前回の続きです。
前半部分は以前の「クリエイティブ・コモンズの派生禁止作品のBGM使用」の回と内容が被ってますねぇ。なんか申し訳ないです。
クリエイティブ・コモンズの派生禁止ライセンスと著作権のことです。
- My Mix Juice / kuss
- Slow / Wilneida
- all I need your love / cranberry
翻案権と同一性保持権
アーティストの楽曲の上でだらだらと喋るのは、楽曲の改変になるのじゃないか。クリエイティブ・コモンズの派生禁止が条件になった作品はライセンス違反になるんじゃないか。
もしかしたら、著作者人格権のほうをイメージしているのかもしれないですね。
著作権の中で「改変」というものは2つあります。
翻案権と同一性保持権です。
著作権法というのは知的財産法のひとつで、著作者の「財産」を守る法律です。狭義にはこのことですが、広義では著作者の「心」を守る著作者人格権を含みます。
もしかしたら、改変になるというのは心情的な意味で著作者人格権に配慮してのことかもしれないですね。
でも、国際的には著作者人格権ってのは十分に足並みが揃ってないので、クリエイティブ・コモンズでは著作者人格権までは含まず、「財産」を守る狭義の著作権の中での翻案権について取り扱っているんじゃないでしょうか。
(同一性保持権) 第20条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。著作権法
(翻訳権、翻案権等) 第27条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。著作権法
著作権法上のポッドキャストと動画
以前にも、ポッドキャストでバックにBGMを流すのは、翻案には当たらず編集著作物になるので問題はないだろうとしながらも、でも動画だとマズいかもしれないと言ったことがありますが、補足です。
実は動画になると著作権法の扱いは「映画の著作物」になってしまいます。映画と似たような効果のものはすべて「映画の著作物」のようで、テレビCMや番組から、ネット上の動画もそうですね。
この「映画の著作物」になると、著作権が厳しくなる。これはハリウッドのせいだと言えるんですが、かなり特殊な感じ。
それに、ポッドキャストと動画には著作権法上で大きな違いがある。
著作物には4つあります。
一般の著作物のほか、二次的著作物と編集著作物とデータベースの著作物。
で、ポッドキャストは一般の著作物にならないと考えられます。たとえば、喋りだけの場合。そのMP3ファイルは著作物じゃない。
だいたい、著作物とは形のない無体物を守るもの。形あるものなら所有権で守れるが、守れないんで作られたもの。MP3ファイルとなったポッドキャストは著作物を固定したもの。著作物は中身。この場合「言語」だ。
ただし、映画の著作物は例外で、固定されたものが著作物となる。
けれど、固定カメラの映像とか、ただ景色をずーっと撮っただけのものは創作性がないので著作物にはならない。鍵は創作性があるかないかだ。
それだけで著作物にならないポッドキャスト。それだけで著作物になる映像。
だから、映像のバックで楽曲を流すのはマズい時があるわけだ。創作性のある映像の時はダメなときがある。楽曲とシンクロしちゃったら完全にダメだ。
ポッドキャストも音楽的にシンクロしたらダメだ。それは曲になってしまう。
で、クリエイティブ・コモンズのライセンスでもそのことは考慮して、誤解を避けるためにと付け加え、音楽と同調して映像を載せるのは、ライセンス上は二次的著作物に含むものとしている。本当はグレーだが、念のためといった感じで。
さて、ポッドキャストはそれだけで著作物にならない。喋りだけなら。その喋り手の言語が著作物なだけ。けど、ジングルを入れたり、曲を流したり構成を考えたり、創作性があるじゃないか、と言える。
けど、それはパーツパーツに著作者がいるはず。その著作物の寄せ集めだ。それを編集して集めただけ。まあ、素材の選択や配列の仕方(重ねるも含めて)、構成などで創作性がないとは言えない。まあ、それは編集著作物だな。
ということになるものと考えられるわけです。と思います。