
ニーキャップは自分たちの言語、つまりは自分たちを形作るもの、アイデンティティそのものですよね。
を否定しようとする警察など権力、体制に対して自分たちの言語、アイルランド語そのもので対抗をしようとするわけです。
この抗い方、音楽のスタンスが観客の胸を打つ。ニーキャップの音楽っていうのもそうだし、今作の映画としての魅力の一つなんじゃないのかなと思いました。
それから3人の演技も本当にナチュラルで、すごい良かったですし、ニーキャップの演技も良かったですし、脇を固める俳優たちもマイケル・ファスベンダーをはじめ実力がある俳優たちなんで、
しっかりとニーキャップを支えて映画にまとまりを与えていると安定感があるんですよね。
非常に素晴らしかったです。
音楽映画なんで、これはできたらぜひ映画館でニーキャップの音楽をもう浴びに行っていただきたいなと、いい環境でね、というふうに思います。
はい、というわけでニーキャップ、本当に面白いし、これを見ればニーキャップの音楽の虜になるのは間違いないと言えるほどの音楽映画としての魅力にあふれた一作なので、ぜひぜひご覧ください。
以上、マカママレードでした。ありがとうございました。
チャンネル登録、高評価、よろしくお願いします。
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