映画の意外な展開
面白かったですね。〈オッペンハイマー〉 そうですね。見ていて、こんな話だったんだって、びっくりはしましたね。
なんかその最初に予告編を見た時は、マンハッタン計画が主軸になる映画だと思ってたんで、後半、会話劇が主になる展開には、なんか意外な印象を受けましたね。
長文会と校長会のシーンが主になるんですよね。 そうそう。
長文会の舞台っていうのは、長細い狭い部屋で、カットはほとんど人の顔のアップだけじゃないですか。 はい。
なのに全く退屈じゃなかったですね。 編集が上手で、ジャカジャカと慌ただしくもなく、かといって感満にもならず、
なんというか、観客の興味を持続させるようなリズムを保っていましたよね。
あと、校長会のシーンは、モノクロのフィルムの重厚感と一緒に、そのロバートダウニージュニアの演じるストローズの狡猾さと、なんか哀れな小物感っていうのを堪能できたのが良かったですね。
モノクロといえば、モノクロとカラーの映像が交互になる構成の意味は見てる間、わかりましたか?
意味、そのどういう意図の構成かっていうことですかね。 はい。
えっとね、正直最初は全然わかんなかったです。
あの、なんとなくこんな感じかなというのが、おぼろげに見ている間わかってきたかなっていう程度です。
前にメメントを見たことがあったんですけど、 あ、メメントと一緒だと思ったんですよね。
でもちょっとルールが違うなという。 そうなんですよ。
僕も全く一緒で、メメントが頭に浮かんじゃったもんだから、そのつもりで見てたんですよ。
でも、あれ、これメメントと違うルールで白黒とカラーが切り替わってないって思ってから結構混乱しました。
あと、時代が2つある上に回想シーンも始まるじゃないですか。
だから3つの時代の話になるんですよね。
すごい多層的な話になってくるので、一回見るだけじゃ理解が追いつかないなと思いました。
うん。 複数の時代が一遍に語られて、違う登場人物の視点も入ってくるという。
それが3時間もありますからね。 見るのに体力はいると思います。
音響と構成の工夫
あと、音響がすごくなかったですか?
すごかった。 トリニティ実験のシーンはもう飛び上がって驚きましたね。
ね。 あのシーンの爆発音は、ただ大きい音で迫力があるだけじゃなくて、ちゃんと怖さも感じます。
今回は僕たちはドルビーシネマで見たんでね。 アイマックスの魅力はまだ体験できてなくて。
でも先ほどから言っているように、音が重要な映画だと思うので、全然見劣りするなぁなんてことは思わなかったですね。
近々アイマックスの方もチェックしてみたいと思ってますが。 はい。
あとはそうですね、僕は見ている間思い出した作品がゴッドファーザーパート2なんです。 はい。
ゴッドファーザーパート2も校長会のシーンが印象的だし、あと3時間以上の長尺っていうのもオッペンハイマーと同じだし。 はい。
あとは、デニーロとパチーノの2つの時代を交互に描く構成も、今作の複数の時代を描く構成に通じるものがあるなぁと。
なるほど。 それは思いつきませんでした。
念想したのは他のクリストファー・ノーランの作品です。 物理学の要素は前作のテネットから引き継がれていたと思います。
はい、確かにそうですね。 それから原爆の描写について。
途中で原爆の被害状況の幻をオッペンハイマーが見るシーンがありますが、もうちょっとここは広島・長崎の被害の実情に即した描写にした方が良かったのではと感じました。
今作ではあえて描かないという手法を取ったんでしょうね。
そうだと思うんですが、だとしたら全く描かないことに徹するか、もしくはもっとちゃんと描くか、どっちかはっきりさせた方が良かったかなぁと。
この描き方のバランスでもいいかなとは思いましたけどね。
うーん、まあそうかもしれませんね。
若さんは原作も買ったんですか?
そう、原作も買いましたが、まだ読んでないので早く読みたいです。
とにかくさっきも言ったようにすごい情報量の映画なので、一回だとなかなか理解できないところもあって、原作読みつつ複数回映画を見てきちんと背景を理解したいと思います。